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ダイブ・イントゥ・ゲームズ ~ぼっちなコミュ障、VRゲーム始めました~  作者: 赤鯨
正義、時々、悪。いざ……転身! ~Destiny Blood~
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立ちはだかる壁は大きく

今回の話でデスブラ編はとりあえず終わりです。

魔人の設定を応募してくださった方々、本当にありがとうございました。

やる気は十分、モチベーションはMAX。

当然それだけでいきなり強くなるわけじゃない。俺は死に瀕するたびに戦闘能力が上がる宇宙人じゃないし、土壇場で秘めた力が覚醒するような主人公補正もない。それこそゲームや特撮の登場人物でもあるまいし。


自分でもわかってる。俺はゲームがめちゃくちゃ強いわけじゃない。VRゲームで対人戦をし始めて、特にデスブラをやってよくわかった。多分、俺は全体的に見たら『そこそこ』どまりだと思う。

ラオシャンは魂が適合しているのか青に負けたことは殆ど無いけど、それでも他のプレイヤーに食われることだって多い。最初の一戦を除いたらIRでもきーちゃんにボッコボコにされるしね。


「ボケッとしてんなら食っちまうぜェ!?」


叩きつけられた時の衝撃で多少吹っ飛んでいるとはいえ、まだまだここは向こうの距離。熱くなってつい接近戦をしたくなるけど、それじゃあ何のためのシューターかという話だ。


「御免被る。『漣二連(さざなみにれん)』!」


「クソが、ウゼェ手を使いやがる!!」


両方の腕鰭を素早く振り、二重の衝撃波を放つ。この技が持つのはスタンではなくノックバック。一歩か二歩程度だが後退させることができる。

鰭を使うアーツよりも尻尾で放つアーツの方が強力だからそっちを使いたくなるけど、安易な大振りは事故の元。一撃は小さくとも少しづつ刻んでいくのが今の最適解のはず。


今まで見たリプレイからするに、GTレクスは殆ど飛び道具を持っていない。アタッカーの中でもかなり近接戦に特化したアーツ構成と言っていい。

強いて言うのなら、以前見たリプレイでカーマイン相手に放っていた『暴竜咆哮(ダイナロアー)』くらいだろう。それにしたって、フレイムマスター・シューターが放った必殺技と相打ったところを見るに、そうポンポン撃てるようなアーツではない。


「一撃に頼らず、粛々といこう。『海鳴・クリック』!」


瞬間的なスタンを飛ばして硬直させる。

完全にイニシアチブを手に入れるのはほぼ不可能だろうが、それでもせめて完全な受け身から脱出しないといけない。


ラオシャンで俺にボコボコにされた青がキレてシロナガスクジラの雄の成体で殴り掛かって来た時を思い出せ。あの時は俺もマッコウクジラだったけど、同じ鯨の仲間だ。大差は……あるけどさ。

体の大きさが違い過ぎるから、ひたすらマウントを取って上から頭突きかましたりして溺死させたんだよな。実に数時間に及ぶ熱い戦いだった。


それと同じだ、戦いとは冷静さを無くした者から負ける。GTレクスは粗暴なキャラだが、プレイヤーもそうだとは限らない。ティラノサウルスの皮の下で、どんな思考で戦っているのやら。

狡かろうがせこかろうが、格上と戦ってるのに恥も外聞もあってたまるかってんだ。こちとら開幕数分でボコボコにされたんだぞ。



「距離とりゃ勝てるとでも思ってんのか!?うおらァ!」


距離を取りつつスタンとノックバックをまき散らす俺に、GTレクスが始めにブチ折り倒していた電柱を掴んで振り回す。

広場のオブジェクトとして配置されている出店や屋台のいくつかを吹き飛ばしながら、その長いリーチで俺を殴りつけようとする。


「何て派手な暴力だ。『SSC・モデレイト』!そして『百重波(ももえなみ)』!」


大波のエフェクトを伴う衝撃波の壁が現れ、猛烈な勢いで振り下ろされる電柱を砕く。魔人の力からすれば電柱はそれほど強度があるわけでもないけど、当たれば痛いに変わりはない。

