三つの脅威
主人公が海洋生物モチーフの機体ばっかり組んでいるのは『しっくりくるから』
海に関係ない機体も作るには作ってます。基本的にしっくりこないだけで。
黄:たすけてください
青:どうしたの?
茶:漢字変換するのも忘れるほどのことか?
赤:誘拐されてポケットに入れた端末でブラインドタッチしてるとか?
黄:IRにきて
青:敬語が消えた……?二時間後なら
赤:同じく
茶:俺まだ就業時間中。今は休憩時間な、サボりじゃねーぞ
黄:はやく
青:今僕ら大学の講義中なんですけど……
赤:教授が青の方見てる。二時間後にはインするから
茶:今日は早上がりだからそれぐらいに俺も行くわ
黄:りょ
青:ついに五文字を打つのも切り上げるほどに……
赤:IRで大型イベントの詳細が来るの、あれ今日だったか
茶:ああ、そういやそうだったな
「何で俺のガレージに集まる」
「他に誰も来る心配がありませんから」
「フレンド訪問をオープン設定にしてるはずなのにプライバシー守られてるとか、セキュリティはばっちりだね。秘密組織の集会所並みじゃん」
ははは、フレンド切るぞクソ野郎ども。
実際、おっしゃる通りですけどね。シナリオモードかこいつらとのフレンド対戦くらいしかやらないから、フレンドが増えようはずもないからな。
対人戦はきーちゃんという身近にいる高すぎる壁のおかげで、他と戦おうという気分になかなかならないのも一因だと思う。責任転嫁?……あーあー聞こえなーい。
「かーっ、スケールの狂った水族館みてーなガレージだな。ありゃなんだ、タコ……いやイカか?どっちにしろ操作クソ難しいだろアレ」
茶管は俺のガレージ初めてか?スケールの狂った水族館とはなかなか粋なことを言ってくれる。ハンガーに格納された我が魂たちも喜んでいるだろう。
タコイカ融合型レムナント『オクトハンズ』は10本の脚部兼腕部を持つことから、確かに操作が難しい。しかし、これでもきーちゃんに勝利した実績のある機体なのだ。この機体を見た結果、笑い転げて操作不能になったきーちゃんをハメ殺しただけなんだけどな!
「で、皆さんお知らせは見ましたか?見ましたよね?」
「うん、見た見た。あれでしょ?【無限戦機迎撃戦】ってやつだよね?」
「どう見ても高難易度だ、腕が鳴るぜ」
「IRでレイドかーって感じ」
【無限戦機迎撃戦】開催のお知らせ
傭兵の皆さん、いかがお過ごしでしょうか?運営は今回のイベントのために人間性を捧げた結果、メンバーの半分がサイボーグ状態になりました。この文章を書いている私は普段はお知らせを書いたりしないのですが、唯一人間の文章を書ける状態であるということで『う゛ぁー』しか言えなくなったチーフより急遽お知らせ係に抜擢された次第であります。そのため、読みづらいかもしれませんが平にご容赦願います。
そんなことはさておいて。掲題の通り、今週日曜日午後7時より1週間、【無限戦機迎撃戦】が開催されます。
ざっくりと説明いたしますと【無限戦機迎撃戦】とは、通常のレムナントよりも巨大かつ強大な自律レムナントである【無限戦機】をプレイヤーの総力を挙げて撃破するイベントになります。
本イベントにおける主な注意点は以下の通りです。
・どの無限戦機の迎撃戦に参加するかを選択していただきます。一度選択すると日付が変わるまでは再選択不可能になりますのでご注意ください。
・同じ無限戦機の迎撃を選択した全プレイヤーとの協力戦になります。同じフィールドに描写されるのは100人までですが、無限戦機のダメージは共有します。
・フレンドとチームを組んで出撃することも可能です。その場合は確実に同描写フィールド内にチームメイトが現れます。なお、報酬は個人計算で支払われますので、御了承ください。
・本イベントでは一日に五回しか出撃できません。五回撃墜されたプレイヤーは日付が変わるまでイベントに出撃できなくなります。
・撃破報酬は戦場に滞在した合計時間と無限戦機への総与ダメージで計算される『貢献度』によって支払われます。なお、撃破ができなかった場合、一定量のダメージが与えられているのなら無限戦機は撤退します。その場合は貢献度を半分に計算して報酬を支払います。
