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ダイブ・イントゥ・ゲームズ ~ぼっちなコミュ障、VRゲーム始めました~  作者: 赤鯨
色+形=魔法! ~Color's ring × Magic link~
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唸れアーティスト・ソウル

説明回はまだ続く……

優芽(あかりむ)とフレンド登録をしてしばらく。今は最初の町である【鮮麗の都 アルコバレノ】をおおかた見て回ったところだ、もちろん一人で。

あんにゃろう、早速フレンド呼んでクエストに行きやがった。兄の威厳はもはや塵と消えたがゲーマーとしての意地はまだ残ってる、すぐに追いついてやんよ……!


それはそれとして、かなり大きめの都であるアルコバレノはただ歩いているだけでもなかなかに面白い。街並みはおとぎ話に出てくるような、少しデフォルメされた感じがするヨーロッパ風の城下町なんだけど、これが見ごたえ満点だ。


色をテーマにしたゲームらしく、建物の装飾から石畳の路、道行くNPCの服や空の青さといったすべての配色が素晴らしい。カラフルだけど目が疲れたりはしない絶妙な塩梅で、その多彩な色使いがプレイヤーの心をワクワクさせてくれる。

特に都の中心である王城なんて、製作者の気合の入りようがビンビン伝わる力作だよ。VRゲームをいくつかやっては来たけど『色』のクオリティでは群を抜いていると言っていい。ラオシャンの海と同じくらいのこだわりっぷりだ。


観光気分もいいけど、町の機能を知ることも大事。マップを出せばどのあたりにどんな施設があるのかが分かる親切設計がありがたい。うん、馴染みのある単語もばっちりあるな、よしよし。


「魔筆店ってのが武器屋に相当するとして、防具は……服屋がそれか。それに消耗品の店っぽいのもあるし、最初の協会が他でいうところのギルドだろ?独特な魔法のシステムを除けば、案外普通のMMORPG……かな?」


ファンタジーというよりはファンシーな世界観だけど、割ととっつきやすくて助かる。すれ違うプレイヤーたちも男女比にそこまでの偏りはなさそうだ。

武器・防具店があることが分かったし、お次はステータスチェックといこうか。


アカシン Lv:1

HP:100/100 MP:100/100

CEM:8

CMM:3

DEF:1

AGI:8

DEX:5

LUC:1

魔法系統:白黒(一画) 赤(一画)


魔筆:ビギナーブラシ

指輪:ビギナーリング

トップス:普通の白シャツ

ボトムス:普通の黒ズボン

アウター:普通のローブ(赤)

アクセサリー1:なし

アクセサリー2:なし

アクセサリー3:なし


「CEMが属性魔法力、CMMが精神魔法力……だったかな。攻撃がCEM、搦手(からめて)がCMMの理解でとりあえずはいいだろ。あとはDEXが高いと描ける線が長くなる以外は普通のゲームとほぼ変わりなし、と」


ザ・初期装備って感じの装備品たちも、ほんのりとした属性強化がついてる以外は特筆することなし。指輪はかなりの重要アイテムだけど、今は出番じゃない。

防具=服装なのはどのゲームでも大概そうだけど、おしゃれにこだわるプレイヤーはキツイよな。特に防御力よりも付与された追加効果がメインになるゲームだと一段と顕著になる。性能的には最高の組み合わせなのに、見た目はチグハグどころかただの変態になってたりして頭を抱えるんだ。

どれだけ高性能な装備でも、ブーメランパンツ+マフラー+ロンググローブ+ハイソックスで堂々とパーティプレイができる人がどれだけいることか。いくらゲームアバターとはいえ、自分がそれを着てモチベーションを保てるかという話だ。一部の人たちはためらいなく着用するどころか逆にテンション上がるんだろうけど。


「ま、要求レベルがある以上、装備の話はレベルを上げてからだな。とりあえず、一通り見るもんは見たってことでいいか」


そんじゃあ協会やNPCからクエストを受けつつ、この色と形の魔法世界『カラバリエ』でドローウィザードとしての活動を始めますかね。ひとまずはレベルを10まで上げて白黒の二画目を解放、同時に赤の強化を目標にしよう。

そうと決まれば協会でクエストの受注だ。よりランクの高いクエストを受けるには下位クエストをこなさなくてはならないという例のお約束もあるし、金策も必要だしな。


一度入った施設ならマップからファストトラベルができるので、協会までジャーンプ!……どうも、ゲーム内時間で一時間ぶりですねお姉さん。ちょっといい感じのクエストを見繕ってくんな!

