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ダイブ・イントゥ・ゲームズ ~ぼっちなコミュ障、VRゲーム始めました~  作者: 赤鯨
みんなで騒げ、青春チャンネル! 〜いろんなゲーム盛り合わせ〜
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女神さまのお気に入り

日本に戻ってきたので更新です。

「『何もない素晴らしい毎日。気分が晴れやかになる』……書くことが無くなった小学生の夏休みの絵日記みたいですねぇ。まあ、マイナスじゃなければいいです」


三周目のきーちゃんのターン、彼女は何もないというある意味では大当たりのマスに止まった。晴れ渡る空の下、涼やかな風に街路樹の木の葉が揺れる都市部の目抜き通りをスマートハゲマッチョが得意げな顔で歩いているのがメチャクチャ憎らしい。


「そんなマスあるのかよ……。俺は犬のフンを踏んで靴のクリーニング代取られたのに」


「僕は存在すら知らなかった彼女に貢いだうえに捨てられてるからね。その程度で不幸だと思わないでよハゲ」


おう(はい)、ハゲだぞ(です)


「両方ハゲだとめんどくさいなぁ!アカハゲだよ、アカハゲ!」


じゃあきーちゃんはキハゲだな。うーむ、ますますアオハルをアオハゲと間違えそうだ。最初はネタでやってたけど、そのうちマジで覚え間違いしそう。


さてさて全員が三ターンを経過したということは、皆お待ちかねのミニゲームタイム。はたしてどんな内容なのかな?リアル知識と技術がものを言うのか、それともステータスが物を言うのか。はたまたそれらのハイブリッドか?


「おっ?」


不意にワープさせられ、到着したところは三つの机が等間隔で設置された部屋だった。その真ん中の机に俺が、左右の机にそれぞれ青ときーちゃんが座っている。

机には手のひらサイズのドーム状ボタンとタッチスクリーンと思わしきモニターが埋め込まれており、そして視界の正面にはこれまた大きなモニター。……うん、ミニゲームの内容が分かったぞ。


「あー、これかぁ。見ての通りのミニゲームだよ、無難なやつが来たね」


特に言うことはないです、といった感じに青がコメントしたところで『ぱっぱかぱーん!!』と気の抜けたファンファーレが響いた。どうやらミニゲームが開始するようで、説明&司会役のAI音声が流れる。


『【知識は力だ!ナレッジ・イズ・パワー!!】これから皆さんには様々なジャンルのクイズを受けてもらいます。正解すれば他のプレイヤーにダメージを与えることができ、外れた場合はその問題と次の問題の回答権を失います。どんどんクイズに正解して、他のプレイヤーを倒しましょう!なお、全員が十五秒以上答えられなければ自動的に次の問題に流れます。また、与えるダメージ量には知識のステータスによってボーナスが付きます』


ほら予想通りクイズじゃねーか。それにしても知識で殴れとはよく言ったもんだ、少なくとも社会人になるまで勉強はこれ以上なく強力な武器になるからな。俺みたいなのだって、それなりに勉強をしていれば大学にも入れるんだもん。

こういうド直球なクイズ以外にも、意外と知識を要求してくるゲームって多いしね。特に謎解き脱出系とか。


「問題の難易度は完全にランダムだよ。試しにやった時は小学生の理科レベルの問題が出たと思ったら、今度はマニアしかわからないような難問もあったし」


「クイズっつっても運試しみたいなもんか」


「二人とも、そろそろ始まりそうですよ」


促されて大モニターの方を見ると、ババン!という効果音と共に問題が読み上げられていく。


『では第一問、ジャンルは【帝王学】。国家や宮中の行事作法、公文書の発給手続き、天皇として学ぶべき学問等、次代の皇子に対して天皇政治について第八十四代順徳天皇がまとめた解説書の名前は何でしょう?』


「「「わかるか、そんなもん……!!」」」


帝王学なんて一般ピーポーがやるクイズに出すんじゃねーよ!現代社会で帝王学を学ばなきゃいけない人間が何人いるってんだよ!!

