第85話 蒸留酒がドワーフにばれた時の事
適度に続けてます。
相変わらず不定期です。
肉を振る舞った翌日、島民全員でコーヒーの実を剥き、種を乾燥させる為に板みたいな物の上に乗せ、グラウンドをならすトンボみたいなのを作ってもらい、適当にころがして水分を飛ばし、大きな鍋で焙煎し。空いた樽に詰める。
焙煎は中間くらいにしておいた。なんて名前だったかは忘れたけど。焙煎したあとの名前は何種類もあった気がする。
実を取るのが、面倒だったが、島民募集したら少しは楽になるかもしれない、ソレ専用に募集するのも良いかもしれないな。
「んじゃ、コーヒー届けてきますね」
そう言って、色々やって樽一個半まで減った豆を持って、店まで転移した。
船とか使って送れたらいいんだけど、まだまだ小規模だからな。
「お疲れ様です」
俺は物置のドアを開け、店の中に入る。
「お疲れ様です」
「どうです? 間に合いました?」
「はい、あと三日遅ければ休みにするところでした」
「ね、間に合わせたでしょ? 焙煎が足りないと思ったら、さらに煎ってから使って下さい」
「わかりました、それと、とても言いにくいのですが」
店員の男は、俺に申し訳なさそうに言って来た。
「構いませんよ、どんどん言って下さい」
「あの強いお酒なんですが……」
「なくなりましたか?」
「いえ、あるにはあるんですが、ドワーフのお客様が物凄い食いつきで」
「あちゃー、ドワーフか……」
「詳しい話は、店長がいないとわかりませんって言ったら、毎日通う、話を付けろ。と」
「その方、いつもいつ頃に来ます?」
「昼少し過ぎてからです」
「……解りました、今日はここに泊まって、明日対応します。いきなり倉庫から俺が出て来るのは変でしょうし」
「申し訳ありません」
「いえいえ、貴方が悪い訳じゃ無いでしょう。まだ俺の使ってた毛布は奥にありますよね?」
そんなやり取りをしつつ、俺は店に泊まる事にした。
◇
翌日、俺が起きるのと同時くらいに店員が店に来て、一緒に仕込みを始め、決まった時間に来る、服屋の店員や、港で働いている職員が来て、世間話をしながら噂話程度の情報を共有してたりする。
「おー、今日は魔族のあんちゃんがいるんだな、珍しい」
「えぇ、お客様の中で、どうしても自分と話を付けたいと言う方がいるみたいなので、今日はお店に出ています」
「あんちゃんが一番偉かったんだってな、すぐいなくなったから俺は勘違いしてたぜ」
「色々と多忙なので」
「ははっ、忙しくても倒れんなよ。最近じゃこの一杯が結構楽しみなんだからよ」
「ありがとうございます」
昼過ぎ。多分食後のニルスさんが店に来店し、俺と目が合った瞬間に俺の目の前の席に座った。
「お久しぶりです、あ、コーヒーだけで。実はお話がありまして……」
俺は、コーヒーを淹れながら次の言葉を待つ。
「この店に来たドワーフ族が、私の商会にも来ました。他の商会にも顔を出しているみたいですが。この店で出している、コーヒーに入れるお酒の出所を必死に探しているみたいなんですよ。私も二瓶程頂いてますが、言って良い物かわからなかったので」
「その話は店員から聞きましたので。昼少しすぎにこの店に来る見たいですね。その時に話を付けますよ」
「そうですか、助かります。こちらもカームさんの故郷を知りませんし」
そんなやり取りをしつつ、目の前にコーヒーを置き、軽い噂話を聞きつつ、俺は話に上がっているドワーフを待つ事にした。
カラカラーンと少し大きなベルを鳴らし、少し小柄だが、しっかりと筋肉のついた男が入って来た。
そして俺の方を見ると、ズンズンと近づいて来て、目の前に座った。
「コーヒー、酒付きだ」
「かしこまりました」
注文を受けコーヒーを淹れはじめるが、案の定話しかけられる。
「お前が店長か」
「えぇ、一応そうなっております」