・貢献度は各無限戦機ごとに個別で計算されます。どの無限戦機にいつどれだけ挑戦するのかは重要なファクターになると思われます。
・長丁場の戦いになるので補給部隊が待機しています。戦闘区域から一時離脱することで、弾薬の補給と一定値の装甲値の回復が行われますので、総弾数が少ない兵装でも臆することなく使用してください。また、迎撃戦参加中に限り、機体の修理費と弾薬費は無料になります。
・無限戦機ごとに報酬は違います。重ねて申し上げますが、いつどの迎撃戦に参加するかはくれぐれも十分なご考慮の上で選択してください。
【無限戦機について】
無限戦機とは、世界が荒廃する理由になった『大戦』時に当時の各国が最強の切り札として開発した自律稼働する超弩級レムナントを指す。小さいものでも数十メートル、大きなものでは数百メートル超という巨体を誇り、堅牢極まりない装甲と過剰なまでの火力を持つ殲滅兵器である。
ほぼすべての無限戦機が自己修復機能を持ち、己で破壊した施設やレムナントから燃料や鋼材などを得ることで半永久的に戦い続けることができる。ゆえに『無限』戦機。
大戦時に猛威を振るった無限戦機はいつしか制御AIが暴走を始め、所有国の命令を『効率的ではない』と切り捨て自己判断による人類殲滅を始めた。
この予想外の事態に世界は一致団結し、人類の生き残りをかけて総力を持って対応することになる。連合軍はまだ制御可能な無限戦機を持つ国家が主導し、暴走した無限戦機や終末思想に憑りつかれたテロリストなどとの文明が退化するほどの死闘の果てに、敵味方合わせて無限戦機は全機沈黙。
しかし、いくつかの無限戦機は密かに自己修復を進めていたようで、全盛期ほどの力は戻ってはいないものの再起動した機体が最近確認された。
再起動した無限戦機はまたも世界を炎に包まんと、工業地帯や人口密集地に向けて進撃を開始。これを放っておけば、人類は二度と立ち直ることはできないだろう甚大な被害を負うことが予想される。
【今回迎撃戦が行われる無限戦機の情報】
無限戦機 No.1【THUNDER BIRD】『全てを無に帰す破壊の凶鳥』
翼開長300メートル、全長200メートル。悠然と空を制する巨鳥型無限戦機。Storm eggという無数の小型随伴機を常に引き連れている。堅牢な装甲と常に高高度を飛行している都合上、迎撃にはこちらも飛行型レムナントを使用する必要がある。
事前に斥候に赴いた傭兵が遺した情報によると、この無限戦機は随伴機によって接敵を拒むのみならず、背部から多数の垂直ミサイルを、さらには大口径のマシンキャノンやレーザーキャノンまで放ってきたという。
迎撃に当たっては、爆撃機であるという情報からこの無限戦機の直下にいるのは自殺行為と思われる。また、随伴機であるStorm eggは通常レムナントよりは脆弱であるそうだが火力は侮れない。その妨害には留意されたし。
撃破報酬
?『?』 貢献度30,000pt
AI操作支援機『Storm egg』 貢献度15,000pt
垂直ミサイル『Feather Dance』 貢献度7,500pt
推進器『Super Cell』 貢献度3,000pt
無限戦機 No.8【武御雷】『天地切り裂く黎明の武神』
大小二振りの実体剣を持つ、全長70メートルの鎧武者のような巨人型無限戦機。無限戦機の中では比較的小型であるが運動性能が極めて優れており、人間とほぼ変わらないどころかそれ以上に自由自在に大太刀を振るい、まるで武芸者であるかのごとき体術を見せる。
精密動作もすこぶる得意なようで、高速で飛び回る飛行型レムナントを一刀両断する離れ業を見せたという記録がある。
大太刀に目が奪われがちだが、レーザーブラスターや榴弾砲など遠距離用兵装も搭載されている。それでも他の無限戦機に比べて接敵は容易な部類に入るが、武御雷の間合い内で行われる戦闘は困難を極めるだろう。
また、大戦時の記録には『一太刀で市街地を蒸発させた』というものが見られた。この太刀とは主武装である大太刀のことなのだろうか?
