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MAIN TRAFFIC5  作者: 浜北の「ひかり」
Iwatsuki High School Episode:1
2/62

465列車 何しに来たか?

 今日は簡単なオリエンテーションで一日が終わる。まぁ、これから先は実習やらなんやらで忙しくなるだろうからなぁ・・・。ウチは貰った資料を全部鞄にしまい、帰る準備をした。生徒の会話は学校が終わって遊びに行くことに変わっている。

「これから舞浜(まいはま)に行こうと思うんだ。行こうぜ。」

舞浜(まいはま)かぁ・・・。TDLにでも行くのかな・・・。ウチはTDLには興味ないからなぁ。修学旅行で行って以来一度も行っていない。そもそも、並んでまで遊園地に行きたい・遊びたいという価値観をウチが共有できないからである。

「僕はこれから日暮里(にっぽり)に行こうと思うよ。「四季島(しきしま)」取りたいしね。」

「E001系かぁ・・・。「四季島(しきしま)」は何度も撮ってるから俺はパスかな。」

会話が鉄道ばかりだ。ウチも東京(とうきょう)の列車を見ることはほとんど無いからな。部屋に帰ってカメラを持ち出して撮りに出掛けるのもいいだろう。

永島(ながしま)君はこの後どこかに出掛けるの。」

後ろから沼垂(ぬったり)が話しかけてきた。

「うーん・・・。ウチは別にどこにも行かないかな。沼垂(ぬったり)はどこか行くの。」

聞き返してみたが、沼垂(ぬったり)も首を横に振った。

「俺も今はどこにも行かないかな。通学だけで疲れたから、今日はまっすぐ寮に帰ることにするよ。」

確かにそうだな。降ろされたり、人の量に圧倒されたり・・・。あんな朝を迎えるのかぁと思うだけで憂鬱になる。それにしても・・・、

「へぇ、寮に住んでるんだ。ウチも寮に住んでるんだ。」

「どこの寮。」

金町(かなまち)だよ。」

金町(かなまち)かぁ。俺も金町(かなまち)なんだけど。もしかしたら、同じ寮だったりしてね。」

「光ちゃん。」

そう話している間に亜美(あみ)がウチの席の前に来ていた。

「帰りましょう。」

間髪入れずに、ウチに帰るよう促す。

「あっ、うん。」

ウチは鞄を手に席から立ち上がり、沼垂(ぬったり)に「じゃ、また明日」と声をかけて、クラスを出た。廊下には会話が絶え間なく聞こえてくる。しかも、その話の大部分が鉄道の話だ。

「ケヨ○○編成が・・・。」

「前に国府津(こうづ)からコツが来やがって・・・。」

(・・・理解不能だ・・・。)

「光ちゃん、忘れてないでしょうね。」

昇降口に向かうながら、亜美(あみ)が聞いてきた。

「忘れてないって。」

「私達は東京(とうきょう)に遊びに来たわけじゃない。もちろん、遊ぶなとは言わないわ。」

そのことか。

「忘れるわけ無いでしょ。でも、ちょっとくらい話してもいいんじゃないかな。」

「ちょっとぐらいならね。ただ、溺れることのないように。」

「・・・。」

亜美(あみ)の価値観って言うのはどうも理解できない時がある。しかし、今亜美(あみ)が言わんとすることも分かる。確かに、ウチは鉄道員になるために今ここにいる。遊びすぎるのは禁物なのだ。

 ウチは何も言わなかった。ただ首を縦に振るだけにした。


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