「単刀直入に言う、この酒の出所を教えろ」
テーブルに太い手を置き、威嚇する様に言ってきた。
「私の故郷です、この酒は村の特産品で、名前も村の名前が付いています」
「それがどこだって聞いてんだよ!」
ダンッ! とテーブルを叩き、周りの客が一斉にこちらを見る。
俺はドワーフの目の前にコーヒーと酒の入っている容器を置くと、ドワーフは酒だけを一気に飲み、コーヒーに手を付ける気配はない。
「そうですね、この港から魔族の大陸に渡り、馬車で十五日の所にある寒村ですよ。多めに見て三十日くらいの旅でしょうね」
そう言うと、こっちに聞こえるくらい大きい舌打ちをし。
「遠いな」
その一言だけを呟いた。その後何かを考え、口を開き。
「俺を紹介しろ。お前の名前があれば村に住めるだろ、それと村の名前も教えろ」
「お客様、そういう話はここでする様な物ではありません、他のお客様の迷惑になりますので。どこか別な場所でお話しませんか?」
「わかった、早くしろ」
「申し訳ありませんが、後を頼みます。皆様ご迷惑をお掛けしました、代金は私が払いますので、ごゆっくりコーヒーをお楽しみください」
そう言ってカウンターに人数分の料金をポケットマネーから出し、店員に、後はお願いしますと言って店から出た。
「おう、どこで話すんだよ」
「任せますよ、着いて行きますので」
「店とは雰囲気が違うな」
「接客中はあんなもんですよ、今の貴方は客じゃないので」
「確かにな。よし、俺の行きつけの酒場に行くぞ」
そう言って、行きつけだと思われる酒場に同行した。
ドワーフが席に座り適当に酒を頼み、俺は水を注文した。
「酒場だぜ? 酒を頼めよ」
「大切な話があるのに、なんで酒を飲むのかわからないです」
毒耐性で、酔う事はないが。酒を頼まなかったのは、多分前世の習慣だと思う。
「じゃぁ詳しく教えろや」
「こっちこそ詳しく聞きたいですね。ただ単に俺の故郷の酒が浴びるほど飲みたいのか。それとも、どうやって作るかを知りたいのか」
「どっちもだ」
まぁドワーフだからな、酒好きなイメージしかないし、無理もない。
「教えても良いんですけど。俺に旨みがないです、俺の条件をある程度のんでもらえませんかね?」
「金か? 金なら出すぜ?」
「腕を買いたいですね、ドワーフって手先が器用で、鍛冶や鋳物、鍛造が得意と聞きます。もし、作り方を覚えたら、俺の島で働きませんか?」
「島だぁ? お前なにもんだ」
「ここじゃ言えないですね、酒作りの技術を学んだら、俺の下に来るか来ないか、それだけで良いんで答えて下さい」
「断ったらどうなる」
「俺は水しか頼んでないので、このまま帰ります」
そう言うとまた舌打ちが聞こえた。
目の前のドワーフはしばらく考え、口を開いた。
「島に行く前に酒作りを仲間に広めたい、それは可能か?」
「作り方自体は秘密にしていないですね、むしろどんどん広めろって管理してる竜族が言ってますよ。いやー、竜族も酒好きですからね」
「竜族だと。竜族まで関ってるのかよ!?」
「どうします?」
「少し待ってろ……」
そう言うと飲んでいた酒を置き、顎に手を当て、物凄く考え込んでいる。
しばらく黙り、一人で考えているので、俺は水を飲んで待っていたが、いきなりドワーフの口が開いた。
「俺はヴァンだ、名前を教えてくれ」
「カームです」
「カーム。俺はお前の下で働く、頼む、酒作りを教えてくれ」
いきなり態度が変わり、口調も心成しか丁寧になった気がする。
「わかりました。店が閉まる夕方に宿を引き払って、荷物を全部持って閉店後の店に来て下さい。あ、この町で働いてます?」
「いや、旅の途中だ。必ず行く」
俺は席を立ち、どのみち水しか頼んでないのでそのまま店に戻る。
「で、そのドワーフがそろそろ来るんですね」
「えぇ、戸締りはしておくんで、先に上がってください」