反撃で繰り出したのは幾重にも重なる衝撃波。かなり強いノックバックを与えるアーツだが、半分予想通りと言うべきか、これは軽く避けられてしまった。


「まどろっこしい戦い方をしやがる野郎だ、テメェそれでも捕食者か!」


「力にのみ頼った狩りをしているから、今の世にお前(恐竜)はいないんだ。“狩りとは忍耐、狩りとは技術、狩りとは知恵だ”!」


「そりゃあ弱ェ奴の戯言だぜ!強者ってェのはなァ、小手先の技になんぞ頼らねェんだよォ!“王に必要なのは雑魚どもに有無を言わさねェ力!すなわち暴力だ!!”」


砕かれた電柱の手に残っていた部分を投擲し、同時にスタートダッシュを切るGTレクス。ここで電柱を防ぐためにアーツを出すのは愚策、脅威はあくまで魔人本体だ。

さっきのようなフェイントの可能性を警戒していつでも防御・回避用のアーツを繰り出せるように集中していると……



「ハッハッハ、バカがァ!俺様の狙いはこっちなんだよォ!!」



本体に備えて敢えて電柱を鰭で受け弾いたら、俺に向かって猛進していた肝心のGTレクスが突然真横に跳躍、そのまま奇跡的に戦闘の余波を受けていなかったアイスクリーム屋の屋台に飛び込んだ。


「なんでこのタイミング?……って、もしかして……!」


すっかり忘れていた。そうだ、ここはそういうところだ。そりゃ1人や2人くらいいるわな……!!


「い、いやぁぁぁ!!誰か、助けてぇ!!」


GTレクスの鱗に包まれた腕で頭を鷲掴みにされているのは、アイスクリーム屋の店員だろう女性NPC。他のNPCがほとんど見当たらなかったので、もうNPCは全て逃げ出したんだと思っていた。このNPC、この戦いが始まってからずっとそこに隠れていたか?


コイツ、小手先の技に頼らないと豪語しておいてすぐに人質とりやがった!手のひらクルックルじゃねぇかこの野郎!そういえばGTレクスってカーマインと戦ってたリプレイでもNPCを襲おうとしてたっけ?



「さっきから美味そうな肉がチラチラ見えててよォ、腹が減って仕方なかったぜぇ?ゲハハハハ!!」


ベロリと舌なめずりをすると、ずらりと並ぶ鋭利な牙を見せつけるようにして笑う。

さすがにマジでNPCを食い散らかすなんてことはグロ表現的な問題で不可能だけど、それでも狂気すら感じさせるロールプレイはお見事。よだれを垂らすところまでちゃんとやる辺りに貫禄すら感じる。


「これだからJEABDってやつらは笑えるぜ。こんな肉の一つや二つを見せつけるだけで動けなくなるんだからなァ。せっかく魔人の力を手に入れたってェのにわざわざ窮屈な生き方だ、俺様みてェに自由に生きればいいのによォ。なァ、お前もそう思わねェか?ハァーッハッハッハ!!」


「お、お願い……助けてください……!」


これがこの戦いの山場だ。今、GTレクスが俺を試していると言っていい。

人質を取られるというのは、善と悪の戦いにおいて古来より連綿と続く『お約束』。悪はどれだけゲスになれるか、そしてヒーローはどうこの状況を切り抜けるか。その答えがヒーローの信念を確立する。


でもな。ヒーローの信念ってのは、最初に決めることなんだぜ?


「『海鳴・ショックテイル』」


大きく体を回転させ、勢いよく尾を振り抜く。水飛沫のエフェクトと共に放たれた衝撃波は、人質もろとも驚愕するGTレクスを吹き飛ばした。


巨体を誇るGTレクスとは違って、普通の人間であるNPCはより遠くへ吹っ飛びゴロゴロと転がっていくが、ギリギリ耐久限界が来なかったのか気絶こそしたものの消えはしなかった。


