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ダイブ・イントゥ・ゲームズ ~ぼっちなコミュ障、VRゲーム始めました~  作者: 赤鯨
初めての戦場 ~スラムドッグ・ウォークライ~
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走って二分で即死亡

武器の名前を考えるのが難しいのでその辺は適当です。



と、いう訳でやってきましたオンラインバトルロビー。

オンライン用のアバターもカスタマイズしてきましたよ。キャンペーンモードをクリアしたからいろんなアイテムがアンロックされてたわ。


我がアバターはほとんどデフォルト。要は現実の俺を若干イケメンにしてアングロサクソン系にした感じ。ボイスチェンジャーもあったけど、声はそのまま。

まあどんだけやっても基本的に戦場に立ったらマスクやヘルメットで隠れるらしいから、ロビー用ってことなんでしょ。


空港のチェックインロビーみたいな作りのここには、そりゃもうたくさんのプレイヤーがいて、スラクラの人気がわかるね。混雑回避のためにロビーはプレイヤー数百人ごとに区切られてて、フレンドとお喋りしたいならフレンド用ロビーを作ることも出来るらしい。

みんな個性的な見た目で、近未来風のバトルスーツもいれば、戦国武将みたいな甲冑姿もいてもう何がなんやら状態。ボイスチェンジャー機能を忘れたのかわざとなのか、女キャラで野太い声のプレイヤーもいたけど破壊力がすごかった。


このロビーから戦場に行くわけだけど、オペレーターのお姉さんにお願いするかコンソール開いて、バトルモードを決めなきゃいけない。

バトルモードは大きく分けて団体戦と個人戦に分かれる。


団体戦は今のところ3つ。

二チームに分かれて一定数の合計キル数を競うチーム・デスマッチ。

8人毎の分隊に分かれて他分隊の殲滅を狙うスクワッド・デスマッチ。

マップごとの拠点を制圧し合うコンクエスト。

二手に分かれる場合はマップの大きさによって32対32、64対64、128対128の人数でマッチングされ、スクワッドデスマッチもマップごとに参加分隊数が変わるらしい。


個人戦は以下の3つ。

制限時間内でのキル数、デス数で増減するポイントの合計値を競うバトルロワイアル。

死ねばそこで終わり、最後まで生き残ることを目標とするデッド・オア・アライブ。

銃器を没収され、手榴弾や近接武器でしか戦えないクロスレンジ・バトル。

個人戦の場合は最大人数が128人だが、それ以下の人数でもマッチングされるらしい。


これから先のアプデでまだ増えるらしいけど、今のところはこの6種類のバトルモードがあるわけだ。


「ふむ……初心者が死にまくっても迷惑が掛からない個人戦があって良かった。とりあえずバトルロワイアルから行こう」


参加するモードを決めたら、コンソールを開いてポチポチと選択。視界の端にマッチング終了までのカウントダウンが始まり、ゼロになった瞬間、視界が暗転した。




足元が確かになる感触。次第に明晰になってくる感覚。

視界が晴れて市街地のフィールドが見えるようになったが、まだ体は動かない。目の前にコンソールが現れ、戦闘開始まで20秒のカウントが出ている間に自分の使う装備セットを選択しなければならない。


装備セットはここに来る前にあらかじめ設定しておいた。

レーザー銃から火縄銃、パチンコまであるこのゲームでは、アドバンスド(近未来)プレゼント(現代)オールド(過去)の三つのスタイルがあり、それぞれに使用できる装備や特殊能力であるアビリティが違う。

大まかな特徴としては以下の通り。


アドバンスドスタイル:レーザー銃等の光学兵器が使える。武器そのものは全体的に高性能だが、カスタマイズの幅が狭い。アビリティを使用した機動力が頭おかしく、ホバー移動やフックショットで戦場を所せましと駆け巡る。反面、能動展開型(アクティブ)ばかりでリキャストタイムも遅く、使いどころを間違えるとジリ貧になる。有名なアビリティはホバー移動と短時間の飛行ができる『ジェットパック』。このスタイルを選ぶと、見た目がスタイリッシュなバトルスーツになる。


プレゼントスタイル:武器、能力共にバランスがよく、とりあえず困ったらこれ。特筆すべきは武器カスタマイズの幅広さ。ショットガン二丁流といったなんかできそうなものから、狙撃特化ハンドガンという意味の分からないカスタマイズができる。キャンペーンモードがこのスタイルで行われていたため、なんとなくで使い続ける人も多いらしい。有名なアビリティは倒した相手の弾薬を奪って補充する『現地調達』。見た目はコンバットベストにフェイスマスクとヘルメットのザ・スタンダートな軍人。


オールドスタイル:過去に戻り過ぎていると言われるイロモノスタイル。弓矢に刀、火縄銃という和風装備、カイトシールドにクロスボウといった西洋装備があり、それらを混ぜて使うことも出来るのでカオスとしか言いようがない。ピーキーな武器が多く、初心者お断りスタイルと名高い。有名なアビリティは致命傷を食らっても5秒間行動できる『死なば諸共』。