いやしかし冷静に考えろ、帝王学とは言っているが要するにこれは日本史である。それなら俺にもワンチャン……ないな、知らんもんは知らん。おとなしく黙って十五秒を過ごそう。


そして当然の様に全員が口を噤んだまま十五秒が過ぎ、この問題はお流れとなった。ちなみに正解は『禁秘抄(きんぴしょう)』だそうだ。ははは、聞いてもわかんねぇー!


「ハゲマッチョにインテリは厳しいな」


「都合のいい時だけガワ(アバター)中身(プレイヤー)を同一視しないでくれるかな。それにしても一問目からブッこまれたねぇ……」


「あの問題を十五秒以内に答えられる人が日本に何人いるんでしょうね?」


その気持ちは大いにわかるが、気持ちは切り替えていこう。大事なのは過去ではなく、今とこれからだよ。過去はたまに振り返るだけでいいんだ。


『それでは第二問、ジャンルは【生物】。現在、ウミガメの現生種は二科・六属・七種とされていますが、その六属を全て「アカウミガメ、アオウミガメ、ヒメウミガメ、ヒラタウミガメ、タイマイ、オサガメ」A.KAさん、正解です!!』


楽勝過ぎてあくびが出るぜ。ちなみに科が違うのはカメ目の中でも最大のオサガメだけ。こいつらは甲羅が無く、背中は皮膚で覆われてる珍しいカメで主食はクラゲだ。深海千メートルあたりまで潜れるから結構楽しいぞ。


「さ、さすがラオシャンのヘビーユーザーは伊達じゃないね……。どっちかっていうと見た目はゴリラのくせに」


「これは完全に海キメてますね」


誉め言葉と受け取っておこうか。さすがに本職の学者には足元にも及ばないだろうが、クイズ程度ならこんなもんよ。さあ、海の問題を続けるがよいぞ。




『第十問、ジャンルは【漢字】。次の漢字の読みを答えよ。【翻車魚】「マンボウ!」A.KAさん、正解です!』


「なんでそこでマンボウなんですかぁー!?」


この一撃できーちゃんが撃沈。青は七問目で脱落していたので、これで俺の勝ちだ。開幕の時と同じように気の抜けたファンファーレが鳴り響く中、哀れな二人に優勝者からの金言を賜そうではないか。


「知識は力、力とは筋肉。すなわち筋肉は知識だ。つまりこの戦い、始まる前から俺の勝ちは決まっていたんだよ」


「暴論にもほどがありますけど、私たちが何を言っても負け犬の遠吠えにしかならないのがまた」


「クソっ、A.KAが普通に勉強できるの忘れてた……!」


まあな、勉強ができるとコミュ障なぼっちでも表立ってイジメられることってあんまりないからさ。高校の時なんかはこれでもゲームと勉強の両立を結構頑張ってたんだぜ?


それはさておき、ミニゲームの勝利特典は『この後の職業収入が1.X倍になる。Xはスロットの出目である』だそうだ。結果は五だった、ラッキー。


「それじゃあ職業収入のスロットを回して、次のターンに行こうか。僕はフリーターなんで出目×500だけなんだけどね!……あっ、七が出た。なんだろう、嬉しいけど運を無駄にした感がすごい」


最大値を出したスロットを絶妙に微妙な顔で見つめる青が面白すぎる。元がイケメンだから許されてる顔だぞ、それ。


「最大値ってことは親のスネをかじらずにちゃんとバイトしてるってことなんですかね、設定的に。だとしたら真面目なフリーターですね。えっと、私は四です。以前のマスの効果で収入は倍になりますが」


