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ダイブ・イントゥ・ゲームズ ~ぼっちなコミュ障、VRゲーム始めました~  作者: 赤鯨
空とコミュ障と金儲け ~セレスティアル・ライン~
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買い物に対する女性の力は無限大

ようやくアイスボーンのメインストーリー終わりました。絶賛導きの地に引き籠る生活が続いています。

そしてジャグラデスクロウ君優秀過ぎない?結局マスター級をこれ一本で駆け抜けたんですけど。


そういえば、活動報告の方にゲームアイデアを載せときました。いつ書くか、そもそも書くのかも分からないゲーム達ですけど、こんなゲームも書くかもしれないよ、くらいのものと考えて下さればと思います。

さて、何がどうしてこうなったのか。それを説明できるのは神を除けば当事者である俺くらいなもの。そういうわけでもう一度言わせてもらう、ただの偶然だ。


あまりの人の多さにグロッキーになりかけ、広場のベンチに腰かけていたら買い出しに来ていた桃ちゃんさんとエンカウント。知らない人だらけのこの環境で知り合いに会えたのは本当に天の救いに見えたよ。

そしてセイデンの都を案内してもらっていたら、時を同じくして初めてセイデンに訪れたましろつっきーとエンカウント。彼女と俺の違いがあるとしたら、向こうはこの都を心から楽しんでいて、俺は心が折れかけていたというくらいだろうか。


いや本当にね、二人に会えた時は砂漠でオアシスを見つけたかのような気分になったよ。でもね、女が三人集まるで姦しいって書くじゃん?それがごく一般的な感性の方の意見だとしたら、俺にとっては二人いるだけでもうてんやわんやよ。

またこの二人が秒で意気投合したから、テンションが数割増しになってるんだよなぁ。


「あっ、これ新色のペンキ!ようやく見つけたよ、うっわー、すごい鮮やかな紅色!ねぇねぇ、赤信号さん的にはどう?これで何か描きたい絵とかない?」


「えっあっ、そ、そうですね。鮮やかで、良いんじゃないかと……」


「えへへ、パンダと写真撮っちゃいました!それと見てくださいこれ、ユニコーンですよユニコーン!カッコいい~!!」


「あ、ユニコーンは素直にカッコいいな……」


さすがは乙女の守護獣ユニコーン、すらっとした純白の身体がカッコいい。でもコイツって乙女の守護獣っていうよりは乙女以外は女の子じゃないっていう、超過激派思想の拗らせちゃった系幻獣だからなぁ。元ネタの神話とかを調べてイメージが壊れる幻獣ナンバーワンだよね、ユニコーンって。

パンダは近くで見ると熊の一種であることを思い出すから若干怖い。でもあのカラーパターンはシャチを思い出すから割と好き。


じゃなくて、このよくわからないテーマパークに連れてこられた親戚のおじさん状態はどうやったら抜け出せるんだ?

もうかれ二時間はこんな状態なんだけど、世の中のリア充たちはこれを日常茶飯事として受け止めているのか?だとしたらすごい、俺は今度から街中でいちゃつくカップルを見たら、嫉妬じゃなくて尊敬の念を送るわ……。


青、教えてくれ……俺はあと何回、違いの分からないペンキについてコメントをすればいい?俺はあと何回、動物と女の子のツーショット写真に感想を言えばいいんだ……シナトは何も言ってくれない……教えてくれ、青!!




しばらくの後、城下町を一通り見て回りつつショッピング等を済ませた俺たちは、セイデン島の各所に向かう馬車乗り場で解散しようとしていた。


「うーん、やっぱり買い物は人と一緒にするに限るね!ましろちゃんのふわふわした感じも、私にはない感性だからいい刺激になったよ」


「いえいえ、こちらこそ可愛い雑貨屋さんとか紹介してくださってありがとうございました。船に戻ったら、さっそく飾り付けます!」


「ほげぇ……」


おかしい。同じだけの時を過ごしたというのに、なぜ彼女たちはこんなにもツヤツヤしていて、俺はこんなにもげっそりしているというのか。


確かに得たものは多かった。セレスティアル・ラインのベテランである桃ちゃんさんに案内してもらったおかげで、セイデンの情報はかなりの量集めることができた。俺一人だとこうはいかなかったと思う。