撃破報酬
?『?』 貢献度30,000pt
超振動ブレード『地』 貢献度15,000pt
榴弾砲『鳴動』 貢献度7,500pt
強化装甲『神明』 貢献度3,000pt
無限戦機 No.14【ナーガラージャ】『百蛇を束ねる砲火の竜王』
全長2㎞という、飛びぬけた長さを誇る大蛇型無限戦機。恐ろしきは全身ほとんどが武装コンテナであるということ。
長大な機体内は無数のブロックに分けられており、その区画ごとにミサイルなどがぎっしり詰まっている。全門開放などしようものなら尋常ならざる鉄火の嵐が周囲を荒野へと変えるだろう。またレーザービーム発射用の砲塔区画などもあり、実弾のみ対策していてはこちらにやられるのは目に見えている。
その長すぎる機体を縦横無尽に動かす走破性は目を見張るものがあり、本物の蛇であるかのようにあらゆる地形を滑るように乗り越える。当時の技術の粋を結集して造られた再現不可能なほど柔軟な素材と機体設計により、とぐろを巻くことすら可能であるという。
撃破報酬
?『?』 貢献度30,000pt
ミサイルランチャー『カドゥルー』 貢献度15,000pt
レーザーキャノン『ムチリンダ』 貢献度7,500pt
無限軌道『アパラーラ』 貢献度3,000pt
理不尽なまでの性能を誇る無限戦機との戦い。果たして勝利するのは人か機械か。
皆様のご活躍を運営一同、心よりお待ち申し上げております。
「で。皆さん、どれをメインに出撃する予定なんですか?」
「サンダバがメインで余裕があればナーガかな。人型はあんまり趣味じゃない」
「僕は空中戦苦手だからサンダバ以外で。どちらかと言うとナーガがメインかな」
「俺ぁナーガの無限軌道とやらが欲しいぜ。サンダーバードのブースターも心惹かれるけどよ、飛行型はまだ完成してねーからな。武御雷も報酬の響きが渋くていいよな」
「私は断然武御雷です、報酬のブレードが欲しいので。絶対に日本刀型ですよ、心躍りませんか?最近、仕込み武器のレーザーブレードもいい加減マンネリかなと思ってましたし、実体剣は重量は嵩みますけどエネルギー消費がありませんからね。それに上位報酬ですから、もしかしたらただのブレードじゃない可能性もありますし。いやむしろ絶対何か仕込まれてますよね」
めっちゃウキウキしてるな、きーちゃん。
しかし全員のメイン参加先が別れたか。まあだからと言ってどうなんだという話ではあるのだけど。むしろきれいに分かれているのなら全部の無限戦機の戦いがどんなのか、教え合うこともできるしいいかもしれないな。この手のは情報を掴んでなんぼだし、出撃先が被ればチームも組める。
「そうだ、無限戦機に向けて何機か機体を組みませんか?始まってからわかる部分はあると思いますけど、ある程度は用途別に機体組みをしてた方がいいと思うんですよ。重装甲機が必要になってゼロから組んでるうちに戦況が変わりました、では話になりませんから」
「確かに。得意不得意関係なく、飛行型は少なくとも一機は持ってた方がいい。レッドゾーンもそろそろ本腰入れて改造しようかな、今のままじゃあさすがにもう使いにくい」
「設計図は残しとけよな。いつか俺のレムナントであのクソクジラをぶっこ抜いてやっからよぉ」
そりゃあもう丁寧にロックもかけて保存してますよって。ていうか、設計図が欲しいならあげるけど?もう青ときーちゃんには渡してるし。お返しにデンジャーゾーンの設計図も貰ったよ。
