趣味小説家の苦悩
僕は趣味で小説を書いている。
僕以外にも趣味で小説を書いている人は多いだろう。
ここにはそんな趣味で小説を書く方が集まっているのだと思う。
そんな人の中にも当然名作を書かれる方はいらっしゃる。
名作と言われるほどでなくともとても面白いものを書かれる方もいる。
そんななか僕は今日も駄作を書いている。
昨日 名作 と感じるものを読んだ。
ライトノベルなのだが、感動の超大作ーさすがに大袈裟かもしれないがーだった。
泣いたし、感動した。
切ない物語の中にも笑いがあって、冗談混じりで、
なんというか、こう、名作だった。
言葉では言い表せないほどに感じるものがあった。
そんな小説を読むと感動とは違った何かで胸が痛むことがある。
それが何かわからなかった。
でも遂にわかった。
僕にはそんな名作を書くことはできない。
僕が小説を書くのは趣味と妄想の延長線上で人様に見せるものではないのではない。
名作があるなかで僕の書くものは駄作、いや「小説」に対する侮辱なのではないか。
気が滅入る。
名作のあとがきを見て思う。
自分のとなんら変わらないじゃないか。
これなら自分でもかけるんじゃないか。
でも直ぐにそうではないと気づくのです。
どう書こうと、
どう足掻こうと、
僕では名作の足元にすら及ばない。
僕は小さい頃から小説が好きで読んできた。
たくさんの小説を、物語を読んできた。
たくさんの主人公に憧れて、
たくさんの世界に夢を描いた。
何度も構想を練って、
何度も考え直して、
何度も何度も作り直して。
時には世界観がひっくり返り、
時には主人公の設定すらも変えて。
国語力が及ばないこともあった。
うまい表現が見つからなかった時もあった。
その度に自分の実力のなさを実感して、
その度に不勉強を自覚して、
勉強し直して、
投げ出しそうになって、思い直して、やり直そうと決めて。
それでも書けなかった。
暇さえあれば考えて、
物語を思い描いても。
推敲をするうちに自信がなくなって、
読み直して失望して、
落ち着いて考えて恥ずかしくなって。
何枚も何枚も原稿用紙を捨てた。
幾つも幾つもデータを消した。
でも書くもの書くもの全て駄作で。
とても人様に見せることなどできなくて。
いま投稿してある小説ですら信じられなくて。
バカバカしい自己嫌悪に陥っては自暴自棄になる。
そんな自分の姿をみては情けなくなる。
わかっている。
自分に名作は書けないし、
自分の作品を誇りに思うこともできない。
わかっている。
わかっているのに、
今日もパソコンに向かっていて。
なんでだろう。
それだけは、わからない。