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ダイブ・イントゥ・ゲームズ ~ぼっちなコミュ障、VRゲーム始めました~  作者: 赤鯨
色+形=魔法! ~Color's ring × Magic link~
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情報の管理は大切に

カラマジの章も割と終わりが近い。

顔がかなりダンディズムに作られているからわからなかったけど、確かに言われてみれば親父の顔がベースになっている気がするし声も変わっていない。


「おまえもカラマジをやっているとは思っていたが、まさかこうして出会うとはなぁ。なんだかんだでゲームの中で会うのは初めてか?」


「え、なんで俺がプレイしてるの知ってんの?」


怖い怖い!もしかして俺のVRギアの履歴とか覗いてるのか!?パスワードはかなり複雑にしたはずだけど……。

などと身構えていたら、親父も察したのか違う違うと手を振りながらあっけらかんと気づいた理由を教えてくれた。


「晩飯の時にケチャップとマヨネーズを混ぜてオーロラソースを作りながら『混色魔法(ミックスマジック)……』って言ってただろう?一発でわかったよ」


「ぅふん゛っ!?」


やった覚えあるわ、恥ずかしぃー!隣に座っている優芽も気付いてなかったはずなのにバッチリしっかり聞かれてるじゃねぇか!

鍋の蓋とフライ返しで勇者ごっこしてる子どもと同レベルのことをやっているところを見られてたなんて恥ずかしくて死にそうだ……。そしてそれをあんずの前で暴露されたことによりさらに精神ダメージが加速する。


「アカシンさん、アカシンさん」


ちょいちょいとローブの裾を引かれ、果てしなく嫌な予感に襲われながらもそっちの方を向いてみる。すると、ここ一番のはじける笑顔のあんずに手を取られる。


「あんずも図工の時間で絵を描くときにやりました、おそろいですね!」


「ぁ゛ん゛っ」


満面の笑みで突き立てられた刃が俺のガラスのハートを貫通した。ダメージ計算でいうのなら俺の最大HPの1000パーセント分はある文句なしの即死攻撃、それも急所に当たって効果は抜群といったところか。余裕で数十回は死ねる。


ギャグ漫画なら血反吐を吐いて地面に倒れビクンビクン痙攣しているところだが、早くこの話題を変えなくてはならない。なにせあんずは小学六年生としてもかなり素直で無邪気だ、それゆえの悪意なき刃で樽に詰められた髭が有名な海賊のようにメッタ刺しにされるのは御免被る。


しかしこの俺が話題転換を自ら行おうとは、窮地に陥れば人間なんでもやらざるを得ないということか。さてどんな風に話を逸ら「あかりむさんがいてお父さんも来たら、あとはお母さんだけですねー」あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛も゛ぉ゛ぉ゛お゛お゛!


そういうところ!そういうところだぞ、あんず!なんでそうピンポイントで一番アレな情報をアレな人に渡しちゃうんだ、これで優芽がやってることもバレたじゃん!個人的にはそこまでどうとは思わないけど、友達とやっているゲームに親父の影がちらつくってのは年頃の娘としてどう思うかはわからないわけよ。


「信吾……いろいろ聞きたいことがある。アル・ミラージュの討伐が終わったら、少し話さないか」


やだ、デジャヴュ。カラマジやり始めてから事情聴取を受けること多くない?





「ふぅーむ、なるほど。おまえが優芽に誘われてなぁ」


アル・ミラージュ討伐後、俺と親父はホワイティアの協会で話し合い中。リアルの事情がバリバリ出る話なのであんずはちょっと離れてもらっている。

ちなみにアル・ミラージュの出現条件は『平原に入ってから一度も戦闘をすることなく、魔筆をしまった状態をキープしつつ平原の中央より風上側にある岩などの物陰でインターフェースを起動させずに待機し続ける』というものだった。ノーヒントでその答えにたどり着ける人はいるのか……。