「テメェ……俺様を人質ごと攻撃するだと?正義をかざしてんじゃあねェのかよ?」


「勘違いするな、“俺の正義とは家族を守ること”。他の人間が死ぬと俺の優しい家族が悲しむから、なるべく助けてやっているだけだ。お前をとり逃がし、家族に危害が加わる可能性こそを俺は優先的に排除する」


サードオルキヌスに設定されたNPC系のポリシーは『子どものNPCを守る』こと。あの店員NPCは若くはあったが子どもじゃなかった。ゆえに見殺しにしたところでJEABDに所属する者としての最低限のペナルティを食らうだけだ。


俺の言葉を聞いたGTレクスは、目を見開いたかと思うとだんだん口元を歪め、そして大笑いへと移っていく。


「ハァーッハッハッハ!!こいつァ面白れェ!その正義らしからぬ傲慢、気に入ったぜ!そうだ、そうでなきゃいけねェ!自分の強さはあくまで自分のためにってな!それでこそ捕食者!それでこそ力ある者だ!!」


「お前がどう思うかは自由だが、俺たちが敵対していることに変わりはない」


「おうともよ。捕食者同士がぶつかれば、そこには戦いあるのみ!改めて名乗るぜ、“俺様の名はGTレクス!!強者たるお前を喰らう、絶対王者だ!!”」


「“俺はサードオルキヌス。深く青い冥界より現れる、赤に染まった海の王”」


倒れているNPCに目もくれず、俺たち二人は広場にて向かい合う。まるで、ここから先に第三者の存在など不要だとでもいうように。






「『漣二連』!」


「『暴竜双爪(ダイナクロウ)』!そいつァもう見切ったぜ!そらそら来いよ、何発でも弾いてやらァ!!」


パァン!と音を響かせ、衝撃波がかき消される。さすがの対応力と言うべきか、俺の遠距離攻撃の威力やスピードなどをGTレクスが把握し始めた。いまや馬鹿正直にアーツを撃つだけでは回避あるいは叩き落されてしまう。


じりじりと距離が詰められ、向こうが詰めに入ってきているのが伝わってくる。

何度か攻撃を受けて俺の体力が3割近い今、向こうからすれば一度捕まえることができればそのままKOまで持っていくことも十分可能だ。

対してGTレクスは未だ体力が7割近く残っている。俺の攻撃もそれなりに通ってはいるが、今見た通り、弾かれたりガードされたりでなかなかクリーンヒットしなくなってきた。こうなるとスタイルの違いによる攻撃力差が響いてきて正直辛い。


何よりBPが問題だ。GTレクスの攻撃に対して迎撃するアーツの消費BPが多い。どこかでビビっているのか、つい必要以上に強めのアーツを使ってしまう。

そのせいでBPが全然フルにならない。つまり超必殺技のまぐれ当たりによる逆転KOの望みは無いってことになる。



「どうした、弾切れかァ?だったらそろそろ終いにするかァ!『暴竜走破(バォロン)』!!」


突進技で一気に距離を詰めてくるGTレクス。この体力でまともに喰らえばそこから続く追撃も含め、確実に俺は落ちる。

突進に当たるのは論外、仮に逃げれても距離を詰められる。ガードをしたら突進を耐えれてもそのまま固められてやられるのがオチだし、下手に迎撃するとそれこそカウンター返しでサヨナラバイバイ。


受けも避けも下手なカウンターもダメ。だったらどうする?


「『ペック・スラップ』」


迫りくる暴竜に対して、体を大きく捻り裏拳を放つ。それは最初に大ダメージを喰らった時とまるで同じ対応だ。


「なんだよそりゃあ……だったら喰らいな、『暴竜尾撃(ダイナテイル)』」


GTレクスがなんの代り映えもない俺の対応に、残念そうな眼をした。

そして俺と同じく先ほどを繰り返すように、迎撃の鰭先を掠める寸前で体を回転させ、その勢いで太い尾を横薙ぎに振るう。

竜の尾が唸りをあげて目前に迫った時……俺は最大BPの5割を消費する!


「待っていた、この時を!『ペダンクルアーチ・テールスラップ』!!」


タイミングばっちり、GTレクスの振るう尾が直撃する寸前に頭から前に飛び込むように前宙して回避。そして一回転した勢いそのまま、渾身の力を込めた尾をがら空きになったGTレクスの頭に振り下ろす!

