ジャミングとか有効に使える人って憧れる
スカディ引けましたやったー!アイギスも英傑の塔が楽しすぎてヤバい。日本に戻ってきていて良かった……!
でもポケモンは予約できていなかったので多分今回は見送ることになるかもしれない(噛み締めた唇から血を流しながら)
ありがたくもレビューを頂きました。拙作に出てくるゲームをやってみたいと思っていただけるというのは何にも勝る喜びです。どうもありがとうございました。
風邪も治り、学校も終わり、妹にVRギアも返してもらったし準備万端。
丸一日ゲームから離れたおかげで頭がすっきりした。そして湧き上がる衝動とインスピレーションを総動員した結果、新規機体がなんとたった一時間で出来上がったではないか。なにこれ神の導きってやつ?勝手に淀みなく手が動いて組みあがったんだけど。
完全新規は時間的にも難しかったから上半身はバテンカイトスのものを流用した。そんで腰から下をもはや『いつもの』と言って差し支えない尾びれ型の推進器に変更。それだけだと姿勢制御に難があるので腰の左右に補助推進器を設置。
残念ながらワイヤーテールは搭載部位が無かったので涙のお別れだ、意外と良かったんだけどなぁ。
その代わりと言ってはなんだけど背中には大型のバックパックを背負っていて、これは刀型のブレード二本と手に持たなくても撃てる可動式レールガンが二丁格納されている上に、補助ブースターとしての役割も持つシロモノだ。これを載せるために以前ついていた推進器を取っ払ったんだけど、まあ下半身に推力が増設されたからいいでしょ。
手持ち武器は右手にマシンガン、左手にプラズマガン。機体バランスの都合上あまりに大きな獲物を持つことはできないので、両方とも比較的軽量のものだ。
「テスト結果も上々。なかなかいい出来だ、なあレッドコーラル」
人魚っぽい名前ということで赤サンゴ。うむ、俺のネーミングセンスもかなり安直だ。青のことあんまり言えないな。
さてさて、ネットの情報を見た限りでは俺が寝込んでいる三日目の間に戦況に動きがあったらしい。どうも残っていた左翼storm egg格納庫と例の追加推進器が破壊されたとのことと、その過程で母艦が一機墜とされたということが分かった。
サンダーバード自体の行動は二日目から変わらなかったそうだが、今日は折り返しの四日目。また何かやらかしだすかもしれないので注意だけはしておこう。
「では……レッドコーラル、出撃するぞ!」
カウントダウンがゼロになると共に一日ぶりの大空へ。うむ、操縦に不満は無し。テスト通りにいい感じに動いているな、よしよし。
追加推進器が無くなってだいぶスピードも落ちたようだな、storm eggもほとんどいなくなって戦場が寂しくなってるじゃないか。でも油断はしないぞ、この手のボスは大人しくなった後が怖いんだから。
「これだけ卵がいなくなってるんなら、いっそ武装は装甲をぶち抜ける大火力だけで良かったかも。いやでも機体のバランスがなぁ」
四日目になって無限戦機の大部分が分かってきたが、サンダーバードは他二機と比べるとかなり柔らかいのではないかという意見が多い。
これはおそらくその通りだと思う。なにせ飛行型レムナントでないと参戦も出来ないので、他二機よりも総人数が少なくなることを見越してのことだろう。それでも現状一番やられていると思われるのがサンダーバードなのでこれは運営の試算が甘かったのかもしれない。
「もしかしたらサンダバは7日持たないかもしれないな。……運営の殺意がどうこう言われてるけど、げに恐ろしきはプレイヤーたち、というわけか」
様々なゲームで行われる、クリアまでの最短記録を競うRTA(Real Time Attack)の走者なんて意味不明な動きしたりするもんね。針の穴ほどの隙があれば無理やり体をねじ込んでくるから奴らは怖い。極まった人たちなんて正直異星の生物ではないかとすら思う。
それはさておき、ご無沙汰してますサンダバパイセン!昨日は情けなくも風邪に罹りお目見えすること敵わず申し訳ありやせんでした!
「こちら詫びの鉛玉になりやぁぁす!」
マシンガン掃射ぁ!からのプラズマガン乱打ぁ!いいねいいね、邪魔な卵がいなくなっただけでこんなにもストレスフリーになるんだね!