それに引き換え、失ったのは俺の体力だけ。そう考えればコスパは抜群だ。


「お疲れさんじゃの、兄さん。何のかんのゆーて最後まで付きおうてくれて、ありがとうな」


「ありがとうございました、やさしいおにいさん」


「うん……ありがとう、ダイゴロー君、つきみちゃん」


この二匹だけが心の支えだった。テンション爆上げ中の女性二人にあっちこっちと振り回される中、この二匹がいなかったら俺は途中で雲隠れをしていたに違いない。

ウィンズの存在ってありがたいなぁ……俺の相棒はナップザックの中で息を殺して丸まってるだけだけど。


「ましろちゃん、赤信号さん、二人とも『青の商船団』に入るつもりはない?結構いい商会だよ、特に決まりごとがあるわけでもないけどみんなそれなりに仲いいし。それに商会員になるといろんな特典があるから、損はないと思うんだけど」


そう、俺はともかくましろさんも今のところはソロプレイヤー。とはいえ、特に人間関係が嫌だとかじゃなくて、純粋に商会やらについてよく知っていなかっただけっぽいが。


「特典としてはねぇ、商会員同士の情報掲示板がいつでも見れるようになるから、どこの島でどんな交易品が狙い目なのかがすぐわかるってこと。あと、商会が集めた超希少アイテムなんかのデータも見れるよ。あればっかりはソロでやってるとなかなかお目にかかれないからね、それ目当てで商会に入る人も多いくらいだし」


「桃ちゃんさん、その『超希少品』って何なんですか?」


ナイス質問だましろさん。俺も気になるぜ、その話。


「えっとね、普通の交易品じゃない特別なアイテムのことだね。何らかの条件を満たすことで得られるアイテムで、基本的には売買ができないの。特殊な効果があったりはしないんだけど、アイテム説明欄に書かれてることが面白くってね。世界観説明っぽいものだったり、物語の一節だったりね」


うわぁ、めっちゃ見てみたいなそのアイテムの説明欄!

確かに、色んな条件を満たさないと得られないアイテムを一人で集めるのは難しいを通り越して苦行だ。そもそも一人で集めきれる条件設定になっているかも怪しい。


でもなぁ、それを見るためだけに商会に入るのって、何かが違う感じがするんだよなぁ。他人の功績にタダ乗りしてる感が否めないっつーか。いや攻略サイトとかガンガン見てる俺が何を今さらってものなんだけど。

あと青に誘われたときにも思ったけど『青』の商船団に『赤』信号が入るのって違和感凄くない?考えすぎかもしれないけどさ。


そうだな、もし俺が何らかの偶然でもその超希少品を見つけることができたら、それを手土産にして青の商船団にある超希少品のデータを見せてもらおう。

この世はやっぱりギブアンドテイク、一方的に欲しがる奴はいずれ誰にも何ももらえなくなる。汝、欲するのならばまず与えよって言うじゃない?


「私が入会させてもらってもいいんですか?まだまだ飛行船も小さくてお金もそんなにありませんけど……」


「そんなの気にしなくっていいんだってー!うちは会長も好き勝手やってるからね、ノルマとか寄付とかないもん。まあその分、何かあっても自己責任だけど!二百人くらいいるから、泣きつけば大体誰かが助けてくれるけどね!」


それでいいのか青の商船団、そして人数多いな青の商船団!?

確かに青とかちょろそうだもんなー。しかも金は余ってるだろうから、ちょいと面白そうな話を聞かせればホイホイ助けるだろうなぁ。



とにかく、ましろさんは青の商船団に入るらしい。それは個人の勝手なのでどうとも思わないし、何のかんのと青が会長なので心配はしていない。

そもそもましろさんのセレスティアル・ラインにおける目的はのんびり空を旅しながらいろんなウィンズとふれあうことだ。そういう面で言えばやたらと人数の多い青の商船団に所属するのは良いことだろう。会長のウィンズが九尾の狐だしね。


「そっかぁ、赤信号さんが入ってくれたら面白そうなんだけどなぁ。会長さんも喜びそうだし。ま、強制はしないしできないけど。ましろちゃんは入ってくれるみたいだしOKOK!そうだねー、珍しいウィンズでしょ?確かマッハ兄弟のお兄さんがフェニックス的なキラキラの鳥だったかな。あとは加工長のおっちゃんが金色の狼だよ」


「ええーすごい!ぜひ見てみたいです!!」


ラッコも十分珍獣だと思うけど、不死鳥と金狼か。それは何ともカッコいいな、俺も見てみたい。

しっかし、ウィンズの成長方向性がよくわからない。基本的には成長するたびにデカくなるんだろうと思うけど、幻獣っぽくなったりする条件がわからん。

ざっとネットの情報サイトを見た感じ、なんかこう、特別な経験をさせる必要があるのでは?とか言われていたけど、その特別な経験をしたとしてカワウソはどんな幻獣になるというのか。

おそらく、全部が全部幻獣になったりするわけじゃないんだろう。そもそも現時点のシナトですらカワウソとしては割と規格外じみた大きさだ。そういう意味では十分幻の生き物と言っていい。


