Two weeks later……
俺:アイギス様、水着ラピスくーださい!(十連ガチャガチャ)
アイギス様:ええんやで(黒4水着ラピスリュクスセーラカボチャ、白2トトノ水着サンドラ、金3、銀1)
俺:ははーん。俺、今日死ぬな?
FGOは全然当たらないくせに何故かDMMのゲームはガチャ運が頂点に来ているという。
「うおおおお!!死ぬ死ぬ死ぬ!バカやめろお前、人間は数トンの体重を持つ生き物に踏まれたら死ぬんだぞ!あ?殺すつもり?知っとるわボケ、俺もお前をぶっ殺しに来てんだよ頭出せカチ割ったらぁ!!」
龍が全体重をかけた前足での踏み付けを間一髪躱し、反撃に斧を振るうが掠っただけ。
お互いに一歩引いて体勢を立て直す。胸の前で構えた斧越しに相手を見やると、向こうもこちらを敵意のこもった目で見ていた。まあ、殺し殺されなんだから当然だな?
巨大な狼のような姿をした四足歩行の龍である『キバガミ』は牙を剥いて唸っていて、まだまだやる気満々のようだ。俺も全身ズッタズタのボッロボロだけどやる気は萎えていない、なぜならこいつを倒せばようやくヤマトに入れるからだ。
長かったなぁ、ここまで来るの。ドラスレはレベルの上がりは速い方とはいえ、気付いたらもうレベル60後半だよ。そんで大陸東端から船でヤマトについたと思ったら、いろいろ難癖付けられてヤマトの地を踏む資格はないとか言われてさぁ。
ぶっちゃけ俺のやり方が変なだけで、普通にやれば特に何もなく入国できるらしいけどさ。何がどうなってこんなことになったんだろうね?いろいろめんどくさくなって密入国しようとしたのがダメだったのかな?
おっと危ない、余計なこと考えていたら目の前に開いた顎が迫ってるじゃないか。ふむ、後ろに下がっている暇はない、と。だったらしゃがめばいいじゃない。
キバガミが俺を食いちぎろうと顎を閉じる瞬間、ありえない速さでリンボーダンスのようにスウェー回避する。当然避けるだけでなく、がら空きになった喉に斧の一撃をお見舞いだ。大丈夫、スキルのおかげでこの体勢でもちゃんと戦える。若干力は入らないけど。
あり得ない速さでの回避からあり得ない態勢からの反撃を喰らった相手が怯んだ隙に、上体を今度は前のめりにして敵の懐に滑り込む。
相棒を構えて限界まで足に溜めた力を一気に解放。地を踏み砕かんばかりの脚力が俺の体を天へと飛ばす。まあ、天より先に奴さんの喉にぶち当たるんですけどね?
「ッゴ、ゴガ!ガァァ!?」
ケケケ、アッパー攻撃に強い補正が入る『大昇撃』と跳躍力大強化の『飛天』を組み合わせたこの攻撃は効くだろう?神速のリンボーダンスも『兵進低頭』のおかげさぁ。
なんせ初期スキルが『兎跳』だったからな、ぴょんぴょこ飛んでたおかげで打ち上げと打ち下ろしに補正が入るスキルが育つのなんの。『兎跳』も『宙駆』を経て『飛天』に成長して、今ややろうと思えば垂直跳びで5メートルくらいは楽勝で飛べるし、二段ジャンプはおろか高度限界はあるけど無限ジャンプもできるぞ。
「隙を見せた龍を見逃すほど、龍狩りは人間出来てないんでね!」
喉という呼吸と咆哮になくてはならない重要な器官を二度も痛打されたことにより悶絶するキバガミに、追撃の刃を遠慮なく振るう。
度重なる強化によってもはや斧と言っていいのかよくわからない相棒が荒れ狂う。なにせ持ち手となる棒の上下に、かなり湾曲した片刃の斧が互い違いの向きについているのだ。これはむしろ槍や変則的な双剣のカテゴリーでは?と思いながらも、両剣ならぬ両斧となった相棒を渾身の力で叩きつける。いやほんと、振り方に気をつけないと反対側の刃で自分斬るからね。
斬撃というよりは打撃に近い斧の攻撃はそれぞれの刃で交互に敵に襲いかかる。各種補正のかかるスキルの手伝いもあり、ゴキッ!ボキッ!!メシャ!!!っと鈍い音を響かせながら龍の外皮を断ち割っていく。
「死ぬほど手こずらせやがって、これで終わりだぁぁああ!!」
怒涛の攻撃で動きが鈍くなったキバガミにとどめのフィニッシュブロウ。持ち手の真ん中を持って勢いよく回転させた武器を渾身の力で叩きつける猟技『過重撃:旋風』が頭部にクリーンヒットする。
確かな手応えとともにキバガミはどう、と倒れた。さすがに無いとは思うけど死んだふりの可能性をぬぐい切れないので、相棒を構えて警戒を続ける。
しばらくの間ぴくぴくと動いていたキバガミは、最後に消え入るような微かな声で吠えたのち、完全に動かなくなった。
「よっしゃあ!これで俺もヤマトに入れるぞー!」
なっはっはっは!!どんなもんじゃい!
