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MAIN TRAFFIC5  作者: 浜北の「ひかり」
Iwatsuki High School Episode:1
28/62

491列車 夜を越える下準備

「ふぅ・・・。」

私は疲れた体をシートに預けた。通路側、進行方向一番後ろの席に腰掛け、シートを全開で倒す。足は通路側に出し、邪魔にならないように前の椅子に貼り付けるように伸ばす。これでアイマスクを付ければ、寝る体勢になれる。

 朝北陸新幹線(ほくりくしんかんせん)新大阪(しんおおさか)を発ち、長野(ながの)経由で白馬(はくば)入りした。14時02分に白馬(はくば)に着いてから、スキーを思いっきり楽しんで、20時52分に出発する普通列車に乗って上諏訪(かみすわ)まで戻ってきた。ここから先は「ムーンライト信州(しんしゅう)」に乗り、翌日の5時40分に新宿(しんじゅく)に着く。これで一旦東京(とうきょう)へ戻るのだ。

 充当される車両はE257系500番台。房総半島を走る特急列車に充当されていた車両でさんさんと降り注ぐ太陽光をイメージした黄色いカラーが目立つ。JR世代の車両と言うこともあって、快適性は申し分ないはずだが、最新車両ばかり乗り通してきた私のみからするとちょっと見劣りするか・・・。何せスキーに行く前に乗った「あずさ」はE353系だからなぁ・・・。

 駅の時計は0時を示す。この列車の出発時間は0時08分。発車まではまだ少し時間があるが、アクティブに動く気にはなれない。

「すいません。後ろに荷物置いてもよろしいでしょうか。」

私にそうといてくる声がした。

「はい。いいですよ。」

そう言った時、私に荷物を置きたいと行ってきた人が誰なのか気付いた。

播州(ばんしゅう)さん・・・。」

「これは、これは。お久しぶりですね。」

亜多琉(あたる)。後ろの人と話付いた。」

そういう女性の声がする。車内は日付を超えたためか出発前から寝ようとしている人たちがいる。

「大丈夫だよ。ちゃんと話は付いたから。」

「すいませんね。荷物置かせて貰って。」

「お気になさらずにどうぞ。」

その声を聞いてから、播州(ばんしゅう)さんはシートと壁の間に大きい荷物を入れた。

播州(ばんしゅう)さん、今日は何しに白馬(はくば)へ来られていたのですか。」

と聞いた。

「今日は家族とスキーに来ようという話になりまして。なかなか家族で出掛ける機会も少ないもので・・・。」

「つかぬ事を伺いますが、今日のこともYouTubeにあげたりしますか。」

「・・・多少、家計の役に立てられるものでしたら、今回の家族旅行もお伝えしようかと思います。」

そう言うところはぶれないか。

「ただ、YouTubeに投稿するにしても時間がかかると思いますよ。私も有名になるためにやっているわけではありませんからね。」

「そうですよね。特定されると不味いですからね。」

「本当に、便利すぎたり情報が多すぎたりするのも考え物です。」

そういう頃、播州(ばんしゅう)さんの奥さんだろうか。なかなか戻ってこない旦那にしびれを切らして、こちらの方へ来た。

「夜遅いんだから、迷惑でしょ、亜多琉(あたる)。」

「ああ。ごめん。ちょっとした知り合いがいたもんで。」

「知り合いね・・・。変な気は起こさないでよ。」

「・・・。」

播州(ばんしゅう)さんは一礼してから自分の席のほうへ行った。

「・・・またあったなぁ・・・。」

私はビデオカメラを取り出し、録画を始める。もうすぐ出発時間だ。

 5時40分。新宿(しんじゅく)に到着する。荷物をまとめて、列車から降りる。降りてから、播州(ばんしゅう)さんの家族たちともまた目が合ったので、こちらも一礼してから、中央線のホームへと向かう。持っているビデオカメラを←出て握り、出来るだけ私から離す。

「皆様、おはようございます。たどり着いたのは東日本旅客鉄道(ジェイアールひがしにほん)新宿(しんじゅく)駅です。ああ。私。今かなり酷い顔していますね。」

日付も関係なく会社に向かうスーツを着込んだ人たちの目が多少痛いが、そんな視線にも慣れた。慣れって言うのは恐ろしいもんだ。


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