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勘違い。

この話でお姉様編は終わりになります。少し駆け足の展開ですが、どうかご了承ください。

感想貰えると嬉しいです。

よくある学園モノや恋愛モノの物語で突然現れた女の子が、自分と同じ学校で同じクラスでそして隣の席になるなんて展開はお決まりだ。だが、実際そんなことありえるのか?

ありえるわけが無い…。



……………ありえた。



第5話

〈勘違い。〉


サキの実の姉。安藤ユイは転校早々に注目を集めていた。とても綺麗な茶髪で、少し幼い顔立ちのくせにやけに発達した胸。けしからん。まったくもってけしからん。それに顔だって控えめに言って結構な美人だ。まぁ俺のサキと同じ遺伝子なんだから当たり前だが。

だから、そんな子を男子たちがほおっておくわけがない。だが別にそれは構わない。構わないけど!!なんでこいつ俺の隣の席なわけ?


****************

朝のSTーー。


「安藤ユイです!よろしくね!」

目の前にいるのは間違えなくユイだった。

「去年までイギリスに住んでました!」

ユイが自己紹介をしているとなにか気づいたようにこちらを見た。

「あれ?トモヤくん?」

ゲッ気づかれた……。

「なになに?田中の知り合い?」

クラス中がざわざわと騒ぎ出した。

「あら、田中と知り合いだったの。なら丁度いいわね。安藤さん隣の席空いてるからそこに座って。」

うちのクラスの担任の空田先生がユイに俺の隣を指さしながら言った。

「わかりました!」

そう言うとユイは俺の隣に座った。

「はーいじゃあ朝のSTは終わりね。授業始まるまで自由時間ー。」

空田先生が、そういうと一気に周りの男女がユイの周りに集まった。

「ねぇねぇ!田中くんとはどういう関係なの!?」

一人の女子がユイに話しかける。

「え、トモヤくん?うーんとね。なんて言えばいいのかな。恋人かな?」

「はっ!?おいお前!何言ってんだよ!?

