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第83話 俺以外にも人族が魔族と色々と交友関係を結んでいた時の事

作業用BGMが常に「R-TYPE FINAL ボス戦(生物系)」で固定されています。何故か集中できるんですよね。あと「緋蜂」も聞いていました。STG系は集中力がかなり上がりますね。

「カームさんちょっといいですか?」

 俺は、作業中に漁班の人達に話しかけられた。

「何でしょうか」

「この海って遠浅ですよね、奴隷前に使ってた船で、フラットボートって言うのがあって。吃水が低く色々便利だと思うんですよ。あの、作っていただいても良いでしょうか?」

「ん? 便利になる物なら、俺に相談しないで、職人さんに相談して、作ってもらっても良いんですよ」

 平底船か、確かにそれなら遠浅でも問題無く物資が運べるな、俺も少し動いて見るか。

「あー、やっぱり俺も一緒に行きます。島の反対側に有るコーヒーを収穫して、運ぶのにどうしようか、迷っていたんです。何も陸路で運ぶ必要は無かったんですね、図面がわからないので一緒に大工の所まで行きましょう」

 そう言って、漁班の班長と一緒に、大工のジュコーブさんの所まで行く事にした。


 作業場へ行き、俺達は簡単な絵を見せながら説明をした。

「ってな訳で、こんな形の船を作ってほしいんですよ。そうすれば島の周りの遠浅の場所も、気にする事無く、この船で物資が運べます。そうすれば陸路での運搬に必要な馬や牛が必要なく、人力でも可能です」

「別に構わないけどよ、島の反対なんだろう? 櫂だけじゃ厳しいんじゃないか? いや、言われたから作るけどよ」

「それなら俺に少し当てがあります、個人的に少し仲良くなったサハギン系のシーラって子がいるんですけど、少し話しをしてみますよ」

「おいおい、何があったんだよ」

 ジュコーブさんはニヤニヤしながら班長をからかう。

「魚を獲ってたら、いきなり水面から出て来て、それ毒だよって言われて、それから仲良くなったんですよ。その後も、後ろから船を押してくれたり、バランスを崩してボートが揺れた時に抑えてもらったりで。まぁ、その……ですね……」

 漁班班長は、少し恥ずかしそうにしている。まぁ種族の壁を超えるのは良い事だと思うよ。けど、アジョットタイプの半魚人生産だけは勘弁な。

「今まで、お互いあまり関わってなかったけど、ハーピー族達のように少しずつ付き合いを始めるべきですね。班長、少し話し合いの場を設けて欲しいんだけど、話を通してもらえます?」

「構いませんけど、どうするんですか?」

「労働力として雇いたいんです、できればwin-winの関係に持ち込みたい」

「なんだ? ウィンウィンって」

「お互いに損をしないように、都合の良い妥協点を見つける事ですね、お互いに勝つって意味です。皆、俺抜きで話し合いを進めて、個人的に信頼を築き上げても良いんですよ。その内、この島の村長を決めて、俺は引っ込んで自由に家族と暮らしたいですし。まぁ、まだまだ先ですけどね。けど、これからの事も考えて、そういう事も必要だと思うんですよ。まぁ不安かと思うので、今回は俺が代表として出ますが。今後色々細かいところまで手が回らないので、代表者を決めて、動いてもらうのも有りだと考えてます」

「おいおい、村長はカームみたいな物だろうに」

「村長兼魔王とか、色々と身が持ちませんよ。今は、精一杯領地としてもらったこの島を、住みやすくするのに動いているだけで。ある程度になったら、俺も普通に暮らしたいです。目標は島を四つに分けて、そこに村を作り、それぞれの村で村長を出してもらって、細かい指示を出してもらう、それだけです。あぁ、話がずれましたね、話し合いの日程は船が出来てからですか? それとも出来る前にやっちゃいます?」

