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GAME20 EX3 訓練中

やっと......やっとの投稿になります。二カ月、お待たせ致しました。

まだスランプの様なモノが続いておりますので、更新速度はかなり遅いかも知れませんが、今の所エタるつもりは一切ありませんので気長にお待ち頂ければと。

遅くなってしまい、申し訳ありませんでした。

「フッ!」


 ――パシィンッ!


 龍谷(りゅうや)の全力の突きはいとも容易く受け止められた。いくら弱体化しているとは言え、常人が真面に受けたら骨折必須の拳である。


 そんな拳を何ともない顔で受けた水落(みら)に驚き、反撃を警戒して咄嗟に離れる。だが、最初の一撃の時と同じく今までに比べて鈍重な動きで、龍谷自身も急激に下がった身体能力を把握しきれず僅かによろめいた。


 明らかな隙だったが、依然として水落は動かない。目を鋭くさせたまま見たことも無い型で佇んでいるだけだ。


『主殿の攻撃を受け流した技量、凄まじいの一言に尽きるな』

(うん。避けると思ってたのに、受け止められるなんて)

『もし攻撃も同じほどの技量を持っていたならば、主殿は水落殿に勝てぬだろうな』

(だけどそれは――)

『無論『継承者』の力を発揮させれば勝てるだろう。力技でな。主殿には戦闘経験も力もある故。だが水落殿はどうだ? ワレにも分からぬが、恐らくは経験もある上に技もある。更には主殿が教えを乞うた際、迷わなかった。戦闘法を人に教えるのは並ではないと言うにも拘らず』

(それって、ミラが自分の実力に自信を持っていたって事?)

『又は技術に、だな。恐らくは主殿の戦闘技術を見切っていたのだろうな。胸を貸して貰うつもりで全力を出すが良い』

(......分かった)


 一向に攻めて来る様子を見せない水落に甘えて、目を閉じて深呼吸する。大きく息を吸い込み、吐き出す。それだけで全身に力が入り、神経が張り巡らされたかの様な感覚と共に熱が入った様な感覚を覚える。


 目を見開き水落を見据え、再び構える。一呼吸の後、水落へ向かって駆け出す。


 そして勢いを乗せたハイキックを繰り出すが、当然の様に受け止められる。流れるようにローキックを繰り出したが、足を上げる事で簡単に避けられた。


 片足立ちの水落へ向かって突きを繰り出す。が、軽々と弾かれた。


 水落の背後へと素早く回り込み攻撃するが、易々と対処される。


 前後左右、更にフェイントも交えて連撃を繰り出すが、どれも躱され、弾かれ、防がれ、対処される。


 結果、先に龍谷の方が息を乱す事となった。対して絶対に攻撃をしてこなかった水落だが、それでも相応に体力を消耗した筈だ。が、息が乱れていないどころか汗すら掻いていない。


 汗を掻き息を乱している龍谷からすれば驚愕する事しかできない。


『まさかこれ程とはな』

(正直、勝てる気がしないどころか一撃入れる事すらできる気がしないんだけど)

『弱体化を解除すれば入るだろうがな。確実に』

(それは違うと思う)


 息を整えながら龍神と話していると、静かに龍谷を見ていた水落が構えを解いた。そして静かに口を開く。


「リューヤ。少し休憩にしよう。お前も疲れている様だし、次には防御の面も見たい。そんな状態だと満足に動く事も出来ないだろう」


 体力は直ぐに回復するとは言え、確かにかなり疲れていた龍谷は連続して防御の面まで見るとなると、確かに満足に動けないだろうと思い、特に何かを言うでもなく水落の言葉に従った。


 唯、休憩中に何もしないと言うのも何か違う気がしたので、先の攻撃方法についてアドバイスを聞こうと水落に話しかけた。


「それはお前の防御の面を確かめてからでもいいか? 今お前の戦い方についてアドバイスすれば、確実に後の確認に支障をきたす。そうなれば、二回、三回と確認をする必要がある。一度で済ませる事が出来るなら、それに越したことは無い」


