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MAIN TRAFFIC5  作者: 浜北の「ひかり」
Iwatsuki High School Episode:3
40/62

503列車 さぁ、言えよ

 土曜日。私は瑞西(すいす)を引き連れて実家に向かった。この家は久しぶりに見る。玄関では執事が一人こちらに頭を下げた。それに応答して、瑞西(すいす)も頭を下げる。

「お待ちしておりました。亜美(あみ)お嬢様。」

「出迎えご苦労様。」

「ご両親はリビングでお待ちです。」

「そう・・・。応接間に通されると思っていたけど。」

「お嬢様はお客様ではないとのことです。応接間は客人を通す間であり、親類を通す間ではないと仰せです。」

「・・・。」

私は執事について、リビングに行った。

 リビングの中ではお父さんとお母さんが席を立って待っていた。執事は部屋に入る前に両親に知らせていたが、その時慌てて席を立ったという雰囲気もない。最初から立って待っていたのか・・・。

 私はそんなことを思いながら、席に座った。

「私がここに来たのは他でもないわ。」

私はそう切り出した。

「これで本当に私はあなたたちから解放されるわ。」

そういいながら、私は東海旅客鉄道(ジェイアールとうかい)からいただいた内定と書かれた紙を机の上に置く。もちろん、両親が読めるように置いた。さすがに、逆さまに置いてやろうという肝起きなかったけどね。

「分かったでしょ。私は会社を継ぐ気は無い。他を当たってもらえる。私はあんたらに追っかけられるのは不快でしかないから。」

「・・・。」

お父さんは黙って、お母さんに紙を渡す。

「よく頑張ったな・・・。おめでとう。」

「はっ・・・。」

お父さんの言葉に私は言葉を失った。

亜美(あみ)東海旅客鉄道(ジェイアールとうかい)に合格するために頑張っていたのはよく知ってる、昔からな。ようやっと、報われたな。嬉しいよ。」

「はっ、ただの社交辞令でしょ。そんな定型文が聞きたいわけじゃないわ」

亜美(あみ)。これはちゃんと話さなかった私達も悪いんだ。亜美(あみ)は私達のことを憎んでいるだろう。後継者としてだけでその他を全く見ない。最低な親だと思っているだろう。だがな、そんな最低な親でも、娘の夢を応援するのはいけないことなのか。」

「今更、そんな出鱈目を言うな。」

亜美(あみ)がどう思おうと私達の気持ちは変わらない。私達は亜美(あみ)のことをずっと応援していた。YouTubeだってそうさ。亜美(あみ)が「セーラー」として活動していることもずっと前から知っていた。動画も見ていたよ。・・・本来なら、もっと目に見える形でするべきだったし、こういう話はしておくべきだった。親として私達はあらゆる責務を放棄した。当然許されることじゃないだろう。」

「・・・う・・・違・・・。」

亜美(あみ)、私達のことを許してくれとは・・・。」

「違うっ。」

私は耳を押さえた。

「そんなんじゃない・・・。私が聞きたいのは・・・そんなんじゃない。」

「お嬢様。」

「言えよ。言えよ、貴様。「東海旅客鉄道(ジェイアールとうかい)に就職して、私達は悔しい」と。言えっ。」

「・・・言えるわけがないだろ。私達は亜美(あみ)の親だ。娘の吉報に喜ばない親がいるか。」

「吉報だと・・・。お前らにとったら凶報だろ・・・。」

「そう思っているのは亜美(あみ)だけだ。ここにいる皆、これは吉報だと思っている。」

瑞西(すいす)ッ。」

私は大声で呼ぶ。

「はい。」

「今すぐに。こいつらの言ってることの・・・。嘘を証明しろ、今すぐ。」

「それは・・・。」

私の命令に瑞西(すいす)は目線をそらす。

「何で・・・何故目をそらす。」

私はすがるように部屋の中にいる全員の執事、メイドに顔を向ける。だが、皆口ごもるか、目をそらすか、「両親の言うことに嘘偽りがない」と目そのものが語ってくるか。どれかに一つだった。

「畜生。」

勢いよく手を振り下ろす。机の上に乗っているものがただ無機質な音を出すだけだ。

「・・・私は・・・私は今まで何を・・・。」

後ろから包み込まれるようにだかれる。私はそれに今まで感じたことのないぬくもりを覚える。

亜美(あみ)。よく頑張ったわ。泣きたいときは思いっきり泣きなさい。私達は笑ったりしないから。」

「っ・・・。」


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