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魔王になったら領地が無人島だった  作者: 昼寝する亡霊
3章 無人島編

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第92話 取りあえず話し合った時の事

適度に続けてます。

相変わらず不定期です。

勇者の名前を緒事情によりあいうえお順に変えました。



 高台の村に戻ると、織田さんはまだ帰って来ていないし、榎本さんはいなかった。なので三人での話し合いになった。

「で、どんな話になってるんですか?」

「この魔王になっちゃった、カーム君に手伝ってもらって、少しヤンチャしようかと」

「ふむぅ」

 宇賀神さんは、俺が淹れた暖かい麦茶を飲みながら、短く頷く。

「会田はノリノリだけど、実際何を手伝ってもらうんだい?」

「そうだね、ある程度場所だけ貸してもらって、この島を拠点にして、勇者を港町のコランダムに集めてからかな。極力この島や島民を巻き込まないように、情報操作をしっかりして、それからかな」

「まぁ妥当だね。で、カームさんは何をするの?」

「秘密裏に、技術系勇者と心的ストレスを抱えてる勇者の保護と、城を乗っ取って、俺達の操り人形になった王族との和平条約?」

「あの、勝手に話が進んでますが、俺にとって、デメリットがかなり目立つんですが」

「その辺は上手くやるから、場所を貸してよ。日本から拉致られた国民の保護だと思ってさ」

「確かに同情はしますけど、本当に上手く行くんですか? 俺は自分から喧嘩を売るような事はしたくないんですけど」

「んー確かにそうですね、あまりカームさんには良い話ではない気がします」

「技術者が増える事じゃない?」

「もう既に、ドワーフとか船大工が家作りを覚えてから、こっちに来る予定ですけど」

「それなら尚更、知恵が必要じゃないか」

「知恵だけで良いんで、喧嘩売るの止めません? 俺はなるべく平和に生きたいんですけど」

「どんどん犠牲者が増えるよ? 日本人にも、魔族にも」

 そう言って、会田さんは必死に訴えて来る。正直手の届かない範囲の人達の事には正直興味ないんだよな。矛先を少し逸らそう。

 それにいずればれるのなら先手を打って、安全は確保しておきたいな。なら、自分や島の安全を確保できるように引っ張ってみるか。


「なら、その王都に目立つ様に日本語の張り紙みたいなのをして、日本人を集め、地下組織を作って城に通ってる勇者に真実を話して、騒動を起こしてみては? あとあまりこの島を巻き込まないで下さいよ、確かに考えておきますとか言いましたけど、そこまで危険度が上がるなら断りますよ?」

「巻き込むつもりはないんだけどな。けど物資の調達や、保護は頼みたいんだけど、どうしても黒色火薬には硫黄が必要なんだ」

「物資の調達は構いませんけど、保護するってある意味危険ですよね? 俺は後ろから刺されたくないですよ。岩本君の名前が出たから一応会田さんとか受け入れましたけど。頼れるのが目の前の王族しかいなくて、都合の良い言葉を信じて言う事をホイホイ聞いて、勇者の中の一人でも、魔族は悪って考えてる奴がいたらどうするんですか」

「そうだな、そう考えるとカームさんは一応魔王だけど、他の魔族達が危ないな」

「俺の心配もして下さい、前に榎本さんと言い争って言った家族って、親もですが嫁も子供もいるんですよ、しかも子供は四歳です」

「は?」「ぬ?」

 嫁と子供の事を言ったら、二人とも驚いている。そんなに意外か?


「そうか、なら無茶は出来ないか」

「むしろ、無茶をしたくありません」

 物凄く残念そうだな。そろそろ条件を引き下げて来るかも知れないし、欲張らずに、頃合いを見て折衷案を出そう。

「じゃぁ、ある程度準備が整ったら、何かしらの手段で連絡を取って、実行部隊と一緒に行動するだけでいいから、制圧して生かすか殺すかの状態になったら、魔王は絶対悪とは言い切れないって事を、わからせる為だけにいて欲しい」