「随分計画性があるんだな。このまま島を牛耳るかと思ってたぞ」

「ないですよ。俺だって楽して生きたいですよ。魔王って言うのは職業みたいな物で、前の魔王が人の使い方が荒かっただけです。まぁ俺がそう思ってるだけですけどね、さて、どうします? なんでも俺が決めるのはそろそろ終わりにしていこうと思ってるんで。班長が決めて下さい」

 そう言って、俺はいきなり漁の班長に話を振る。

「は、はい、話が決まったらカームさんに言いますので、それから詳しい話を決めましょう」

いきなり話を振られて、少し焦ったが、なんとか答えたぞ、って顔になったな。

「わかりました、それでは話が決まったら言って下さい、じゃぁジュコーブさんは船の作成をゴブルグさんと作成お願いします」

「おう」

そう言ってその場は解散となった。



翌日

「カームさん、今日の昼食後からでどうでしょうか?」

「早くね!? あと太陽二個分で昼食だよ?」

 俺は、太陽の位置を確認しながら言った。


「いやー、シーラに言ったら、ちょっとお父さんに話してくるって言ってそのまま決まっちゃいました。場所は湾のこの間飯を食べた場所です」

「ま、まぁ、早い方がいいですからね。交渉材料は何にするかな。金銭のやり取りがまだ島で普及してないからな。麦の収穫とかには早いし……。水生系の魔族って何食うんですかね?」

「わかりませんよ、俺に聞かないで下さい」

「恋仲っぽい発言してたのに……」

「いや、まだそこまで行ってませんし。むしろまだ一緒に飯とか食ってないですよ」

「俺の母親が、人族に結構近いサハギンなんですが。肉でも魚でも食べてましたし。主食はパンでしたね……。本当何が良いんだろう」

「わかりません」

「相手の出方を見るしかないかー。まぁ飯でも食って考えよう」


 俺は湾付近の、布を引いた机でボーッと麦茶を飲んで待っていた、先方が来るまで、何も飲食しないで待つのが普通だと思うが……。

 女性が麦茶を持って来てくれたのだから仕方がない。

 そう思っていると、海の中から、水生系魔族が現れ、こちらに近づいてくる。

「あの女性がシーラさんです」

 シーラと呼ばれたサハギン系の女性は、髪が尻の辺りまで長く、透き通るような青色で、後ろで軽く髪を纏めている。水泳選手のような、しなやかな体つきだった。

「あー、俺の母親に部分的にそっくりだわ、特に手に有る鰭みたいな奴とか顔つきとか。母親と姉妹で、あの代表が俺の爺さんじゃ無い事を祈るだけだ。ってかサハギン系の女性って似るのかな?」

「え、ソレの方が嬉しいんじゃないんですか?」

「父親のリザードマンと恋仲になり、大陸の中の方で俺が産まれたんですよ。それに今まで両方の祖父母を見た事がないんです。なら何かしら理由があると思った方がいいでしょう? 今更何か言われるのも嫌ですし」

「そう、ですか……」

 まぁ、母親と髪の毛の色も違うし、肌も目も違うから母方の父でも姉妹でもないだろうな。

 更に代表が近づいてきたので、俺も近づき。挨拶を済ませる。

「今日は来て頂きありがとうございます」

「構わん、話があるなら進めてくれ」

「解りました。とりあえずあちらで座って話しましょう」

 俺は天幕の下の椅子まで、案内する。

「前に名乗ったと思いますが、カームと言います、よろしくお願いします」

「確か名乗ってなかったな、ルカンだ。娘と違い、陸にはあまり適した体ではないので手短にたのむ」

「わかりました、手短に行きます。今、底の平らなボートを作っています、これなら今までの手漕ぎのボートと違い、遠浅の海でも船底を擦らないで、物を載せても吃水が下がっても物が運べます。俺は今、金を稼ぐのに、島の向こう側にある木の実を取って売ろうとしていますが。陸路だと時間がかかり、それを引く馬や牛がいません、なので海を速く泳げる貴方達に協力をお願いしたいと思って。話を持ち掛けました」

「長い! もう少し纏めろ」

 これでも長いか!