超加速もなく妨害の随伴機もいない今、三日間ひたすら弾幕避けをさせ続けられたプレイヤーたちにとってはもはやデカい的だぜぇ!油断したら即ミンチレベルであることに変わりは無いけど、初日の様な恐怖心はもはや無い。
「この後何が起こるかはわかんないけど、間違いなく今が稼ぎ時!与ダメ貢献度よこせオラァ!!」
バックパックのレールガンも総動員して撃つべし撃つべし!現状の貢献度がまだ8200点しかないからね。バテンカイトスは頑張ったけどその前三機が何もできなかったからしゃーない。
できれば今日明日で15000点までいきたい。このペースだと30000点の報酬はキツイだろうから、6日目と7日目はナーガラージャか武御雷に行って最低報酬を掠め取りたいんだ、あわよくば両方とも。
他のプレイヤーたちも割と慣れてきているようで、弾幕を避けつつ至近距離に張り付いて撃ちまくっている味方レムナントの姿がそれなりにメインモニターに映っている。人間の環境適応能力はどうやらまだまだ捨てたものではないらしい。
それにしてもやっぱ魚の身体は動かしやすいわー。下半身だけとは言えしっくりくる感じがスゲーわ。青なんかはどう考えても魚の方が動かしにくいとか言ってたけどソンナコトナイヨー。
「なんだか思ってたよりも大人しいな、もっと暴れ狂うんじゃないかと思ってたんだけど。本当に今日1日ボーナスタイムなのか?」
だとしたらありがたいけど、それはまずあり得ないと見ていい。2日目にして母艦を落としにかかってくるようなやつが、そんな思いやり精神にあふれてるいい子ちゃんなわけないだろう。
ジェットコースターと同じだ。より効率的に恐怖を味わわせながら落とすためには、まずより高く上げること。要するに今俺たちは崖っぷちに向かってゆっくりゆっくり坂道を上っている状態である。嵐の前の静けさと言い換えてもいい。
そして、一度吹いた嵐は甚大な被害を巻き起こすものだ。
攻撃に集中してはいたが、俺を含めプレイヤー側は何が起きても対処できるように常に視界を広く持っていた。ゆえに、サンダーバードの背中に雷模様が現れたのは分かっていた。
また特大プラズマキャノンを放つようだ、と広域回線で呼びかけがなされ、多くのプレイヤーが余波に巻き込まれるのを避けるためにサンダーバードを盾にするように上空へと上がった。それは当然の対処だったと思う。
ネタが分かれば事前の回避も楽勝。そう思っていたプレイヤーは、その認識の甘さを思い知らされることになる。
上空に移動した俺たちが見たものは、サンダーバードの背中で開く8つのスライドハッチ。円形に並ぶようにして開いたその奥から、三角錐の突起がゆっくりと現れた。同時に、今まで散々俺たちを拒んできた分厚い弾幕の壁がピタリと止んだ。
あ、これヤバいかも。そう思うには時すでに遅く、三角錐が眩く光る。
その瞬間、俺たちのレムナントは全機能を停止し鉄の棺桶となり果てた。
「はあぁぁぁああああ!?嘘だろおいマジかよ!?」
パワーソースが落ちてしまって各電子機器はブラックアウト、メインモニターすら映らない。当然操縦桿とフットペダルをガチャガチャしても機体はうんともすんとも言わず、ただ落下していく嫌な浮遊感だけが感じられる。
このままだとすぐに場外判定を喰らってゲームオーバーになってしまう。慌ててセットアップ時と同じように各種スイッチを入れなおすがそれでもレッドコーラルは沈黙から目覚めない。
「プラズマキャノンとはまた違う即死技!?なんちゅう凶悪なEMP攻撃もってんだよ!」
超強力な電磁パルスで電気系統や電子機器に深刻なダメージを与えるEMP攻撃。今までやって来たゲームで、この手の攻撃をしてくる敵がいなかったわけじゃない。でも、完全にこちらの行動を封じてくるような悪辣さは初めてだ。
せいぜいがレーダーや一部武器の使用不可能程度が関の山というのがEMP攻撃のイメージだったが、まさか完膚なきまでにブラックアウトさせてくるとは。
特大プラズマキャノンが制圧爆撃用の主砲だとしたら、こちらはちょろちょろ飛び回る鬱陶しいハエをまとめて叩き落すための物。先にプラズマキャノンを見せておいて、下にいると危険だというイメージを刷り込んでおいたのも実に嫌らしい。
ビーッ!ビーッ!ビーッ!とエリア外に出てしまったことを知らせるアラームが鳴り響く。電力無くてもお前は鳴るのか、だったらメインモニター映してくれよド畜生。
結局電源が復旧することもなく、ロボゲー七不思議の一つ『エリア外に出たら起こる原因不明の爆発』を味わい、母艦へと強制送還されるのだった。
「へ、へへへ……やってくれるじゃねぇか運営この野郎。良い初見殺しだ、してやられたぜ。……意地でも叩き落としてやっからなクソ鳥ィ……!」