 真面目な表情でそう言われてしまっては、反論も出来ない。教えて貰っているのは龍谷の方なので、文句や無理を言うのは筋違いと言うものだ。


 龍神にも言われ、疲労回復に専念する事五分。


「そろそろ良いだろう。リューヤ、お前の防御面に関する確認だ。出来るか?」

「大丈夫だ」


 再び間隔を開けて構え、対峙する。


「タイミングは?」

「何時でもいいぞ」

「分かった」


 水落は攻撃面を確認する時の様に見極める様な目をすると、龍谷に向かって駆けて来た。その速度は龍谷と比べると遅い。が、それでも武芸者特有の(はや)さがある。


 一瞬で間を詰めた水落は、先程の龍谷と同じく勢いを乗せた拳を放ってきた。


 その拳に対処しようと行動した瞬間、横腹に軽い衝撃を感じた。見れば、そこには水落の脚があった。フェイントだ。完全に意識の間を突かれてしまった。


 不意を突かれた攻撃に、思わず体が硬直して大きな隙を作り出してしまう。が、水落は追撃を行わずに元居た場所まで戻った。


 水落はフッと息を吐き出すと、構えもせず、見極めるような目もせずに唯龍谷を見つめてきた。


 戸惑ったのは龍谷の方だった。何故いきなり攻撃をやめたのかを聞こうとして、その前に水落が言う。


「リューヤ、格上と戦った事はあるか?」

「か、格上?」


 唐突な質問に思わず聞き返してしまったが、頭は正常に動いていたようで今まで戦った敵を思い出していた。だが、今まで戦った敵の中で明確に『格上』と呼べる相手は思いつかない。


「......ない」

「だろうな」

「え?」


 素直に答えたら相当に失礼な返答を貰い、思わず間抜けな声が漏れた。


「お前は防御が下手過ぎる」


 何故、と聞く前に答えられ沈黙する。龍谷自身にも自覚はあったが、そんなに下手だろうかと思う。更にたった一度で見抜かれた事に驚き、その瞳に何故か嫌な予感を覚えた。


「恐らくお前には戦闘経験が圧倒的に足りていない。確かに今まで戦っていたのだろうが、どうせそれも異能ありきの力技で倒して来たんだろう? その所為か攻撃面は兎も角として、防御面が疎かになり過ぎた。これではいざという際に死ぬ可能性が高くなる。何故こうもバランスが悪くなるまで放置していたか気になるが、そこは置いておこう」


 何も言えずに突っ立っていると、水落が饒舌に話し始めた。学校の時の様な淡々とした口調では無いものの、僅かに感情が籠っている程度でしかない。


 二人でいる際は基本的にこの口調だが、もう少し感情を籠めても良いんじゃないだろうかと現実逃避気味に考えていると、水落は更に話し始めた。


「攻撃面も防御面も育てるのは少し大変だが、お前ならいけるだろう。基礎がしっかりと出来ている分その辺りについて言うことは無い。強いて言えばお前は絡め手が苦手だろうと言う事か。全面的な改善をするには模擬戦形式が良いだろう。まあ、今日は時間的にも終わりだが」


 道場に差し込む光で判断したらしい水落は、『どうする?』とばかりに視線を向けてきた。


「......うん。分かった。ミラにこれ以上迷惑をかけるつもりもないからな」

「格好付けるのはいいが、俺から訓練を受けている時点で強がりにしか聞こえなくなるぞ」


 そう言われて何となく気まずくなっていると、水落は鞄を持って道場の玄関部分まで移動していた。少し慌てて近付くと、水落は振り返って龍谷に目を合わせた。


「訓練は龍神と共にやっておけ。俺の方も都合が付けば来る。と言うより、俺が教えると言った手前龍神に丸投げする事も出来ない。なるべく優先するが、毎日来れるとも限らない。リューヤの方も色々とありそうだからな。明日続きをしたいなら、学校で言ってくれ」


 『明日な』と言って出て行った水落に、龍神に言われ返事をするだけに止めて龍谷は道場内に残った。相変わらず薄い水落の気配がある程度離れると、龍神が静かに顕現した。


 この顕現は龍谷と龍神のどちらかが拒否しない限り可能である為、割と簡単に行える。但し龍谷の顕現可能時間である許容範囲を超えた場合、龍谷の体に負荷が掛かる。これは龍神だけが行える無理矢理な顕現でも同じだ。