「この島の反対側に有る実を、今作ってるボートでここまで運んでほしいのです、収穫は俺達か、ハーピー族でやります。報酬は何が良いですか?」

 もうやってくれる前提で話そう。

「海で取れない物が良い、聞いた話だと、肉を育てているらしいではないか、定期的に陸の肉を食わせろ」

「本当にそれでいいのですか?」

「問題ない。今まで食う分だけ取って寝ていただけだ。少し働いて、陸の肉が食えるなら問題ない。力の余っている者も多いからな。船に荷物を載せて引くだけだろう? 問題はない」

 なんだろう、すごく男らしい。コレが海の漢か。ってかwin-winの関係も何もないな。

「後は甘い物だな、海の中だと、どうしても無理だ、食えん。我々の集まりでも、甘い物を食いたがってる奴がいる」

「わかりました。そういう方向で話を進めておきます。後は現物が出来たら、実際にお見せして、船が引けるかどうか。どのくらいの重さまで大丈夫かを確かめさせて下さい」

「わかった、皆にも伝えて置く。肌が乾いてきた、すまぬがそろそろ失礼する。もしくは一度海水に浸かりたい」

「気が付かないで申し訳ありませんでした。今度話し合いの席を設ける時は、波打ち際にします」

「そうしてくれると助かる。他にないなら、シーラに任せ俺は海に戻りたいんだが?」

「主な話し合いはこれくらいなので大丈夫です、ありがとうございました」

 そう言うと、ルカンさんは海に戻っていった。

 男らしいと思ったが、陸での活動時間の問題だったか。山付近の湖付近に住んでもらうのには、シーラさんみたいな、人型に近い方が良いのかもしれない。もしくは川に帰ってくる鮭みたいに、水路を作るかだな。

 この間の食事のときも、人魚系も見かけたから。陸での移動は大変だろうし。ある程度計画を練っておいても良いのかもしれない。

 さすがに樽で運ぶのには抵抗が有る。どっかの人魚はたらいに入ってたけどな! タラの方は陸でも関係なく踊ってたし。水生系の魔族は良くわからないな。

 そう言っちゃうと。俺もわからない部類に入っちゃうのか。


 そう考えてたら、波打ち際で、班長とシーラさんがなんかいい感じで話し合ってるし。まぁ、個人的に仲良くなるのも良いからね。そのままそっとしておきたいけど。なにか有益な話とかもしたいな。ってか話に入り辛い。

 馬に蹴られそうで、なんか怖いが、ここは話をするべきだよな。


「あ、あのさ、お楽しみのところちょっと悪いんだけど、事前に聞こうとしていた事も伝えて下さい。ボートをちゃんと引っ張れるのか、とか。どのくらい積んで平気なのとか。どのくらいで島の反対側に行けるのかとか」