「あの子がそこまでゲームに熱中するとは、ゲーム好きの父親としては嬉しいものだな。だけどまぁ、優芽に会わせろとは言わんよ」


「お、意外。てっきりパーティ組んで一緒にやろうとか言うもんかと」


「そりゃあやりたいさ。でも優芽だって高校生。親、特に父親に反抗するような時期に無遠慮に接するのはマズいくらい、父さんだって理解しているとも。……お父さん鬱陶しいから嫌い!なんて言われようものなら立ち直れないしな」


哀愁漂う赤石家パパ(48)。五十路間近でなお現役の筋金入りゲーマーも娘には勝てないらしい。母さんにも勝てないから家族内ヒエラルキー的には下から数えて二番目、つまり俺の上だ。ゲームオタクのコミュ障男子大学生なんて、ヒエラルキーは家族外でも家族内でも最下位で当然。悲しいなぁ。


「ああそうだ。気になっていたんだけど、おまえと一緒にいるあんずというプレイヤーは優芽の友達か?ほら、IRしてるっていう、ちょっと背が低いけど美人の子。そうじゃなかったら……まさか、あのイケメン君がネカマプレイしてるのか?」


ちょくちょく遊びに来たことがあるから青ときーちゃんのことを覚えてたみたいだ。ウチの家には昔のゲームからアナログゲームまでいろいろあるし、ちょっとした気分転換に割とあの二人が来るんだ。

特にアナログゲームは母さんが強すぎて、ボロクソにされた二人がリベンジに燃えている。母さんは実力もあるけど、なにより神に愛されてるからな。麻雀なら一人だけ漫画のキャラクターみたいなツモするし、デッキ構築型カードゲームならイカサマレベルでデッキがガン回りする。


「きーちゃんじゃないし、青でもない。あんずはカラマジで知り合った俺のフレンド。まあ、いろいろあって優芽のフレンドでもあるけど」


あんずが自分から申し出るならともかく、あの子が優芽の友達の妹というところまで教える必要はないだろう。息子!親父!?とリアル関係大暴露で始めた俺たちが言うのもなんだけど、その辺の線引きは大切ね。


「そうか、独りぼっちじゃないんだな。信吾もちゃんと成長しているというわけだ……おめでとう、父さんは嬉しいよ。せっかくのオンラインゲームなんだ、楽しみつくすためにも一緒に遊べるフレンドはいた方がいい」


へっ、リアルの友達だって片手の指で数えられる程度にはいるぜ。そのうち一人は連絡先を知っているだけで顔を見たことはないけど。茶管は住んでる場所が俺らとちょっと離れてるからな。


「じゃあ父さんはクエストがあるからそろそろ行くよ。またどこかで会えば一緒にクエストでもしようじゃないか。優芽には……父さんがいることは言っても言わなくてもいい。信吾がいいと思ったタイミングで話してくれ」


話が一段落つき、そう言って腰を浮かそうとする親父。本当に話を聞くだけ聞いて立ち去るつもりのようだ。多分、優芽が知るまでは家でもカラマジをやっていることを口にしないんだろう。

いつまでも童心を忘れずにゲームを続けるけど、最終的には子どもを優先するところがやっぱり大人で、父親なんだよな。俺はこの親父と母さんの息子でよかったと思う。


「さっきみたいにあんずがポロっと口を滑らせないように言っておくよ」


「そうするといい。それと、晩御飯のあとに父さんの部屋に来なさい。信吾がフルダイブVRを始めた時に渡そうと思って忘れていた物を思い出したよ」


「なに?ゲーム?」


「いや、フルダイブVRが普及してから整備された関連法律を簡単にまとめた本だ。あんずさんの中身が見た目通りかは知らないが、「そうだと思わなかった」ではすまない世の中になっていることは知っておいた方がいい。……決して、父さんがおまえのことをその手の趣味だと疑っているわけじゃないぞ」


だったらこっちに目を合わせろクソ親父、と中指でも立てたくなる衝動を抑えながらもその本は確かに欲しいなと思ってしまう。

現実世界と遜色ない世界にはちゃんとした法整備がされていてしかるべきだし、プレイヤーならそんな法律をざっくりでも知っておいた方がいい。世知辛いけど、もはやゲームだからと何でも許されるわけじゃないんだよな。


