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アイアム主人公

仁王3めっちゃ楽しかったです(トンファーぶんぶん丸)

スペアの武器防具が使い物にならないというのは非常にヤバい。


なぜなら相手の攻撃を受けるにも流すにも武器は必要だし、壊れる度に持ち変える手間もバカにならない。致命的な隙を晒す可能性が爆上がりするのに継戦能力はガタ落ち。もともと高級品を作るのに手間がかかるので、そこそこの品質の物をいくつか揃えてなんとかすることが多いのがこのゲーム。


「なのにそこそこ以下の装備を破壊する能力を持つとか正気かこのクソ恐竜……!」


壊れた両手斧の残骸を投げ捨てながら悪態をつく。これが普通のボスエネミーなら既にさっさと撤退している。そしてまた入念な準備を経て今回の知見を活かした万全な作戦を練ってリベンジといくだろう。


だが、マグヌスだけは話が別。なにせ比較的遭遇しやすいと言われるレックスですら発見するだけでリアルタイムで5日かかったんだぞ。ここで逃げて準備終わって再戦するのは何日後だって話だ。


さらに言えば終わり自体は見えている。おそらくレックスの体力は残り1/3~1/4程度。スペアの武器がポキポキ折れるとはいえ、防御の比重を下げて用意した装備全てを使いきるくらいの攻勢でいけば討伐が不可能と断定するほどじゃない。負けたらアイテムも装備もない素寒貧になるのは確実、立て直しにどれだけかかるか検討もつかない。


「どうするアオハル、退くか?()るか!?」


振り抜かれた尾を高跳びの要領でジャンプして飛び越えながら叫ぶ。


勝利の可能性、敗北のリスク、費用対効果、録れ高。


あらゆる要素を勘案するためにグッと眼を閉じたアオハルが、再び眼を開けるまでにかかった時間は2秒だった。ちなみにその2秒の間に1回嚙み殺されるかと思ったが、いい場面なので口に出さず耐える。


「もし負けたら……みんな、裸一貫からやり直してくれるかい?」


「ったりめぇよ!ケツ捲って逃げるとか言うなら、オレがそのケツ蹴り飛ばすぜ!」


「あれだけ集めたアイテムも大半を使ってますからね。損切りにはもう遅すぎますよ」


「死んだら1からやり直し……ゲームにはよくあることだ」


全員の意思を確認したアオハルが決断を下す。その内容は至極簡潔。


「戦おう」


「「「了解!」」」


「ここからは防御よりも攻撃、殺られる前に殺ろう。それぞれのスペア装備を迅速に交換するために全相棒を元鞘に戻すよ。アカハゲも無理にヘイトを稼ごうとしなくていい」


下された指示は全力攻勢。アオハルの毅然とした口調から覚悟が決まっているのは十分わかるが、それでも形だけの疑問を呈しておく。


「それでいいのか?お前らがヘイトを買った時の対処法は?」


「気合いと根性!たっぷりアカハゲが回避を実演してくれたんだから、キハゲもチャハゲも降りかかる火の粉を払うくらいはできるよね?」


「火炎放射くらいデカい火の粉ですけど、なんとかして見せましょう」


「アカハゲのサポートやってる時にだいぶ掴んだからな。元よりアカハゲがくたばったらオレが代わりをやるつもりだったぜ」


みんなアクションが苦手でも下手というワケでもない。むしろ平均よりは確実に上手い。慣れるまでに死ぬ可能性が高すぎたから俺がタンクしていたが、ここまで実物を前にじっくり観察することができたなら自衛はある程度できるはず。


「よし、だったら……こい、アサナギ!」


「キュルァ!!」


ドタドタと足音を立てながら相棒が走り寄ってくる。同時にアオハルの指示で青太郎がレックスに派手なドラゴンパンチをぶちかましてくれた。まったく、最高のタイミングだ。


レックスの注意が青太郎に向かっている隙にアサナギの体に巻き付けていたスペア武器から大きい鉈のような剣と刺突に特化した刺剣を取り出し、ついでに消耗したアイテムも補充。


威力よりも耐久重視で作成した鉈剣を左手に、それよりも幾分か小さい刺剣を右手で構えられるよう腰に差す。どうせ鉈剣もそんなに持たないだろうが、気休め程度の盾代わりにはなる。


手早く装備を整えたらアサナギの背に仁王立ち。見据えるは青太郎の首筋に牙を突き立てんとするマグヌス・レックス。


「突撃だ相棒!!」


「キュォオオオ!!」


運搬役として俺たちパーティを支えるアサナギが全体重をかけてレックスの横腹に体当たりを敢行。レックスをぶっ飛ばすまではいかなかったが、多少でもよろめかせることに成功した隙をついて青太郎が脱出。


