怪談で仕事!
「ねぇ聞いてよ、はなちゃん!!」
はなちゃんと呼ばれた20代前半の女性がコーヒーを飲みながら目線をあげる。
「ん?なぁにメリー?」
メリーと呼ばれた14〜5才の少女はケーキを食べながらプリプリ怒っていた。
「今月の電話代半分しか経費で落とせないって言われたの!!
この前携帯新しくしたばっかりでお金が足りないっていうのに!!」
と言いながらメリーの商売道具の携帯を見せられた。
「私もそうだよ?
私は北海道と沖縄の交通費は出せないって」
はなはため息をつきながら話す。
「今年の夏は暑いから他の皆もあっちこっち頑張って営業してるから経費が追い付かないんだと思うよ?」
はなはメリーを落ち着かせる為に自分の考えを話した。
「だからって半分は無いでしょ!?
これじゃ私、仕事できな」
その時メリーの携帯がメールの着信を知らせた。
メールの内容を見てメリーはため息をついた。
「はぁ、栃木県の小学校かぁ…
はなちゃんゴメン、ちょっと仕事していい?」
やりたくないオーラーを出しながら電話を掛ける。
「どうぞ、頑張れ〜!」
はなは励ましの声をかけ、メリーの仕事を眺めている。
「私、メリー…今、校門の所に居るの…」
2・3分待ってまた電話を掛ける。
「私、メリー…今、校舎の前にいるの…」
電話を切り一息つき紅茶を飲む。
「うわぁ、今のだけで200円!?」
通話料金を見てため息をこぼす。
「日本中にいくつ学校があると思ってるんだよぉ…」
テーブルに突っ伏して愚痴をこぼす。
「早く、冬よこ〜い!!」
メリーの愚痴を聞いてはなは笑い出す。
「やだぁ、メリーったら。確かに冬になれば私たちの仕事は大体休みになるけど今が、稼ぎ時じゃない!
今、頑張らないと!!」
はなはメリーを励ます。
「私だって明日から、あっちこっちの学校に行かなくちゃ行けないんだからぁ」
はなは今の姿が本当の姿なのだが、5〜6体に分身に別れるため仕事場では子供の姿になってしまう。
はなの仕事場は『トイレ』である。
そう、はなはあの有名な『トイレの花子さん』なのである。
メリーはそうだよねといい電話をまたかける。
「私、メリー…今廊下にいるの…」
電話を切る。
「あー!早く学校から出ていけ!
いつまで居るつもりよぉ。
最後はめちゃくちゃ長いから通話料金がめちゃくちゃかかるぅ…」
『チャラリラ♪』メールが届いた。
メリーの目が輝いていた。
「わーい。お疲れ様だって。私の願いが叶ったのね!!」
メリーは両手を挙げて喜んでいた。
「逃げるんだったら最初から肝試しなんかしなきゃいいのにね…」
はなが呆れたように呟いた。
「本当だよね。
はなちゃんも明日から頑張ってね!」
メリーがはなの言葉に同意し、エールを贈る。
「仕方ないよねぇ。死んだ後も幽霊の私たちが仕事してるなんて、生きてる人たちは知らないんだから…」
二人は顔を見合わせて笑い、はなはコーヒーのおかわりをもらいながら諦めた様に話す。
彼女たち幽霊は、私たち人間が学校へいき仕事をする様に、幽霊社会で仕事をしているのである。
私が昔、お化けは違う次元の人々と考えていたことがあったので、書いてみようと思って書きました。お化けにもお仕事があったっていいじゃないか!!そう考えたらちょっと怖くなくなりますよね(汗)。読んでくださってありがとうございました。感想など書いていただけたらとても嬉しいです。