 因みに、水落へ龍神を紹介する時に発生した光は唯の演出であり、ちょっと見栄を張った部分がある。パッと見て驚いていると分かる程には反応して欲しかったとか、思っていなくも無い。


「主殿。水落殿についてどう感じた?」

「前に言ってた事、本当かもって、そう感じた」


 実は龍谷、水落へと訓練を頼む前に龍神から聞いていたことがある。


 水落の戦闘技術が龍谷より上だと言う事は勿論だが、それだけでは無く水落の過去に『何か』あるかもしれないと龍神が話していた。


 訓練に関しても水落の過去に『何か』あったのか無かったのか見極めるという意味合いもあった。これに関しては二割程である。あくまでついでだ。


「それで、ミラの事、どう思う?」

「ワレに聞かずとも主殿なら分かっておるのではないか?」

「確認、みたいな感じかな。細かい事まで分かる訳でも無いし」


 軽く頭を振った龍谷を見て、龍神は一つ頷くとゆっくり話し始めた。


「水落殿は、過去に命を懸けた戦闘を行った事があるのだろう。身体の使い方やあの観察力。あれは才能だけでは不可能だ。ワレは主殿と霊神の前『継承者』が最も才能に秀でておると思っておったが、間違いやもしれぬ。このような事は霊神の方が得意なのでな。曖昧な言い方にしかならぬが、強いと、そう言える。死と隣り合わせの戦闘を知っている才ある者、それが水落殿なのやもしれぬ。いや、本質は分らぬがな。何故戦闘を知っているのかも、何処であれ程の戦闘技術を身に着けたのかも、ワレには予想できぬが」


 そこで一旦区切り、一つ息を吐き、虚空へと遠くを見るような眼差しを向けながら続けた。


「あれは孤高の強さだ。たった独りで生き抜く為のそれに近い。この世界で、一般人である筈の水落殿が何故あのような強さを得たのか。きっかけは何であるのか。どちらにしろ、異常である事に変わりない」


 言い終わった龍神は、何かを考える様に虚空を見続けていた。そんな龍神を見て、話を聞いて、龍谷は何とも言えない気持ちになりつつも自分なりに考えてみた。


 水落の強さについて考えようとするが、とても情報が足りない。結果、真面に考える事すら出来ずに光の無い暗い道場を見ている事しか出来なかった。




――――――――――




 右の拳に腰、肩、腕の捻りを加えて眼前に突き出す。が、あっさりとその拳は取られて、気付いた時には視界が回転し背中から衝撃が伝わった。


「終わりだな」


 視界一杯に映る道場の天井を認識して直ぐに動こうとしたが、その前に制止の声が掛かり、同時に引き起こされた。


 あれから数日経った土曜日。あれから何度も行っている水落との訓練を今日も行っていた。何時もと変わらず身体能力を落として水落に相手をしてもらったが、結果は御覧の通りだ。


 流れる汗を拭い、乱れた息を整えながら汗一つ掻いていない水落を見る。今は六月の半ばを過ぎた頃。長かった梅雨も過ぎ、既に夏へと変わり始めていた。当然それに伴い気温も上昇している。今の様な事をしていれば相応に汗を掻く筈なのだが、水落には汗を掻く様子が全く見られない。


 その事をおかしいと感じると同時に本の少しだけ汗を掻かない事が羨ましいと思った。本人曰く汗を掻き難いだけでしっかりと汗は流れるらしい。が、龍谷はまだ一度も水落が汗を掻いたところを見た事がない為、半信半疑だ。


「――大振りで威力のある攻撃は反撃されないと確信を得た時にだけ放て。そして、攻撃が取られた瞬間に次の動作に移れるようにして置け。倒れた後も行動を始めるのが遅い。出来れば反射で動けるようにはしておけ」


 訓練を始めてから終わりまでの良い点や悪い点を指摘して、それに合った体の動かし方や対処法等を懇切丁寧に教えてくれる水落。戦闘は体に直接覚えさせる方が良いという最も基礎的だが重要な事項よりも、身体を掌握(しょうあく)する事を優先的に教えられている。


 曰く、身体の掌握率を上げていれば自然と体が動きを覚えるそうだ。ここ数日は手足の指先まで感覚を行き渡らせる訓練をさせられていた。水落としても龍谷が『継承者』だった事は嬉しい誤算だったらしく、今日はその途中経過の確認の為に模擬戦をしていた。


