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第88話 獣人系魔族にチョコレートを食べさせた時の事

細々と続けてます。

相変わらず不定期です。


チョコ作りが出てきますが。適当です。

都合により勇者達の名前を変更しました。

 斧が腹に刺さって、縫合した男が抜糸をする頃、ある程度任せていたコーヒーの収穫や、新しくできた平底船でカカオを採りに行ったりしていた。

 実剥きや乾燥をさせ、カカオも木箱に入れ熟成させていた頃。

 俺は、石工のシャレットさんから要望があり、石畳用の石が欲しいと言われたので、採石場からダイヤモンドカッターを使って採掘する作業に変わっていた。

「重いから小さく厚く」

 そう言われたが正直石畳を剥がした事がないので、本当に適当に真四角に切ってから薄切りにしてやった。

 夕方になると気怠くなる作業を、数日続けてたら。


【スキル・魔力上昇:3】を習得しました。


 本当に忘れた頃にやって来るな。

 その次の日から、石の削り出しもだいぶ楽になり、在庫がどんどん溜まっていった。


「これ、どこに使うんですか?」

「まずは教会に優先的に使って、あとは皆が良く通る道に敷くらしい、俺は石工屋だから大工のジュコーブやゴブルグが指示して敷くんだろうな」

 内装屋ってないからな。これも大工の仕事なんだろうか?

「まぁ、これくらいの厚さなら馬車が通っても平気ですよね」

「多分大丈夫だろう。俺もこんなに綺麗な石の板を見た事がないから、馬車までは分からん、だが土埃は立たないだろうな」

「そうですね、かといって雨が降りすぎるとぬかるみますからね、細かい砂利でも敷きます?」

「馬車の車輪が埋まるだろうな」

「あー……」

 車の太いゴムタイヤじゃないんだよな。

「詳しくないならある程度は任せろ」

「すみません……」

「かまわん、得手不得手もあるからな。その馬鹿みたいな便利な魔法で、ある程度皆の役に立ってくれ」

「えぇ、言われなくても」

「普段なら、かなりの手間がかかる作業が、お前が関った瞬間に効率が上がる。そんな事してたから魔力とかが上がって、魔王になっちまったんじゃねぇのか?」

「そうなんですよねー、なんか生活が便利になるようになるようにって働いてたら、いつの間にか……」

「それ、剣士が稽古するのと変わらないんじゃないか? 剣振ってるのが、魔力が空になるまで魔法使ってるだけで」

「あ! あぁー……」

 俺は、口を半開きにさせたまま、軽く頷くように首を縦に振る。

「本当に頭が良いのか、悪いのかわからねぇなぁ。まぁ助かるけどよ」

「まぁ、楽になるから良いって事で……」

「ふぅ、そうだな」

「んじゃ今日は上がりますか」

「そうだな、助かった」

「いえいえー」



 んじゃカカオも熟成させて、乾燥も焙煎も終わったし、今日は製粉しますかね。

 ココアってかなり細かかったよな、そう思いつつ俺は魔法で石臼を出し、隙間を物凄く狭くして実を磨り潰し、カカオマスを作る。が――

「うわ、なんか乾燥させたのにドロドロになってる、なんだこれ」

 触ってみると、なんか油っぽい。

 コレがカカオリカーって奴なのか? 知識はあるが見た事がないので良くわからない。

「すみませーん、誰か目の細かい布と桶もってきてください」

そう言うと女性が直ぐに布袋と桶を持って来てくれた。

「うわ、何ですかそれ」

「この間から作業してるカカオなんですけど、細かく磨り潰したらなんかドロドロしたのが出てきちゃいまして、触ったら油っぽいから搾ったら油に使えないかなーって思ったので」

「だから目の細かい布だったんですね」

「えぇ」

 会話中にドロドロのカカオリカーを布にいれ、口を絞り、板を載せてから適当な石を乗せ、油分を絞り出す。そうするとカカオマスが残る。

 待てよ、この油を搾った奴に砂糖とか牛乳ぶち込んだらチョコレートなんだっけ。この前は適当に砕いたカカオに、砂糖とココナッツオイル混ぜてチョコっぽくしたけど。実はこっちが本当の作り方なんじゃね?