見た目は足軽っぽいのと騎士っぽいのの二種類ある。なお、見た目で防御力に変化はない。


そして今回選んだセットはプレゼントスタイル。というか、武器のアンロックの都合上、まともに使えるスタイルが今のところこれしかない。

メイン武器となるのは連射力とリロードスピードに優れたサブマシンガン。2つ選べるカスタマイズは拡張マガジンとフルメタルジャケット。拡張マガジンは説明するまでもなく弾数増強、フルメタルジャケットは貫通力の向上。何でもそれなりの壁ならぶち抜いて向こう側の敵にヒットするらしい。

サブ武器はサイレンサー付きのオートマチックハンドガン。威力も低く、弾数も少ない。サイレントキルと最後の足掻き用だな。

特殊武装はみんな大好き手榴弾。フラググレネードと呼ばれているもので、ピンを抜いてだいたい5秒後に爆発する。二個しかないから大事に使おう。

最後に二つ選べるアビリティは両方常時展開型(パッシブ)。倒した相手から弾薬を奪える『現地調達』と走行距離が延びる『ランナー』を装着。なんせサブマシンガンをメインに据えている以上、弾はすぐ無くなるし、喧しい音を立てるから戦闘後はすぐに逃げなきゃいけないからな。


5……4……3……2……1……スタート!!


さあ始まった。このゲームの定石なんて全く分からないけど、まずは身を隠そう。

フィールドはシティというよりはタウン的な、アジアンテイストの長屋のような建物が多い中型現代マップの市街戦。砲撃によってか建物は所々が破壊されており、身を隠す場所に困ることはない。逆に言うとどこから銃弾が飛んできてもおかしくないってことなんだろうが。


視界の端に映るミニマップを確認しながら、瓦礫に覆われた道を走る。

曲がり角付近では速度を落として足音を小さくして、顔をちょっとだけ覗かせて誰もいないかを確認。このあたりはFPSでは基本かな?チュートリアルで口を酸っぱくして教えられた。

足音はそういうアビリティを使わない限り完全に消すことはできないけど、それでもやるのとやらないのとでは違う。

曲がり角の確認も、このゲームは手鏡まで標準装備と来たもんだ。いちいち取り出すの面倒だから俺はあんまり使わないけど。


お、ミニマップに反応在り。さっそくドンパチが始まったか?このまま北の方に進んでいけば敵がいるっぽい。

バトルロワイヤルはポイント制。死亡するとポイントは減るが、当然倒さなければポイントは入らない。そしてキルされて減る量より、キルして増える量の方が多い以上、積極的に交戦すべし、だ。


出会い頭の事故には気を付けつつ、交戦地点まで急行。

俺の装備は完全に近距離戦用、何はともあれ近づかなければ何もできない。せいぜいが手榴弾ぽーいしかない。

ミニマップは敵を示す赤い点が少しずつ増えてきており、交戦は激化しているようだ。早く混ぜてもらわないと。



「さて、この辺か……あそれ、ぽーいっと」


交戦地点と目される場所に、長屋一つ挟んだところから手榴弾を投げ入れる。ミニマップの反応をもとに投げ入れているが、まあ当たればラッキー程度だな。


「む、やっぱ誰にもヒットしないか……」


「見つけたぜぇ!どうもこんにちは(死ねやぁ)!!」


「おわぁ!?ぐえっ……!」


長屋の窓をぶち破りながらプレイヤーが飛び出してきた。

今までやって来たゲームの経験的に、長屋は背景オブジェクトでその中に入れるなんて思わなかった俺はとっさのことに反応できず、相手プレイヤーが握りしめていた火縄銃が左側頭部にクリーンヒットして地面に転がり、あっさりと死んだ。


「マジかよぉ……」


そうだった、このゲームのウリは『何でも使える』ことだった。極端な話、地面に落ちてるガレキをぶん投げても相手を倒せるんだよ。やろうと思えば落とし穴を掘ることだってできるというネットの情報をすっかり忘れてた。

ええい、今までのゲームの固定観念を捨てなければ。ていうかどんだけ作りこんでるんだよ、技術の進歩ってマジでスゲーな。


リスポーンまでの数秒間流れるキルカメラで自分がどんな風にやられたかを知ることができるが……そこには火縄銃をこん棒の様に構えて徘徊する、簡素な具足に草鞋(わらじ)という背景にそぐわない足軽風の男と、そんな男に撲殺された()が一人。これ完全に蛮族の通り魔だな。

キルカメラが写すプレイヤーネームは『緋座羅(ひざら)』。えぇ……カッコいい名前……。


これ見る限り最初っから火縄銃で殴る気満々みたいだけど、それにしてもなんで火縄銃なんだろ、アンロックしてないからわかんないけどネタ武器じゃないのか。持ちやすいのかな?俺が知らないだけでフィット感バツグンだったり?


それはともかく初めてのデスは早かった。始まって2分も経ってないよ。


「まさか初死因が火縄銃で撲殺なんて……。ラオシャンの初死にも首長竜だったし、なんか変な死因に憑りつかれてるのか?」


何もできなかった悔しさはあるが、初心者がいきなり無双できると思うほど夢見てないし、そこまでゲームの才能はない。なんであれ、まずは練習練習。ゲームなんだし、やり方は死んで覚えりゃいいんだって。

キャンペーンモードは主人公がやったプレゼントスタイルモードの他に、アドバンスドスタイルとオールドスタイルのものもちゃんとあります。ただ、アドバンスドはハードをクリア、オールドはアドバンスドのハードをクリアで出るので、ノーマルをクリアしただけの主人公が出せていないだけです。

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