GAME4 ソトの風
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『追加キーワード・《途中ローファンタジー》』
「......お、疲れは十分に取れているか。一日の睡眠時間が一時間に出来たのは良かったな」
日が昇り青くなった空と、ベッドの頭の方に埋め込まれている小さな液晶画面に表示された『AM 6:02』という文字を見ながら、ベッドの縁に座る。
軽く上半身を捻って解してみるが、違和感は一切なく、指先まで神経と感覚が張り巡らされているのが良くわかる。
簡単なネタに走ってもいいが、そうすると頭のオカシナ、元い少々奇天烈な人に見える為自重する。
ベッドの上から《CR》を取り上げ、部屋を出てリビングへ向かう。
リビングにあるキッチンはシステムキッチンになっている為、それなりに広い。一人暮らしなので意味が無いが。
「一人で広い家に居るのも考え物だろうな。普通は」
全面に高硬度ガラスが使用されているコーク色の大型冷蔵庫の前に立ち、そんな事を呟きながら二枚の戸を開く。フレンチドアタイプという物だ。
かなり整理整頓された冷蔵庫の中から朝食に使う食材を取り出し、ワークトップに置く。
「SKILLに何かないか? 料理系で」
キッチンの前に立ってポケットから《CR》を取り出して、画面を点けた。《CR》本体は不思議な事に、油も汚れも傷も付かず、常にツルツルピカピカテッカテカだ............聊か古い表現だ。
と言うよりも《CR》に頼り過ぎな気もするが、それは水落自身自覚している事なので何を言っても無駄だ。
それは兎も角、ゲームでステータスを開き、取得可能SKILL一覧から目当てのSKILLが無いか物色する。
因みに、現在の《エニグマ》のステータスはこうなっている。
『NAME エニグマ MAN (∨ WOMAN)
LEVEL:38
STP:0
体力:100
魔力:100
筋力:100
俊敏:100
耐久:100
賢慮:100
器用:60
魅力:58
運気:100
SKP:588
SKILL
《性別転換》《並列発動》
〈体術lv10〉〈格闘術lv10〉〈剣術lv10〉〈索敵lv10〉〈忍足lv10〉〈制御lv10〉
〈チャージlv10〉〈スマッシュlv10〉〈ストライクlv10〉
MAGIC
〈ファイアボール〉〈ウィンドボール〉〈ウォーターボール〉〈アースボール〉〈キュア〉
〈サンダーボール〉〈アイスボール〉〈ファイアバレット〉〈ウィンドバレット〉
〈ウォーターバレット〉〈アースバレット〉〈サンダーバレット〉〈アイスバレット〉
〈ハイキュア〉〈ヒール〉〈ハイヒール〉
ARMOR
〈ミスリルガントレット〉〈ミスリルグリーブ〉〈ミスリルブレストアーマー〉〈黒樹の短杖〉
〈ミスリルロングソード〉〈シミアネックレス〉〈闘魔の腕輪〉〈ブラックレザーコート〉』
ステータスの数値が100なのはそれ以上に上がらなかったからだ。恐らく数値を更に上昇させる為には何かアイテムとかが必要なのだろう。
ポイントとMAGICに突っ込んではいけない。この為に一体何体の敵MOB又は中立MOBが犠牲になった事か。蛇足だが、ゲーム内のBOXには驚く程のドロップアイテムが入っている。
色々とSKILLを見ていると、全て取得したくなるちょっとしたコンプリート癖が頭を擡げるが、自重して目的のSKILL+αを取得する。
取得したのは〈料理〉、〈調理〉、〈解体〉、〈短剣術〉、〈収納〉、〈整理〉、〈整頓〉、その七つをそれぞれlv10で取得した。SKPが518になったが、痛手とはならない。
それぞれのSKILLの説明としては、〈料理〉、〈調理〉は文字通り。ゲーム内のシステムである《料理》と《食事》の内《料理》に補正が掛かる。
〈解体〉はドロップ率・ドロップ数上昇。〈短剣術〉は短剣系武器に補正。他剣系に微補正。〈収納〉はアバターがアイテムを所持出来る様になる。他のゲームで言うとポーチとかその辺りか。〈整理〉、〈整頓〉は〈収納〉の補助だ。現在〈収納〉で所持できるアイテムは百種類と言った所だ。多い。
因みに、〈収納〉は現実でも作用する為、『召喚・~~』と念じればARMORとは別で召喚できる。戻す時は『送還』と念じればいい。
と、そんな感じで残りのSKILLの取得を後回しにし、チャチャチャッと朝食を作る。