設計図さえ保存しとけば使用パーツがある限りいつでもお手軽ワンタッチで機体を組みなおせるからな、試行錯誤の結果を残すのにちょうどいい。他人の作ったやつでも同じような手順で再現できるし、何より人のハンドメイドパーツを一瞬で再現できるのが素晴らしく便利だ。まあ、それがあるから最高傑作の設計図をホイホイ人に渡すプレイヤーはそうはいないけどな。
「とりあえず必要なのは、観察と弾幕ゲー対策の回避特化、重装甲を貫くための大火力、パズルゲー対策の精密射撃機ですね。後は普段使いしている慣れた機体と飛行型でしょうか。それだけあれば急なアセンブリを要求されることは無いと思います」
レッドゾーンを調整して回避型と大火力機は作れるかな。マクロチェイラは自分より小さい機体を狙う戦法だから巨大な無限戦機には向かないかもだけど、ちょいと改造すれば使えないこともないだろう。
後は精密射撃機だけど、これは飛行型では難しいな。ホバリングはどうしても射線がぶれるし。そこは妥協点を探すかすっぱり諦めるかだ。俺が狙うサンダーバードは弾幕ゲー臭いし、運動性能が一番だろうな。
「そういえば、皆さんIRのイベントって初めてですか?」
「ん?まあ、そういやそうだな。対人戦イベは興味ないし」
「僕もそこまで本腰入れてやってたわけじゃないからねぇ」
茶管は言うに及ばず。対人戦で連続何勝で~みたいなイベントはあったけどねぇ、まあ俺みたいなのはやらないよね。
たまに運営対プレイヤーのイベントがあるっていうけど、それは確か俺がやり始めるよりちょっと前に終わってたはずだ。
「では先に言っておきますが、今回のようなタイプのイベントは殺意が尋常ではないです。一日五回の出撃制限、あれは『お前たちを一日五回殺す』という意味ですからね」
まあまあ、それはなんとなくわかるよ。五回出撃できるのに二回しか死なないような難易度では何のための出撃制限かと言う話だ。その程度の殺意なら、まあよくあるんじゃないの?俺はそういうのあんまり知らないけど。
「前回のイベントはAI機の大群と戦うもので、戦力比がだいたい10:1でしたよ。もちろん向こうが10です」
ファ〇ク。それは俺でもわかるわ、何つークソゲーだ。そんな絶望的な戦いなんて世界史を紐解いてもそうそうないんじゃないの?戦国時代の戦なら間違いなく日本史の教科書に載るぜ?
「ランカーたちが1人で50以上の働きをしたのと、恒常的にログインしてる勢は普通に強いので何とかなりました。まあ、末端のライトユーザーたちは阿鼻叫喚でしたね」
それは修羅の国の話かな?もともとがコアなファン向けのゲームとは言え、大丈夫かその仕様で。
もし今回もそんな感じだったとしたら、お祭り騒ぎっていうよりガチの戦争だなこりゃ。俺としては死にゲーもどんとこいだから特に抵抗は無いけどさ。むしろロボットアニメの山場に自分がいるみたいな感じだから楽しみでもある。
さて、主人公になれるのか、それとも背景の一部として蹂躙されるのか。それはやってみないとわからない。とにかく今言えるのは、気合を入れてレムナントを組み立てようってことだけだな。
無限戦機のモチーフ?そうですハシュ〇です。私、基本的にMA大好きなんですよね。
『どうせやり込んでるやつしかいないんだから、多少やりすぎでもかまへんかまへん』と言ってアホみたいな物量戦を仕掛けてプレイヤーに敗北した運営。今回は量より質で行くね(はぁと)
要は期限までにプレイヤー総出で無限戦機の耐久値を削りきるイベントです。




