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ダイブ・イントゥ・ゲームズ ~ぼっちなコミュ障、VRゲーム始めました~  作者: 赤鯨
正義、時々、悪。いざ……転身! ~Destiny Blood~
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結局やっぱり海

現在、次のゲームの設定を練り始めています。

デスブラが対人戦ばかりのゲームだったので、今度は別な感じにしましょうかね。

「“奏で、紡げ、破壊の音を!!!【響血(リサウンドブラッド)転身(・ターンオーバー)】ァァァァ!!”」


「……頭に響くうるさい奴だ。そんなに音が大好きか」


「もちろん!!“コードネーム、ノイズ!!大きい音が好きなんだぁ!!!君もいい音奏でてね!!!”」


骨でできたマイクとスピーカーでギャンギャン騒ぐデスパレード、ノイズ。はたしてシューターかトリックスターか。まあ戦えばわかること。10メートル以上離れた場所での転身、むしろこちらには好都合。


「なら聞かせてやろう、海の声を。“母なる紺碧(あお)に感謝を捧げる。【海血(オーシャンブラッド)転身(・ターンオーバー)】”」


二メートル以上の巨体は、つるりとした流線型。背中は黒く、目の周りと腹が赤く染まっている。背中から続く力強い尾と、平たくも逞しい鰭と融合した腕。

『海の王者』『大海の殺し屋』『冥界の魔物』。つけられた二つ名の強さに違わぬ、大きく強靭な顎。


新たに作った魔人。そのモチーフは……学名オルキヌス・オルカ。つまるところシャチだ。獣人なので人間の様な脚を持つ二足歩行だけど。ちなみにシャチの白いところはカラーチェンジで赤に変えた。




「『海鳴(うみなり)・クリック』」


「もっとノリよくいこ…うっ!?」


指をさして狙いを定めてアーツを発動。直後、ノイズの身体が硬直する。

それはほんの1秒ほどの短いもの。だが、煽るにはそれで十分。


「どうした、お望みの音だぞ。それとも、雑音と騒音でイカれた耳では繊細な海の声は聞こえないか?」


「……言うじゃない。だったらさぁ…僕に聞こえる音を奏でてよねぇぇぇ!!君の悲鳴でさァァァ!!」


「断る。喋るのは苦手でな。夜の海の様に、ぜひ静かにして欲しい」


半ば本音だ。そしてそういうキャラにした。本気で作りこんだからな、この魔人を演じるのに恥ずかしさも気後れもない。

深海で丸一日瞑想した俺は『赤石信吾』という元々薄いパーソナリティをさらに可能な限り薄めた。今の俺は海の加護を受けたシャチの魔人『サードオルキヌス』、それ以上でもそれ以下でもない。




「搔き鳴らせ、破壊の歌を!!『起爆(イグニッション):Make some noise』!ひゃっほぉぉぉぉ!!!」


爆音とともに、ノイズの後方にある建物が倒壊する。逃げ遅れたNPCたちがその下敷きになって悲鳴と共に押しつぶされ、その失われた命は敵の力となって吸収される。

だが弔っている時間は無い。弔うつもりもない。


「こんなに賑やかにしたのに、テンション低いなぁ。“もっと盛り上がっていこうよぉぉ!?”」


「口は雑音を出すためでなく、命を食らうためにある。『海鳴・テイルウェーブ』」


「がっ!?うぉぉおおお!?」


身体を一回転させつつ、猛烈な勢いで尻尾を振るう。

三日月形に広がった尾鰭から水飛沫のエフェクトを纏った衝撃波が発射される。回避できずに直撃したノイズの身体が後ろに吹っ飛び、ガッシャァァン!!と大きな音を響かせながら自分が倒壊させたビルの瓦礫に激突した。



派手に吹っ飛ばしたが、見た目ほどのダメージは無い。ビーストタイプはタイプそのものが近距離に尖った性能なので、遠距離攻撃は基本的に貧弱だからだ。

しかし威力とは別に、ビーストの遠距離ならではの強みもある。それが『スタン』と『ノックバック』だ。特に武器を持たない限り、基本的には鳴き声や咆哮が飛び道具であるビーストは、直撃した相手を少しの間硬直させたり、相手を吹き飛ばしたりできるアーツが豊富にそろっている。



サードオルキヌスはシャチの魔人。シャチが超音波や尻尾を振った衝撃をぶつけて魚を麻痺させるという狩猟の技をアーツという形に落とし込んだのだ。

ビーストとは相性が悪いと言われるシューターだが、遠距離からスタン攻撃やノックバック攻撃を打ち込めるということが俺の目には魅力に映った。飛び道具の威力自体は確かに低いけど、代わりに多少の近接戦くらいなら難なくこなせる程度のパワーもある。

遠距離アーツで相手を固めて、隙を見て食らいつくというのがコンセプト。ビーストにしては回りくどい戦い方かもだけど、シャチの狩りっぽいしなかなかいいのでは?