「わかりました、お先失礼します」
「失礼します」
そう言って片づけを済ませ、二人は店を出て行き、しばらくしてからドワーフが店に来る。
「来たぞ、教えてくれ」
店に来て速攻かよ、気が早いな。
「直接教えた方が早いでしょう。店の戸締りをするんで店内で待っててください」
「おいおいおい。店閉めるのに、なんで店の中で待つんだよ」
俺は戸締りを確認して、ドワーフに確認を取る。
「今から体験する事は人族には秘密です、良いですね?」
「は? 今からナニすんだよ」
そう言ってドワーフは尻を押さえる。
「いいですね?」
今度は念を押し、少し強めに言う。
「わかったよ、言わねぇよ」
「今から転移魔法陣を展開します。俺に密着するように近づいて下さい」
「転移魔法陣って。何言ってんだお前、そんな魔法使える奴なんか限られてんだよ」
「なら俺は一人で帰るんでもういいですよ」
そう言って転移魔法を展開させ、周りが青白く光りはじめたら、ヴァンさんが驚いた顔になり、急いで陣に入って来た。
「本当に使えるとは思わなかったぞ」
「まぁ、言わなければ良いですよ」
そう言って、俺達はベリル村に飛んだ。
「ここが俺の故郷です、取りあえず紹介しますので、酒場に行きましょう」
「お、おう」
俺は酒場のドアを開け、勢いよく入る。
「ういーっす、お久しぶりです。ドワーフのヴァンさんです。なんか酒作りを学びたいって言うんで連れてきましたー。明日から蒸留所を見学させて、慣れたら実際に働かせて、学ばせてみましょう」
「おーカームじゃねぇか、ドワーフだぁ? あののんべぇな種族か! いいねぇ酒作りがさらに捗るな。ってかおまえいつもいきなりが多いよな」
「村の道具屋のおやじに修理の仕方を習わせろ! あいつへったくそだからな」
「俺は剣を磨いてもらいたいなー。この間熊を切ったら骨でやっちゃってよー」
「ぎゃはははは! お前馬鹿じゃねーの、ちゃんと骨の隙間狙えよなー」
「まぁ、すでに出来上がってるんですが、今からでも遅くはないんで、参加して下さい」
「お、おう」
「マスター、このドワーフのヴァンさんにベリル酒、それとなんか味の濃い肴を」
「おぅ、その辺の空いてる席に座って待っててもらえ」
「だそうです」
そう言うと適当に椅子に座り、ヴァンさんは先に運ばれて来たベリル酒を一息で飲み干した。
「ッカー! この喉を焼くような強い酒。俺はこんなすげぇ酒を求めてたんだよ!」
「さすがドワーフだぜ! 校長より良い飲みっぷりだな」
「本当だぜ、コイツ蒸留酒を一気するとはな」
「おい! こっちにドワーフがいるから皆で飲もうぜ!」
「「「おうよ!」」」
んー、好くも悪くも酒場だな。
「おい、カームっつったよな。この村の酒場は良い酒場だな!」
ガハハハハと大声で笑い、さらにベリル酒を注文し、どんどん飲んで行く。
速攻打ち解けてるな。どこの酒場でもドワーフは、こんなもんなんだろうか。
新しい客が酒場に入って来たと思ったら、父さんだった。
「なんだ、カームじゃないか。戻って来てたんなら家に顔を出せよな」
そう言って同じテーブルに座る。
「さっき帰って来たばかりで。あっちにいる、やけに騒がしいドワーフを連れて来たんだよ」
「……ドワーフか、次は何を考えてるんだ」
「いやいや。港町で偶然会って、この酒の作り方を教えろって言われちゃってね、成り行きで連れて来た」
「そうか。あの種族は酒好きだからな、この酒場も賑わうだろう。それに酒に関しては妥協しないからな、この村もさらに酒で潤うだろう」
父さんはドワーフの方を見ながらそう言った。
「そうだと良いんだけどね、明日の朝にヴルストにでも事情説明して、雇ってもらえるように口利きしてもらうさ」
「それが良いな、いつもの」
そう言って父さんも酒を頼んだ。俺も頼まないとな。