「俺と島が危険に晒されないのなら、それでもかまいません」

 なんかいい流れになったから、乗っておこう。これくらいなら文句はない。

「絶対とは言い切れないし、絶対はないと俺は思ってる。ただ、限りなく少なくさせる努力はすると約束する」

「わかりました、正直あまり乗り気ではないんですが、会田さんがそれで満足するなら」

「ありがとうカーム君」

「いいですか? 自分の身の安全は守りますが、基本、俺は一切手を出しませんからね。それとコランダムから城までの安全確保とかも確立させてくださいね」

「わかった、それでお願いします。宇賀神、できる?」

「道中の村や町は、すこし離れた所で野営して、関所みたいな物はコランダムからは無いから、樽とかに入る必要もないだろう。けど王都に入る場合は、夜に忍び込む形になるな。あと城への侵入だが。俺が侵入した経路なら平気です。そこからなら大量の戦力を送り込む事も可能ですね」

 これくらいなら、問題ないか。皆には悪いけど、コレで島の平和はある程度約束されたかな。


「どんな感じなんでしょうか?」

「スラムに近い下級区の防壁に近い共同住宅に、管理人しか住んでいない場所があってね、あからさまに怪しいんだよ。誰も住んでないんだよ? 少し聞き込みをしてみたら、もう何年も入居者がいないらしいのに、食うのには困ってないらしいんだ」

「えぇ……」

 お決まりの、王族と一部の近衛兵しか知らない隠し通路か。

「そしたら、一室の床板が取れて梯子が掛かっててね。通路の方を見ると、城まで一直線、これはもう決まりだと思ってね、そのまま調子に乗って進んでみたわけさ、そうしたら、談話室だと思う所の暖炉に出てね。少し調べたら、隣の部屋との間に、不自然な隙間が有る事に気が付いて、そのまま隠し通路を進んで、数回招かれた謁見の間とか抜けて、リラックスルームみたいな所で、捨て駒発言を聞いたんだ」

「忍者すげぇ、思ってた以上に忍んでる!」

「ああいう城は、お決まりな物しかないからね。その隠し通路から色々な部屋も覗けたから、多分俺達の盗み聞きも常習的にしてるんだと思うよ」

「まぁ、侵入ルートは問題無さそうだ、けどカーム君への連絡方法はどうするんだい?」

「コーヒー店の在庫の様子を、ちょこちょこ転移魔法で見に行っているので、そこの店員に日本語で書いた手紙でもメモでもいいので渡して下さい」

「やっぱりあの店はカーム君の店だったのか」

「いやいや、あの二人に任せて、俺はこの島で頑張ってますよ。売り上げも全部渡してますし。それにそろそろ噂も広がる頃です。チョコの製造も有る程度軌道に乗せられそうですので、新メニューとして、ココアとチョコも増やすつもりです。コレでお金を使って、色々揃えられます。あ、島のですよ?」

「織田さんが喜んでたよ、コーヒーが飲めたってね」

「店員に覚えられてましたよ、一日五回以上来るし、閉店間際だった場合は、豆を買って帰るって。しかもこの島に来るのに五十袋も買ったらしいじゃないですか」

「アレには俺もびっくりしたよ、あんなに飲むとは思わなかった。この島に来てから、浴びるように飲んでるだろ」

「飲んでますねー、俺もあまり詳しくないんで、一任したいくらいですよ」

「ははは、織田には色々やってもらう事もあるけど、定期的に連絡が取れるならそれもありだな、落ち着いたら織田はこの島のバリスタ兼技術者か」

 ある程度の方針が決まったら、そんなどうでもいい会話をしつつ、夜まで話をして海岸沿いの家に泊まって貰った。



 翌日、とんぼ返りじゃ悪いと言う事で、島の案内をしてまわった。

「ここまでの施設を、最初は五十人の奴隷だけで作ったんだよ。なかなか人使いが上手いと思わないか?」

「普通に、人間として扱っただけですよ? 飯食わせて、休ませて、酒も飲ませて」

「それが当たり前だと思うけど、奴隷に対してのその扱いはこっちじゃ考えられない事なんだよね」

「らしいですね、まぁそのおかげで信頼は得ていますけど」

「それに魔法で色々やってるし、家畜を育ててたし、今のままでも安定するんじゃない?」

「この島には、鉄がなさそうなんですよ。小川の川底が黄土色じゃないので島中央にある、山からは鉄は期待できそうにないんです。それに、島の中にある湖は地下からの湧き水だと思うんですけど、水底は綺麗ですし。ですから金を稼いで、鉄とかを買わないと、色々先細りです」