 うわ、チョコってかなり面倒だな、しかもココアもこの油を搾り取ったカカオマスを使うんだろ。割に合うか? いや、価格を少し上げれば元は取れそうだな。

 よし、続行だ。コーヒーが売れたらあとで牛を買おう。

 その前に油絞ってココアだな。ってか島に油が多いな、ココナッツオイルにオリーブオイルにカカオバター。化粧品事業でも起こすか、それと温泉入って、オイル塗ってマッサージしたり、顔のマッサージしたりしてデトックス。観光事業も本格的に狙ってみるのもありかな?


 取りあえずココア作りは後日にするとして、チョコ作りだ。カカオマスに牛乳や砂糖とか混ぜて練るんだろ?

 俺抜きで現物が作れるか試すのに、とりあえずボウルで練ってみよう。牛乳はないから少量の水で。

 やっべ、なんだこれ固まんねぇ。練っても練っても固まんねぇ。チョコって放って置けば常温で固まるんだろ?

 湯煎して溶かして、生クリーム入れて、容器に入れて冷やして、ココアパウダーかけて、生チョコ作ってたからな!

 なんでココア作る為に、絞った油は固まって、こっち固まってねぇの?

「ん?」

 絞った油が固まって、練ってるカカオマスが固まらない? んじゃこの絞った油を溶かしたものを代わりに入れればいいのか?

 俺は、固まったココアバターを少し取り、釜戸に火を付けて、湯煎してココアバターを溶かしてから、カカオマスを入れて冷ましながらかき混ぜる事にした。

「おー固まって来た、って事は牛乳入れたりしたら、もう少しココアバターの量を調節したりすれば良いんだな」

 独り言が自然と漏れる。


「わー良い香りー」

 砂糖を追加で持って来てくれた子供達に、チョコの存在がばれたので試しにまだドロドロのチョコを少し舐めさせることにした。

「これすごくおいしい!」

「カームすごーい」

 ふふふ、油分と砂糖が入ってるからな、不味い訳ないさ。カロリーは正義! 油を多めに入れればコクが出てそれだけで美味いからな。ラーメンとか、カレーとか。

「あ、これは犬や猫、狼とかには毒だから、絶対にヴォルフやターニャとソーニャにはあげちゃ駄目だよ」

「じゃあキースやおっさんにはあげちゃ駄目だね」

 おっさんって、確かにまだ俺にも名乗ってないけど。おっさんって――

「どうなんだろう、試しにキースにでも食わせてみるか、いや、駄目かな? 魔族でも毒かもしれない、けど体重一キログラムにに対しての致死量だし、あー、コーヒー飲んでたよな。どうなんだろう?」

