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ダイブ・イントゥ・ゲームズ ~ぼっちなコミュ障、VRゲーム始めました~  作者: 赤鯨
空とコミュ障と金儲け ~セレスティアル・ライン~
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プラン発動・船体改装

作中の時間を少し飛ばしましたので、混乱させてしまったら申し訳ありません。

......この時点でデスブラ編の3/4近い文章量て。1話あたりもかなり長くなってますよね、読みにくくなっていましたらすいません。

どうしても船関係になるとついつい書きすぎてしまいます。

「なあシナト。そろそろ船を大きくしようか」


「きゅ?」


幾度かの旅と交易をして17個目の空島を見つけた時、ついに俺は思った。もう、紅鮭丸では小さいと。




「そういう訳なんで、相談に乗ってくれ」


「いいよー。そっか、ついに赤も船体改装に乗り出すんだね」


連合商会『青の商船団』がフラッグシップ、【第七ブルマンジャロ】の応接室にて俺は青と向き合っていた。

ちなみにフレンドの飛行船にはいつどこであろうとジャンプできる。現在紅鮭丸はオートパイロット飛行中なのでシナトは船でお留守番だ。停泊中ならウィンズを連れてのフレンドジャンプもできるんだけどな。


船首から船尾まで300メートル以上あるバケモノみたいな大きさの超大型飛行船。その内部にある応接室には少し前時代的でありながらも品のいい調度品がさりげなく置かれ、勧められたソファはふっかふか。向かい合う俺たちの間に置かれたテーブルは……これガラスじゃなくて水晶だな?


これが俺とお前の財力の差だとばかりに見せつけられたが、まあまあ今はそんなことに歯ぎしりしている時じゃない。いいんだ、いつかこれを超えるとまでは言わなくても、遜色ないくらいに並び立てる日が来るさ。……来るよね?


「ちなみにそのテーブルとソファのセットで確か100,000Gくらいだったかな。で、どんなご相談をお望みで?」


ふぁっ!?マジかどんだけ金持ってんだ、実はこいつブルマンではなくゴールドマンじゃないのか?超大型船のオーナーってヤベェな。


「お、おう……。えーっとな……」


強烈成金マンに、ここに来た理由について話し出す。


幾度かの拡張工事をしてなんとかやってきた紅鮭丸だが、さすがに初期飛行船ではなにかと不便を感じるようになってきた。

特に積載量は交易の儲けにもろに響く。貨物用コンテナなんかで多少は積載量を水増しできるものの、さすがに基本船倉が50樽しか入らないのではどうしようもない。積載量の拡張工事も、船体自体の大きさを変えないことにはこれ以上は無理だと造船所に言われてしまった。

結構真面目に交易をしてきたおかげでお金にはそこそこ余裕ができた。なら、ここらで一回飛行船に根本的な改装を施そうということになったのだ。


そんな俺を待っていたのは、いくつかの改装プランと言う名の選択肢。要するに航行速度重視とか積載量重視とかバランス型だとか。まあそういうものをずらずらと見せられたのだ。

造船所のNPCに聞けば説明してくれるんだろうが、やつらは所詮どこまでいこうとAI。こういうのは経験者に聞くに限る。とくれば現状最も頼れる先達とは、10,000樽以上の一括輸送を可能にするアホみたいなスペックを持つ超大型船の船長であり、連合商会の会長でもある青といえよう。

というか、青以外に気軽に相談できる知り合いがいない。攻略サイトもデータ量は多いんだけど、結局のところ文面だけだと実感のこもったメリットデメリットがよくわかんないんだよな。


「ふんふん、なるほど。じゃあ説明するね、積載量と航行速度は船の形に大きく影響してくるんだ。ざっくりいうと、太った船ほど多くを運べるけど遅い、痩せた船ほど積載量は少ないけど速い。まあ、これくらいはイメージできるよね?」


「それはまあ、なんとなくっつーか常識的に」


横にデカけりゃ同じ長さの船でも積載量は変わるわな。そんで横にデカけりゃ風の抵抗なんかをモロに受けるから遅くなると。


「もっと後の方の話になるけど、このブルマンジャロを見たらわかる通り最終的には10,000樽前後を運べるようになる。参考までにいうと、この船は積載量に少し振ったバランス型だよ」


「えっ、これで少し振った程度なのか?」


「うん。現時点で極限まで積載能力に特化した船は基礎積載量が18,000樽。さらに外付け積載設備のコンテナ類やらをガン積みすれば20,000樽近いはずだよ」


げぇっ、20,000樽!?なんじゃそりゃ、青のこの船の1.7倍だと!?モンスターシップってレベルじゃねぇぞ!


