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ダイブ・イントゥ・ゲームズ ~ぼっちなコミュ障、VRゲーム始めました~  作者: 赤鯨
正義、時々、悪。いざ……転身! ~Destiny Blood~
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祭りの始まり

週間ランキングの方でもジャンル別で一位になることができました。これもそれも皆様のおかげです。当然スクショ取りましたよ。

そして、拙作にまさかのレビューがきました!新着報告を見た後、そっとブラウザを閉じて30分ほどスマホゲームして、もう一度見てもまだあるじゃないですか。これは幻ではないですね?読者様の中に万華鏡写輪眼の開眼者はいませんね?

レビュー、本当にありがとうございます。感想やコメントと並び、なによりの作者への励みになります。

これからも拙作にお付き合いいただければ、とてもとても幸いです。

「“我が呼びかけに応え、その剣を捧げよ。戦場を駆け、邪を斬り、愛すべき世界に光を齎せ!『聖剣(クリエイト・)創造(スペリオルソード):コールブランズ』”!!」


片や光り輝く十三の剣を従えて、マントをたなびかせ流星のごとく駆ける白騎士。


「“今が俺の最高潮!今が俺たちの最高峰!! 見せてやるYO!最高のソウル!! 見せてくれYO!最高のダンス!!『砲群(クリエイト・)創造(スペリオルカノン):ガンズ・ダンス・レボリューション』”!!」


片や無数の銃砲を踊らせて、戦場を鉄火の嵐に染める陽気な骸骨。



無数に降り注ぐ鉄の雨を切り開き、白の騎士がその聖剣に極光を纏わせる。

対するは巨砲というのも憚られる、呆れるほどの極大砲塔。その上で二丁拳銃をジャグリングしながら踊る骸骨が、ターンをキメてビシッ!と騎士を指さした。


「Oh!さすがは俺のライバル!でもこれで最後だMy friend!」


「騎士の誇り、その程度で邪魔だてできると思うな!悪を滅せ、我が聖剣よ!!」



轟音と共に放たれた馬鹿らしくなるような巨大砲弾。それを砕いた先に正義はあると、眩い光が巨大な刃となって振り下ろされる。


果たして聖剣が悪を両断したか、それとも魔弾が正義を撃ち抜いたか。


OMG(オーマイガ)……なんてこった、やられたぜ兄弟。アンタの熱いソウルに惹かれちまってたか、いつもより一歩、前に出てたようだ……」


ドシャ、と崩れ落ちたのはニタリと笑う骸骨。その顔から胸、股にかけて縦一文字の斬撃が刻まれていた。


「JEABD本部へ。魔人G・D・Rの討滅を確認、正義は滞りなく執行された。……リベンジはいつでも。またやりましょう、グッドゲーム。ダンス、キレッキレでしたよ」


「お褒めに預かり恐悦至極……次は脳天撃ち抜いて見せますぜ。グッドゲームっす」



WINNER……ペンドラゴン13!! CONGRATULATION CHAMPION!!!


今回のイベント専用に作られたアナウンスが響く。人間体に戻った2人ががっしり握手を交わし、クリエイター最強を決める戦いは終わった。





「カッケェ……。なんだありゃ、基本はカーネリアンとあんまり変わらないのに、動きが全然違う。これが、クリエイター最強……」


クリエイタータイプの頂点に立ったのはペンドラゴン13。

若干のカスタマイズはあるものの、剣を呼び出し戦うアタッカースタイルのデフォルト設定アーツほぼそのままという、まさに正道を征く騎士。


何が凄いって、自分の創造した剣の耐久力を完全に把握しきっていることだろう。シュータースタイルの攻撃を剣で弾くのはもちろん、どの銃弾をどれだけ受ければ剣が耐久限界で壊れるかをきちんと管理・把握し、不意の破損で武器を失うなんてミスは一切なかった。


相手のG・D・Rも常に踊りながら戦うとかいう、別ベクトルで中々おかしいスキルをお持ちのプレイヤーだった。骸骨ヘッドでロボットダンスとかやめてくれませんかね、腹筋に悪い。ブレイクダンスしながら銃撃つのもやめて。