俺はというとインパクトの瞬間にアサナギの長い首を伝い、レックスの背に飛び乗り張り付いた。


「オラァ!」


腰から引き抜いた刺剣を振りかぶり、思いっきりレックスの背中に突き刺す。刺せば抜き、抜いては刺し、ひたすらに剣を突き立てていく。


「グルォオオアアア!!」


「さすがに張り付かれたら視界に入ってなくてもヘイトが向くか!」


俺を振り落とすべく地団駄を踏んだり激しく身を捩じらせて暴れるレックスに対し、突き刺した剣をアンカーのようにして踏ん張って対抗。だが生まれ持った種族としての膂力が違いすぎ、レックスが背を跳ねさせるだけでも自動車に撥ねられたのかと思うくらいの衝撃が体を突き抜ける。


全力で足掻いても持って数十秒が関の山。だが、防御を捨ててでも攻撃に振るしかなくなった俺たちにとって、わずかな時間であっても火力を集中できることは死なないことの次に重要だ。


「もう降りるぞ!」


「了解です!ビームガンのバッテリーが無くなりましたので、私も前面に出ますよ!」


「全員でぶん殴る筋肉祭りの開催だなァ!」


いよいよ踏ん張りがきかなくなったのでレックスの背から飛び降りて地面を転がるのと交代で、他のメンバーが獲物を振り上げながら笑顔で突撃していく。この光景を見てチャハゲはともかくキハゲの中の人が顔面偏差値がアオハルに勝るとも劣らない美少女であるとはだれが思うだろうか。


それにきーちゃんはバレンタインにチョコじゃなくて銃弾を撃ち込んでくる方が似合うし……いや、こんなどうでもいいことを考えてる場合じゃないだろ。ダメだな、ちょっと集中力が切れてきたか?


不要な考えを振り払うように立ち上がり駆け出し、ちょとダメそうな未来が見えたので声を上げながら跳躍。


「倒れたほうがいいぞ」


「なん、ぐえっ!?」


前にいたアオハルを踏みつけて蹴倒しながら大ジャンプすると、俺とアオハルの間を水平にレックスの尾が通り抜けた。


「やり方はともかく助かったよ!」


「レックスは頭・腰・尾を3対5対2くらいの割合で見ろ。それでだいたいの動きの予兆がわかる。FYI」


For(F) Your(Y) Informatio(I)nって『参考までに』だっけ?なんで、そんなっ!ビジネス英語、みたいな言い回し、をっ!?」


「最近ラオシャンの方で外国の人からダイレクトメールがちょいちょい送られてきてな……VRギアが翻訳してくれるんだけど、せっかくだから原文も読んでるんだ」


「あの、アオハルさん息も絶え絶えなのにアカハゲさんはなんで余裕綽々で雑談しながら回避できるんですか?」


「いやオメェも相当だと思うぜ?」


キハゲはパーティのバランス的に後衛をしてくれているだけで、前衛だってできるからな。IRでソロプレイする時もややインファイト向けの万能型機体を使ってるし。本人曰くハンドガンの射程距離よりちょい遠いくらいのバトルレンジが本領らしい。


そう、つまり全員攻撃シフトになった今一番死にそうなのはアオハルなのだ。頼むからこの動画チャンネルの主役がカッコよく決めて真っ先に死ぬのはやめて欲しい。さっきも俺が踏みつけてなかったら瀕死になってたぞ。


それにしてもヘイトを稼ぐことを意識しなくていいって楽だ。まあ意識しなさ過ぎたらさっきのアオハルみたいに不意の一撃で死にかけるわけだが。


「あっ、これヤバいですね。レア度7の武器でレックスの攻撃を受け止めたら耐久値が1/5くらい減りましたよ」


「僕らのスペア装備はだいたいレア度7なんだけどぉ!?」


「だったら受けずに避ければいいだろ」


「脳筋論破だな、嫌いじゃねぇぜ!」


なおこのゲームのアイテムのレア度は10が最高で、大遺跡産のアイテムや最高品質の鉱石類を惜しみなく使ったカルデラメイカーがレア度9だ。レア度10の装備は一部のクソヤバい大遺跡やマグヌスの素材を使ったものになる。


なので今回俺たちが用意した装備は最高の一点ものがレア度9、レア度8が数本、残りはそれ以下。チャハゲのスペア装備を持っていたオウドが脱落しちゃってるのがかなり痛いな。


カルデラメイカーがあれだけ耐えたこととさっき潰れた斧がレア度7だったことを考えると、レア度が1落ちたらレックスの攻撃による耐久値の減少が5~10倍くらいになるのかもしれない。マジでふざけてやがる。