「そうか、なら事業に手を出すのも納得だ。しかも島だからね、どうしても輸入に頼らないとやっていけない時期も出て来るだろうね」

「ドワーフとの約束で、単式蒸留器の作成が決まってますので、サトウキビとかわかりやすい物があれば、バンバン酒にして売っちゃうんですけどね。今の所、麦を糖化させてからのアルコール化させての蒸留が安定になりそうです。一応蒸留酒にココナッツを入れて、リキュールも作ろうと思ってるんですよ」

「甘いお酒ですか、自分は辛いのが好きなので、話に聞いているウイスキーが良いですね」

「一応観光用も考えているんですよ、何年先になるかわからないですけどね」


 そんな会話をしていると、遊んでいるのか、湾内で人魚が数人程跳ねたのが見え、宇賀神さんが目の色を変え走って行った。やっぱり気になるみたいだ。

「宇賀神さんって、人魚好きなんですかね?」

「昨日のやり取りを見てたら好きなんじゃないかな」

「おーい、おーい」

 宇賀神さんは、大声を上げ手を振っている、なんか必至だな。

 そう思っていたら、数人の人魚が波打ち際にやって来て、宇賀神さんと話している。

「じ、自分は宇賀神と言います、ぜ、ぜひ自分とお知り合いになっていただけないでしょうか!」

「がっついてますね」

「下心見え見えだ、あんな宇賀神見た事がない」

「私は別に構いませんけど、髪の色が他の人族と違いますよね? どうしたんですか? 病気ですか?」

「自分、勇者として召喚されました。ですので髪が黒いのです。カームさんとは仲がいいので、危害を加えるつもりは一切ないので安心して下さい」

 あ、正直すぎ。あと俺を引き合いに出すな。

「「え!?」」

 そう短く叫ぶと、人魚さん達は宇賀神さんの事をジロジロ見ている。

「んー、確かに噂になっている勇者は黒髪が多いって言うけど」

「攻撃して来るなら、最初から攻撃してくると思うし、悪い人族じゃないんじゃない?」

「なんか目が怖いよ?」

「綺麗な貴女達を見れて感動しているのです、どうでしょうか? 自分と少しお話ししませんか?」

「ナンパだ」

「ナンパですね。正直もう少し硬いと思ってたんですけど」

「俺もだ、まさかあんな事をする奴だとは思ってもいなかった」

「なんか、日本だったら、貢ぐだけ貢いで終わりそうな勢いですね」

「場所が場所だったらありえるかもしれないな。けどなんか話が弾んでるみたいだぞ」

「そうですね、少し日陰で様子でも見ますか」

 そう言って俺達は、天幕の下で休みながら、今後の詳細を話し合っていた。そしたら宇賀神さんの叫び声が聞こえたので急いで振り向いたら、サハギン系の女性も増え、興奮して叫んだらしい。なんともまぁ。


 そしてしばらくして、また宇賀神さんの叫び声が聞こえたので、今度は余裕を持って振り返ると、男性型のアジョットタイプの人魚だか魚人だかわからない奴が増えていた。

 どうも楽しそうだから、話に混ざって来たみたいだ。その後しばらくして戻って来た宇賀神さんがゲッソリしながら。

「俺の美しい思いがアイツで相殺された」

 そう言って砂浜に倒れ込み、鳴き声を出さずに、静かに涙を流していた。

 確かに、アイツはインパクトしかないからな。

「いや、まさに生命の神秘ですね。なんだいアレは。趣味の悪い、精巧なコスプレかと思ったよ」

 そうですよね、なんか馬の仮面をかぶった半裸の男と、カテゴリーは一緒ですからね。

今回は、感想の案を使わせていただきました。感想で書いてくれた方に感謝です。

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作者が書いている別作品です。


おっさんがゲーム中に異世界に行く話です。
強化外骨格を体に纏い、ライオットシールドを装備し、銃で色々倒していく話です。


FPSで盾使いのおっさんが異世界に迷い込んだら(案)

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