「でも、そこまですると航行速度なんて最低になるからね。どんだけ速度向上用の特殊設備を増設しても焼け石に水だって言ってたし、少なくとも冷凍設備なしでは近隣でも空魚を扱うのは無理だろうね。僕の船だったらちょっとした設備で航行速度:普通を保ててるんだから、それは大きな差だよ」


はーん、なるほどね。航行速度があまりにも遅いんじゃあ、一度にどれだけ積めても航行費も嵩むだろうしな。

低速船は高速船よりも燃費的には良いとはいえ、そこは考えないといけないだろう。少なくとも、空魚をメインで扱いたい俺からすれば積載量特化は除外だな。


「それと超巨大船の定義は10,000樽以上だけど、これは航行速度:やや速いがMAXだから高速とか快速とか最速にするつもりなら残念だけどそこは諦めてね。参考までに、最速にすると積載量はMAXで2500樽。これを見てわかる通り、大型船以下の改良中型船になるね」


そういうとインターフェースをポチポチ叩いた青が、ヘルプのとあるページをこちらに向けてくれる。


超大型船:10,000樽~

改良大型船:7,000樽~9,990樽

大型船:5,000樽~6,990樽

改良中型船:2,000樽~4,990樽

中型船:1,000樽~1,990樽

改良小型船:100樽~990樽

小型船:30樽~90樽


ほえー、飛行船の大きさにもけっこう段階があるもんだな。ざっくり7段階あるわけだけど、ストレートに一段階上に強化できるわけじゃないよな?


「例えば君の紅鮭丸は現状で一番下なわけ。そこから改装するとして、速度重視にしないのなら一段階上の改良小型船に入れるよ。積載量特化で行くなら一気に200樽くらいになれるんじゃないかな。特に振れ幅が大きい改良中型船は長くなるよー、3,000樽分の強化値があるんだもん」


「それ、表を見たときに思った。中型船までとそれより上でえげつない開きがあるなって。中型船を3,000樽くらいにした方が良かったんじゃないか?」


「そこは運営のみぞ知るって感じかな。まあ、交易重視じゃなくて旅がメインだったら航行速度:速いくらいの中型船で十分だけどね。ちょっと大きめの船で大航海気分に浸りたくても改良中型船でいいし。大型船以上は商売人の持ち物だよ、中には内装に凝りだしてアレンジスペース欲しさに船を大きくする人もいるらしいけど」


その意見には一理ある。今俺たちが乗っているブルマンジャロなんて、現実の大型タンカーよりデカい船が同じような大きさのバルーンを上下に取りつけてるようなもんだもんな。デカいのはロマンとはいえ、これだけデカいと持て余すというのは確かにあるだろう。


「積載量と速度については大体わかった。バランス型にした場合、特殊設備でどれくらい特化船に近づける?」


「速度設備も積載設備もガン積みしたところで特化船には1歩及ばないよ。まぁ、ブルマンジャロを見てわかる通り不自由はないけどね」


ただし、と青は言葉を続ける。


「最初の方は特化型改装をしても、ある程度までなら後の方で軌道修正できる。けど、大型船まで積載量極振りでやってきた航行速度:すごく遅いの船が、いきなり航行速度:速いになるなんてのは無理だからね」


そりゃあな。どれだけ高い自由度が自慢と言っても、差別化と言うのは必要だ。それはプレイヤーが選んできた選択肢の積み重ねの結果だと言っていい。

ジョブやスキルをいつでも自由に切り替えられるシステムのゲームがあったとしても、『全部同時に完璧に使える』ができるゲームは少ないと思うんだ。誰もが勇者兼戦士兼魔法使い兼僧侶兼盗賊兼魔物使い兼遊び人兼村人なんてのは、オフラインで無双したいのならともかくオンラインゲームではまずありえないと思う。

