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ダイブ・イントゥ・ゲームズ ~ぼっちなコミュ障、VRゲーム始めました~  作者: 赤鯨
YESニンジャ、NO忍者 ~ニンジャドー~
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刃の下に心を隠す気ゼロ

今回からサイバーパンク・ニンジャアクション【ニンジャドー】はーじまーるよー。

忍者。それは闇に潜み諜報活動や破壊工作を行っていたとされる、昔の日本に実在していた職業の一つ。真っ黒の装束に身を包む、裏方のプロフェッショナル。


ニンジャ。それは前述した忍者の逸話やらそれを元にした創作やらが化学変化のビッグバンを起こした結果できあがった、炎を巻き起こして数十人に分身してクリーチャーをサモンするような、なんかもう忍ぶ気ゼロの超常の存在(スーパーマン)


そして今、俺がやっているこのゲームに登場するのは……後者の方だ。


傾注(けいちゅう)ゥゥゥ!!……集まったな、サンシタども!これより、貴様らが夢にまで見ていたゲニン(下忍)認定の試験を行う!」


左胸に『シハン』と書かれた、シノビメタル製の忍装束(ニンジャ・スーツ)に身を包むニンジャが大きな声を響かせた。それに対して整列したのは、俺を含む左胸に『サンシタ』と書かれた量産型ニンジャ・スーツを纏った十数人。


「試験内容は簡単、二人一組での真剣勝負!己が持てる全てのテクニックを駆使し相手を打ち倒せ、同じ釜の飯を食った仲とて容赦は要らぬ。情に惑わされ、任務に徹することができぬ者などニンジャには不要なり!」


まあ、要するにチュートリアルの最終ステージだ。壁走りやらスライディングやら登攀やらをふんだんに使用するサバイバル・アスレチックをクリアして、最後は実戦ですな。


チュートリアルをやってきた感じ、体の動かし方に違和感はあまりない。そもそもデスブラの会社が作ってるゲームだから操作性は心配してないけど。ただ、壁や天井に張り付いたり二段ジャンプだったりは慣れが必要かな。


そのへんは体の動かし方っていうよりも『自分はそういうことができる存在だ』という認識を持つことが大事というが、俺は頻繁に人間をやめてるから大丈夫。蟹の体で高速ツイスターゲームくらいならできるよ、って青に言ったら「君は甲殻類とラッキースケベとかしたいの?度し難いなぁ」だってよ。あいつも割と容赦ないこと言うよな。


「この試験をパスした者のみが正式にニンジャを名乗れる……覚悟はいいか、サンシタども!?」


「オス、覚悟完了です、オス!」


ノリが忍者っていうよりは軍人なんだよなぁ。あ、忍者じゃなくてニンジャか。

えーと、俺の相手は君だな。よし、厳しい訓練を共にしてきた名も知らぬ量産型ニンジャ君よ、今回は俺が勝たせてもらうからもう一度ブートキャンプに行ってきな。




サイバーパンク・ニンジャアクションゲーム。字面からして劇物臭がハンパないジャンルを冠するこの『ニンジャドー』は、ざっくりまとめると外人が抱いている間違った忍者像をあえてそのままに、近未来な世界観でスタイリッシュなパワードスーツを纏ったニンジャ(忍者にあらず)がド派手なアクションバトルをしたり思い出したかのように潜入・暗殺をしたりするゲームだ。


独自のシステムとして、全プレイヤーは強制的にIGA(イガ)KOGA(コーガ)FUMA(フーマ)の三つのクランのうちのどれかに属することになり、敵対クランのニンジャを始末することで舞台となる『メガロポリスOH・EDO(オーエド)』での勢力圏を広げるというクランシステムがある。


各クランはそれぞれフィジカル、サイキック、エレメントのニンポーに長けていて、自分がどのニンポーをメインにやりたいかでクランを決めるといい。念のため補足しておくとフィジカルは体術、サイキックは念力とか洗脳とかの超能力、エレメントは火遁や水遁みたいな魔法っぽいものだ。


