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第八話

 昼休憩が終わり、午後の第一部の時間になった。僕たちはどちらも用事が入っていないのでエルさんの為に文化祭の案内をすることにした。ちなみに体は僕がベースだ。エルさんの体で移動すると絶対後ろとかに行列が出来ちゃいそうだしね。


 「あら?これはなにかしら?」

 「それはリンゴ飴だよ。果物のリンゴに飴を絡めて固めたオヤツだよ」

 「へぇ、リンゴだけでも美味しいのにさらに飴までかけるなんて……面白い発想ねぇ。一つ買ってくれる?」

 「一つが大きいから今食べると他のお菓子が食べられなくなるよ。売り切れるってことは無いと思うし、あとで姉ちゃんにメールして、帰る時に買って帰っていってくれるようにお願いしておくよ」

 「……もう、私はツバサ君に買ってもらいたいんだけどなぁ?」

 「……そういうことなら、よろこんで~」


 と言う感じであっさり買わされちゃったよ。リンゴ飴以外にもベビーカステラや、ヤキソバなどあまり見かけないものから家でも食べられるようなものまでたくさんね。

 手に食べ物をたくさん持って屋上へ。ここは一般開放されてないから生徒たちの食事やら休憩をする場所となっているんだ。


 屋上には休憩中と思わしき数人の生徒がいるけど、僕が来た程度では見向きもしない。そのまま生徒の居ないスペースに移動し、エルさんへと変身。


 「ふふっ、たくさん買ってくれてありがとうね、ツバサ君」

 「どういたしまして。無理して全部食べなくてもいいんだよ?持って帰れば良いだけだからね。だからいま食べたい、好きなものから食べればいいよ」

 「えぇ、それならまずはリンゴ飴かしら……初めて食べるものだしさっきから食べたくて仕方がなかったの」

 「どうぞどうぞ」


 こうしてエルさんはリンゴ飴を食べ始めたんだけど、なんというか飴を舐めとるときのチロチロする舌の使い方がすごくエロいです……。数分かけてリンゴ飴はヘタだけになった。


 「うおぉ……俺は今からでもリンゴ飴になりたい……そして俺のすべてを舐めとってほしい……」

 「リンゴ飴のように舐めてほしい……代わりに俺が大玉スイカの如きマシュマロとサクランボを……ジュルリ」


 うわっ!エルさんのリンゴ飴を食べる仕草につられた人が集まってた!?僕もエルさんの仕草に夢中になってて気づかなかったとはいえ、ここまで人が集まってたのは予想外だった。

 ていうかお前ら……特に二番目のやつ発言がアウトだよっ!?てか君の言うサクランボもマシュマロも僕のものだっ!どういう意味でなのかはそこの君たちならわかるよね!



 「あら?いつの間にかこんなに生徒さんが集まっていたんですね。こんなに居ては他の生徒の邪魔になるでしょうし移動しますね。それではごきげんよう……」


 さすがエルさん。生徒たちに有無を言わさず道を開けさせるその手管、見事だよ……。

 エルさんはドアを出た所ですぐに僕の体へチェンジした。そして僕はと言うとすぐに扉から離れた。

 なぜなら……


 「エルネシアさんはどこに行った!?探すぞ!」

 「脱出へのあまりの見事な運びに魅入ってしまったぜ~」

 「うぉ、出たばかりのはずなのにもういないぞ。なんて動きが早いんだ」


 僕が扉の前からずれてすぐに先ほど集まっていた生徒たちが急いで階段を下りて行ったのである。

 まあ僕のクラスの人は僕とエルさんが同一人物と知ってるけど、学年が違う人はそういう事を知らない人がまだ居るからね。

 誰もいなくなったのを確認しエルさんへと変身した。あと数カ所回ったら午後の二部開始の時間だからね。


 「リンゴ飴おいしかったわ。お土産にいくつか買って帰っていいかしら?」

 「まあ気に入ったのならいいんじゃないかな?エルさんがたくさん買うとお店の人がいろんな意味で喜ぶと思うよ?」

 「そうですわね。それではさっそく行きましょうか」

 「いやいや、まださっき買ったものがたくさん残ってるから、それを減らしてからにしてよ」

 「あら、忘れてたわ。それじゃあベビーカステラを食べながら周りましょう」


 食べ歩きは行儀が悪いはずなんだけどエルさんがやるとなぜかそう見えないのが不思議だ。

 ベビーカステラを食べてる姿を見た外来のお客さんたちはベビーカステラのお店へと向かっていったし、即興のリンゴ飴の歌を歌っているエルさんに触発された中学生連中がリンゴ飴を買いに行ったり、エルさんの影響力が凄い事になってる。



 午後の一部で最後に周ったのは天文部のプラネタリウム。星の動きの説明やら各種星座の説明やらがされていて、エルさんは地球の星座について少し学べたらしい。異世界には星座なんてものはなかったんだって。そりゃ興味もっちゃうよね~。


 「そういえばツバサ君の星座は何座ですの?」

 「僕?僕は六月第一週の生まれだから双子座だね」

 「そう……私は誕生日と言うのが分からないから何座かわからないわね……」

 「それなら僕と融合した時を誕生日にしたらいいんじゃない?というか、戸籍ではそうなってるし」

 「あらそうだったの?それなら私は何座になるのかしら?」

 「えっとね、融合したのが五月位だったはずだから……おうし座か僕と同じ双子座だね」

 「それなら双子座で良いわ。私をこっちに送った古龍が私とツバサ君は良くマッチングしているって言ってたし」

 「えっ?そんな理由で勝手に決めるんじゃなくてね?……あっ、確かに僕とエルさんが融合したのは双子座に切り替わって数日後だったよ」

 「そう。なら私たちは双子座ということでいいのね。ツバサ君と同じで嬉しいわ」

 「……僕もだよエルさん」



 とプラネタリウムを周っている間に脳内でイチャイチャ空間らしきものを展開していたんだけど、途中で二部開始前のアラームがなったので意識を戻し、自分のクラスへ戻った。

 二部の盛況ぶりは午前とは比べ物にならないほどだったと言っておこう。

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