表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/19

祖父の策略

まず、祖父を倒さなくてはならない。

平民が貧しいのは上が金を回さないからだ。

第1王女である羽緑姫様は、結婚されて遠くに引っ越された。幼なじみの聖安との結婚だった為、羽緑姫は幸せな結婚と言ってよかっただろう。

子供にも恵まれたと聞く。

それは王妃様の娘だからで、現第一王妃様は前宰相の実の娘だ。

身分が高く、功績を残した羽緑姫がいい所に嫁げるのは当然だろう。

西先分家の娘、麗鈴妃は王子を産んでいない。

娘が七人いる。長女は十七歳にして北の小国の没落貴族に嫁がされた。

そんなふうになるのは嫌だ。

今ですら甘えたことなど言えず寂しくてたまらないのに、家族と一緒に居られなくなるのなら今まで頑張ってきた意味がなくなってしまう。


姉上の葬儀で、笑って飲み食いしている貴族がたまらなく憎かった。

父と母は薄いカーテンで仕切られた中にいる。

子供が親よりも先に死んだ時、親の魂が持っていかれないようにするためだと樹夜から聞いた。

基本的に王女の関係する式に王妃様と王子達は参列している。


第一王妃の2子、第1王子花雲王子。

第二王妃夜様の3子第二王子素雲王子。

亡くなった第三王妃の1子第三王子雷雲王子。

夜様は、東先本家の娘で、樹夜、利華、素雲と三人の子供を産んだ。

父王は夜様と私の母、宝寿妃のバランスが崩れないように気をつけているが性別ばかりは仕方がないだろう。

姉上の婚約者だったシメーズィ様も来てくださっている。シメーズィ様は祖父であるあの爺さんの息子だ。

つまり、私達にとっては叔父にあたる人だ。

年齢は二十二歳。

祖父のシータークェにそっくりで、顔だけ男。

ちなみに母は後宮に入るまで「ナメコ」という名前だったそうだ。

ありえないでしょ!?

後宮ではこの国の妃は漢字名を使う。

父王が与えた名は「宝寿」。

流石にナメコはないだろうと与えた名を母はとても気に入り、自分に変な名前を付けた実家よりも陛下に尽くそうと決めたんだとか。

「宝寿妃、今後のことでお話がございます」

「なんでしょう、お父様」

「真珠姫が亡くなった今、緋彩姫が我が息子シメーズィに嫁ぐべきではありませぬかな?」

「な、なんてことをおっしゃるのですか?真珠が亡くなってまだ1日しか経っていないのに!」

いつもは声を荒げたりしない母がこんなに怒るのは初めて見た。

「今すぐにと言った訳では無いでしょう!」

「シータークェ!子を亡くしたばかりの娘を労る事もせず婚姻の話とは!無礼だぞ!」

「陛下、私はこの国の将来のことを考え進言したので………」

普段温厚な父の事も怒らせるとは。

「聞きとうない!これ以上言うのなら身分を剥奪するぞ!」

「では、老いぼれはお暇しますよ。ですが忘れないでくださいね、陛下の弱みは私が握っていると。」

そう言って葬儀会場を後にした。


その夜

父王に呼ばれて執務室へやってきた。

「父上様、緋彩でございます」

そう言って扉を叩くと

「入れ」

と父王の声がした。

中には樹夜と夜様、そして母がいた。

「どうなさいましたか?」

尋ねると父王は難しい顔をして考え込んでから呟いた

「緋彩に重責を負わせるのか」

「父上、今なんと?」

上手く聞きとれずに聞き返すと、

「そなたに、王家の秘密をはなさねばならなくなった」

「はい?秘密ですか?」

「今までは真珠が使っていた力だが、真珠に草玉は、存在しないのだ。」

「では、なんなのですか?」

十六年たった時からのファンタジーな展開?

「魔力だ。元は神家に伝わっていた力だ。だが、その能力は真珠が持っているはずが無いものだった。真珠は、暗殺されたのだ。」

へ?ありえないでしょ?真珠姉上が持ってるって。だって母上西先出身でしょ。なら持っててもおかしくないよね?てか、暗殺って。

「わたくし、東先の当主の姪ですの。当主の妹の娘です。どちらの血も混ざっているのですよ。ですから力を受け継いだ真珠は死に近い所を生きていたのです。」

えぇーー。軽くパニック。

ゲームのオープニングみたい。

「つまり、西先当主シータークェは、この星の敵だ。シメーズィは時が来れば魔王になる。聖女を探し出し、この国を守ってくれ」

魔王覚醒イベントってやつか。

この国で前に出てきた魔王は確か空の色を赤く染めたり男を消したりだったよね。

数百年の時を経て蘇る。

親孝行は、シメーズィ一味を倒して終わり!

これは決定。


あとは料理がしたい!

この国の食べ物、あまり美味しくありませんでして………。


王女は厨房に入ってはいけないとか変なルールあるし。

厳密に言うと、作って食べて毒が入ってると色んな人が罰せられるから、一人用のキッチンで作る分にはいいんだけど。



結局、この国の貴族学校は危ないからコークス王国の貴族学校に通うことが決定した。

ちなみに樹夜と一緒に行く事も決定事項だ。


一週間後、私は樹夜と二人でコークス王国貴族学校に転入することとなるのだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