……あんまりいないタイプとスタイルだから、不意を打てるというのも大きい。


「いーじゃんいーじゃん、派手な技あるじゃん!いーよいーよ!テンション爆上げでイコー!!」


「嵐の海よりうるさい奴だ。“お前のような奴は、死んでも海に還らなくていいぞ”」






とはいえ、使用者が少ない組み合わせというのは「使うのがクソ難しい」か「単純に弱い」か「本当に誰も真価に気づいていない」かのどれかだ。

この理屈に従うと、ビースト・シューターは「そこまでお手軽でもない上に性能も微妙」と言わざるを得ない。古来、ゲームでは苦手を補強するよりも長所をより伸ばした方が強かったりするものだ。


ビースト・シューターの弱点は先ほども言った通り。遠距離主体のスタイルなのに、飛び道具の威力が低いから決め手がないことだ。

最終的にはちまちま削り倒すか、リスクを冒して近接戦を仕掛けるかしかない。このタイプ・スタイルだと、アイスロード・ディフェンダーは天敵だな。しょぼい飛び道具はシャットアウトされ、近づいても攻撃力の問題で致命傷を与えることが難しい。


まあ、全てに有利がとれる存在なんてゲームが面白くなくなる最たる要因だ。ゲームっていうのは、相性の有利不利を作戦とテクニックで補い、実力とちょっとの運で勝ってこそだ。

それが例え初心者救済用のものだとしても、『これを使えばだれでも勝てるよー^^』なんてものがあっていいはずがない。そんなの作ったら熟練者がより手をつけられなくなるだけだ。




「ああ……負けちゃった。“もう…音が……聞こえない……”」


「デスパレード、魔人ノイズ。確かに討伐完了した。“次に生まれる時はクラゲにでもなれ。静かに波間を漂うといい”」


創造、罠の仕掛け、罠の起動。アクションを起こすトリガーが分かりやすいクリエイター・トリックスターは、遠距離スタンで妨害しやすかった。相性勝ちとは言え、デビュー戦を勝利で彩れたのはやはりうれしいもんだ。


「いやぁ、珍しいスタイルだったのでちょっとびっくりしました。いい勝負でした、グッドゲーム」


「グッドゲーム」









【運営よりのお知らせ】

『第一回 陣営対抗シングルバトル タイプ別最強魔人決定戦 対戦カードの発表』


いつもDestiny Bloodをプレイいただき、誠にありがとうございます。先日お知らせしたとおり、『第一回 陣営対抗シングルバトル タイプ別最強魔人決定戦』の出場者の発表をさせていただきます。

今回、試合をしていただくのは以下のプレイヤー様方です(なお、プレイヤーネームではなく、使用する魔人のコードネームで掲載しております)。


《クリエイター》

JEABD【ペンドラゴン13】vsデスパレード【G・D・R】


《ビースト》

JEABD【大牙】vsデスパレード【GTレクス】


《フレイムマスター》

JEABD【カーマイン】vsデスパレード【バグブライト】


《アイスロード》

JEABD【不要】vsデスパレード【スノーマン】


《アルケミスト》

JEABD【プロフェッサー・E】vsデスパレード【ベルデ】


《エンジェル》《ヴァンパイア》

JEABD【天使リエル】vsデスパレード【イングレイヴ】


今回は急なお願いだったにもかかわらず、両陣営全てのタイプでランキング一位のプレイヤー様が快く参戦してくださいました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

繰り返しますが、本イベントにて勝者になった方々に贈られるのは最強という名誉のみです。その他一切の報酬・特典・優遇措置はありません。



また、本イベントの開始に伴い、新システムの仮導入を行います。そのシステムとは《一般人目線での観戦》です。

このシステムは一部のプレイヤー様から頂いた「悪に襲われ、正義に助けられる一般人目線で観戦をしてみたい」という要望に基づいたもので、『最強魔人決定戦』の試合を観戦しているプレイヤー様はバトルマップに配されたNPCの視界で観戦できるというものです。


注意点としまして、あくまでNPCの視界で観戦しているだけですので、操作は一切できません。NPCが戦場から逃げてしまった場合は、他のNPCを再指定するか、通常画面での観戦をしてください。



現在のDestiny Bloodにおける頂点に立つプレイヤー同士の戦いです。そのテクニックを学ぶもよし、正義と悪の戦いを純粋に楽しむもよし。私共運営としましても、最高峰の戦いを非常に楽しみにしております。


これからもDestiny Bloodをよろしくお願いします。

みなさまが己の正義と、悪の美学を貫かれますよう。



Destiny Blood運営より


シャチのスペックの高さにビビる作者。こんなん冥界の魔物ですわ。


最強魔人決定戦に出ている魔人の発案者様に先に謝罪しておきますが、全てを詳しく書くのではなく、ダイジェストのような感じになると思います。

さすがにね……文章力がね……あと執筆量がね……

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