「カームさんなんか難しい顔してる」

「よし、キースを呼ぼう」

 俺はチョコを容器に開けて、冷まして角切りにした物を用意した。


「おーキース、知り合いとして頼みがあるんだ」

「何だ改まって」

「この新しく作ったお菓子ってさ、実は犬や猫、狼には毒なんだけど、魔族ってどうなのかな? って思ってさ」

「おう、それで?」

「食べてみて」

「馬鹿かお前! 毒ってわかってて食う奴がいるかよ!」

 一応正直に言っておく、騙すのはあまり(・・・)好きじゃないからな。


「実は……この前に飲んでたコーヒーも犬猫には毒なんだ。飲んでただろ? どうだった?」

 キースは口をパクパクさせながら俺の事を指差している。

「お前、なんてことしてくれてんだよ!」

「いや、忘れてて」

「死ぬかもしれないのに忘れててってないだろ!」

「けど死んでないだろ、コーヒー飲んだ後どうだったよ?」

「少し眠りが浅かったな」

「あ。覚醒と興奮作用だけか、なら平気だ。今後の島の為に食ってくれ」

「嫌だね! おっさんにでも頼め」

 そう言ってどこかに行ってしまった。

 んー、仕方ないな、おっさんズにでも頼むか。


「猫耳のおっさーん」

 俺は偶然見かけた猫耳のおっさんに声をかける。

「なんだ?」

「この間コーヒー飲んでましたよね?」

「あぁ」

「なんか体がだるいとかはありました?」

「ない」

「このお菓子を作ったんですけど。犬や猫には毒なんですよ、試しに少しだけ食べて欲しいんですよね。コーヒーと同じような物なので、コーヒーが飲めるなら多分食べられると思うんですけど」

「わかった、良いだろう、お前に拾ってもらった命だ、お前の為なら捨てても良い」

「いや、そう言うの重いんで、嫌なら嫌でいいんですよ?」

 そう言ったが、臆する事なく一つ口に放り込む。

「甘いな。飴と違って溶けるのも早いし、俺は好きだぞ」

「何かあったら大量に水を飲んで吐きだしてくださいね、しばらく経ってからなんか、体に異変が起きたら俺を誰かに呼ばせてください、絶対ですよ!」

「おう」

 そう言って斧を持ってまた作業に戻って行った。

 本当に平気かよ。そう思ったので、俺は猫のおっさんの近くで仕事をする事にした。


 しばらくたったが変化もないし、何か言って来る事も無い。平気か?

「おっさん、平気ですか?」

「あぁ、変化はない」

「心臓が早く動いたり、なんか興奮したり、体が熱いとかは?」

「ないな、もう少し多く食うか?」

「いやいや、食べ過ぎるとなんでも毒になりますから」

「なんでも程々が良いって奴か。まぁ俺が死ななければ良いんだろ? ならもう良いだろ、お前はお前の仕事に戻れ」

「本当に何かあったら言って下さいよ!」

「いいから戻れ、心配するな」

 そう言って俺は強制的に戻された。


 んー、もう一回だな。食品だから、念には念を入れよう。

「おーいキース、猫耳のおっさんが食っても異常がなかったから食ってくれー」

 そう言ったら俺は盛大にぶっ飛ばされた。そして正座をさせられている。

「お前は平気で知り合いに毒を食わせ、平気だったからと言って俺にも食わせるのか?」

「平気だったから、平気だと思って」

 なんか子供みたいな言い訳になったな。

「たまたまがあるだろう、なのにまだ俺に勧めるのかよ」

「猫耳のおっさんも、キースもコーヒーが平気だったからつい。毒と言っても興奮作用とか発熱と嘔吐や下痢くらいだし」

「毒そのものだろうが! お前は……、親しき仲にも礼儀ありって言うだろうに、まったく!」

「はい……申し訳ありません」

 俺は物凄く怒られ下を向きっぱなしだったが、何を思ったのかキースはチョコを一個口に放り込んだ。

「俺が死にそうになったら。お前を殺すからな。うめぇなこれ、本当に毒かよ」

 口をもごもごさせながら、急に美味いとか言い出すキース。魔族と動物はたぶん違うという事がわかった。

 多分大丈夫だろう。

 俺は今、新世界の神が半透明で空に見えた気がする。



「どうもです、榎本さん」

 ドアがノックされたので、開けるとそこには爺さんと初老の男性が二人。

「なんだ、話ってーのは。若造が来たと思ったらお前の所に来いって話じゃねぇか」

「魔王の一人が日本人だって事は岩本君から聞きました?」

「おう、なんか島を手に入れて好き勝手やってるらしいじゃねぇか」

「それでですね、その好き勝手に俺達も乗っかろうかなって思いまして。榎本さんもどうです?」

「俺に今まで築き上げた畑や田んぼ、家畜を捨てろって言うんか?」

「えぇ、榎本さんや織田さんの知識があればその島でも結構好き勝手出来ると思うんですよ、どうです?」

「おもしれぇ、こっちに来てから色々何もないところから始めたが、また最初からってーのも良いな、ある程度地盤が出来ちまったら、あとは毎年同じだ。俺は乗った。織田は?」