そんなことを考えていたら、港行きの馬車の準備ができたようだ。


「お、赤信号さんは馬車の時間かな。ましろちゃんは入会のあれこれがあるからちょっとだけ付き合ってね。赤信号さん、今日はありがとう。楽しい買い出しになったよ!」


「私も、久しぶりに会えてうれしかったです。シナトちゃんは出てきてくれませんでしたけど……」


「いや、これは……」


シナトについては全面的にこちらの事情なので何も気にしないで欲しい。

そしてお礼を言うのはこちらの方だ。女性二人との買い物という貴重な体験とそのすさまじさを知ることができたし、何よりあまりの人の多さに心が折れかけていた俺を救い出してくれたのは間違いなくこの二人なのだ。

ハイテンションで振り回されるとは、すなわちそれ以外を考える暇もないということ。疲れはしたけど、全体的に見れば一人でグロッキーになってるよりよっぽどいい。


「ありがとうございました」


気の利いた礼の言葉も言えなくてすまない。それでもまだ声に出して礼を言えるようになっただけ、マシにはなっているんだよ。信じられないだろうけどね。

おっと、そろそろ馬車が出発するな。客室とは到底呼べない荷台に乗らなくては。これ結構揺れがケツに響くんだよなぁ、昔の人とか痔になったりしなかったのか?


「あっそうだ。ここは港じゃありませんけど、次はいつ会えるか分かりませんし……。赤信号さん!また風が交わるその日まで、貴船のご安航を!」


俺が馬車に乗ってすぐ、ましろさんが思い出したかのように例の言葉を届けてくれる。すると、隣にいた桃ちゃんさんもにっと笑った。


「おっと、その言葉を知ってるとはなかなかだね。じゃああたしも!また風が交わるその日まで、貴船のご安航を!!」


とくれば、俺も返さねば不作法というもの。こちらに手を振ってくれる二人に、走り出した馬車の荷台から手を振り返す。おお、ダイゴロー君とつきみちゃんも手を振ってくれてるな。ダイゴロー君は手が無いから尻尾振ってるけど。


「また風が交わるその日まで。貴船のご安航を!」


ではまた会おう、この世界における数少ない友人たちよ。できれば次はもうちょっと落ち着いた場所だと嬉しいな、切実に!




「……おわった?つかれたね、はやくかえろ」


ぴょこっとナップザックから首だけ出したシナトがぬけぬけと言い放つ。お前いっぺん街の中に置き去りにしてやろうか?んん?


「これから、なにするの?」


「そうだなぁ……まずは地道に金を貯めて、さっさと中型船まで持って行こう。桃ちゃんさん曰く、中型船まではそれほど時間もかからないらしいし。そんで漁船設備を整えて、いざフィッシュ・オンだな」


「おさかな、いっぱいだね」


「お魚いっぱい夢いっぱい、ついでに財布もいっぱいになれば言うことなしだ」


ぶっちゃけ現時点でも漁船はやろうと思えばできる。ただ、そうすると船のスペックの大半をそっちに割かなければいけない。獲った魚を遠くに運ぶ設備も無いから、どうしても近くの漁港に運び込まざるを得ない。そうなると漁港に腰を据えてやらないといけないわけで……。

まだまだ空の旅も楽しみたいから、流しの漁船とか言うちょっとよくわからない存在になるしかない。しかし、それでいいのだ。金儲け的には若干弱いかもだけど、最低限航行費を稼げればゲームのプレイに支障は無い。


「じゃ、当分は真面目にせっせと商売しますかね。とりあえず、港町で何か仕入れようか」


「うん。ぼくもいっぱい、かぜよむ。おさかなのために、がんばる」


「そうだな、お前には頑張ってもらわないとな」


「あいぼうも、がんばる。ぼく、おみせのひとと、しゃべらないから。ぼくたち、ふたりでがんばるの」


おっとこれは一本取られたな。そうだ、俺たちは二人で商売してるんだからな。シナトが頑張る時は俺も頑張る。俺が頑張る時はシナトも頑張る。それが相棒ってもんだよな。

しかし、お店の人と喋れないではなく喋らないとは。割と真剣にこいつの将来が心配になってきた。どうにか俺以外の人と慣れてくれたらいいんだけどな……。


さぁて、金儲けのために飛び回りますか。

この間改装したばっかりの王鮭丸ですけど、次回には思いっきり時間を飛ばします。

経過を詳しく書いてもいいんですけど、セレスティアル・ラインは気を抜くと無限に書き続けてしまいそうなので、飛ばせるところは飛ばしていこうかと思います。

ゆっくり成長過程が見たいのだけど、と思う方もいらっしゃるかと思いますが、どうかご了承ください。

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