友達とは
結局あの二人は友達じゃなかった。なんだよ。友達なら一緒に考えてくれよ。もう友達じゃないからいいんだけど。
ポケットから携帯を取り出す。さっき会った二人のアドレスを削除した。そして自分のアドレスも変更。これで連絡をとることはなくなった。携帯のアドレス帳は一人もなくなった。なんの番号も登録されていない。携帯を持つ意味ももうないな。
誰も信用できなくなった。僕からこの世界を拒絶する。一昨日の選択は間違いではなかった。あのまま飛び降りてもまったく影響はなかったんだ。
そもそも友達ってなんだろう。なにをしたら友達って呼べるんだろう。少し話せば友達。メールアドレスを交換したら友達。一緒に晩ご飯なんかを食べたら友達。いろんな人がいる。僕にとって友達は、自分の友達が悩んでいたら親身になって相談にのり、解決を導いてくれたり励ましたりしてくれる人だ。晩ご飯とか話すとか。そんな曖昧なものじゃない。友達のために何かやってくれる人が友達だ。僕はそう思っている。みんな友達の定義が広すぎるんだ。だからすぐに裏切る。そうだ。僕はなにも悪くない。悪いのは全て相手のほうなんだ。
「それはお前のエゴというやつじゃないのか? 自分は悪くないと思い込んで周りのせいにしている」
ペンギンが話しかけてきた。
だってそうだろう。今までの行動で僕に悪いところがあった? 友達を作ろうと積極的に話しかけたし、中学のときに友達と思っていたやつらに相談もした。でもあいつらから僕を拒絶したんじゃないか。歩み寄ってこない向こうが悪いんだ。僕は何も悪くない。
「お前は相手の立場になって考えたことはあるのかよ。いつも自分のことだけしか考えてないだろう。今日会ったやつらも、高校にいたやつらも相手の立場を考えて接すれば違う道もあったのではないのか」
考えたさ! 考えたに決まってるだろ! 僕は何も悪くないんだ。はじめ、みんなは悪くないって思ったさ。その場の空気のせいだって、でもやっぱり悪いのは周りの人間なんだ。相手が素直に受け入れてくれればいいんだ。相手のことを知ってその都度周りに溶け込むようなテンションで近づいたけどダメだった。悪いのは僕じゃない。
そのままペンギンは黙った。目を閉じて考え事をしているようだった。ペンギンは僕の言ってることがわかってくれたみたいだ。僕は正しいことを言っているんだから当然だ。
ペンギンが提示した期限まで後二日ある。その期限は守ろうと思う。僕の拒絶が正しかったことを証明するために。