「それにしても、『継承者』でこれか。『継承者』には劣るという『分承者』も侮る事は出来ないな」


 龍谷の状態を見ていた水落はボソッとそう呟いた。その声は小さ過ぎたのか近くに居た龍谷にも聞こえなかった。辛うじて『継承者』という単語が聞こえた為聞き返してみたが、『いや、何でも無い』とはぐらかされた。


 そんな水落の様子に内心疑問を感じながらも、龍谷は自分の手を見下ろして数回程開閉する。模擬戦の最中にも思ったが、明らかに動かしやすくなっている。


 反射神経も上がっているし、耳も目も含めた感覚系も全体的に上昇している。といってもまだ僅かでしかないが。それでも上がっていることに変わりはない。


 本来ならこの訓練による能力上昇が見込めるのは武術の達人等で最低一ヶ月は必要だ。才能があれば話は変わってくるが、たった数日というのはそれこそ数えられる程しかいない。驚くべきは『継承者』としての力か、龍谷の才能と成長性か。


 当然水落は全身に感覚を行き渡らせるという事がどれだけの難易度なのか知っていたが、龍谷には教えていない為、龍谷は効果的な凄い訓練としか思っていない。


 これは決して龍谷が馬鹿という訳ではない為あしからず。


 それは兎も角、短い訓練で上達の兆しが見えている事を実感していると、龍谷の感覚に引っ掛かるモノがあった。それは龍谷にとっては既に馴染み深い気配。『邪闇(やみ)の使徒』の気配だ。


「ミラ」

「『使徒』か?」

「ああ」


 雰囲気の変わった龍谷が一言声を掛けただけで何が言いたいのか察してくれる水落だと、話がスムーズで助かる。察しが良く容姿が整っていて料理が上手く(美味く)物理的にも精神的にも(恐らく)強い。更には頭も良い。超優良物件だ。


『......ふむ。主殿、水落殿を婿にしてはどうだ? これ程の傑物も中々おらぬぞ?』

(へっ!? な、なんで急にそうなるのさ!?)

『ふむ? いやなに、龍宿(きみすく)の血を絶やさぬ為にも必要な事であろう? 主殿も水落殿にはそれなりの様だからな』

(確かにミラは超優良物件だろうけど! 今言わなくていいじゃない(・・・・)! それに本人にも了承を取らないと......)

『了承を取れば良いのか?』

(ちがっ! そう言う事じゃなくて! あーもう! 『使徒』を倒さないといけないんだからこの話は終わり!)


 龍神に揶揄(からか)われ無性に恥ずかしさが込み上げて来るが、なるべく顔に出ないように気を付け、内心の羞恥心がバレない内にさっさと出現した『使徒』の下に向かう。


 人外の脚力で街中を駆け抜け、『使徒』へと近付く程に人が居なくなっていく事を確認する。


 『使徒』が出現すると周囲に人が居なくなるのは、無意識に『使徒』の放つ邪気と呼ばれるモノを感知し避けているからだ。と言っても『使徒』が近くに居ても離れて行かない者も中には居る。


 その者達は別に鈍感とかでは無く、所謂適性があるのだ。まあ、その内容を知れば『そんな適性はいらない』とでも言うだろう。


 その適性とは、『邪神を復活させる為の贄』だ。それは『邪闇(やみ)の適性』と呼ばれており、この適性が高ければ高い程『使徒』の近くに居られる(?)のだ。言い換えれば近付いても『使徒』に気付かなくなる。


 『使徒』はそんな『適性』の高い者達を優先的に殺して(貢いで)いく。そして殺された者は、不思議な事に殆どの者から忘れられる。更には死んだ際に倒された『使徒』と同じ様に黒い霧となる。


 当然ながら突然『特定の人』が忘れられたりすれば矛盾が生じる。が、不思議な事に適性の高い者は、言ってしまえば世間的にクズと呼ばれるような者や、世間的に居なくなっても問題の無い、所謂日陰者が多い為に大きな矛盾は生じない。


 所詮他人の事など深く気にしないのが人間なのだ。特に日陰者等になるとその態度は顕著になる。反応としては『あれ? 誰か忘れてるかな? う~ん......ま、いっか』的な、殆ど関心を持たれていない事や、そもそも無意識的に忘れられている場合もある。


 『継承者』や『分承者』は適性の高い者を守り、少しでも邪神が復活しない様にしている。が、適性の高い者を守る事、それは当然、純度百パーセントの優しさでは無いのだ。


 そこまで考えて、頭を振って思考を切り替えながら、感覚を研ぎ澄ませる。すると、『使徒』とは違う気配を感じ取った。


(これ......)

