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第七章 決意

第七章 決意


「おぅ、くーさのー、話ってなんだー?僕様への愛の告白であるかー?」

「違う、真面目な話だ。ちゃんと聞いてほしい。」

僕は木村を呼び出していた。

「なんだね急に言ってみたまへ。」

「お前は人の気持ちになって考えたことがあるか。冗談でも相手が傷つくことがあるって知ってるか。」

「・・・それくらいはわかってる、つもりだ。」

「だったらなぜ」

「お前ならどうする草野。自分の好きな人が他にいる。でも自分に好意を寄せてくれている友達がいる。自分に嘘をついて友達と付き合うのか?それとも二股でもするのか?言ってみろよ。」

「気付いてたのか。」

「普通気付くだろ。でも俺は水島先輩が好きだ。そして夏樹も好きだけどそれは友達として、だ。草野、お前のことも好きだ。出来れば夏樹と草野が付き合えばいいと思ってる。こう見えて俺は不器用でね、ああいう形でしか夏樹を遠ざけることができない。いつものキャラでいつもの言い方で伝えるしかできないんだよ。」

木村が自分のことを”俺”って・・・真剣に話をしてるってことなのか?いつものキャラ設定を解除しているってことか?こいつはこいつで真剣に考えて話してたのか。僕は勝手に自分の理屈で動いて、なんてバカだったんだろう。呼び出しておいて返す言葉がない。

「草野、お前もボーっとしてないで夏樹にアプローチしろよ。お前がうだうだしてるからダメなんじゃないのか?その気がないんだったらさ、本当に俺が夏樹と付き合っちまうぞ?」

「おっ、おまっ」

「なんて、冗談だよ。僕様は水島先輩一筋であります。例えフラれようがフラれ続けば水島先輩も諦めて僕様のものになってくれるのだよ、ふぁっはっはっはっ!それに僕様には協力的な軍曹がいたはずだしなっ!」

「なんだよ、どれが本当のお前なんだよ。」

「僕様は万が一水島先輩がダメでもレナ先輩が待ってくれているからご心配なく。」

「さっき一筋って言ったじゃないかっ!それにレナ先輩だけはないっ!」


結局木村に茶化されてしまったが、僕は独りよがりの恥ずかしい行動を取ってしまったようだ。

見た事のない木村の一面には驚かされたが、あれもキャラ設定の一つなのかと思うとなんだかモヤモヤしてしまう。

しかし、逆に僕が頑張れと励まされてしまった感じになってしまい、いつものように木村の掌の上を踊らされているような気もした。

夏樹ちゃんには悪いが、ん?悪いのか?悪いとしたら僕が悪者ってことになるが、夏樹ちゃんの気持ちをこちらへ向かせることが一番の解決法だということが今更だが理解できた。

ちくしょー、木村めっ、・・・ありがとう。


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