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ダイブ・イントゥ・ゲームズ ~ぼっちなコミュ障、VRゲーム始めました~  作者: 赤鯨
空とコミュ障と金儲け ~セレスティアル・ライン~
51/280

持つべきものは

星の巡りがいいので更新です。

ちなみにセレスティアル・ラインでの飛行船の扱いですが、現実の船舶と何ら変わりありません。強いて言えば風乗りの獣がいない飛行船はまともな航行はできないということぐらいでしょうか。

「いやいやいや、後ろから話しかけられたらびっくりするのはわかるけど、フリーズ長すぎでしょ。君、依頼書を鷲掴みにしたままたっぷり10秒は固まってたよ?」


おまっ、お前、おまえなぁーー!!俺だとわかっててさっきのをやったってのか!?こっ、このド外道が、やっていいことと悪いことってのがなぁ!だっ、てめっ、このやろ!お前が友達じゃなかったら処理落ちからのブルスクまであったぞコラ!!

……覚えてろ、向こう一週間はラオシャンでのんびり泳げると思うなよ!!


「激怒と安堵と友情と殺意がない交ぜになった複雑な表情だね、それくらいリアルでも表情豊かだったら大学で『無表情のぬらりひょん』とか言われなくて済むのに」


「え、俺そんなこと言われてんの?」


「あるいは『瞑想している仏陀が聞いている音』とか、『ヒューマンエアー』とか?で、どんな依頼受けたの?」


仏陀が瞑想してる時の環境音って何、祇園精舎の鐘的な?そしてエアーマン(空気人間)ではなくてヒューマンエアー(人間型空気)とな。もはや空気のような人間ではなく人の形をした空気だということですか?

学校では空気に徹しているからそういう評価を得るのはやぶさかではないというより本望なはずなのだが、こうもはっきり言われるとなんか腑に落ちない。それが人間のエゴってやつなのか。


「うん……まあ、いいや。依頼はこれなんだけど、行先を知らないんだ」


ビックリして剥がしてしまった空鰯マニアさんの依頼書を青に手渡し、立ち話も何だしせっかくの酒場なので、椅子を適当に持ってきて樽のテーブルについた。


「ふぅん……サデナまで集荷の依頼ね。期限は3日か、まあまあ初心者向けだけど冷蔵庫持ち限定なのは始めたばかりの人には難しいね。その分、仕入れにお金がかからないからやるだけで純粋な利益になるやつだけど」


ほ、ほーん……。そっかぁ、初心者で冷蔵庫持ちは難しいんだぁ……。ふーん、へーぇ……。そぉなんだぁ……。


「普通に考えたらキャンセルだよね。でも、この依頼に手を伸ばしていたということは……もしかして、持ってるの?空魚用冷蔵庫を?」


「(サムズアップと無言の首肯)」


まだ取り付け中だけどな。そんなことを言っても初期資金の半分をすでに費やしたことに変わりはないんだけど!


「わぁい、いい返事。というか、赤はまだやり始めたばっかりだよね?航路はどれくらい拓いたの?2、3個は島を見つけた?」


「(右手の人差し指と親指で丸を作り、そっと首を横に振る)」


「おおぅ、航路も拓かずに冷蔵庫に投資するとかガッツあり過ぎでしょ。安定した交易がしたかったら少なくとも10個は島を見つけておかないと、値崩れや買い占めがあった時に困るよ?それに飛行船は走らせるだけでお金がかかるんだから、もし所持金が底をついたら旅もできないんだよ?そうなったら他のプレイヤーに借金するか、組合でパシリやらされるかのどっちかなんだから、交易と旅のどっちをメインでやるかは別にしてもある程度はちゃんと金策しないと。フルダイブ歴ならともかく、ゲームプレイヤーとしての経験値は赤の方が多いはずなのに、どうしてこうなったの?」


「(返す言葉も無いという無言)」


けっこう本気目に心配されてしまった……。薄々感じていたが、さすがに初手設備投資は悪手だったようだ。

青が言うには初期の軍資金は航路図をある程度作るための航海費に使って、拓いた航路でお金を増やし、そしてまた旅に出て……という流れが序盤のセオリーらしく、仮に設備投資をしたとしてもまずは積載量の拡張か船速の向上がベター。

それと、確かにその辺のNPCから直接航路を聞けることもあるがチュートリアルで言われるほどどんどん見つかるわけでもなく、そもそもコミュ力無いのにどうやってNPCと積極的に仲良くなるの?と言われた俺は、せやな……としか返せなかった。