「俺もベリル酒と水を」
酒を注文して、酒が来るまでの間微妙な空気になるが、酒が来てとりあえず父さんと乾杯をした。
「どうなんだ最近は、スズランちゃんやラッテちゃんもお前から話は聞かないって言ってるぞ」
「言ってないからね、余計な心配させるのも悪いし。ただでさえ子供がいるのに、家を離れてるんだ。子供がいなければ家族全員で向こうに行くさ。子供に仲の良い友達もいるのに、引っ越すのは可哀想でしょう」
「そうだな。村の中で、子供同士皆仲良く遊んでるのを見るが、そう考えると引っ越せないな。まぁ、昼休憩中のヴルスト君も見かけるが」
「あいつは……。まぁ、それがあいつの良い所なんだよな。あと父さんだから言うけど、人族の奴隷は段々奴隷の自覚はなくなって来て、自分から色々動くようになったし、周りの魔族との交流もあって、仲は悪くはないよ。それに島で見つけた豆で作った飲み物を、収入源にしようと考えてる。その企画はもう動いてて、人族の港町で流行ってるから、少し見込みは出て来た。それに新しいお菓子と飲み物も考えてる」
「昔からお前はそんな事しか考えてないよな。もう少し気楽に生きてみろ、いつか倒れるぞ」
「気楽に考えてたら、奴隷が飢えて死んじゃうからね。取りあえず、その新しい飲み物を売ってる合間に、森を切り開いて畑にしたり、港町から人族の医者とかシスターとか職人を雇って、どんどん住みやすくしてるつもりだけど。色々と金がない」
「お前が町に働きに行ってた頃のがあるだろう」
「アレは家族のお金。それを使ったら、スズラン達が餓える、だから向こうの金は向こう、こっちの金はこっちって考えないと」
「小難しい事を……。なんで俺と母さんからお前が産まれたかわからん」
「俺もわからない」
神様の気紛れだけどね。
そんな会話をしつつ、ゆっくりとしたペースで酒を飲み、近状を話し、父親に少し愚痴る。
「まぁ、そんな感じで頑張ってるよ。まだ家に帰ってないから、俺は帰って子供達と風呂にでも入って来るよ」
「そうしろ」
そして席を立ち上がり、ドワーフの方を見ると、蒸留したてのきつい酒に、果物を漬けただけの酒も飲んでいる。
「こいつは良い! 強いし甘い! 故郷の女子供にも受けるぞ」
子供は不味いだろうと思ったが、ドワーフ族だし……。で済みそうだからそれ以上は口を出さなかった。気が付いたら校長も増え、ドワーフと一緒に楽しそうに酒を飲んでいる。
「そうかそうか、お主の故郷にもこの酒を広めてくれるか! これでまた酒の種類や飲み方が増えるぞ」
かなり上機嫌だ。職の事は言わなくても平気だな。少しだけ教えて置くか。
「校長、そんなに飲み方にも興味があるなら、危険な酒の飲み方があるんですけど、やります?」
「なんじゃカーム、そんなのがあるのか」
「フレイミングショットって言うんですけどね、盛り上がりますよ」
「おー、やってみてくれんか喃」
「マスター、小さいグラスに蒸留したての強いベリル酒を持って来て下さい、それと藁を」
「何するんじゃ」
「酒に火を付けて飲むだけです、この酒って、火が付くんですよ」
そう言うと周りが騒めく。
「良いですか、これは絶対にグラスを手に持って飲んではいけません、失敗すると、攻城戦で熱湯をぶっかけられた顔になります、むしろ顔に火が付きます、これだけは守ってくださいね」
そう言って指先から【火】を出し、酒に火をつけ、顔や髪の毛に注意を払いつつ、横から火の付いた酒を一気に、藁をストロー代わりに使って啜り、一気に飲み干す。
「んあー。コレがフレイミングショットだぁ!」
そう言って、指先から【火】を出し、口に残った酒を霧状にして吹き出し俺は炎を吹いた。
「「うおー、さすが魔王だぜ!」」
酒に火をつけたから、少しスス臭いが、飲めなくはない。