ただ、くねくね踊り続けているにもかかわらず射撃の腕は正確無比。もし俺がG・D・Rと戦ったら、すべての出だしを潰され続けてまともな戦いになんてなりゃしないだろう。



「いや、陣営一位になるようなプレイヤーはスゲーな。手も足も出ないのはわかってても、一回は戦ってみたいなぁ」


ガチのロールプレイをしつつ、ゲームシステムの理解も深い。知識と技術を極めつつ、心からキャラになり切っている感じがありありと伝わってきて楽しかった。






「さて次は……ビーストか。GTレクスは何回かリプレイ見たことあるな。これぞ悪のビーストって感じの暴食キャラが良いんだよ。JEABDの大牙も一回見たけど、これまた王道の狼ヒーローで……くぅ、たまらん。どっちも勝って欲しいなぁ」


せっかくだから今回導入されたNPC目線での観戦とやらを試してみよう。






CHAMPIONSHIP  TYPE:BEAST!! READY………FIGHT!!!



うおおお、マジでNPC目線だ。自分で操作できないのはアレだけど、臨場感凄いな。……凄いけど、なんかこれ酔いそう。画面がめっちゃ不規則に揺れるし。

ていうかランダムで視界主を選んだからハズレ引いた。全然違う所だこれ。オイオイ頼むよ、転身シーンを見たいんだけど!


えっとこれどうやって次のNPC選ぶんだ?……おおお、全NPCの名前リストが!?マジか運営、どんなところに力入れてんだ。すごいけど多すぎて混乱するわ!何でもかんでも完璧にすればいいってもんじゃないぞ。

あ、マップからその辺にいるNPCにジャンプできるのね……だったら中央広場かなぁ。それよりビースト一位決定戦を動物園でやるってお前……。




おっしゃジャンプ成功。多分この辺で戦うと思うんだけど……うん?なんか視界が動かないな。なんでこのNPC移動しないんだろう。あれ、あの悔しそうに歯を食いしばってる兄ちゃんは何?


「ゲハハハハ!!毎度毎度、テメェらは役に立たねェやつらだぜ。だからこうやって目の前で殺されるんだってなァ!ハッハッハ!!」


ボキョ、という鈍い音が鳴ったかと思うと、視界が真っ暗になって通常観戦画面に戻された。

え?もしかしてさっきのジャンプ先、GTレクスに捕まってたのか?そんで大牙の目の前で首でも折られて死んだ?



「おのれ貴様……許さん、断じて許さんぞ!!“首に祀りしこの牙は、相棒()に託されし御霊なり。熱き意志は血潮に流れ、気高き魂がこの身を燃やす!【狼血(ウルフブラッド・)転身(ターンオーバー)】!!”」


「この程度で冷静さを失う、それが三下だっつってんだよォ!!“切り裂け牙よ!響けよ咆哮!食物連鎖の頂点に立つ王、それが俺様よォ!【竜血(ダイナブラッド)転身(・ターンオーバー)】!!”」


あーもういいとこ始まってんじゃん!もういい、このまま通常画面で観戦だ!!


「“我が名は大牙、相棒より継ぎし偉大な名なり”。この牙に懸けて、デスパレードGTレクス、貴様の大罪を裁いてやろう!!」


「言うじゃねェかワンコロ風情が!“平伏せムシケラ!俺様の名はGTレクス!この世の全てを食らう者だ!!”犬が竜に勝てるとでも!?」


ボロボロの赤いマフラーを巻いた狼の獣人(獣成分多め)の大牙と、人の形をしたティラノサウルスのGTレクス。

両者ともに殴り合い上等の生粋のアタッカー。これは派手な戦いになりそうだ!