「それはありがたく貰うよ。……そういや、親父ってレベルいくつで何系統使い?俺、赤と青なんだけど」


アル・ミラージュの出現条件を知っているから俺より上なんだろう。もしかしたら発売と同時にスタートしたのかもしれない。親父はこういうたくさんの選択肢や組み合わせの要素があるゲーム好きだもんな。


俺の質問にニンマリ笑った親父は、よくぞ聞いたというように大げさな動きでバサッとローブを翻した。その行動に何の意味があるのかはわからないが、本人はメチャクチャ楽しそうなのでよしとする。


「ならば教えよう。レベルは62!そして……全系統使いであーる!CPが全然足りなくてな、全色まんべんなく強化してたらまだ三画しか使えないけど楽しいぞぉー?それでは我が息子よ、さらばだ!」


あっはっはと笑いながら今度こそ親父は行ってしまった。

レベル62ってあんた、俺の倍くらいあるぞ。しかも全系統を解放したうえで平たく強化してるとは……面白いじゃんかよ。さすがは我が父上、全力をつくして遊んでおられる。


しかし優芽が赤特化で親父が全系統使いとは、なんというか俺だけ中途半端な感じがすごい。両方からヘイヘイヘーイ日和ってんじゃねーぞー!って煽られそうだ。いや、あの二人はそんな感じじゃないな、どっちかっていうとそれは青と茶管だわ。


「アカシンさんのお父さん、行っちゃったんですか?」


いつの間に戻っていたのか、近くにきていたあんずが聞いてきた。ちっちゃいからか意外と動きに気づきにくいんだよな、この子。


「ああ。あかりむには内緒にしといてくれってさ」


「えっ」


「えっ?」


すげぇ嫌な予感がする。この敵の攻撃を食らったらギリやられるかもしれないけどリソースの関係で受けるしかないし回避確率は七割あるから大丈夫だよな……?という時のあの気分に似てる。


みるみるうちにしゅんとした表情になっていく女の子の顔を見て、予感は確信へと変わった。そっか、手遅れなんだな……。


「あ、あの、今さっきログインしてきたお姉ちゃんからコールがあって……話しちゃいました。あかりむさんもそこにいるって言ってたし……ごめんなさい!」


「謝らなくてもいい。どうせ俺がどこかで口を滑らせてただろうし、それを知ってどうするかはあかりむ次第だ。だから、だいじょうぶ」


言っちまったもんはしかたない。偶然出会ったプレイヤーが知り合いの父親だったら、そりゃ話したくもなるだろう。口止めもまだしてなかったし、あんずは悪くない。

親父は気を遣っていたけど、多分レベル的にも親父の方が早くカラマジをやり始めたはずだ。たまたまやっていたゲームが被っていたということくらい、優芽だって理解するはず。


さて、じゃあそろそろ来るころかな。


〈フレンドコール:あかりむ〉


ほら来た。ゲームの中だというのに、今日はどれだけ家族と話せばいいんだ……。


青ときーちゃんが赤ママに挑んでボコボコにされたのはカ〇ンとドミニ〇ン、あと人生ゲーム。カ〇ンでは圧倒的ダイス運により的確な資源が補充され、ドミニ〇ンでは捨て札から推察した防御札の枚数から確率的にいけると踏んで出した妨害札がことごとく防がれる。え、人生ゲームってそんなにプラスばかりの人生を歩めるものでしたっけ……?


ちなみに現状のカラマジにおけるレベル上限は80です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 小学生はある意味陰キャにとってリーサルウェポンそのものですよね(笑) 妹様から一体どんなお話があるのでしょうか……gkbr。
[気になる点] 青ときーちゃんが赤ママにぼこぼこにされるの見たいでござる
[一言] 前半くっそ笑って涙出てきた ぜひ青黄茶にリークして「混色魔法……」って煽ってほしい
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