ここまでたどり着くのにリアル時間でほぼ2週間かかったからな!マジで疲れ申した。記念にキバガミが消える前にスクショとっとこ。
お?キバガミを倒したことでレベルアップだ。これでレベル68、Max99だから、もう結構きたな。ステータスの割り振りはいつも通りSTR(筋力)に多め、DEX(俊敏・器用さ)に余りを振る。おお、新しいスキルも生えたな。とりあえず取捨選択は保留で。
ドロップアイテムは……キバガミの牙、爪、毛皮、尻尾、骨。まあまあそんなもんだろ。キバガミは俊敏に動くタイプの龍だったからな、これで服飾品を作ったらDEXに補正入らないかな?
特別なドロップアイテムとしてキバガミの下顎骨を手に入れた。これをヤマトの港長に見せることでようやく自由にヤマトを歩き回れるってことだ。現状では港とキバガミの山しか行き来できなかったからな。
ああ、長かった旅路が思い浮かぶ。
いろんな港町にヤマト行の船便はあれど『資格を持っていない』とかで全然乗せてくれないし、そんなら陸路でギリギリまで行ったらぁ!と意地で突き進み、必死の思いで大陸東端に来ても同じようなことを言われて……。
最終的にプッツンきて船に忍び込んで密入国、ヤマトまでは来れたものの港で見つかりクッソ怒られた。結局、二日以内にキバガミを倒せるくらいの実力があるなら入国を認めるとか言われたのであのクソワンコとじゃれ合ってたというわけだ。
マジでキバガミは面倒だった。
何が面倒って単純に強い。ブレスや特殊能力に頼らず、ただただ恵まれた膂力と俊敏性でこちらを追い詰めてくる。こういう単純なガチンコは一対一だととても辛い。なにせ向こうも特殊能力がない分堅実に淡々と攻めてくるから、さっきみたいに虚を突いた一撃が入らないとひたすらじり貧だ。
最終的に勝てたからいいけど、次やっても勝てるかどうかは微妙だな。回復アイテムの類もほぼ使い切るくらいの激戦だったし。
だけどそんなことはどうでもいい。さっさと港長にこのどうやってバッグに入っているのかわからない大きさの骨を突き付けてやろう。そんで正式にヤマトに入国だ!
「ま、まさか、本当に一人でキバガミを倒すとは……」
俺が差し出した顎骨を受け取ったちょんまげの港長がなんか驚愕してる。
なんだ?どうせクリアできっこないって高を括ってたか?だったら残念だな、ゲームである限り(負けイベを除き)超えられない障害などないのだ。どんな敵も死ぬまで殴れば死ぬ。問題はそれを成し遂げるまでに自分の心が折れないかどうかだ。
「ううむ。夢でも見ておるかのようだが、この骨は紛れもない実物。なれば力を示した強者には敬意を払うべきか。……うむ見事!まことあっぱれな武人よな!」
バッ!と扇子を開きはっはっはと笑う港長。うんうん、俺ってすごいだろ?だから出すもん出せハゲ。
「ヤマトは和と武を重んじる。それゆえ、信頼できる仲間もいない龍狩りは入国を拒否するのだが……いやはや、貴殿のような優れた武人であれば独りでいるのも頷けるというもの。約束通りヤマトへの入国を正式に許可しよう」
これを、と渡されたのは手のひらサイズの木製の円盤。表面にはさっきまで戦っていたキバガミの雄々しい姿が彫り込まれている。
「それは試練を超えて武を示した強き者にのみ与えられる特別な証。それを人目につくように身に着けておけば、ヤマトの大抵の場所には出入りできよう。ただし、その力を見込まれて厄介な依頼が舞い込むかもしれぬが、それは受けるも流すも好きにされよ」
ああ、これあれだな。分岐したな。
港長の話からするに、ヤマトは通常だと一人では来れない場所みたいだ。でも俺の様に無理やり入国すると試練が課され、無事クリアできれば「優れた武人」として特別視されるルートに入るようだ。
なるほど、そりゃ資格がないって言われるわ。ドラスレ始めてからこの2週間、ガチで一人旅してたもんな。青ときーちゃんも好き勝手やってるみたいだけど、まだ一緒にプレイしてないし。二人ともみんながびっくりするようなキャラ作ってやるって息巻いてたっけ。
まあ、そういうことなら、適当に腰にでもぶら下げときますかね。
アイギスで一番のお気に入りは堕天使クロエです。アズライールまで覚醒してもちろん好感度上限解放しました。
花騎士で一番のお気に入りはナデシコです。当然レベル100で装備スロットも技レベルも最大です。
FGOで真っ先にレベル100にしたのはジークフリートです。サービス開始から福袋でジャック引くまで星4以上の鯖は彼だけでした。あの時の私のガチャ運クズ過ぎない?




