476列車 待ち合わせの打ち合わせ
たくさんの書類が山積みになっている。今にも自分のほうに崩れそうと言うほどには積み上がっていないが、この書類の山を見るだけでも疲れが増大する。
「はぁ・・・。」
ため息をつくと「コンコン」と扉をたたく音がする。
「どうぞ。」
俺はそう声をかけると真琴が顔を出した。
「どうした。まこっちゃんが来るって珍しいな・・・。見れば分かると思うけど、仕事中なんだけど・・・。」
「淳君。さっき光君から連絡があったんだけどね。夏休みこっち来る時に友達連れてきてもいいかなって。」
「友達・・・。俺は別にいいけど。ていうかそれ俺に聞くことか。」
「いや、その友達が問題なんだって・・・。」
友達が問題かぁ・・・。「どんな問題児がやってくるんだろうな。」と思ったが、
「光君の友達企業研究とかに熱心で、出来れば鉄道会社の経営者とかの話聞いてみたいなぁって考えてるんだって。」
「・・・企業研究かぁ・・・。確かに、問題だな。」
俺はそう返した。そして、その人は俺の話を聞きたいと言うことだろう。ウチの会社みたいな地方私鉄の経営者の話を聞きたいとはその人もずいぶん物好きだな。とは言っても大手の経営者の話を聞けるはずも無いか。
「どうする。断っとく。光君別に断られても大丈夫って言ってたけど。」
「・・・。」
「ねぇ、淳君。」
「待てよ、ちょっと。今考えてるんだって。」
そう言いながら、手帳を取り出し、とも立ちが返ってくる日程を確認する。これに合わせて光君も帰ってくるのか。そして、友達もやってくる。その時の予定は入ってるな・・・。
「とてもじゃないけど、話をしている時間はなさそうだな・・・。」
「それが・・・。光君こうも言ってたよ。夜にちょっと話が出来る程度でもいいって。」
「そういうことは先に言ってくれ。」
「ごめーん。」
「・・・ていうか、それだけでもいいの。本当に。」
「光君が言ってるんだから、問題ないんでしょ。」
「・・・分かった。その話は受けることにするよ。まぁ、せっかく熱心に就活しようとしてるんだからな。光に言っといて。その日は三島まで拾いに行ってやるから、三島駅で待ってろってな。」
「えっ、でもその日は。」
「分かってるよ。忘れてないから安心しろ。終わるのは15時だったよな。だから、16時ぐらいに三島にいとけって言っといたら大丈夫だよ。」
「・・・分かったわ。光君にはそう伝えとくわね。」
「よろしく。」
真琴が部屋から出て行くと自然と仕事にも力が入った。早く仕事終わらせて、俺の車の調子を見ておかないとな。
「うん。分かった。そう伝えとくね。」
ウチはそう言って電話を切った。
「どうだった。」
亜美は目を輝かせて聞く。
「大丈夫だって。ただしごととかの兼ね合いで夜だけしか話せる機会はなさそうだって。」
「夜だけでも言いに決まってるじゃ無い。嘘。マジ。本当にお話聞いてくれるの。」
こういう反応もするんだな・・・。
「ああ。大丈夫だって。それで帰る時に三島まで迎えに来てくれるらしいから。そこに16時にいてくれればいいって。」
「三島って浜松から結構離れてるよねぇ。迎えに来てくれるのはありがたいけど、浜松までどうやって帰るのよ。」
「車で帰るんだって。.」
ウチはそれに続けて、
「おじさんの運転での高速道路結構早いから多少覚悟した方がいいっておばさんが言ってたよ。」
そう付け加えた。
「高速を猛スピードで走るって事。そうはいっても130キロぐらいでしょ。」
「・・・。」
ウチもおじさん運転で高速に入るのは初めてだからな。本当に150キロ出すかどうかは見物かも・・・。




