【第九話】僕の知らない君の過去
俺が倒れているリーデルの横でカルナたちの到着を待っていると、俺がこの浜辺に降りてきたところから一人の研究者らしい白衣に丸メガネの白くて長い髭を生やした爺さんが俺の方に向かってきた。
『君が高橋くんかね?』
『は、はいわたくしが高橋です。』
俺は正体不明の爺さんに突然名前を呼ばれたのでびっくりして社交辞令のようになってしまった。
『おーおーそうかそうかリーデルに応急処置をしてくれたのは君じゃね!?感謝する』
『応急処置ってただカルナさんに言われたようにロープで縛っただけですよ』
『それがこの場でできる最善の応急処置じゃよ』
長い髭で口元はあまり見えないが優しそうな目をしてそう言ってきた。
『ところであなたは?』
『すまんの、自己紹介がまだじゃった。わしはTTO医療科特殊治療部本部長の真壁和則というものじゃ』
(TTOの人か)
『じゃあカルナさんはもうここにきてるんですか?』
『ああカルナは今君たちの代わりに村に結界を張って吸血鬼が暴れられないようにしているところじゃ』
(それができるなら元からカルナさんがやればよかったのでは?)
『そんなことよりも今はリーデルを治療してやらんとまたいつ暴れだすかわからん』
そう言うと爺さんはリーデルの服を半分ほどはだけさせて両手をリーデルの方へ構えて何か唱え始めた。
「始祖の御霊よこの者リーデル・シン・アルカナの思想身体を再び戻されよ」
そう言うと爺さんの手が柔らかい黄色に光だし、次にその光を浴びたリーデルの体を青い光が包み込んだ。
するとリーデルを包んでいた青い光は徐々に赤色に変わると空に向かって一直線に雲を貫いた。
すると赤い光が燃えるようにメラメラとして、とてつもなく巨大な物体が空に姿を現した...
{主ら人間はまたも原初神様を怒らせたもうこれ以上私がそやつリーデル・シン・アルカナを守る義理もなくなった。しかしまだ原初神様は人間たちに協力しろとのことこれが最後のチャンスだ...次はないぞ人間}
...その巨大な物体がそう言うと赤い光は空気に溶け込むように消えていきまた先ほどの夜空が広がった。
『なんだったんだあれ...』
俺がまだ信じられないことのように空を見てると...
『高橋くんにはリーデルのことをしっかりと話しておこう』
いつの間にかカルナが俺の横に立っていた。
『はい。お願いします』
俺はカルナの真剣な顔を見て背筋がピンとした。
『「リーデル・シン・アルカナ・ツェペシュ」これがリーデルのフルネームだ』
『リーデルの能力は「吸血鬼」だ。それも名前入りの上位クラス』
『上位クラスって確か....』
俺はまえにリーデルに教えられたことを思い出した。
『そう...不死だ...しかし不死の能力を持つ者は他にもいたことがある。今重要なのは別だ』
(いたことがあると言うことは今はリーデルだけなのだろうか?)
...夜風が俺とカルナの間を通り抜けた...
『リーデルは崩壊にあって能力を得たのではない...』
『え。じゃ何で??』
『彼女は生まれつき吸血鬼として生まれてきたのだよ』
『え....じゃあ...』
『とりあえず話を進めさせてくれ』
そう言うとカルナはまえにも吸っていたタバコを口にくわえた。
『ここで問題なのはリーデルが特殊の吸血鬼のためこちらで作った薬が効かないということだ』
『薬ってなんですか?』
俺がそう聞くと真壁の爺さんが俺の方を向き...
『私の部署で作っている吸血鬼の血が欲しいと言う欲望を抑える薬じゃ』
そう言いながらもう一度リーデルの方へ行き、はだけた服の上から毛布をかけていた。
『高橋くんも知っている通り吸血鬼は夜中になると血を欲して暴走する...これをわしらはヴァンパイア化と呼んでおる、しかし大抵の吸血鬼は血を飲もうとするとする時、意識は残っており寸前で自我を完全に取り戻すのじゃ』
続けてカルナが..
『しかしリーデルの場合ヴァンパイア化になると別の人格になったかのように平気で人を襲うのだ...』
『え...それじゃあどうしたらいいんですか?』
俺がそう聞くと...
『解決策はわかっておらん、だがリーデルの過去が関係しているのは確かなのじゃが...』
真壁爺さんに続けてカルナが
『しかしリーデルは自分の過去を話そうとしない...』
『そこで君にはリーデルと旅をし心を開かせてほしい』
『決して簡単なことではないだろう、だから高橋くん自身の決断でいい』
そうカルナには言われたが俺は答えをもう決めていた。
『わかりました、やってみます』
リーデルは助けを求めていた、俺はそれを無視できるほど悪の心は持っていない。
そして_
...俺はもうこの時からリーデルを好きになっていたのかもしれない...
こんにちは、これから少し自分の生活が変わるので毎日はきつくなるかもしれません。(すいません)
二日に一度は出せるよう頑張ります!!
次回もよろしくお願いします!