別ゲー(ラオシャン)において今まで多数の青を水底に葬ってきた前転尻尾ビンタがクリーンヒット。ゴシャっと鈍い音と共に、確かな手応えを感じた。


「あァ……?な、何が……?」


尻尾を振るために半分後ろを見ていたGTレクスは、脳天に食らったスタン性能付きの衝撃もあってか、フラフラと足取りがおぼつかない。

この千載一遇の機会、畳みかけるなら今しかない。


とはいえ大技を出すBPもないし、ここで削り切らなければもう勝てない。スタンもそう長続きしないので距離を取っている暇もない。だったらもう殴る蹴るしかねえだろ!!


「うぉぉぉおおおお!沈めぇぇぇ!!」


技も何もあったもんじゃないガムシャラな殴打。殴るといっても俺の腕は平たい鰭に指がついているだけなので、どちらかというと猛烈なビンタになるのだが。

さらに尻尾を振って顔面に叩きつけ、よろめいた竜の頭を両手で挟むように固定する。


「食らえやオルァ!!」


思いっきり体をのけ反らせてからの頭突き。シャチはなぁ、頭突きで流氷ブチ割ってシロクマを海に引きずり込むんだぜ?だからってデスブラでダメージがデカいとかそういうのは一切ないけどな!


「このやろ……テメェ、この俺様相手に頭突きだと……?いい度胸してんじゃねェかよォ!!」


やっべスタン切れた。だが今更もう引けるか!ここで殺らなきゃ殺られんだよ!!


「オラオラオラァ!!魚が竜に殴り合いで勝てると思ってんのかァ!?」


「やかましい!!デカいだけのトカゲがシャチに逆らうな!!あとシャチは魚じゃない!!」


もはやロールプレイと言えるかどうかすら怪しいセリフを吐きながら、互いに正面から殴り合う。

さっきのカウンターからのラッシュで体力をかなり削った今、GTレクスは4割を切った。これなら勝機が無いわけじゃない!


「“とっとと俺様の胃袋に収まれやァ!!”」

「“偉大な海に息づく者よ、愛すべき家族よ!俺に力を!”」









「ハァーッハッハッハ!!俺様の勝ちだ!!」


「ちくしょう……」


地面に倒れ伏した俺の頭を剛腕で押さえつけ、GTレクスが勝利を宣言する。


相手の体力は二割弱、どうしても一歩及ばなかった。シューターである俺は近接戦のエキスパート相手に殴り勝つことはできなかった。

作戦を間違えたとは言わない。あそこで殴り合いをせずに距離を取ったところで勝てる見込みは無かった。フィールドを破壊したりNPCに被害を出すことでボーナスを得るデスパレードと違って、『悪を倒す存在』であるJEABDはその辺でボーナスを稼ぐのは難しい。


あのカウンター尻尾ビンタを当てたところで、BPの残りが無かったのが悔やまれる。だが、そこに至るまでに俺がGTレクスと張り合うためにはそれだけのリソースを払う必要があった。


つまるところ、純粋な実力差。

これが一位、これが最強。全ビーストタイプの頂点に立つ王の名は伊達ではなかった。


「なにか言い残すことはあるかァ?」


「……“食物連鎖の言葉通り、お前もいつか食われるだろう。その時を、冥界で待っている”」


「そうかィ、あばよサードオルキヌス……()()()()()()()()()()()()()


「え?」


ドゴォ!!

