9509列車 スカスカ
「フュー。」
ブレーキを解除した音がして、カラフルな特急電車はゆっくりとホームを離れ始める。ここは直江津。あの列車には12分しか乗っていなかった。これも今までない経験である。
「シンクン・・・。」
「何。
「あの列車って柏崎に停まるのよね。」
「停まるよ。」
「じゃあ、何でアレに乗っていかなかったの。あっちの方が快適じゃない。」
「ああ、それなんだけどね。アレに乗っていっても1時間柏崎で待つことになるのよね。因みに今から乗る普通列車で柏崎に行っても30分列車待つから。」
「30分も電車を待つの。」
「うん。越後線って列車少ないから12時13分発の列車を逃すと180分柏崎で待ちぼうけを食らうことになるしね。」
それを聞くと私の最寄り駅である守山駅は相当恵まれていると思う。ドアは自動で開くし、列車は30分でさえ待つ必要がないし・・・。
柏崎で私達は切符を見せて駅の外へ出た。駅の外に行くとブル○ンの自動販売機があった。輝はそこでお菓子を買い、お昼ご飯と称して食べ始める。私もおやつを買う。さすがに空腹が持たなくなってきた。
駅のホームの中へと戻り、電車が入ってくるのを待つ。
次に乗るのは越後線という路線。私達がここまで乗ってきたのは信越本線という路線で、この信越本線の列車も新潟方面に行ける。元にさっき乗ったカラフルな特急列車も新潟行きであった。だが、私達は経路の関係で降りる必要があったのだ。
「うわぁ・・・。少ない・・・。」
越後線の時刻表を見ながら、私は電車の数を数えた。電車の数は1日9本。最終電車は20時20分。こんなに少ないところじゃあ、あんまり電車は利用されていないのだろうなぁ・・・。そう思っていたが、電車の出発時間12時13分が近づいてくるとどこからともなく人が現れ、越後線が出発するホームに列を作った。
私達もその列に混じり、電車が入るとボックス席に腰掛けた。
「あれ、あんまり席柔らかくない。」
最初に座った感想はこれだ。
「東日本は基本的に席硬いから。覚悟した方がいいよ。」
輝の言葉はすぐに分かった。この電車から乗り換える必要のある吉田駅まで1時間ちょっと揺られただけだったが、座っているだけでおしりが痛くなる。だが、この間もかが焼きは黙々と勉強を続けていた。相当慣れてるんだな・・・。
吉田駅に到着。次の新潟方面行きの列車は30分後・・・。待ち時間30分はまだ慣れないな・・・。
13時57分発の新潟行き電車はさっき載ってきたものと同じ座席が非常に硬い電車だった。それにまた1時間揺られ、新潟駅に到着する。出発からまもなく8時間となろうとしている。
「あさひ。大丈夫。」
「大丈夫じゃない・・・。あの電車本当に席硬いわね・・・。」
それが感想だった。
「でも、ここからは特急列車に乗れるよ。」
「そうね・・・。ここから特急じゃないと思うと死にそうだわ・・・。」
ちらりと辺りを見回すと綺麗な青色の電車が目に入った。