どうせ最初は薬草を採ってきてくださいとかスライム十体の討伐とか、そんなもんだろうけど。白黒と赤しか使えない現状、戦闘系以外のクエストは難しいし。赤の精神要素って怒りと情熱だから、どうにも序盤は使いにくそうだもんな。


「アカシンさんが受注できる依頼は、こちらのリストのものになります。一度に受注できるクエストは三つまでですが、放棄した場合は違約金を支払う必要があることをご了承くださいね」


はーい、無理してクエスト抱えるなよってことね。でも最序盤のクエストで放棄しなくちゃならないレベルのものなんて、依頼の説明文をよく読んでいればそうそうない、と思う。たまにあるよね、とんでもなく高レベルのお邪魔モンスターが出てくる罠みたいなクエスト。


自分の使える色だけで達成が可能なものかを確かめつつ、リストに目を通す。最低ランクなだけあってクエストの数は少ないから、しょうもないミスをしないようにじっくり見ればいい。


「えっと……【花束をあの人に】と【木材求む!】と【駆け出しのお約束:スライム駆除】をお願いします」


選んだのは順番におつかい、収集、戦闘クエスト。説明文を見た感じでは特定の色が必要ではなさそうだし、収集と戦闘のクエストで指定された場所は近場っぽいからまとめて終わらせることができる。

おつかい系はただただ面倒ではあるけれど、こういうのが上位ランクを解放するための必須クエストになってたりするから侮れないんだよな。どんどんクエストが派生していって一つのストーリーになってたりもするし。


「ではこちら三つの依頼をアカシンさんにお任せいたします。この依頼が、あなたにとって良い彩りとなりますように!」


俺も男であるからには、愛想のいい美人のお姉さんが笑顔でいってらっしゃいと言ってくれるとやる気が出るもんだ。ラオシャンのアクアも愛想はいいんだけど、命に対する考え方がシビア過ぎてなぁ。


それではいざ都の外へ!……と思ったけど、一つ忘れてたものを思い出した。優芽の招待に応じたことで貰えたアイテムだ。

ビギナーズパックという名前のそれは、いわゆる便利アイテムの詰め合わせ。ある程度ゲームを進めたプレイヤーにとっては大したことがない物も多いけど、まとまった数の消耗品がもらえるのはありがたい。特に経験値ブーストのアイテムはスタートダッシュで大いに力を発揮してくれるから、タイミングを計って使っていこう。


HP回復ポーションやMP回復ポーションといった定番のアイテムはインベントリからショートカットに設定。設定したアイテムはローブやボトムスのポケットに手を突っ込むだけですぐに取り出せるようになる。


これで準備は万端だ。アルコバレノに四つある門の一つ、緑の門へと向かおう。

つーか、今のところ緑の門からしか出られない。街を見て回ってる時に他の門に行ったら、門番にあれこれと理由をつけられて通れなかった。まあプレイヤーのレベルやストーリーの進行度によって道が封鎖されたりするのはよくあることだけど、普通に他のプレイヤーが行き来してるのを見たら少しイラっとする。


とりあえず、しばらくはレベル上げに勤しもう。まずはスライムが出現し、木材があるらしい【若草街道】に行くぞー!