「てなわけで晴れてゲニンになれたんだけど……とりあえず何しようかな」


どうも、赤信号もといレッドシグナルです。なんていうか、サイバーパンクな世界なので英語にしてみたぞ。気に入らなかったらいつでも改名できるらしいからその辺は大丈夫。


さてチュートリアルを終えた俺は正式にFUMAクランのゲニンとなり、じゃあそういうことでとばかりに昼のOH・EDOの一角に放り出されてしまった。このゲーム、決まったシナリオというものがほぼないらしいので、やりたいことは自分で見つけなければならない。


そんなこともあろうかと事前に調べていた情報によると、プレイスタイルは大まかに分けて『ロールプレイ重視』『ダンジョンアタック重視』『対人戦重視』の三つがあるらしい。ちなみにどれにせよシステム的にある程度のロールプレイが求められるあたり、さすがはデスブラのデュアリズム社だぜ。


ダンジョンアタック重視と対人戦重視は見ての通りなので置いとくとして、ロールプレイ重視は『スーパーマン型』『仕事人型』『裏切者型』とまたいくつかのカテゴリがあったりと幅広い。自分で言っておいてなんだがスーパーマン型なんてもはやニンジャですらない。


「そこは好きにやっているうちに勝手に決まるだろ。まずは装備を揃えたりしますかね」


現在の俺のニンジャ・スーツは(メン)(ドウ)籠手(コテ)(ハカマ)脚絆(キャハン)の上から下まで【量産型正式採用忍装束 FUMAゲニン】シリーズ一式で揃えられている。この手のゲームに良くあることだが各パーツにはそれぞれ個別の機能がついていて、それらをうまく組み合わせて自分好みのニンジャ・スーツを作り上げるわけだ。

なお、FUMAゲニンシリーズは取り立てて特別な機能はないが一式装備のボーナス効果で『エレメント・ニンポーに消費するNPが10パーセント減』を持つ。


そして武器はこれまたクランからの支給品であるビームコダチとビームショートボウ。闇に舞い踊れってCMで言ってたけどビーム使ったら暗闇でクッソ目立つじゃん、どんだけ忍ぶ気ないんだよ。


ちなみに戦闘時以外はカモフラージュとして一般人に変装しているので、今の俺はパワードスーツのヤバい人ではなくてごく一般的な青年だ。変装っつってもニンジャ・スーツの表面にテクスチャを張り付けているタイプのカモフラージュだけだし、あくまで雰囲気づくりなのでニンジャが少し注視すればすぐにバレるようになってるんだけど。


「装備を買うならクレジットがいる、と。最初はおとなしくクラン・オーダーでクレジットを稼ぎますかね」


いつまでも歩道で立ち止まっていると他のプレイヤーにバレバレなので周囲のモブに紛れるようにしてちょっとした広場的な場所のベンチに腰掛け、巻物状の端末を呼び出す。

ニンジャドーの世界では持ち物は全てパーソナル・ストレージと呼ばれる亜空間にしまっており任意に呼び出せるのだ。そうじゃないと白昼堂々ビームソードやロングボウを担ぐことになって変装の意味が無いしな……。


そんじゃ呼び出した端末を使いましょうね、っと。見た目は巻物だがこれは極薄のシート型タッチパネル・ディスプレイであり、ニンジャはこれでクランからオーダー、つまり任務を受けることができるのだ。


「えーっと、ゲニンが受けることができるのは……」


幾つかあるオーダーの中で今の自分にできそうなものを吟味していた時、不意に背後の方で声が聞こえた。


「……貴様、FUMAのニンジャだな?」


口から飛び出そうになる変な声を必死に殺しながら歯噛みする。早い、見つかるのがあまりにも早すぎる。まだチュートリアルが終わって数分しか経ってねーんだぞ!


どうすればいい?今の俺で勝てる相手なのか?そもそもなんて言葉を返すべきなんだ!?


