嘘つき
最後に楽しいと思ったのはいつだろう
周りに移る景色が白く感じるようになった時のことをもう覚えてはいない
家族、友達、大切な人との思い出も今ではあまり思い出すことはない
そんな人生を変えてみたいとは思わないかい
ただ、働いて死ぬだけの人生を変えてみたいとは思わないかい
これは、周りの期待に耐えられずに挫折した人が、一つの力を与えれて、人生に色がともりだした1年の軌跡である。
春の温かさが薄れ始めてだいたい1か月が過ぎた5月ごろ、雨が降りしきる日のことであった。
キーンコーンカーンコーン
「やっと昼休みだよ。もう授業が眠くて仕方ないな」
「ほんとにそうだよね」
「しかもうちの学校は7限目まであるし最悪だよね」
「購買にでも行こうぜ」
「いこいこ」
僕は周りのたわいない会話に耳をふさぐ
教室の一番右後ろの隅の場所で今日もコンビニで買ったお弁当を一人で食べていた
(この能無しどもが、昼休みくらいは静かにしてくれよ、学校は勉強する場所なんだから、文句なんか言ってんじゃねえよ)
心の中で文句をいいながら、9イレブンのお弁当をたべることが僕の唯一の楽しみである。
そんないつも1人の僕を周りは陰口で
「あいついつも一人だよな」
「友達いないのかな」
「私は高校生活であんなにはなりたくないな」
「ほんとだよね」
「あいつの名前なんだっけ」
「えーと、確か、最・・・なんだっけ」
「名簿に載ってるよ、えーと、最東 徳道」
「さいとう とくみち てよむのかな」
「なんか、徳がありそうな名前だねww」
「wwwwwwwww」
こんなことばかり言うやつらとクラスメイトになってしまった僕は不幸だと嘆きながら、ご飯を1人で食べている。そんな僕は食べ終わるやいなや、すぐに机に頭をのせながら寝る。これが、僕の学校生活である。
キーンコーンカーンコーン
「じゃあね」
「ばいばい」
ようやく下校の時間になり、学生たちは遊びに行くもの、部活にいそしむものの時間となる。
(はあ、今日もくだらない1日になりそうだ。何か面白いことでもないかな)そんなことを考えながら最寄りの駅まで到着して、駅の腰掛に腰を下ろした。
(しかし、今日は本当に雨ばかりふるな。学生服がびしょびしょだよ。もう最悪、家に帰ったら、乾かさないとなあ)
学生服の心配をしている僕の隣に一人の女性が座った。
(うわ、うちの高校にこんなに胸が大きくてかわいい人いたかな)
その容姿はだいたい身長は170くらいありそうで、すらりとした体型をしていた。髪はロングの漆のような光沢を放っているかのような髪をしていた。
ちなみに、徳道は身長171、体重70くらいのぽっちゃりとあいた体型をしている。
そんなぼくに、「すみません」という声が聞こえた。
そして、女性は唐突に「嘘をつく才能を伸ばしませんか」
「えっ」