何かができて何かはできない。だから、選択肢が発生してプレイヤーの個性が出る。何でもかんでも1人でできるなんて全知全能(つまらないもの)はどこかの神様にでも任せておけばいいのだ。



「なるほど。……時に思うんだけど、このゲームって船の改装なんだな、買い替えとかじゃなくて。それってつまり、どれだけ名前や姿が変わろうとも紅鮭丸は紅鮭丸ってことだよな?」


「……君のような勘のいいゲーマーは嫌いじゃないよ。ま、それは旅を進めてたらわかるんじゃない?……いや、心配だな。カワウソを肩に乗せて黙々と魚を運送しているだけの君がその辺に触れられるのか、すごい心配だ」


嬉しそうな顔で先輩風を吹かせていると思ったら、急に頭を抱えだしやがった。なんだなんだ、俺にとって感じ慣れた失礼さをビンビン受信しているぞ?


「……いいかい、赤。いや赤石信吾君。セレスティアル・ラインは確かにほとんどストーリーと言っていいものはないよ。でもね、全プレイヤー共通の空島はそれなりの数があるし、そういう場所には固有の名前を持つNPCがいたりするんだ。ここまで言えば、新旧はともかく数多のゲームをプレイしてきた君なら、僕が何が言いたいかわかるよね?」


これはあれだな?『お前みたいなコミュ障野郎がうわさ話を搔き集めてシークレットストーリーを見るなんて無理じゃねーのか』と、そう言いたいんだな?

ああそうだ、俺は仮にVRで古典的なRPGがあったとしたら、初めに王様から「おお勇者よ、攫われし姫を助け出し、魔王を討って世界を救うのだ」とか言われても『はい』と答えるだけでかなりの時間を要するだろうさ。できることなら全部強制演出のムービーモードであって欲しいとすら思うね。


「いいか、青。いや青山春人。お前が何を言いたいのかが分かったとして、それをできる能力が俺にあるとでも?」


談合サテライトキャノンのために、俺の頭にコンバットナイフを30回ぶち込んだ青。

弾丸飛び交う戦場を2ケツして爆走、ドラスレでも奇跡の再会をはたした茶管。

妹に頼まれた結果、たった一回の勝利のために連休を潰すほどの研究と対策を練って戦うことになったきーちゃん。

最強プレイヤーの一人として俺を叩きのめした後、ハイテンションで喋り倒したアジサイさん。

依頼のやり方が分からず途方に暮れる俺に、人の優しさというものを教えてくれたましろつっきー。

思い返せば俺のフレンドたちはみんな、何かしらのイベントというか、強い勢いのようなもので俺のコミュ障ガードをぶち破ってきたんだよなぁ。


「そんな堂々と情けなさを開陳されても困るんだけど……。ほら、デスブラでロールプレイ力が鍛えられたとか、自分じゃないキャラを演じるとか、そういうのは無いの?」


「あれはあっちもこっちも真剣なロールプレイだからこそできたんだ。プレイヤーに明確な設定があるわけでもないこのゲームだと難しい」


仮に俺が自分に設定をつけてロールプレイしても、相手と噛み合わなかったら途端に萎えるし、相手も相手でよくわからないキャラづけのプレイヤーに面食らう人もいるだろう。NPCと話す時だけキャラを演じるというのもいまいち乗り切れない。そんな二重人格みたいなことをやっていたら多分ロールプレイもブレる。

ましろつっきーとの出港の言葉みたいに、お互いが気持ちよくできるのならいいんだけどね。一方的な自分設定の押しつけは良くない。

デスブラ?あれはほらお互いが考えたサイキョーにクールな自分設定で殴り合うゲームだし、自分の設定を押し付ける代わりに相手の設定も謹んで受け取らなければならないから。あれも一種の『和』というものだ。


「それでも、NPCと喋るのにはある程度慣れたんだけどな」


「でも君が喋ってるNPCって8割くらいがラオシャンのアクアじゃないの?」


そうだよ?で、それが何か問題?