「ちょっ、助けてー!なんかものすごく狙われるぅー!?」


「動きが大げさな奴にヘイトが向く仕様だから、レックスって回避がヘタクソな奴ほどよく狙うことになるんだよな」


「シンプルゆえに効率的ですよね。多数を相手にするときの鉄則である弱いやつをさっさと倒して数を減らすことが自然にできます」


「低レアの装備を壊す能力もそこに通じてるのかもしれねぇぞ。弱いやつは王の前に立つ資格なし!ってな」


「あれぇー、みんな僕の救援要請が聞こえないのかなぁー!?っていうか遠回しに僕をザコ扱いするのやめてね!?」


実際になんだかんだレックスの攻撃を死なずに避けているだけあって、青もアクションは出来る方。人並みどころか普通に上手い部類に入る。ただ俺たちと戦ったら負けるってだけの話。


「ちくしょー!……っと、今だ青太郎!」


「ゴルァアアア!!」


そしてアクションで一歩譲る代わりに人と物を配置する能力は青が一番長けている。妙なところで抜けているのが玉に瑕ではあるけど。


わちゃわちゃしながらではあるものの何とか回せる。アサナギは攻撃に参加させられないがゲルプと青太郎はAIが戦闘を学習したのかヒット&アウェイに徹して被弾が目に見えるほど減ってきた。このゲームのNPCは優秀だ。


小さいから軽視しがちだが実はそれなりに力がある前足でのひっかき攻撃を受け止めたところで鉈剣があっさりと折れたので、またしてもアサナギのところで補充しなければならない。俺が一番前面に立っているので攻撃するにも受けるにも耐久値の消耗が激しいのに、俺とアサナギの位置が離れすぎている。


かといってアサナギをレックスの攻撃圏に呼ぼうものならあっという間にアサナギが殺されてアイテム切れのゲームオーバーだ。それだけは避けなければならない。


「武器取りに行ってくる!」


「僕の剣を渡す!耐久値は半分くらいしかないけどレア度9だから安物よりは全然持つはずだ!」


「じゃあお前は……いや、助かる!」


右手に残っていた刺剣をしまって投げ渡された剣を拾う。大身で片刃の剣は手元のスイッチを押すことで(みね)側にビームの刃を形成するギミック武器。俺のカルデラメイカーと同じく現時点の最高級の素材と最先端の技術で作った一品だ。


「うぉおおお!!」


横薙ぎの尾を上から叩きつけ、その反動で前転するように尾を乗り越える。そして尾が通り過ぎた先、回転してこちらへと向いた顔を勢いのままに斬りつけ駆け抜ける。


少し距離を取ったところで振り返り相対すれば、派手なアクションをしたことでレックスのヘイトは完全に俺に向いていた。


「グルルルル……」


「来い。ここからが本番だ」


剣を両手で握り、体の正面で目線の先に剣の切っ先とレックスの顔を置くように構える。


「友の武器を手にボスと対峙するとか完璧な主人公ムーブですね」


「本当の主役様は必死で武器取りに走ってるんだけどな」


「悪質な切り抜き動画みたいな情報の並べ方はやめろぉ!武器を渡したから今走ってるの!!」


……なんか締まらないなぁ、俺たちは。

3ハゲ+ハルのゲーム腕前アクション編 (個人戦)

赤:対人戦なら武器を持ってない時の方が強いクロスファイター。そのゲームに集中している時ならいわゆるトップ層の人たちと互角とまではいわないがいい勝負ができる。純粋な戦闘だと4人の中で1番強い。人の体を捨てればもう一段階強くなる。

青:個人の戦闘力だと一番弱いが他3人がアレなだけ。他のモデルとか芸能人とかとガチ勝負のコラボをしないのはライトゲーマーレベルが相手だと青が強すぎるから。動画を見て笑ってる視聴者のうち、青と同じだけレックスの攻撃から逃げ続けられる人がどれだけいるかな?

黄:格闘では赤に一歩及ばないけど近接戦から遠距離スナイプまで何でもできる。本人は『実は私は格闘寄り万能型なんですよフフフ』と思っているが適性は射撃寄り万能型。射撃戦なら1番強い。ロボに乗ればもっと強い。

茶:反射速度と度胸なら赤と同等以上でアクションゲームは結構強い。戦闘技術的には赤と黄の後ろに立つも、速度が重要なゲームでは一転してトップに。本質的には勝敗よりも過程を楽しむタイプなので、熱くなれると思ったら不利な勝負でも受け入れがち。

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― 新着の感想 ―
黄な「ロボットに乗れば…」 はよく分かるけど 赤の「人の体を捨てれば…」 はちょっと意味不明ですね。 ※赤だからで納得はできるのですが… そのうち、「人の体じゃ限界だ。アサナギ合体するぞ!」とか言い…
人の体を捨てる(ガチ なのは草
人の体を捨てればもう一段階強くなる。 RPGのボスみたいな真の姿を持つキャラがFAということか……
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