「ムシケラに尻尾振ってる狗のくせに、ちったァやるじゃねェか!いいぜいいぜ、そうでなきゃいけねェ!『暴竜尾撃(ダイナテイル)』!!」


「“弱きを助け、悪しきを挫く。それがJEABDと言う物だ!”助けを求める声ある限り、この牙が折れることは無い!!『星狼落とし(ルーパス・フォール)』!」


一撃で建物を倒壊させるほどの強靭な尾による薙ぎ払いを跳躍で避け、そのまま前宙の勢いを乗せた踵落としをお見舞いする。

直前のロールで攻撃力を上昇させていた一撃が、GTレクスの体力を削る。


「ハッハッハァ!“手の込んだ料理が全て上手いとは限らねェが、手抜き料理よりは百倍マシだ!!”美味そうじゃねェか、気に入ったァ!!」


全てを粉砕し食らい尽くす暴竜の猛攻を狼は紙一重で躱し続ける。

だが、攻撃は最大の防御。決定的なカウンターを入れられない限り、攻め手が主導権を握り続けるのが世の常。避けているだけでは勝負には勝てない。


このままGTレクスが圧し潰すのか、それとも大牙が食らいつくのか。






「どうしたクソ犬、ボロボロじゃねェか。ワンワン鳴いてみろよ、そうすりゃ俺様にも慈悲の心が生まれるかもなァ?」


強い。食物連鎖の頂点を自称するだけあり、終始GTレクスがイニシアチブを握り続けている。大技でわざと隙を見せて大牙を釣り、的確に小技を繋げてダメージを稼ぐ。

見た目に反して冷静な攻撃に、大牙の体力は残り二割。大技一発、小技でもコンボを入れられたら死が見える範囲。


大牙も折に触れ攻撃を差し込み、五割を削るもジリ貧と言わざるを得ない。BP管理の賜物か、いつでも超必殺技が撃てるものの近距離で殴り合うビースト・アタッカーのミラーマッチでそんな大きな隙を見せる余裕はない。


「“どれだけ体が傷付こうとも!アイツは気高く吠えている!ならば俺も!立たねばなるまい!”この一撃に全てを賭けて!うおぉぉおおおお!!『天狼大牙(シリウス・エントリー)』!!」


叫び、高く高く跳躍した大牙が身を翻し、全身の力を振り絞った渾身の飛び蹴りを繰り出す。

超必殺技には及ばずとも、BPの半分を消費して放つ必殺技。

まともに受ければGTレクスもタダでは済まないはずなのに。一歩も動かず、あまつさえ笑みすら浮かべて迫りくる脅威を迎える。


「“相棒(大牙)よ!どうか悪しき外道を討たせたまえ”!!」


「テメェの間違いを教えてやるぜ……『暴竜暴食(グラトニア)』」



互いの技がぶつかり合い、その余波で戦場の地面は粉々になり砂煙が舞い上がる。




煙が晴れ、そこに立っていたのはGTレクス。

その大顎で大牙の胴に食らいついていた暴君が、動かない英雄を首を振って地面へと叩きつけた。


「テメェの間違いはなァ。命の食らい合いをしてる最中に、死んだやつの名に縋ってることだ!!めそめそ過去を引き摺ってる野郎に、今を食らう俺様が負けるわきゃねェだろうがよ!!ハーハッハッハッハ!!」



戦場に響いたのは、正義の雄叫びではなく悪の嘲笑だった。



「いやーいい戦いでした。飛び蹴りがカッコ良すぎてつい受けたくなりましたよ。体力的に大丈夫かなと思ってやってみましたけど、最後に攻撃力ボーナス取られてたら分からなかったですね」


「悔しいぃぃぃぃ!!あれで決めてこそのヒーローなのに!なんで最後に引いたのが防御ボーナスなんだぁ!!ヒーロー力が足りねぇ!!」


「あはは、フレンドコード送っておきますから、いつでもやりましょう。では、グッドゲームです」


「すぐにリベンジしてやるからなぁ!!それはそれとしてグッドゲーム!」


WINNER……GTレクス!! CONGRATULATION CHAMPION!!!




GTレクスの中の人、スゲェいい人じゃん。やっぱああいう人がいろんなもんため込んでんのかな。きーちゃんとかにやらせたら、案外はっちゃけたキャラ作ったりして。


「うーん、カッコいい。やはり飛び蹴りは特撮ヒーローの伝家の宝刀だよな。決まったところが見てみたかったような、でもこれはこれでよかった。正義が勝つとは限らないってやつだな」


次のフレイムマスターはどうなることやら。楽しみで仕方ないな。


ちなみに勝敗はゲームらしく乱数の女神さまに決めてもらおうとダイスを振りました。

全部ゾロ目で引き分けとかにならなくてよかった……。

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