「初航海は何もわからない空に飛び立つっていう不安とドキドキが醍醐味なんだけど……さすがにこれは見過ごせないね。びっくりさせたお詫びも兼ねて、依頼にあるサデナ島への航路を教えてあげるよ」


マジか、それなら俺も不意打ちの件を深くは恨むまい。この間ついに解放した首長竜で死ぬほど粘着してやろうかと思ったけど、使うのはシャチに変更してやろう。

いやそれにしても助かる。プレイヤー同士で航路を教え合ったりできるんだな。


「うん。セレスティアル・ラインの空島は数も多い上に、プレイヤー毎にどんな島に行けるかが微妙に違うんだ。どう頑張ってもそのプレイヤーのデータだと見つけられない島ってのがあるんだよ」


初心者救済のためか始まりのカルム周辺は共通しているが、進めば進むほどに全然違う航路図が出来上がってくるそうだ。そこで、他プレイヤーに航路(と言うよりは島の座標)を教えてもらうことで自分の航路図にない島に行けるようになるらしい。

デフォルトでは自分の航路図に出現しない島もあるが、だからと言って手に入らない交易品があったりとかは特にないとのこと。強いて言うのなら特定の物品が妙に安い島があったり、変わった地形だったりする程度だ。



「さぁ、サデナ島の位置を教えるから航路図を開いてよ。後、さっきから君の背中にしがみついて隠れているウィンズをこっちに見せて。僕のウィンズがサデナ島までの風をある程度教えてくれるから」


そう言えばさっきからシナトが俺に隠れているんだけど、もしかしてこいつも極度の人見知りだったりするのか?

がっしりとへばりついて意地でも離れまいとするシナトと格闘することしばらく、顔は俺の方に向けたままだが、抱きかかえる形でなんとか前へと移動させることができた。ゲームだからよかったものの、もしこれが現実のネコかなにかだったら俺の背中は血まみれだっただろう。それほどまでの激戦だった。


「うーん、子は親の背中を見て育つというか、ペットは飼い主に似るというか。赤と一緒で身内だけだと普通だけど、知らない人がいるとダメな感じの子かな?」


「別にシナトは俺の子供でもなければペットでもないけどな」


「じゃあ似たもの夫婦ってやつなんでしょ。まあいいや、えっとシナトだっけ?その子にサデナ島までの風を教えてあげてよ、ぶる子。えっと、サデナサデナ……ここだね」


青がそばにいたデカい狐の頭を撫でてから航海図を開き、サデナ島を指で示してくれるがちょっと待て。


「……ぶる子って、もしかしてそのウィンズの名前……なのか?」


「そうだよ。僕がブルマン(青男)だからぶる子(青娘)。狐だからぶる狐ともかけてて、なかなかいい名前だと思わない?」


余裕で青を背に乗せて歩けそうなくらいに大きな体に、ふさふさの9本の尻尾。刈入れ前の稲穂を思わせるどこか懐かしさのある金毛がとても柔らかそうな、可愛さとカッコよさがいい感じに同居したこのウィンズの名前が『ぶる子』とな。

そうだった、こいつネーミングセンスがかなりアレなんだった。思い出せばIRのレムナント名も青山三号とか青色二号とか、住所か着色料みたいな名前ばっかりだし。たまにシンプルさがいい感じにハマる時もあるけど、大抵はお察しだ。魔人の名前から必殺技名から何から考えなきゃいけないデスブラは難しいだろうな。


「……まあ、お前がそう思うんならあえて何も言うまい」


「その言葉がすでに失礼なんだよなぁ……」


がくーっと樽テーブルに項垂れた青に、ぶる子が慰めるかのように頬をすり寄せる。いちおう、自分でもネーミングセンスが微妙なのは気にしているらしい。まあ、船の名前が紅鮭丸の俺がいちいち言えたものではないんだけど。


「わたしはわたしの名前を気に入ってますわ。どうかお気になさらないで、お父様」


「ありがと、ぶる子は優しいね。さすがは僕の自慢の娘だよ」


……喋った!?え、今ナチュラルにぶる子が喋った!?しかもお嬢様口調で!