「ふっ、バレてしまっては仕方ない……とうっ!」


え?と思って振り向くと、そこには大きくジャンプして宙返りをしながらカモフラ・テクスチャを解除する一人のニンジャ。緑と黄色のカラーリングが施され、速さと鋭さを感じるエッジの利いたニンジャ・スーツがきらりと光る。

そのままスタッと近場の街灯の上に着地すると、そのニンジャはやや大仰ながらも堂々とした仕草で見得を切って名乗りを上げた。


「恐れ多くもFUMAクランの中忍頭(チューニン・リーダー)を拝命する、拙者の名はサンダラー!我がカモフラを見破りしそのウデマエ、敵ながら見事なり。貴殿も己が名に誇り持つニンジャであれば、いざ名乗られよ!」


サンダラーが見据える一人の老人。品の良いジェントルマンといった外見のその人物がおもむろにその場で高速回転すると、その姿はマッシブなフォルムのニンジャに早変わり。

そして握った両の拳を胸の前で突きあわせ、ゆっくりとした動作で拳法のような構えを取った。


「我こそはIGAクラン上忍(ジョーニン)、【空蝉(ウツセミ)】のガナ・マッソゥ!フィジカルのIGAが名の通り、この鍛え上げた肉体で貴様を打ち砕かん!」


すげえや、ニンジャ同士の名乗り合いってこうなるんだな。この辺はデスブラに通じるものがあるというか、やっぱり事前に登録しておいた口上を述べることで一定時間のステータスアップができるそうだ。でも口上を述べられるのは中忍以上らしいからさっさとそこまで上がらないと。


「おお、音に聞こえし【空蝉】が相手とはなんたる幸運。その首とってFUMA勢力拡大の一歩とせん!……ゆくぞ!エレメント・ニンポー【イヅナ・フォール】!」


サンダラーが印を結ぶと同時にガナ・マッソゥを標的として暗雲もない空から雷が落ち……周囲が光と音に包まれる直前、こちらを向いたサンダラーが俺に向かって頷いた。様な気がした。


「(そういうことか。ありがとう、サンダラーさん!)」


落雷の衝撃で巻き起こった土煙に合点がいく。サンダラーは俺に気づいていて逃がしてくれようとしているのだ、多分。


そうと分かれば急いで離脱だ。この二人の戦いを観戦したいという気持ちもあるけど、本格的に巻き込まれたら今の俺じゃ肉の壁にもなりゃしない。ひとまず先輩方の名乗り合いが見れたことに満足してここは退散しよう。


周囲の逃げ惑うモブに隠れながら、そそくさと広場から逃げる。後方からは派手な破壊音がドッカンバリバリと聞こえてくるが、まだ俺はあそこに入り込む立場じゃないことを自覚しろ。大丈夫、そう遠くないうちにああやってカッコよく戦える日が来るさ。多分、きっと。



なお後になって分かったことだが、俺が一息ついていた広場があるエリアは激戦区の一つらしい。それというのもゲニンとなった初心者はある程度ランダムな場所に放逐されるのだが、俺がいた場所は比較的他のエリアよりも多くの初心者が放たれるエリアであり、いわば初心者狩りが多い場所なんだそうだ。


で、それを嘆いた各クランの実力者たちが初心者狩りを狩るためによく徘徊していて、結果的に初心者から上級者までがギッシリ詰め込まれた危険地帯となったんだと。本末転倒というかなんというか、微妙な気持ちになるな。

サンダラーもガナ・マッソゥも『ルーキー狩るとかゲームの寿命縮める気かよ、初心者狩りは末代まで呪われろ』と思ってるタイプの人です。


実は主人公以外にもう一人IGAの初心者があの場所にいて、サンダラーもガナ・マッソゥもお互いの後輩を守るためにわざと派手な戦いを起こし、近くに上級者がいるぞと周囲の初心者狩りに警告を行いつつルーキー二人を逃がした……なんて美談があるかもしれないし、割と強そうなやつがそこにいたから適当にケンカ吹っ掛けただけかも知れない。

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― 新着の感想 ―
[一言] ルールブックが無料公開されている「ゲイシャ・ガール・ウィズ・カタナ」というTRPGがまさに"NINJAをはじめとする日本文化をいい感じに勘違いした外国人がサムライやゲイシャ、スモーウォリアー…
[一言] 一番使いたいのは神風の術・・・FUMA一択だな
[一言] 人外系でも海産物系のジュツとかあるのかな?余りにも限定的すぎるか。どのみち人外系のジュツがあったら適正ありそうな予感がする
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