「こんにちは、ドローウィザードさん。ここは緑の門、若草街道に行きたいのならここからだ。門から外にはモンスターもいるからね、魔法使いなら大丈夫だと思うけど気をつけていくんだよ」


葉っぱのシンボルが描かれた、緑を基調とした服の衛兵さんが注意をしてくれる。衛兵さんは若い兄ちゃんだけど、物腰が柔らかくて丁寧な対応が優しい。

街を歩いていてなんとなく気づいたが、カラマジのNPCは着ている服の色でどんな人かがある程度わかる。全員がそうとは限らないが、緑の服を着ているNPCは比較的穏やかな口調の人が多い印象だ。


衛兵さんに礼をして、門から外へと踏み出す。


瞬間、世界が変わった。


澄み渡る高い空に浮かぶ雲は一つ一つ白の濃さが違い、風に揺らぐ草原は緑と一言でいい現わすのが惜しくなるほどに多彩で。その中心をゆく街道が見せる地面の質感は、それがテクスチャであることを忘れさせてしまう。

燦々と輝く太陽の光も、遠くに見える森の影も。そのすべての色と形に魂が込められているのがよくわかる。リアルをアートが超えてやるという気概が、目に見える全部から伝わってくる。

点々と生える木が木陰を作り、見渡す限りの草原に伸びる一本の道。ゲームに良くある、ただそれだけの風景がこんなにも鮮やかに感じられるなんて。


色彩は力を持ち、形を与えられることで魔法となる。

その言葉がこのゲームの基礎だとするならば、カラバリエの世界は魔法に満ちている。いや、世界があることそのものが魔法のようなものなのかもしれない。


門の内側からも外は見えていた。そのはずなのに、視界が開けただけでこうも変わるものなのか。優芽がハマるのも頷ける、これは本当に歩いているだけでも楽しいゲームだ。

すごいぞカラマジ、同じタイミングでやってきた別の初心者プレイヤーがものすごい勢いでカメラ機能をフル活用してる気持ちが良くわかるというもの。俺も一枚記念に撮っておこう。


こりゃあ先の風景を見るために頑張りたくなっちゃうな、海辺のエリアがあることを切実に祈るばかりだ。海そのものの再現としてはラオシャンに勝ることはないだろうが、景色としてなら十分あり得る。


「気合が入ってきた。スライムでも木材でもかかってこい、俺はこの先に行くぞ!……ん?後ろがざわつい……おわぁ!?」


ビックリしたぁー!知らない間に、俺を含めた結構な数の新規プレイヤーが口を開けて圧倒されてんじゃねーか!おかげでNPCの馬車やらが渋滞を起こしかけてるぞ!すいません、門を出てすぐのところで立ち止まって邪魔でしたよね、すいません!


俺の挙動不審さに気づいたプレイヤーたちも、恥ずかしさに顔を真っ赤にしてNPCやら先輩プレイヤーたちに謝りつつ、そそくさ逃げるように街道を歩きだした。


その時の先輩プレイヤーたちの妙に優し気な対応が少し気になって後で調べたら、新規プレイヤーによる緑の門の渋滞はカラマジ名物の一つだそうだ。特にサービス開始の初日はそれはもう多くの人が似たようなことになり、衛兵がイベント会場のスタッフばりに交通整理を開始したとかなんとか。なるほどね、優しい対応だったのは自分も通った道だったからってわけだ。


ステータスにSTR(筋力)がないのは、カラマジにおいてプレイヤーが自分の力でぶん殴る攻撃が存在しないからです。いわゆる通常攻撃もありますが、それもまた魔法の力を借りていますので。

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― 新着の感想 ―
[一言] 親父…切ないw 妹様が友人とエンジョイしている隙に親父が赤と一緒にプレイしてたら、ハブられたとかより見なかったふりするんだろうな。
[一言] とりあえず手の込んだグラフィック見て海に思いを馳せる辺り主人公の手遅れ具合がよく分かりますね(笑)
[一言] つまりゴリゴリのマッチョメンが全力で子供をぶん殴ってもノーダメ無罪!ってことですね! え?絵面がアウトだから有罪?デスヨネー
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