「えっおい、ウィンズって喋るのか?」


「うん?ああ、ごめんね、ネタバレしちゃったかな。そうだよ、生まれたばかりはともかく、ウィンズはそのうち喋れるようになるんだ。最初はたどたどしいけどね、性別や性格で口調も変わるよ」


へぇーそうなんだ。じゃあ俺にしがみついて青の方を見ようともしないシナトも、そのうち喋るようになるんだな。どんな風に喋るのか、ちょっと楽しみだ。


「まあ、そのあたりは今どうこうできるわけじゃないから。ほら、航路図開いて僕のと突き合わせて」


ばさっと開かれた二枚の航路図。片方はほぼ真っ白で、もう片方は大小様々な大きさの空島が無数に書き込まれた物。これから先、これだけの冒険が俺を待っているのだと実感させてくれてなんとも心が躍る。

そして半ば無理矢理にぶる子と引き合わされたシナトが、二匹で何やらあっち向いたりこっち向いたりしながらすんすんふこふこ鼻を鳴らしている。途中で一回ぺしっとぶる子に猫パンチもとい狐パンチを喰らっていたけど、どうしたシナト。お前もしかして物覚えが悪い方だったりする感じ?


《ブルマンさんから【サデナ島】への航路を教えてもらいますか?》


現れたウィンドウに迷わずYESを押す。

すると、カルム島からほど近い位置に1つの小さな島の絵が浮き上がり、その周辺の雲がスゥーっと晴れた。


《新しい航路が拓かれました。『空魚漁の拠点、サデナ島』》


ほっほー。いいねいいね、この演出。普通じゃありえない自動で書き込まれていく航路図ってところが絶妙にファンタジーでゲーム感あるね。


「チュートリアルで聞いたかもしれないけど、初手で業務用冷蔵庫を買うような赤信号君にブルマン先生がもう一度基礎を教えるからよく聞いてね。割とこのゲームはシビアだから、ウィンズ達のほわほわした雰囲気に騙されると間違いなく組合のパシリを経験することになるんだよ」


そういうことで、空魚用冷蔵庫冷え冷え君が取り付けられるまでの時間つぶしも兼ねて、青から『プレイヤーとしての』注意点を教えてもらうことになった。


まずは基本にして最大のプレイヤーのマストアイテムである航路図。航路図はただの地図ではなく、記載されている島それぞれにどういう主産業があってどんなものが不足しているのかが大雑把にわかる優れモノだ。


そして交易をするうえで重要な『需要と供給』。不足品云々の話だが、プレイヤーがその需要を満たしていけばリアルタイムで不足品や物価が変わっていくという。

例えば金属類が不足している島では、鉄鉱石や鉄材なんかが高く売れる。かといって大勢のプレイヤーがこぞって金属類をアホみたいに卸してしまうと、供給が需要を上回って値崩れが起きるというわけだ。

大きな島なら需要も多いのでそう簡単に値崩れは起きないだろうが、小さい島だとプレイヤーの行動次第では物価の変動が激しくなるだろう。昨日まで果物を求めていた島に大量のリンゴを運び込んだら、先に他のプレイヤーが需要を満たしてしまったせいで赤字になる、なんてことが起きてもおかしくない。


このセレスティアル・ラインを交易による金儲けをメインに据えて遊ぶ場合、同じ空の下を飛び回っている他プレイヤーたちは基本的に全員が商売敵と言っていい。少なくとも今のところは直接的な戦闘要素がないから、プレイヤーがプレイヤーに沈められるなんていう事件は起こりえない。だが、その分『時は金なり』を地で行く戦いが繰り広げられているというのが青の言葉だ。


「ここで一回、とりあえず記念すべき初航海先を見てみようか」



【サデナ島】

島自体は取り立てて何もない小さなもの。だが、この島の付近は海雲の合流地点となっており、様々な空魚が同種の他の群れと出会い産卵・繁殖を行う。そのため多くの空魚漁船が群れを追って集まり、漁をするための補給地点として利用される。

サデナ島を拠点にする漁船たちはこの島で水揚げを行い、空魚運搬船がそれを他の島まで運んでいく。そのため、サデナ島の主産業は漁業でありながら、純粋な住民の主な収入源は漁師たちの宿泊や港の使用料、補給物資の仲介などである。


規模:特小

主な施設:魚市場、市場、造船所(修理限定)、酒場、飛行船組合

主産業:漁業

不足品:野菜類、酒類

現地点からの必要移動日数:1日



はい来た、俺とシナトが求める島が今ここに現れた。

何だよここお魚天国じゃん。この時点で神ゲー認定しそうだわ。空を舞台にしてるはずなのにやたらと魚が出てくるな、食料関係はやっぱり強いということか?