違ぇから!こいつと恋人なんかじゃねぇから!」

俺は必死で弁解した。

「田中ぁ!お前、あんなに可愛い妹がいながらこの美人とも付き合ってるってのか!!??」

周りにいた一人の男子が涙を流しながら俺の胸ぐらを掴んできた。

「う…羨ましすぎる………」

今度は勝手に凹んでしょぼくれた。

「てかっ。待ってって話を聞けって!俺らは付き合ってないから!俺が好きなのは妹だけだから!」

俺のことを掴んでいた男子を振り払いもう1度弁解したが、周りの奴らは耳に入ってないようだった。

「そうだぞ。お前は妹一筋だと思っていたのに…。どっちが本命だァ!?」

振り払った男子がまた、俺に話しかけてきた。

「いっ…妹に決まってんだろ!ていうかまずこいつはサキの姉だから!」

「は?妹の次は姉かよ。どんだけ、シスコンなんだよ!お前はよォ!!」

ダメだ。こいつら。全然聞く耳を持たない。

ここは一旦引いてお姉様本人に弁解してもらうしか…。

俺はお姉様の手を引っ張って教室の外に出ようとした。

「あっ!ユイさん!俺のこと覚えてる?」

俺がお姉様を引っ張って教室を出ようとしてる時に島田がユイを呼び止めた。

「あー!覚えてるわよ!海田くんよね!」

「いいからこい!」

俺は島田との話を無理矢理切って教室から抜け出した。


「………………島田だよ。」

島田のアン〇ャッシュなツッコミが静まり返った教室に響いた。


*************

俺はお姉様を学校の屋上に連れてきた。

「おい!なんであんな嘘ついたんだよ!?」

俺は着いてすぐお姉様にきいた。

「もうすぐ授業始まるわよ?」

ユイはトモヤの話を無視して授業の心配をした。

「そんなことどうでもいい!どうせ一限目は現社の今谷だ。あんなクソちょろいメガネの授業なんて受けなくても問題は無い!」

「そういう問題かしら?」

「そういう問題なんだよ!」

「あら、そう。」

「あぁ。って俺が言いたいのはこれじゃない!!!なんであんなこと言ったんだよ!?みんな信じちゃうだろ?」

「あー、恋人のこと?」

「それ以外何がある!?」

俺は鬼のような顔をしてお姉様をにらんだ。

「どうすんだよ!?あいつら信じきってるだろ!?お前どうにかしろよ!」

「無理よ。あんなにも信じきっちゃったら言い出せないじゃない。それに私だってあんなに信じるとは思ってなかったし…。」

ユイは諦めた顔をしてこちらを見た。

「いや!「無理よ」じゃねぇよ!!どうにかしてくれよ!お姉様がしたことだろ?」

「確かに、私が言ったことだし責任は取らないといけないわね。」

「おぉそうだ。で、どうやって弁解してもらうんだ?」

俺は少し落ち着きお姉様の顔を見た。

「まずあの子達は勘違いをしているのよ。だったらその勘違いを事実にしてしまえばいいのよ。」

「は?」

「だからあなたが私と本当に恋人になればいい話じゃない?」

「はぁっ!?却下だ!却下!俺はサキ以外死んでも愛せないんだ!!」

「なによ。私だって冗談のつもりだったのに。こんなクソシスコン変態野郎なんてこっちから願い下げよ!」

「クソ。なんだよ責任取るとか言ったから期待したのに少しは真面目に考えろよ。」

俺は呆れたようにため息をついた。

「わかったわよ。言えばいいでしょ?」

「え?」

俺は耳を疑った。

「なによ?不満かしら?」

「いや、不満じゃねーよ。でも案外素直に折れてくれたから意外で……。」

「まぁ私にだって罪悪感はあるし。それにあんたみたいなクソシスコン変態野郎の恋人なんて知られたら私のイメージがダダ下がりよ。」

クソ。この女言いたいこと全部言いやがって。だが、ともかく助かった。とは安心していたらチャイムがなった。


「しまった!授業がはじまる!」

俺とお姉様は急いで教室まで走った。


やばいな。

授業始まっちゃったけど、まぁ今谷なら怖くねぇしまぁいいか。


「すみません遅れました。」


俺とお姉様が教室に着くとそこには今谷先生の姿はなく代わりに空田先生がいた。やばい。空田先生は美人で人気もあるが怒ると手がつけられなくなり怒った時の異名は『ヤマンバ』だ。そして、極めつけに遅刻には相当厳しい……。

「田中、安藤ちょっと廊下でろ。」

ヤマンバがとんでもないデスボイスで俺とお姉様に話しかけた。とんでもねぇ怖さだ。俺は今なんでヤマンバがこんなにも美人なのに独身なのかなんとなく理解出来た。

「先生!私は違うんです!私はトモヤくんにダメって言ったのにいいから来いってか無理矢理連れられて…。私はダメって言ったのに…トモヤくんがぁ…」

いちはやく危険を察知したユイがトモヤくんを生贄にさしだした。

「は!?おいお前なにいって……」

「おい田中」

「ハイィッ!!」

「廊下でろ」

「おうせのままに!!!」

トモヤが空田先生に廊下で説教を受けているあいだにユイは自分の席に戻った。

「バカだな〜田中、あいつどうせ一限は今谷だと思ったんだろうけど今日は時間割変更で二限と一限入れ替わってんの知らなかったのか?」

「ねぇ!それで!さっき田中と何話してたの!?」

さっき周りにいた子たちがまた集まってきた。

「あ、その事なんだけど。あれほんとはう……」

「わかってるって。」

「え?」

嘘って知ってたの?まぁそれはそれで助かったわね。

「内緒だろ。わかってるって。お前らが付き合ってることはこのクラスだけの秘密だ。」

「え?」

「田中もようやく妹離れしたかと思うと嬉しくてな。さっきお前らがいなくなった時みんなで決めたんだ。妹離れした田中を祝してこのカップルを応援するって。」

周りの子達が照れくさそうに言った。

「だから、無理に隠さなくてもいいぞ!

思う存分イチャイチャしてくれ!」

「えぇぇぇえええ!!?!?!?」



**************

その後、このクラスだけの秘密とか言ってたくせに放課後には

『吉報!!

遂にあの我が校1のシスコン

田中トモヤが妹離れ!!!!!!』

って内容の校内新聞の号外が作られる始末だ。

俺と妹の距離は一向に離れるばかりだ……。

一体これからどうすればいいんだよォおお!!???


お姉様編〜完〜


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