466列車 ああ、笑える。
光が東京に行くと、家は急に広くなったような気がする。とは言っても減ったのは一人だけなんだけど・・・。
ふと机の上に置いてあるスマホが「LINE」という。
「萌、何か通知が来たよ。」
ソファーの上に座っていた僕は台所で何かしている萌を呼んだ。すると萌は「はーい。」といいながら、机のスマホを手に取った。すると、
「・・・はぁ。」
萌はため息をついて、スマホを机の上に戻した。
「・・・。」
それに僕は何も言わない。萌が気になっている光からのLINEじゃなかったんだな。
「心配じゃないの。」
なんの関心もなさそうにソファーにふんぞり返っているからだろうか。萌がそう聞いてきた。
「僕も心配だよ。決まってるじゃん。」
そりゃ自分の子供が心配じゃない親はいないでしょ。僕もあんまり光からLINEが来ないことは気になっているからなぁ・・・。ただ、自分も一人暮らし始めた時、親に積極的に連絡を取っていたかと言われるとそうじゃない。ほとんど自分から連絡は取らず、お父さんから送られてくるLINEを既読するだけだったからなぁ。だから、あんまり人のことをとやかく言うことはしないだけだ。自分の子供だけど・・・。
ふと萌をみるとスマホを片手に握りしめている。スマホがLINEという度に萌の体がピクッと反応するところ、見てて面白い。
「LINE。」
「クッ・・・。」
つい笑ってしまった。
「・・・ナガシィ。」
「ごめん。」
「笑わなくてもいいじゃない。」
「・・・そんなに気になるならゴールデンウィークにでも行ってくれば。」
「私が会いに行ったらナガシィの食事が心配になるから、行けないの。」
「・・・僕のせい・・・。」
「そうよ。ナガシィ何にもできないでしょ。」
反論はない。
「でもね、お金がないのよ。新幹線で行けるだけのお金がね。ゴールデンウィークじゃ「ながら」は運転しないし、正義の味方だって発売しないでしょ。」
確かになぁ。「ムーンライトながら」に乗れば東京到着は翌朝5時05分。しかし、格安ホテル、格安走る棺桶、新幹線、航空便が発達して以降、夜行列車でゆっくり移動するというのは下火になっている。ああ、正義の味方って言うのは18きっぷのことだよ。
「そうだねぇ・・・。ゴールデンウィークに発売しても乗る人いないんじゃない。」
「そうかもしれないけどさぁ・・・。」
チラッと僕を見る。
「レヴォちゃん、運転してってもいいよ。」
レヴォちゃんは僕の車のあだ名だ。ちゃん付けで呼んではいるけど、擬人化するなら男の子だな。もちろん漢字は娘じゃない。
「運転していかないわよ。レヴォちゃん運転するの疲れるし。レヴォちゃんでのロングランは滋賀から浜北だけでいいわ。」
レヴォちゃん車庫で(´・ω・`)としてそう・・・。次も帰省はレヴォちゃんでしなきゃいけないから、その時新快速するから許してね。
「ふぅん。まぁ、他にも東京に行く方法はあるからいいか。」
すると玄関がちょっと騒がしくなった。それに萌が敏感に反応する。
「智萌。帰ってきたら、ただいまぐらい・・・。」
「ただいま。」
息を切らしながら、智萌はそう言う。言うとすぐに階段を上がり、2階へと消えていく。5分ぐらいたった頃、今度は普段着に着替え終わった智萌が階段を降りてきて、台所に行く。ジュースをコップに注ぐやいなや、体に流し込み、コップをシンクにおく。
「バイト行ってきまーす。」
嵐みたいだな・・・。
「・・・。」
「あんなに慌てなくても・・・。」
僕はそう言ったけど、萌は何も言わなかった。
「・・・「大垣ダッシュ」と同じよ。」
「ああ。もう僕たちはそんなのしないけどね。」
今、外を見ると自転車に乗り、立ちこぎで頑張ってバイト先に向かっていく智萌の姿を見ることができるだろう。・・・若いっていいねぇ・・・。