はしゃぐ気持ちはさておき、魚専用の冷蔵設備やらなんやらがあると知った時に薄々感じていたけど、このゲームは交易品がかなり細分化されているように感じる。そこまでこだわりのないゲームだったら、冷蔵設備なんて食料品全般で使いまわせるものだと思うし。

とくれば、ぱっと見は需要が満たされているように見える物でも、種類によってはその限りでなかったりするのでは?酒類だからと言ってビールばかり供給されても、そりゃ中にはラムやジンやウィスキーがいいと言う人もいるだろう。


「なあ、同じ種類の交易品でも高級品と廉価品に具体的な違いはあるのか?」


「おっ、そこに気付くとはさすがだね。そうだよ、一見需要が満たされているようでも、『満たされているからこそより良い物が欲しい』と思う人はいるもんなんだよね。そういう特殊な需要を満たせる品物は、ただの不足品よりもずっと高値がついたりするんだよ」


ほほう、そう考えると魚特化でやっていくのも普通にありだと思えてきた。

膨大な種類の交易品を広く浅く取り扱うより、専用設備をガン積みした飛行船で絞り込んだ数種類の品を取り扱うのも一つの商売戦略だよな。需要があらかた満たされていても、普通の飛行船では取り扱えないようなニッチを埋めるスペシャル品ならそこそこ売れるかも。

もとより魚メインで行くつもりだったけど、それなりに先は明るいのかも知れない。存在してるかどうかは知らないが、いずれは空鮪とか空鰹なんかの大物を取り扱ってみたいな。


「シナトよ。俺たちの桃源郷、いや、竜宮城は近いかも知れないぞ」


「きゅう!」


よしよし、お前もやる気満々だな。


「この脳内お魚天国の2人ときたら……。まあ、空魚は食料品の中でも特に足が速い(腐りやすい)から、メインで扱っている人は少ないんだよね。新鮮であればあるほど高く売れるけど、高速飛行船は航行費がヤバいし、冷蔵庫は積載スペースを圧迫するし」


そして何より、空魚は交易ルートの確立が難しいという。現実でも海から遠いほど魚は仕入れが難しくなって値段は吊り上がるが、冷蔵・冷凍設備が開発されるまでは腐敗との戦いだった。そして豊かな海に面した地域では地産地消ができるのでわざわざ輸入する意味はない。

要するに需要と供給と運搬の兼ね合いが絶妙にめんどくさいのだ。青いわく超特大冷凍庫が使えるのなら遠距離運搬も可能になるが、設備費や維持費やらがすごいことになるし、そうなったら完全に魚屋さんプレイになると言っていいらしい。


「そういえば、青の飛行船ってどんなのなんだ?参考までに見たいんだけど」


「若干ネタバレっぽくなるけどいいの?」


「どうせ別物になるんだからいい。一本のストーリーがあるゲームならともかく、この手のゲームはそのうち攻略サイトとか見るし」


「まあ、それもそうか。でも、念のため船体説明文は隠すからね」



【第七ブルマンジャロ】

超大型複合交易用上下バルーン式飛行船

連合商会『青の商船団』旗船

総積載量:12,000樽+乗客80人

航行速度:普通

乗組員数:200人

特殊設備(航海用):超大型強化バルーン、船底設置式超大型強化バルーン、特殊繊維三角帆、特殊繊維縦帆、高速飛行用大型プロペラ、高性能風見鶏、自動天測機、ポッドプロペラ式舵板、超高性能大型望遠鏡、動揺緩和装置、小型高速艇

特殊設備(交易用):食品用大型冷蔵室、肉類用食品加工設備、貨物固縛用ラッシングベルト、ばら積み用大型船倉、船倉用空調設備、乗客用スイートルーム、乗客用ノーマルルーム、家畜用輸送コンテナ、空魚用冷凍コンテナ、大型貨物用クレーン、他船連結用設備

航行費:15,000G/日(基本航行費)

    25,000G/日(全設備稼働時)



ちょっとちょっとちょっと、ウィンズの見た目でなんとなく察していたけどさぁ。青、貴様このゲームやり込んでいるな?

なんだこの弩級飛行船は、船っつーかもはや動く港湾施設じゃねーか。は?1日フルで動かすだけで現時点の俺の所持金の5倍が吹っ飛ぶんだが?

ていうか積載量12,000樽!?一回の交易でどんだけの金を動かすつもりなんだ、1樽200Gの空鯖をぎっちり詰め込んだらそれだけで2,400,000Gだぞ!?