奥歯を噛み締めて頬を引きつらせながら笑う。こめかみがビキビキいってるのがよくわかる。なるほどなるほど、これが殺意ってやつか。俺が格ゲーのキャラなら今頃漆黒のオーラを纏い目が赤く光ってるだろうな。
いやいやイカンイカン。落ち着け、怒りに身を任せては操縦を誤る。闘争心は強くあれど、あくまで思考は冷静に保て。
「やるぜ俺は、俺たちは。むしろ明確にここを攻撃しろって場所を出してくれた分ありがとうございます、だ」
やらなければならないことは分かった、やることは決まった。なら後はやるだけだ。
出撃機体はレッドコーラルを続投。初陣があんな終わり方ではお前も不完全燃焼だろう?お前はまだやれる、目にもの見せてやろうぜ相棒。
『空中戦でジェネレーターをイカれさせるEMPたぁ運営も味なことをしてくれる』
『一応既存の対パルス装甲で停電時間をそれなりに軽減できたみたいだけど、それでも完全ブラックアウトはヤベェよな。モニター復旧したら目の前にミサイルがあったらしいぜ?』
『食らったら死ぬ、で間違いないな。プラズマキャノンより厄介だなこりゃ』
『サンダバの真下なら大丈夫でしたけどね。あ、それとEMP発射装置は引っ込んでないです、ずっと出っぱなしです』
『要はそのEMP発射装置を壊せってことだろ?多分個数を減らせば効果が落ちるとか、そんなんだろ』
『何でもいい、やられたらやり返す。俺が丹精込めて作ったドラグニカ12世を昏睡場外送りした罪は重い。スクラップにしてハンドメイドパーツとして使い潰してやる……!』
『うんうん、清々しいほどのIR魂。あっちもこっちも殺意満点、狂気の沙汰ほど面白い。じゃあ残り全てをぶん投げるつもりでお礼参りといきますか』
大多数がほぼ同時に撃墜されたせいか、再出撃すると周囲にビックリするほどのご同類がいた。ブレードを握り締めているレムナントが目立つのは、やっぱりみんな考えることは同じということだろう。
「解体作業には近接武器が一番ってな。おお、大型チェーンソーとはこういうことを見越してのアセンブリだな?わかってるねぇあの人」
一度張り付いたら死ぬまで刻んでやるという鉄の意志がビンビン伝わる。かくいう俺も近づいたら速攻で両腕の銃を投げ捨てて二刀流にする所存。
弾切れもリロードもなく、エネルギーも食わないのが実体ブレードのいいところ。飛行機体でレーザーブレードをぶんぶん振り回したら最悪エネルギー切れで墜落するからな。
「怒れるプレイヤーたちによる解体ショーの始まりだ……!」
もはや勝手知ったるとでも言うかのように弾幕を潜り抜けていく上位プレイヤーに倣って突撃!これでも回避にはそこそこ自信あるんだよ俺ぁ。伊達にきーちゃんにシバきまわされてるわけじゃないんだ。
青と茶管にドМ疑惑を持たれてるけど、ゲーマーならドロップ率1%未満のアイテムを求めてマラソンとか普通じゃん。その時勝てないボスがいても勝つまで挑戦できるのがゲームの醍醐味だろ?それに俺が求めてるのは障害を乗り越えた先のカタルシスであって障害そのものではないから。たまに手段と目的が逆になってる人いるけど。
目的の発射装置の一つにたどり着き、武装を銃からブレード二刀流に変更。正直ブレードは使い込んでるとは言えないが、動きもしない装置を解体するだけなら問題はない。
俺と同じ装置に攻撃を仕掛けてる味方が殴る蹴るをしているけど、あれはああいうための専用パーツを組み込んでいるからできることだ。なぜ超巨大ロボである無限戦機相手に素手機体を組んでいたのかは謎。でも活躍できる場所があって良かったな。
「うっひょーう!動かない相手を切り刻むのってたーのしー!」
ザクザクというよりはギャインギャインガリィン!という感じでどんだけ硬いんだボケと言いたくなるが、それはそれとしてストレス解消にはなる。張り付く俺たちを追い払うために迎撃してくる銃座もいくつかあるが完全無視、そんなもん関係あるかと言わんばかりにただひたすらに刃を振るう。
仮にEMP攻撃が来たとしても本望。今ここで攻撃を仕掛けている者の大半は今日分の残機全てをゾンビアタックに注ぎ込む覚悟が完了しているので止められない止まらない。残機制のシステムで残機を投げ捨てる構えのプレイヤー程厄介なものはないのだ。もちろん俺も全ツッパのつもりでブレードをぶん回している。
「さぁて、今日だけで8個の発射装置を全部壊せるかな?みんなやる気は十分だから乞うご期待、ってな」
なお、この日に壊せたものは二つのみであった。硬ぇ。
サンダバ:つらい(タスケテ)
タケミー:お前が落ちたらこっちに流れてくるから死ぬ気で耐えろ
ナーガ:7日目まで鳥が持てば逃げ切れるかも
なお黄は明日で確実に3万点突破ライン。
青と茶は何だかんだギャーギャー言いながらナーガ戦線をハリウッド映画のカーチェイスみたいに楽しんでる。点数はギリ6000越え。