 今まで黙っていた織田と言う男に、榎本さんがニヤニヤしながら話しかける。

「別にどうでも良いさ。こっちに来てから娯楽が少なすぎる、楽しければ良いさ。どうせ適当に流れ着いてここに住んでるんだ。また適当に流れ着くのも悪くはない」

 そう言ってニヤニヤし始める。


「じゃぁ決まりですね、種籾や糠床はあった方が良いでしょうね」

「おう、こっちの米は粘りが少なくてまずいからな、ようやく日本の米に近づいて来たんだ。それだけは必要だ。糠床も俺が必死に育て上げたんだ、女房は捨ててもあれだけは捨てられねぇ」

「まったく、こっちに来て未亡人と再婚して、先に旅立たれてるのに、そんな事言うんですか?」

「あんな綺麗な金髪美人、放って置いたら男が廃る。なんで織田や会田は結婚しねぇんだよ」

「いや、こっちに来て、子孫を残して良いのか考えてるんですよ」

「気にする事ねぇだろ、あの屑どもが俺等を勝手に呼んだんだ、勝手にさせてもらえば良い。なぁ? 織田よ」

「俺は榎本さんと違って女房一筋でしたから」

「っかー、いやだねぇ。お前さん、若い時にも女遊びして無かっただろ」

「榎本さん、あんた、何回女房泣かせたんだい?」

「さぁな」

「まぁまぁ、二人とも落ち着いて。で、行く流れになってますが、宇賀神にどう連絡取ります?」

「会田の家に書置き残して置けば良いだろう。頻繁に出入りしてるんだろ?」

「まぁ、歳も近いですし」

「皆が言う携帯って奴とかがこっちにはないなら、そうするしかないだろ。紙があるだけマシだ。俺が呼ばれた頃にはロクな紙がなかったぜ? 俺等以外の誰かが広めたんだろうな」

「だろうな、手押しポンプを広めなくて良かった。そうしたらもっとあの国は金を手に入れていただろう」

「んじゃ、必要なもん持ってくっから、会田も準備してろ」

「俺は体一つ。とまでは行きませんが、金くらいは持ってきますよ」

「んじゃ俺は種籾と糠床だな。家畜は俺の村にでもくれてやるか」

「俺は今まで作った道具の図面か――」

 そう話し合って、俺達の無人島行きが決まった。



勇者会田(35)

 知識系勇者として活躍、城の文官に色々教鞭をふるったらしい。

「はぁ? こんな計算も出来ないの!? 良く国庫の管理ができるな、一体どんな頭なんだよ! あまりの出ない割り算だぞ!? 引き算も怪しい奴がいるぞ! どーなってんだおい! 宿題出すからな、明日までにやってこいよ! 簿記を教える前に俺が老衰するぞ!」



勇者織田(62)

 技術系勇者として活躍、風車による製粉を伝えたらしい。

「なんか文化レベルがちぐはぐな気がするんだよな。アレがあるけどアレはないし、呼ばれた勇者の知識の偏りかな」

 と言ったらしい。

チョコの圧搾とか本当にどうやるんだよ・・・

ごま油とか日本酒作る時みたいに布に入れて上から重しです本当に合ってるのかも不明です



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作者が書いている別作品です。


おっさんがゲーム中に異世界に行く話です。
強化外骨格を体に纏い、ライオットシールドを装備し、銃で色々倒していく話です。


FPSで盾使いのおっさんが異世界に迷い込んだら(案)

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