しかも乗客数が記載されているってことは、青の船は客船としても使えるってこと?まあスペックを見るだけでヤバさが分かるほどの大型船だ、それくらいできてもおかしくない。


「それに……連合商会の旗船だと?」


「そうだよ、僕『青の商船団』の会長。と言っても、ガチな感じの商会じゃないよ。決まった方針は無いし、会長である僕自身が毎日インしているわけじゃないしね。面白い島や珍しい物品があったら教え合おう、くらいの連合商会だよ。君も入りたかったらどうぞ」


「名前が赤信号の俺が、青の商船団はちょっとな……」


漆黒の騎士団って名前のギルドに真っ白な装備で入るみたいな、そんな感じになるじゃん?やっぱね、こういうののイメージって大事だと思うのよ俺は。

それに積極的に他人と関わり合いになりたいわけじゃないし、俺はそういうのいいや。シナトと一緒に適度に魚を運びつつ、空の旅を楽しむよ。




「とりあえずはこんなところかな。僕も農場まで仕入れに行かないといけないし、そろそろ解散しようか」


「すまんな、いろいろと助かった」


俺も市場で適当に仕入れをする予定なんだけど、青は仕入れの量が量なので直接農場の方へと向かうそうだ。千樽単位で仕入れをするような規模になると、普通の市場ではさすがに取り扱えないらしい。


「いやいや、自分が好きなゲームを友達がやってくれるって嬉しいからね。フレンド登録もしたし、いつでも僕の船に遊びにきてよ。もうちょっと船が大きくなったら、僕の島への航路も教えるから。それじゃあね」


「ああ、それじゃ」


じゃあ俺の方も行きますか。確かカルム農場自慢の空キャベツだとかなんとかいうのが市場で売られていたはず。青みたいに千樽とかは無理だけど適当にいくつか、それと酒類もちょっと仕入れていこうか。


作中では交易と旅くらいにしかあまり触れていませんが、プレイヤーは現実の船ができることなら大概できると思ってくださって結構です。ブルマンの船のように設備さえあれば客船として商売することもできますし、漁船や遊覧船、郵便船なんかもできますね。そういうことをしているプレイヤーと主人公が出会うかどうかはともかくですが。


以下、ブルマンの飛行船の船体説明。

いわばゲームクリアと言っていいプレイヤーの飛行船の説明であるため、若干のネタバレと言うか最強武器の説明と言うか、まあそんな感じです。そういうのが苦手な人は見ないことをお勧めします。





















【第七ブルマンジャロ】

超大型複合交易用上下バルーン式飛行船

連合商会『青の商船団』旗船

総積載量:12,000樽+乗客80人

航行速度:普通

乗組員数:200人

特殊設備(航海用):超大型強化バルーン、船底設置式超大型強化バルーン、特殊繊維三角帆、特殊繊維縦帆、高速飛行用大型プロペラ、高性能風見鶏、自動天測機、ポッドプロペラ式舵板、超高性能大型望遠鏡、動揺緩和装置、小型高速艇

特殊設備(交易用):食品用大型冷蔵室、食品加工設備(肉類用)、貨物固縛用ラッシングベルト、ばら積み用大型船倉、船倉用空調設備、乗客用スイートルーム、乗客用ノーマルルーム、家畜用輸送コンテナ、空魚用冷凍コンテナ、大型貨物用クレーン、他船連結用設備

航行費:15,000G/日(基本航行費)

25,000G/日(全設備稼働時)


拡張に拡張を重ね、もはや飛行船のような何かと言った方がいいようなものになった。

船体上部から飛行船を吊り上げるバルーンのみでなく船体下部にもう一つのバルーンがあり、上から引き上げると同時に下から押し上げる。2つのバルーンによる浮力のおかげで、圧倒的積載量を誇る超大型船が実現した。

あらゆる交易品を広く輸送できる本船はまさに『空のデパート』。どんな島に寄港しようと必ずや需要に応えられる圧倒的なカバー範囲の広さを誇る。船室の一部は客室としても使用でき、物だけでなく人の輸送もこなして見せる。

そこに求める声があるならば、本船が向かおうではないか。大商人たる証ともいえる超大型交易船は今日も巨体を走らせる。あらゆる要望どんとこい、この船に満たせぬ需要無し。


大商人となるために、必死で船を走らせた。あっちへこっちへ目まぐるしく物を運んだ。頭が痛くなるような計算をしながら金を回した。そして何度も何度も、数えきれないほどの空を見上げた。

船長室に誇らしげに掲げられた、発見した空島で埋め尽くされた航路図。それを見て思う。『蒼穹の航路』とは、自分の足跡そのものなのだと。


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