その後、マスターに物凄く怒られ、父さんは目の辺りを手で抑え、首を振っていた。フレイミングショットは店の中では禁止になった。
その後、フレイミングショット用に、外に小さなテーブルが設置されたらしい。
「ただいまー」
「「おかえりなさーい」」
ドアを開けると、子供達が腕に絡みついて来る。良く見なくてもわかるが、毎回帰って来るごとに、少しずつ背が伸びてるんだよな、本当魔族は成長が早いな。ミエルはまだ少し小さいけど。あとリリー、腕にしがみ付いて来るのは良いけど胸を押し付けないでくれ、スズランより既にもう大きいぞ。
「はーい、ただいまー」
「どうしたのー? 今回は少し早かったねー」
「人族の方の港町でドワーフに絡まれてね、この酒はお前の故郷の酒なんだってな。って」
「それなら仕方ない、あいつ等は酒の事になるとそれしか見えないんだもん」
「だから急遽戻って来て、酒場に連れてった、そして父さんに会った」
「ふむふむ、ヘイル義父さんと酒を入れての親子の会話って奴ですかー」
「そんな所だね」
「いつまで玄関で話をしているの? 椅子に座ったら?」
そしてスズランに少し注意された。
「ってな訳で、村にドワーフを連れて来た」
「ドワーフって何?」
「何って言われてもな、魔族の種族の一つだよ、手先が器用でお酒が大好き。そのドワーフが旅先でこの村のお酒に出会って、作り方を教えてっていうから連れて来た」
「手先が器用なら、道具屋のおじさんが村から出て行っちゃう」
「あのおじさんは、商人が仕事で、物を直すのはおまけ。そんな事言ったらおじさんが泣いちゃうぞ。それにドワーフってあまり商売っ気がないから、商売やらせると多分売り上げが全部お酒になっちゃう」
「駄目な大人だ」
「ミエル、ソレは勘違いだ。何事にも適したお仕事って言うのがあるんだ。ドワーフは物を作るのが得意だけど、商売が向いて無い。そういう時は、道具屋のおじさんと一緒に働かせたら、ドワーフが物を直したお金で、町から商品を買って来て、また物が増えて、ドワーフが直してってな感じでどんどん売り上げが増えていく。それで給金としてドワーフにお金を渡せばいいんだよ。そうすればお金を多く使わない」
「少し難しいよ」
「そうだな、ドワーフに商売やらせるのは、エルフに森で狩をやらせないで、池で魚の世話を任せてるようなもんだ。だからその人にあった職業を見つけてやるのも大切なんだよ」
「わかんないよ」
「ハハ、ごめんごめん」
そう言って俺はミエルの頭を撫で、余っていたパンと肉料理を食べ、子供達と風呂に入った。
寝る時は寝る時で、嫁達がニヤニヤしながらベッドに入って来た。
閑話
魔王って。
「おい、さっき魔王って言ったけどよ、本当かよ」
「あ? あぁ本当だぜ、なんか急に魔王城に呼ばれて、戻ってきたら魔王になってやがった、井戸掘りとか収穫の時に魔法で楽をしてたから、それなりに魔力は高いんだろ。あーそうそう、畑も一気に十枚とか魔法で耕せるぜ」
「おいおい、そんな偉い奴に俺は偉そうに喋っちまったよ、平気かな」
「そんな事でいちいち腹立てる性格してねぇよ」
「そうじゃのう、学校に通ってた頃から、怒りに任せて何かしたって事は聞かんな」
「まさか息子があんなお調子者だとは思わなかった、昔から一歩引いた感じの奴だったんだが、いい方向に変わったと思うべきか……」
「お、あんたはカームの親父さんで?」
「そうだ、あいつが腹を立てた事なんか一度もない、安心して酒を飲んだ方がいい。あとで詫びを入れる事の方が、よっぽど嫌な顔をすると思うぞ」
「そうか、なら飲もう。俺を拾ってくれたカームの親父さんに乾杯!」
「おい、俺はもう家に帰る積りなんだが……」
「一杯だけ奢らせてくれよ」
「参ったな……」
本当、あいつは何を考えてるか親の俺でもわからん。
フレイミングショットは危険ですので、絶対にやらないで下さい。