『うむ。この気配、虎神のモノであろうな』

(じゃあ、(いくさ)が向かっているって事か)


 昔会った虎神の『継承者』の顔を思い出した。同い年だったからか、実力が同じ程だったからか、良く手合わせをしていた。


 暫く会っていなかった為どれだけ強くなったかは分からないが、相当に強くなっているのだろう。


 より走る速度を上げ、『使徒』に向かって街の中を駆け抜けた。




――――――――――




 漆黒の毛に包まれた二本の尻尾をゆらゆらとさせながら、その金色の眼を妖しく輝かせて目の前で繰り広げられる戦闘を見ていた。


 建物の影に潜み、気配を殺している二尾の黒猫の眺める先では、龍谷とガタイの良い少年が協力して見た目からして人外の化け物数人を相手に、無双していた。


 龍谷は白い光を身に纏い、もう一人の少年は赤の光を身に纏っている。


 化け物こと『使徒』達は、殴り蹴られて黒い霧となって消滅していく。


 その場所の『使徒』が全て倒されるまで、戦闘開始から実に数分しか経っていなかった。


 『使徒』を倒し終えた二人が会話し始めたのを横目に、黒猫は猫特有のしなやかさで以て素早くその場所から離れる。建物の影や隙間を通り、静かに移動する。


 足を止めずに迷わず向かった先は、一軒の大きな家。堂々と敷地の中に入ると、次の瞬間には一人の人間へと姿を変えていた。


 《超獣化》を使って二尾の黒猫へと姿を変えていた水落は、家へ入りながら先程見た戦闘を思い返す。龍谷の方はここ最近稽古をつけていた為実力は知っていたが、その龍谷とほぼ伯仲した実力を持っていた男が少し気になる。


 総合的な実力の程は龍谷とほぼ伯仲しているが、近接戦闘技術だけを見れば龍谷より上だった。ただし一瞬見たら分かるのだが、『攻撃は最大の防御』を地で行く脳筋戦闘法だ。


 攻撃を受ける前に突っ込み、殴り飛ばす。隙をついた攻撃、例えば蹴りが来たならそのまま脚を殴り飛ばす。離れて行ったらそれ以上の速度で近付いて殴り飛ばす。正に脳筋。


 殴る殴るとばかり言っているが、幾ら脳筋とは言えしっかり蹴りも使っていた。体術の基礎はしっかり出来ており、後問題なのは頭の良さと性格だ。別に熱血漢だったり戦闘狂だったりは良いのだが、冷酷無比だと......いや、流石にそれは無いだろうが。


 最悪冷静で自分にとって危険かどうかが分かればいい。まあ、仮にも命を懸けて戦っているので、その辺りの事は分かっているだろう。分かっていなければ『守護神』の方が止めている筈だ。


 色々と思い浮かぶ事があるが、それら全てを知るには情報が足りなさ過ぎる。まあ、恐らく龍谷の方から紹介して来るだろう。何なら龍神の方が先に教えてくれるかもしれない。


 若しくは学校に転入するだろうかと、色々と考えつつ部屋へと戻る。龍谷には今日の稽古はここまでだと言ってあるので、今日はもう戻る必要もない。


 という訳で、優先順位を決めたは良いものの、万全の状態を整(アイテム等を揃)える事に手間取っている《CR(クロ)》をやる。


 手間取っていると言っても集めていた素材等も目標数まで残り僅かなので、急げば今日中に『クエスト』をする事も、クリアする事も可能だろう。


 まあ尤も、そう急ぐモノでも無い為ゆっくりと楽しみながらプレイする。


 現実(リアル)の事も色々と考えつつ、部屋のベッドを椅子代わりしながら《CR》を開いた。

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