【第七話】月明かりが君を照らす時
「今からここにいる吸血鬼を捕まえにいきます」
そうリーデルから告げられて4時間ほどが経過した。
時刻はもう深夜1時を過ぎていた。
リーデルいわく、ここ下田に吸血鬼の能力を持つ人間がいるらしい。
それでそいつが夜になると村に住む人間の血を飲むため暴れまわっているらしいのだ。
吸血鬼の能力は低空飛行が可能、そして人間の50倍の身体能力だという。
さらに俺が一番驚いたのは上位の...つまり名前のある吸血鬼は不死という能力まであるらしい。
『今日はここら辺で休憩しましょう、おそらく明日吸血鬼と一戦交えることになると思うので体力を回復しておいてください』
そうリーデルがいうとさっき俺たちを無理やりヘリに乗せたゴリゴリスーツが別れ際渡してきた大きなバックから寝袋のようなものを出してミノムシのようになりその場に倒れこんだ。
『えっ...俺もここで?』
少し期待してそういうと...
『あ、あの...あなたはあの丘の向こうで寝てください』
と距離およそ500メートルほどのところにある丘を少し恥ずかしそうに指差した。
『あっはい。』
(俺も男の子としてみられてるよかった〜・・・俺の期待返して!ねぇ返して!!)
俺はリーデルに言われた通り丘の向こうへいき、とりあえず今日家に帰れないことをユイに知らせルため携帯を取り出した。
(1時だけどユイのやつ起きてるかな?...)
...プルプルプル~携帯が10秒くらいプルプルした後
[もしもし?どうしたのお兄ちゃん]
愛しのユイちゃんが出た。
『あ、ユイか...今日から旅行に友達と行くからしばらく家には帰れないんだ』
[え..どこにいるの!!]
『ん〜下田ってとこなんだけど一週間くらいは帰れないからよろしくな』
[え〜今日お兄ちゃんの大好きな玉こんにゃく作ってあげたのに]
『ごめんなまた今度作ってくれ』
そう言って無理やり通話を切った。
...........
玉こんにゃく通称たまこん。
とあるサービスエリアに売っていて長時間の運転の途中食べるたまこんは格別だ。
...確かに俺の大好物の食べ物だが
・・・
『あれレンジでチンで完成だよな』
俺はすでに熟睡しているリーデルの寝息が聞こえるほどの静かな空間でそんなことをポツンと呟いた。
『『きゃーーー』』
ユイとの電話の後、いつの間にか寝てしまった俺はその悲鳴で目が覚めた。
俺は寝起きにも関わらず慌てて声の方へ走った。
『おい!!どうした!!』
俺はその光景に目を疑った。
誰もいないはずの綺麗な砂浜に人の血が飛び散っていたのだ。
俺は人影を感じて月明かりで透き通るくらい綺麗な海の方をみると...
そこには銀色の髪が少し赤がかり夜の薄暗さと月明かりで銀色の髪を輝かせた少女がいかにも先ほど悲鳴をあげただろう30代くらいの女性の横に座り込んでいた。
確かにみたことのある.....先ほどまで共にいた少女だ...
『.....リーデルなのか』
俺が恐る恐る確かめるようにリーデルに問いかけると...
ゆっくりとこちらを振り返った。
『助けて』
そう言った彼女は悲しそうに泣いていた。
俺は月明かりに照らされる彼女があまりにも美しくてつい見とれてしまった。
世界観を想像するのがいつも難しいのですがこの章の話は実際に行ったことのある場所をモチーフにしてるのでとても書きやすいですね!これからに向けて日本一周の旅とかもしてみたいですww
次回もよろしくお願いします!