十五分程掛けてチーズオムレツを作り、テーブルへ持って行き五分で食べ終わる。現在水落は家の電気を点けていなかったり早食い紛いの事をしているが、全て〈制御〉を使って瞳孔の拡縮を行ったり、食べた物を消化し、その栄養の殆どを血中で回すなど、意味の分からない事をしている為、問題とはならない。
因みに、不要な養分は呼気や排尿と共に排出され、老廃物は殆どが分解、吸収され、便の必要が殆ど無くなっている。その為、水落の尿は尿と言うよりも、人間に不必要な栄養素の塊と言える。化物か。
その幾ら食べても太らず細マッチョ体型を維持できる化物は、食べた後の食器と使った調理器具を洗い、片付けた後、自分の部屋へと戻った。
学校は七時ニ十分に家を出れば間に合うので、取り敢えず学校指定の制服を着てベッドに座る。
「............そう言えば、アイテムの召喚とかした事無いな」
ベッドに埋め込まれたデジタル時計を見ながら、ふと思った事が口から漏れ出した。
ちょっと考え、喚び出す事にし、試しに『召喚・ミスリルロングソード』と念じてみる。すると、水落の目の前に元々あったかの如く自然に出現した。
銀の様でいて全く別物である軽い金属で造られており、とても固い。剣身が八十センチ程の両刃で装飾は無く、だが逸品である事は一目で分かる代物だ。
「へ~」と右手で持った剣を様々な角度から眺めつつ、本当かどうか分からないネットで知った見方で粗がなく、キメ細かい事を確かめる。
『送還』と念じて剣をゲームに戻す。召喚した時同様自然に一瞬で消えるが、気にしない事にした。
七時ニ十分になるまでの空いた時間をSKILL一覧の確認にあて、時間潰しをする............つもりが、説明も一緒に表示されるSKILL一覧は流し読みで、写真写しの様に記憶出来た。軽く百を超えるSKILLには軽く驚いた。
コンプリート癖がかなり刺激されるのだが、一体どうすればいいのだろうか。
頭を振ってその事を追い出し、ゲームをする事にした。ゲーム内では既に幾つか街を移動しており、今は『魔法都市 マヒルバンス』とか言う場所に来ている。
ここは魔力と賢慮の補助アイテムや魔導書を中心に売られている街だ。ステータスのMAGICは大体がここで購入したものだ。お陰でお金が吹っ飛んで残金が五万程になってしまった。まあ、ドロップアイテムを売ればいいのだが。
BOXから〈収納〉で新たに表示されたSTORAGEに幾つかのアイテムを移し、LEVELを上げる為にフィールドへと移動した。
その後LEVELが一上昇したところで時間となり、《CR》を鞄の中に突っ込んでから家を出る為に玄関へと行く。
靴を履き、外、水落からすれば本当の現実に繋がる扉のドアノブに手を掛け、一度動きを止め、目を瞑る。
「......大丈夫だ。大丈夫。演じろ、仮面を被れ――」
自己暗示の様に紡がれる言葉は、それ以上のナニカを感じさせる。ソレが何なのかは、分からないのだが。
「――威風堂々と、バレなきゃいいんだ。バレなきゃいい」
どこぞの混沌さんの様な事を言っている気がするが、そんな軽い雰囲気では無い。
「......捨て子に価値は無い。あいつ等にとって俺は無価値。それは絶対不変、万世不易の筈だ。今更俺と繋がろうなど......思わない............筈だ」
自信が無いのか尻すぼみとなる水落の言葉の先は、一度水落自身に嚥下され、別の言葉へと作り替えられる。
「どっちにしろ、演技して仮面を被り、威風堂々としてればいい。今の俺は、あいつ等の影響も破れる筈だ。恐れる必要は無い............ふぅ。行くか」
一度深呼吸をした時には水落の雰囲気が一変した。ドライと言われる程の寒々しさと刺々しさ、そして他者を拒む雰囲気。そのどれもが先程の水落とは一致しない。
開眼した瞳は感情を乗せず、何を考えているか分からない、冷たい眼となっていた。
その雰囲気のまま、水落は扉を開け、外へと出る。
降り注ぐ太陽光に一瞬目を細めるが、直ぐに見開き学校へ向かって歩き出す。
風に乗って運ばれてくる匂いは祝福の涙か、嘲りの雨か。それは神にしか分からない。
唯一つ分かるのは、水落の眼に映る道は、鮮やかに彩付いている事だけだ。
絶え間なく吹き抜く風は、水落の全身を優しく撫で、包み込む。
う~ん......全然進まないですねぇ。もっと文字数増やした方が良いんでしょうか? そうすると投稿するまでの期間が延びますが......一長一短ですね。文字数は変えません。




