GAME25 和やかな息抜き
短いです。
............体が複数か、又は時間が欲しいです......
なにやら落ち着きのない叢華を送ってやり、水落が自宅へ戻って来た頃にはすっかり日も沈んでいた。
そして今、家の中はかなり和やかな雰囲気が広がっていた。
六人掛けのテーブルにはヴィラとリセラが座っており、シャルとリフィルが料理をする様を見ている。
そして今料理しているのは、メレとフィーニスだ。
この場にいない水落は風呂に入っている。
本来なら水落もこの場にいて、かつ料理していた筈なのだが、召喚早々メレを筆頭に風呂をすすめられた為に入浴中だ。
とはいえ、水落の入浴はそう長くない。メレ達を召喚してすぐ風呂に入ったので、そろそろ出てくる頃だろう。
「......やっぱ風呂入って背中流すくらいしねぇか?」
「いや、彼もそろそろ出て来る頃合いだろう。今更行ったところで意味はないし、あまり一緒に入るのは好まないんじゃないかい?」
なんて会話をしているヴィラとリセラを含めて、この場にいる者達は水落の常人より薄い気配を捉えられる為、今水落が何処にいるのかくらいは分かっている。
と、シャルとリフィルが摘まみ食いをしようとして止められたところで、水落がリビングに入って来た。
「水落殿、申し訳ありませんがもう暫し掛かりますので、お待ちしていただいても宜しいですか?」
「あぁ。俺の事は気にしなくてもいいぞ」
フィーニスの問いにそう答えた水落の目は、手伝っているメレの手元へを見ていた。
真剣な表情で手元を動かすメレは、しかしその動きはかなりぎこちない。
料理が苦手なのか、そもそも料理をした事がないのかはともかくとして、率直に言うと――
「「メレってさー? 料理ヘタだねー」」
「はぅ!?」
シャルとリフィルによる会心の一撃! メレへ精神的大ダメージ!
とかログが流れてきそうな感じだ。
それはともかくとして、メレはシャルとリフィルの言う通り下手である。
「そもそも、そんなに力を入れてやる事でも無いだろ?」
尤もな話だ。
料理をするのに指先どころか腕や肩が震える程力んでいては、真面に料理なんてできないだろう。それどころか大抵が失敗する。
「うー......だって、料理なんて初めてなんだもん。それに、水落さんにも食べてもらう訳だから、失敗したくないし......」
水落から顔を逸らしながらそう言うメレを見て、水落は一つ溜息を吐いた。
ビクッとしたメレを見ながら口を開く。
「歌う時や踊る時と同じで、気軽に楽しくやればいいだろう。多少の失敗を気にしていて何が出来る?」
上目使いで見るメレに、フッと笑う。
「安心しろ。お前が作るんだから不味い筈が無い。俺が保証する」
「ぁっ、ぅっうん! ガンバル!」
先程とは一転し、意気軒高といった様子で料理に励むメレ。
そのまま横を向けば、水落を見ていたフィーニスと目が合う。
アイコンタクトで『任せたぞ』と意思を込めてみると、微笑んで頷いた。どうやらうまく伝わったようだ。
水落も頷き返して、テーブルへ向かう。
「一つ問いたい。貴方は現実でMAGICを使った事はあるだろうか?」
イスに座ると、早速リセラが尋ねて来た。意図が掴めないが、取り敢えず答える。
「何度か使ったことはあるが」
「その感覚を覚えているだろうか?」
その問いで、リセラが何を言いたいのかが分かった。
「《CR》が失くなった時の事か。俺も気になっている。何か聞いていないのか?」
そう聞いた水落にリセラは軽く目を見開き、柔らかく笑みを浮かべた。
水落の横で頷いていたヴィラは、再びの摘み食いを敢行しようとしたリフィルとシャルを捕まえようと立ち上がる。
「貴方には隠し事が出来ないだろうね」
「気付いていない振りをする事も優しさだと言っていた奴もいたが」
「私としては気付かれた時点で負けも同義だよ」
リセラが穏やかに笑うと、水落はそうなのかと相槌を打つ。
その後ろでは、リフィルとシャルの摘み食いは失敗し、ヴィラによって確保されていた。中々に和やかだ。
リセラは一呼吸間をおいて、真剣な雰囲気を発し始める。水落もまた、それに習う。
「話が長くなるからと後回しにしていたけれど、ここで話す事にしよう」
「よしオマエ等、風呂行くぞ」
「「えー!」」
今から真面目な話をする事を察したヴィラが、女体に戻り、リフィルとシャルを担ぎ上げて風呂へ向かおうとする。
水落が視線を向けると目が合ったので、アイコンタクトで許可を出す。
そのまま、三人は風呂へと向かっていった。使い方は教えてあるので、特に問題は起こらないだろう。
「先ずは、そうだな。《CRAFTRAPTOR》となんなのか、という事から話そうか」
そう前置きし、リセラは話し始める。