いいじゃんアクア。見た目も可愛いし知識量豊富、ちょっとシビアな死生観を持ってるけど基本的には優しいし。



「これ以上続けると話が脱線したまま別の駅に向かいかねないから、一度戻そう。君は飛行船の改装がしたいんだよね。まだ始めたばかりで難しいだろうけど、最終的にこんな船にしたいって考えはあるの?」


「冷蔵・冷凍設備マシマシで漁船としても動ける系の飛行船になれたら最高だよな」


「ブレないなぁ君は。だとしたらちょっと速めのバランス型かな?僕は漁船の方には詳しくないけど、鮮魚を運ぶのなら冷蔵設備云々もあるけど速度があるに越したことは無いし。あと、漁船として動かすだけでも海雲用船体コーティングと海雲対応の舵板、それと漁網は必須だったはず。魚群探知機みたいなのもあったかな?ごめん、うろ覚えで」


いやいや、助かる助かる。船体コーティングと専用の舵板、漁網は必須ね。

うーん、これに保存用設備が加わってくるとなると、漁船兼空魚交易船として動けるのは中型船くらいからかな?それまでは旅もしたいし空魚交易に絞るのが良さそうだ。


「これは大型船以降になるだろうけど、個人的には食品加工用設備も欲しいところかな。投資額はかなりイっちゃってるけど、保存食に加工できるか否かで食品交易は変わるよ。保管可能期間がめちゃくちゃ伸びるから専用保存設備のスペースを節約できるし、一部を除いて卸値も基本的には良くなる。覚えておいて損はないよ」


中には食品に限らず様々な加工用設備を取りそろえ、いろんなものを加工しては他のプレイヤーに卸す商売をしているプレイヤーもいるのだとか。それで儲けは出るのかと思うけど、これがなかなかいい感じらしい。特に食品関係は日数との戦い、それを解消できるのなら多少の出費もやむなしということだろう。


「ああそうだ。改良小型船からは船の見た目や内装をカスタマイズできるようになるよ。とはいってもまだまだ船体が小さいから、そこまで自由にはできないんだけどね。中型船からはかなり自由にカスタマイズできるよ」


「でも、お高いんでしょう?」


「お任せください!そのようなご要望は『青の商船団』が承ります!我が連合商会が誇る改良大型ドック船【クラウド・カーペンターズ】がお客様のニーズにばっちり対応、必ずやご満足いただける仕上がりをお約束いたします!修理、カスタマイズ、特殊設備の取り付け、船体の改装、なんでもお申し付け下さい。陸の造船所とは一味違ったデザインを、お求めやすい価格でご提供させて頂きます!まずはご相談・お見積もりからでも構いません、お近くの『青の商船団』商会員までお気軽にご連絡を!」


さすがは超大型船のオーナーにして連合商会の会長を務めるプレイヤー、ちょっとつつけば立て板に水が流れるような、通信販売でも見ているのかと思うほどの見事な自社宣伝だ。

ちょいちょい忘れかけるけど、現役モデルの爽やか系イケメンである青はこういうの似合うなぁ。洗練された営業スマイルに併せて口も達者だし、クレームをつけにきたおばさまでも一撃でノックアウトできそうだ。


「ドック船て。そんなのもあるのか」


「正直赤がこの相談に来た時から、うちの商会で改装してもらおうと思ってたんだよね。今言った通り、ドック船では飛行船の修理や外観なんかのカスタマイズ、特殊設備の取り付け、ある程度の大きさまでなら改装もできるよ。うちの商会員がドック船のオーナーだから、どこにいるのかちょっと聞いてみるよ。多分インしてると思うんだけど……」


俺のとは違ってプレイヤーの名前で埋まったフレンドリストをスクロールさせる青。

あの、ちょっと疑問なんだけど、そのフレンドリストって全部含めてだよな?間違っても『青の商船団』のメンバーリストじゃないよな?……もしそうだったとしたら、青の率いる連合商会って結構デカい……?


