502列車 あっ(察し)
僕は中百舌鳥と一緒にファミレスに来た。席に腰掛けるとデザートを頼む。
「さて、めでたく僕の就職が東海旅客鉄道に決まったわけだし。今年の夏休みは旅行に行くって言う計画を発動します。」
「発動ねぇ・・・。で、改めて聞くけど、その旅行憎ためには輝君の刷る入門編をこなしていくって言うことなのよね。」
中百舌鳥が確認してくる。
「うん、キツいからね。だから、ちょっと肩慣らし程度に関西圏を大回り乗車して、夏休みの連続旅行をするよ。」
そう言ってから、僕は時刻表とボールペンを取り出した。巻頭には日本地図が載っており、営業する全ての鉄道路線と路線バス、航路が書き込まれている。僕は近畿圏を表示しているページを開く。
「この赤い円は何。」
中百舌鳥が聞いてくる。
「この円の中が関西の大都市近郊区間。入門編は全部この赤い円の中を移動するってものだよ。」
「入門編とは言っても・・・。この円って結構大きいのね。兵庫県、和歌山県、大阪府、京都府、滋賀県、奈良県・・・三重県まで入ってる。」
「まぁ、最初は99%滋賀県内で収まるところからスタートするから、安心してよ。」
全部滋賀県内で収まる。その言葉を聞いて、多少中百舌鳥の不安も消えたようだった。
「とりあえず、明日やる行程を発表するね。明日はこう移動するよ。」
僕はボールペンで琵琶湖の周りを一周させた。とは言っても、正確には一周ではない。守山駅から米原、近江塩津、山科経由で隣の栗東駅に戻した。
「いきなり、ビワイチ。」
「ていうか、入門編でもビワイチしか出来ないんだよね。滋賀県の難点だよ、これ。」
「・・・何時に出発するの。」
そう聞かれたので、「9時26分の新快速近江塩津行きで出発。」と即答する。すると、中百舌鳥は「頭の中に琵琶湖線の時刻表インプットされてるのね。」と言われた。
「別にインプットされてるわけじゃないよ。」
と言うと、
「じゃあ、何分に栗東駅に戻ってこれるの。」
「最速で12時18分。」
「てことは、だいたい3時間くらいかぁ・・・。やっぱり、頭の中に時刻表がインプットされてるじゃない。」
「インプットはされてないって。栗東のデータイムは15分に一本単位だから、03分を基準に15分ずつ足したり、引いたりして、時間を加えれば、到着時刻になるの。」
「普通そう言うことはよく電車利用する人だけ覚えてるものじゃない。あっ、それか使う電車だけしか覚えてないでしょ。」
「そうかなぁ。」
「そう言うものよ。私だって通学で使ってる新快速の時間しか覚えてないわよ。どこでどう普通電車を抜かしてるとか。私知らないしね。」
「・・・。」
これはちょっとマズかったかなぁ・・・。夏休みにやろうとしている旅行は東北に行ったり、九州に行ったりする。しかも、一度出てしまったら1週間はまず家に帰らない。中百舌鳥はまず大回りでならしてから智思ったが、1回夜を越える旅行にも連れて行った方がいいか・・・。そうは言ってもなぁ・・・。「ムーンライトながら」の指定券は十分取ることが出来るだろうが、それに連れて行くというのが酷だなぁ。そもそも初心者が乗るような列車じゃない。諦めて貰うか。
「あっ、中百舌鳥さん。夏休みの旅行は別にやらなくてもいいんだよ。」
「何で諦めなくちゃいけないのさ。連れてってくれるって言ったじゃない。」
「言ったけど・・・。今の中百舌鳥さんの話を聞いてたら、とてもじゃないけど連れて行けないとしか思えなくて。」
「・・・確かに、私は電車のことは全然わかんなし、東北行ってから九州行こうなんて考えもしないわ。ついて行きたいって言うのは私のわがままよ。別に毎回連れてけなんて言わない。ただ、今年の夏だけついて行きたいの。」
「・・・。」
「ダメ。」
あっ、それは反則・・・。
「分かった。こっちも楽しめるように考えるよ。」
そうは言ったが、楽しむよりも中百舌鳥は疲れるの方が先行するだろうなぁ・・・。何時間も列車に乗るって言うのがそもそも未経験だからな。
(「リゾートしらかみ」、「きらきらうえつ」、「リゾートみのり」、「現美」、「とれいゆ」。色々乗り回す方にしようかな。僕ももう一度乗りたいのもあるし・・・。)