押さえつけられた頭を勢いよく叩きつけられ、俺の体力はゼロになった。



YOU LOSE……





試合終了後。転身が解け人間体に戻ってリザルトを終え、JEABD本部へと戻されるまでの1分弱のちょっとした待ち時間。


対戦相手と少し交流をしたり、悔しければスキップすることも出来るこの時間。俺はほとんどスキップしていたけれど、最後にGTレクス……の中の人になにか待ってて欲しい的なことを言われたので、珍しくスキップをしていないでいる。


「すいません、イベントのせいかリザルトがちょっと特殊で遅くなりました。GTレクスのプレイヤーの、アジサイといいます」


「あ、はい。サードオルキヌスの、赤信号……です」


最強魔人決定戦の時からちょっと思っていたけれど、凄く丁寧で爽やかな物腰のくせに人間体としてのアバターがドチンピラな見た目をしてるせいでギャップがヤバい。

つーか俺に何の用があるんだろう?一位の人に話しかけられるのは光栄だけど、正直燃え尽きた感すごいから一回ログアウトしたい。


とりあえずアジサイさんがにこにこしながら右手を差し出してきたので、握手なんだろうなと思って一応こちらからも差し出してみる。


「赤信号さん。さっきの戦い、すごく楽しかったです!まさかあそこでカウンターの必殺技をくらうなんて思ってもいなくてビックリしましたよ。そしてその後の殴り合い!いやー熱かった、いいですよねああいうの!やる以上勝ち負けにはこだわりますけどね、やっぱりデスブラってああいうのがあるから楽しいって言うか!もうもうリプレイ保存決定ですよ!それにサードオルキヌスの見た目もカッコいいですよね、シャチの白いところが赤くなっててデスパレードみたいだなと思ってたら、まさかの自分の愛すべき者以外はどうでもいい的なダークヒーローチックなキャラで。それを踏まえると赤に変わってるのが深いと言うかよりカッコよく見えて……ああ、たまらーん!!」


「えっあっ、はい。ありがとう、ございます?」


差し出した俺の手をガシッと両手で握り、そのままブンブン上下に振りながらなんかスゴイ早口で喋るアジサイさん。

この人、もしかしてアレなタイプの人か?好きなことをしゃべりだすと興奮してベラベラ喋る感じな人?


「あーもう喋り足りないですね!フレンド申請送りますので後でゆっくり話しましょう!それではお待ちしています!」


テンションMAXで喋るだけ喋っていきやがった。何だあの人……。




JEABD本部のマイルームに戻ると、マジでアジサイさんからフレンド申請が来ていた。


え?……マジ?


コードネーム:サードオルキヌス

タイプ:ビースト スタイル:シューター


名乗り:“コードネーム、サードオルキヌス。悪鬼の血により赤に染まりしこの体、より濃く染めて見せようか”

または“俺はサードオルキヌス。深く青い冥界より現れる、赤に染まった海の王”

転身口上:”母なる紺碧に感謝を捧げる【海血転身】”

決めゼリフ:“狩りとは忍耐、狩りとは技術、狩りとは知恵だ”


【背景設定】

綺麗な海が自慢の小さな島で、漁師をしながら家族と共に慎ましくも幸せに生活していた寡黙な青年。家族構成は父・母・自分・年の離れた妹。

転身症を患いシャチの魔人になるも特に破壊衝動に悩まされるようなことはなく、むしろ圧倒的な海での力を手に入れ漁の手伝いが捗ると喜んですらいた。

そんなある日、家族旅行に出ていた先でデスパレードの魔人の暴威に巻き込まれる。

家族を守るために魔人となり無我夢中で戦い命からがら勝利を掴むも、その時には自分の血と敵の血で体は赤く染まり、その魔物にしか見えない恐ろしい姿に家族は怯え、幼い妹は泣き出した。

自分の姿が愛すべき家族に恐怖を与えると知った青年は、事件の直後に現れたJEABDに保護され家族と別れる道を選んだ。

もう会うことはできないが、それでも家族の幸せを願い青年は戦う。少しでも多くの悪の魔人を倒し、何よりも大切な家族に脅威が振りかからぬように。

家族以外に大切なものは無いが、年の離れた妹を想起させる子どもは必ず助ける。



アーツの名前はクジラやシャチの行動や波の名前が元ネタ。SSCは風浪の大きさを示す階級のこと。

サードオルキヌスの名前はシャチの学名である『オルキヌス・オルカ』と大切な人との縁を守る赤い宝石『サードオニキス』。赤信号は家族が好きなので、名字の赤石からそれっぽい名前を付けた。カーネリアンも赤い宝石。

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