その夜
気づいたときには僕はベッドの上にいた。痛みは残っている。体中が痛い。今日は心も痛かった。
「気づいたか」
隣にペンギンがいた。なにが起こったんだろう。
「お前が気にすることはない。それよりあのとき、なんで立つのをやめたんだ?」
立ったってどうしようもないじゃないか。あそこで立ってもまた殴られるだけだ。そうだ。僕はなにもできない人間なんだ。世の中は力が全てだ。力を持っているものに全員が従う。力を持っているものが全てだ。
「やり返すのは……無理か。力がないもんな」
わかっているじゃないか。腕力もなければ人間的な力もない。
「人間。お前のいう力ってなんだ?」
発言権かな。クラスでの地位だ。人は必ず優劣がつく。自分よりも強い弱いが本人が意識しなくてもできているんだ。
「発言権があれば強いやつなのか?」
そうだよ。そしてそういう人は最初から決まっている。発言できる人間は限られているんだ。ペンギンもバックの中から見てたんじゃないのか? 僕が無視されるとこ。
ペンギンはうなずいた。わかっただろう。僕がクラスでどれだけ必要とされていないか。僕を必要としている人間なんているわけがないんだ。僕は要らない人間なんだ。
「もっと自分を見つめてみることをお勧めするよ。他人と比較して他人が自分より優れていたとしても、それは恥じゃねぇさ」
なにを言っているんだよ。よくわからないよ。奇麗ごとばかり並べないでくれよ。君は何を言いたいんだ……。僕は自分を弱い人間だってことわかってるよ。もう聞きたくない。何も聞きたくない。五時か……しばらく寝よう。なにかペンギンが喋ってるけどいいや。聞いてもどうしようもない。僕には関係ない。どうせ僕は弱い人間だ。
まだもう少しだけお付き合いください。
次もよろしくお願いします。