【第一話】1秒もない時の中で
西暦2032年 日本の首都、東京...の真上に位置するスカイポータル、通称『イリスの心臓』と呼ばれる場所が誕生した。
それは周期的に起こる現象...能力者というこの世に生まれるはずではなかった人々を生んだ現象...何人もの悲しみや苦しみを生んだ現象によって誕生した。
この奇妙な出来事を人々は後にこう呼んだ..........「軌跡の奇跡」と
もしその現象に巻き込まれなかったものがいたら瞬きする間も無く人が消えたように見えるだろう...
おそらくその現象を感じることすらできなかっただろう。
ただこれは巻き込まれなかった者たちの話である
実際巻き込まれた者はその一瞬が1日の不思議な出来事のように感じただろう。
俺はつい数時間前まで高校生だった。とくに特徴のないのが特徴のような高橋という日本で3番目に多い名前だ。
『な、何が起きた,,』顔を見ずとも声のトーンだけで今の状況を表せるような声で言った.....
その奇妙な現象が起きたのは太陽がまだ地上から最も遠い場所にある時、俺が高校から帰宅している時だった。
明日が卒業式ということもあってその日は全生徒が午前中授業という学生にはとても嬉しい日であった。
この地域の高校は3月1日に卒業式という学校がほとんどで俺の小学校から馴染みのある鈴木、田中と高校の最寄駅に着いた頃にはあたりは色々な種類の学生服があちらこちらと自分の帰るためのホームに向かっている。
この駅は電車が3種類もあるのに対しては狭い感じになっている。
俺はよく漫画やアニメで見る『俺、人混み嫌い』系まではいかないものの普通の人よりはあまり好んで人と話すことをしないと思う。
いつもは3人の盛り上げ役である鈴木も流石におとなしくしている。
多分これほどの人混みに慣れていなかったのだ__いや多分周りに迷惑をかけないように静かにしていたのだ。
いつもはばか丸出しのような話し方をするのだが時々驚くほどの大人の男感をかもしだすから対応しずらいのである。
そして鈴木のこの性格が出るときはいつも自然現象に異常が発生する。
前に一度夏に雪を降らせたことだってある。そのとき何をしたかは長くなるので割愛する。
そう多分今日も鈴木のたまにある大人感を出してしまったのが原因なのかもしれない.....
この異変が起きたのは鈴木と田中と途中駅で別れてから10分もたたないうちだった。
『おい...誰かいないか....』いつもはあまり声を出さない俺が喉仏が切れるんじゃないかってぐらい叫んだ。
しかし俺の人生史上最大の声もすぐに静寂の中に薄れていく。
俺は一度冷静になりポケットに入っていた携帯を確認した。
時刻は17時30分と表示されていて、画面の左上には圏外表示。
携帯のホーム画面に設定した最近見始めたアニメのキャラクターだけが俺を見て笑っている。
それは動かないものの誰もいないこの空間ではとても心強い。
焦りのあまり周りを見られなかったせいか空に見慣れない物体がたたづんでいたことに今になって気づいた。
それはファンタジーなどによくあるポータルのようなものだった。
(ここは異世界...異世界転生されたのか)
俺は最近見たアニメのせいか本当にそう信じ込みそうになった。
しかし周りにある見慣れた建物が俺を現実に引き戻した。
『建物はほとんど壊れてるけどここは俺の住んでいる町だ』
『じゃああのポータルみたいなのはなんなんだ!』
このままじゃ埒が明かないと思った俺はいつも通る道を思い返しながらゆっくりと家まで歩いて見ることにした。
歩き始めて10分くらい経過しただろうか、周りに人がいないかをよく見ながらここまで来たが誰一人として見なかった。
そして自分の家があった場所にいつもは10分くらいで着くはずが携帯の時計は19時30分を表示していた。
『おいおい2時間くらいかかってるぞ』
そうこの時は焦ってたり見慣れない景色に頭がついて行っていないのだと思っていた.....
よく考えればこの時間のかかり具合をおかしいと思っておくべきだった。
俺がこの物語の主人公になる最初の一歩を踏み出しているのに気づきもしないまま。
ただただ地球は太陽を回っていた.......
初めまして!ノスタルジックです。今回が初ということもありどういう感じにまとめればいいのか難しかったです。
今後のためにアドバイスなどありましたら、お願いします!アドバイスがなくてもお願いしますww
これからペースは少し遅めですが続けて行きますのでよろしくお願いします!