「あ、良かったインしてる。……やっほー、会長でーす。うん、うんうん。あはは、そりゃすごいや見てみたいな。でね、今僕の友達が船体の改装をしたいって相談にきててね?うん、初改装の初心者。えーっとちょっと待ってね……赤、君の現在地はどこ?」


「え?カンクーナからコゥチにオートで向かってるとこ」


「カンクーナからコゥチだって、君は?……コゥチ?いいね、いい偶然だよ。……はいはい、そういうことだからコゥチで待ってて。うん、僕も結構近いし行くよ。うん、うんうん、じゃあまた現地で。ばいばーい」


フレンド通信を終えた青が、ふぅと一息ついてグッと右親指を立てた。


「やってくれるって。向こうもコゥチに停泊してるなんてラッキーだね。それと、紹介した者として僕もいくからね。初対面の人と君がまともに喋れるかも怪しいし」


なんていうサービス精神だ。客が抱える個人的な問題まで逐一解消する『青の商船団』のカスタマーケアの素晴らしさに震えるね。


「コゥチまではここからだと5日か。おーいぶる子、お出かけだよ。コゥチまでの風を読んでくれるかい?」


「はいお父様。それではデッキまで参りましょう」


部屋の端で丸くなっていたぶる子がすっくと立ちあがって歩み寄ってくる。ふっさふさの九尾が揺れて、なんとも美しい歩き姿だ。つくづくぶる子と言う名前だけが惜しい。


「コゥチで合流だな。俺の方はあと3日だから、先に待ってる」


「ぶる子は風読みが特に優秀だから多少は速くなると思うけど、まあ適当に待っててよ。着いたらこっちから連絡入れるよ」


それじゃあ、と言い合って俺は紅鮭丸へと戻った。船長室ではなぜかシナトが自分の寝床ではなく俺のベッドでぐーすか寝ていたので抱き上げて起こす。お前、留守番の意味知ってるか?


「帰ったぞ。いろいろあってコゥチで紅鮭丸の改装だ、相棒」


「……きゅぅぅ。きゅあぁ……」


「おいおい、大きな欠伸して大丈夫か?多分、紅鮭丸としての最終航海になるんだから気合い入れてくれよ」


寝ぼけ眼のシナトを抱いて、短い廊下を通り抜けて甲板に出る。

積載量を水増しするための貨物コンテナ(特小)がデンと甲板に置かれているだけの、シンプルと言えば聞こえがいいが実情はただ何もないだけと言う紅鮭丸。

こいつがついに生まれ変わる。どんな飛行船になるのか今から楽しみでもあるが、まずはこの姿での最後の航海を無事に終わらせてやろう。


舵輪に触れて、オートからマニュアルに操作を変える。マニュアルっつっても勝手に風の航路から大きく離れることはできないけどな。そういう時は『あそこに行きたい』とウィンズに伝えて風を読んでもらわないといけない。そうすればダメだと言われることは基本的にはない。

Uターンみたいにあまりにも今乗っている風の航路から外れる行為をすると、乱気流に飲まれて別の島に流される上に無理な操船による船体の破損まであり得る。まあ、それを逆手にとって新たな島への不時着を狙うという荒業もないこともないけど。


つまるところマニュアルなんてのは雰囲気作りが大部分だ。強いて言えばイベントが潜んでいそうなところに飛行船を寄せたりするくらいかな。もうちょっと自由に動かせてくれてもとは思うけどシナトに言えば解決するし、そこまでの不満は無い。


まあ、今はそんなことは良い。我が紅鮭丸の最後なんだ、少しくらいは自分で舵を取りたいじゃないか。

船体説明にも書かれていたが、この船が俺たちの空の旅の第一歩なんだ。それはこれからも変わらない事実で、この先どれだけ船が大きくなろうとも俺は紅鮭丸のことを思い出すだろう。

シナトと同じく、紅鮭丸だって俺の相棒だ。大切な相棒の最後の花道、是非とも俺にエスコートさせてくれよな。

飛行船の大きさの分け方ですが、『199』『499』に個人的に思う所があるんですよね。

船でこの数字となると、もしかしたらぴんとくる方もおられるかもしれませんね。

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