「ただ就職に失敗しただけだからな。本人にやる気はあるんだろ。俺は固定給だからスロットはナシだ」


そして四ターン目。青はボランティアに参加することで魅力が上がった代わりに資金が少し減り、俺は会社関係の資格を取ったことで技術と知識が上昇。

そして、ここまでスイート街道を走っていたきーちゃんには、ついにビターの洗礼が施されることになった。


「『世界的な株価の下落により資産が激減。所持金が四分の一になる』そろそろ来る頃だと思ってましたが、初回からだいぶヘビーなやつが来ましたね……」


今までの中でも割合的に一番の損失額だ。上げて上げて落とすとは乱数の女神さまも意地が悪い。さすがにこれは痛いだろう。

ものすごい勢いで減ったきーちゃんの所持金を眺めていると、ホログラムウィンドウ越しに青が話しかけてきた。


「ねえ、アカハゲ。今僕は自分の中に言いようのない暗い喜びが湧き上がっているのが感じられるんだ」


「奇遇だなアオハル、俺もだ」


俺と青、二人は同じ言葉を胸の中に潜ませているという確信がある。そしてそれはすぐに口から音となって這い出てくるのだ。


「「ざまぁないな、クソ金持ちが……!」」


悪いが女性には紳士的になどという寝ぼけた考えは、ことゲーム内において俺たちにはない。悪態もつくし、それが格闘ゲームならば喜んで顔面に鉄拳をめり込ませよう。それだけ俺たちは本気でゲームをやっているのだ、相手の性別で態度を変えるなんざありえないな。


それに現在のきーちゃんはハゲマッチョのアバターですし?そんななのに一人だけ扱いが違ってると妙に勘繰られちゃうかもしれないじゃん?だからこの俺たちのどす黒い声はそういうアレをアレするためのアレな措置だよ。要するに鬱憤が晴れてとても楽しい。


しかし俺たちごときの嫉妬の炎にめげるような惰弱精神ではランカーは務まらない。ターンプレイヤーを映す超大型モニターにいるきーちゃんの顔は、余裕すら感じる涼しいものだ。


「まあ、四分の一になったところでアオハルさんよりは断然資金があるんですけどね?他人の幸不幸に一喜一憂するなんて、器が知れますよ。知ってますか?金持ちはケンカしないんです」


チュッと投げキッスすらしてのける強者のムーブ。これが『生まれが違う』ということなのか、生物としての格が違うとでも言われているかのようだ。


「くっ、悔しい……!でも、今のすっごくカッコよかった……!!」


わかるよ、さっきのきーちゃんはマジでイケメンだった。大人の色気すら感じられるほどの、完璧な『できるハゲマッチョ』の動きだ。仮にその外見がアバターではない本物だとしたら、間違いなく俺はキハゲのファンになっていただろう。


「大丈夫だアオハル、お前ならいける。さあお前のターンだ、(おとこ)()せてやれ」


「A.KA……そうだね、僕はやるよ。見ててくれ、君の親友の雄姿を!うおおおお!」


気合十分で回されたスロットの出目は六。さあ、我が親友が手繰り寄せた未来とは!?


『スリに遭う。所持金が三分の一になる』


「あああぁぁああぁあぁああぁぁああ!?」


やっぱ青は持ってるわ。

あのですね、三人組がどんなマスを踏むかは実際に適当な乱数表を作ってダイスアプリで振ってるんです。

なので青が転落街道を驀進してるのは乱数の女神のせいであって私のせいではありません。信じてください!何でも(ry


2020年11月5日にダイブ・イントゥ・ゲームズの二巻が出ます。デスブラ編は対戦するプレイヤーが変わっていたりするので、ぜひぜひ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 日本に帰ってきたと言う事は、更新頻度上がる? 今回のゲーム、滅茶苦茶面白いから、楽しみ。 と言っても、全部面白いけどね。デスブラ読むのが辛いだけです。() その点とても気楽に読める [一言…
[良い点] 青、ほんとに持ってるね~ そこ、弾幕ポイントだよ~ [気になる点] 終わる時は信号機の完成と予想(しててもなんかつまらない感がすごい) [一言] ん!?2巻だって!?やっぺ1巻読みきってな…
[良い点] 面白い [気になる点] ドラスレみたい。久々に。続きを渇望する。
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