490列車 教訓から全く学ばない修行
年が明けて、しばらくたってからウチは電車に乗り、東京に戻る。8時00分発の新快速に乗り込み、この先東海道本線の普通列車を乗り継ぎながら、移動する。
ウチは早速勉強道具を広げた。亜美や輝の言うとおり、電車の中で移動しながら、勉強するって言うのは結構はかどると言うことが分かった。まぁ、全員に効果的な勉強方法だとは思わないが、はかどると言うことが分かった以上活用するしかない。30分後、米原に到着。3分の乗り換えで大垣行きの普通に乗る。大垣行きの普通列車4両には結構な人数が乗っている。ウチが行った時にはもうほとんどの席が埋まっており、座るところはどこにもない。米原から大垣までの所要時間は35分ほど。これくらいなら後の新快速でちゃんと座って行ければ、問題ないか。
ウチは2両目と3両目の連結面に来た。運用されている車両は313系300番台で2両目と3両目の間にはそれぞれ乗務員室がある。乗務員室の壁にもたれかかる。
「ふぅ・・・。」
「隣失礼します。」
「どうぞ・・・。」
ウチはそう言ったが、
「えっ・・・。」
「今日は東京に帰るのかな。」
輝だ。
「輝。今日は大回りじゃないの。」
「大回りってやり尽くしたんだよね。大回りで制覇できない所って尼崎から向こうばっかりだし、それは18切符でいったりしちゃったから。もう、関西はどこ行こうにも回ったところばっかりで・・・。だから、今回は関西から出てみようと思ってね。」
「なるほど。因みに、どこまで行くつもり。」
「東京まで行くつもり。」
「東京かぁ・・・。ウチの家にまで着いてくるわけじゃないよなぁ。」
「付いてかないよ。僕は豊橋から飯田線と中央東線経由で東京行くから。豊橋くらいまでは一緒かな。」
「ほう・・・。」
ウチはそう返事をした。
今乗っている列車は9時05分に大垣に到着。接続は6分で9時11分発の新快速豊橋行きに乗り込む。その列車の豊橋到着は10時37分。ウチはその先東海道本線を東へ進んでいくから、豊橋10時43分発の普通浜松行きに乗り換える。浜松ではおじいちゃんたちに顔を見せ、17時20分発の普通熱海行きでまた東を目指す。東京到着は21時45分。常磐線のほうへ帰らないと行けないため、部屋に帰れるのは23時くらいになるか・・・。
一方の輝は豊橋に10時37分に到着してから、飯田線の10時42分発の普通岡谷行きへ乗り換え、岡谷17時31分着。中央東線に乗り換え17時55分岡谷発の甲府行きへ乗り換え、小淵沢または甲府で後続の大月行き普通に乗り換える。大月では特別快速東京行きに乗り換え、東京到着は22時32分であるらしい。そう言いながら、輝は「もうこんな馬鹿なことはしないだろうね」と言った。
9時05分。大垣着。階段を駆け上がり、9時11分発の新快速が止まるホームへとダッシュする。階段から離れた車両が比較的空いており、席も確保することが出来た。
新快速に乗ると安心からか眠気が襲ってきた。隣に座ったかが焼きを見ると眠い時は逆らわずに寝ているみたいだ。ウチも寝るか。
1時間30分ほどたつと豊橋に到着する。ウチらは豊橋到着早々に立ち上がった。
「さて、僕はこれから修行してくるよ。」
修行とは飯田線を乗り通すという意味だ。
「行ってらっしゃい。ウチはこれから東海道本線を東へ進んでいくよ。」
「静岡県内はキツいでしょ。」
「まぁ、スピード狂にとってはね。」
列車が止まり、ドアが開く。それと同時にウチらは早足で移動し始める。
「永島君、じゃあ。もしかしたら東京でね。」
そう言い輝は階段を駆け上がっていった。