「あ、申し訳ありません、聞いておきますね」

「じゃ、じゃぁ俺は仕事に戻るから」

 俺は、気を利かせその場から立ち去る事にした。



 湾の近くで船を作り始め、数日後。

「んーそろそろ、蜂を巣別けするべきかな。ハニービーを見かけたら、声をかけてもらっておくか、あと巣箱も作ってもらうか」

そんな事を、一人で呟いていたら、後ろから声を掛けられた。

「カーム、言われてた船が出来上がったぜ、どうするんだ?」

「ありがとうございます、思ったより早いですね。では、浮かべてみますか? それとも進水式でもやります?」

「は? 奴隷を海に沈めるのか?」

「何それ、俺の知ってる進水式と違う」

「神に捧げ物として奴隷を海に捧げるんだよ」

「何それ怖い、果実酒とかを船に叩き付けるんじゃないんですか? いや、この話は止めましょう。なんか文化と言うか根本的に何か違う気がします」

「そうだな。ただ単に浮かべるだけで良いな。漁班を呼び戻そう」

「そうですね」

 そんな会話をしながら大声を出し、船を呼び戻す。


「ついに出来たんですね。おー、底が平らだー。コレですよコレ」

 そう言いながら船の周りを、グルグル回る班長。

「おい、まだ浮かべてないからどうなるかわからんぞ、俺だってこんなの作ったの初めてなんだからな、ってかこれくらい船大工にやらせろよ」

「修行中でいないんですよ。なので変な注文してすみませんでした」

「……まぁ、勉強になったから良いけどよ。ほら、浮かべろ。水が入って沈んだら恥ずかしいからよ」

 そう言われたので、全員で船を押し、海に浮かべる。


「どうだ?」

「今のところ浸水はないですね、なんか重りでも乗っけましょう」

「んじゃ俺も乗る」

「あ、俺も乗ります」

そう言って三人で船に乗り、船体を揺らしたり、俺が魔法で【石】を出し、どんどん重くしていく。

「大丈夫そうですかね?」

「そうですね」

「まぁ何か有ったら言え、直しに来る」

「ありがとうございました」

 そう言うとジュコーブさんは丘の上の作業場へ戻って行った。


「じゃぁ、早速呼んでみますね」

 そう言うと班長は、楷でバシャバシャと水面を叩き始めた。

 そうしてしばらくしたら、シーラさんが顔を出した。

「ボート出来たんですね、これを引けばいいの?」

「うん、お願い」

 そう言って、班長はロープを投げ、シーラがそれを受け取り胴の辺りに巻き、ゆっくりと泳ぎ出す。

 ドルフィンキックかよ、ってか推進力すげぇ。なんだこれ、空荷だとこんなスピードでるの?

「あの、島の反対側までどのくらいで行けるって言ってました?」

「全力で太陽二個分って言ってましたよ」

「かなり速いですね」

「人魚系なら、もっと速いって言ってましたよ」

「あー、すげぇっすね」

 このシーラって子は、時速約四十キロメートルで泳げるのかよ……。物資満載で十キロメートルとしても戻ってくるまで約七時間、水生系すげぇ!

 あれ、ハーピー族も俺が転移魔法を使って戻った時もかなり速く来たし、ファーシルが親を呼びに行った時も、往復でかなり早かったよな。実はかなりスペックが高いのか。

 それを簡単な食事で使っていいのか。甘い物で使っていいのか――

 ホントウニダイジョウブナノダロウカ?


 なんかすげぇ良心が痛むんだけど。

 こんど何か有ったら優先的に言う事を聞いてあげよう。あー、特化型ってすげぇんだな。



閑話


ロックの冒険準備。


「異世界から召喚した奴が修行の旅にでたいと……」

「はい」

「そいつは何をした?」

「無人島にいた、魔王を討伐後、また同じ島に魔王が現れたと噂が広まり、ソレの討伐に行きましたが。魔王はいなかったと、言っておりました」

「一体だけでも倒したなら十分だ、好きにさせておけ。それで強くなって戻ってくれば尚良い事だ。精々各地で、良い行いをさせ、我が国の印象を良くさせよ」

「かしこまりました」



「タケルよ、好きにして良いと許可が下りた。各地で困っている者を助け、精進するが良い」

「わかりました」


「ってな感じで、許可が下りて良かったよ」

「やったじゃねぇか、で、どこに行くか決めてるのか?」

「そろそろ温かくなってくるから、寒い方に行きたいな」

「なら山に向かって進んだ方が良いな、寒くなってきたら、町で防寒着を買えば良い」

「だね、寒い所は煮込み料理が美味しいよねー」

「そして、それに合う酒。たまんねぇな」

「はは、まぁ各地の噂を聞いて、勇者を探して。話を聞きに歩くだけだから、あと、お金は一定以上を保って、せめて宿と食事だけは、今以下にならないようにしないとね」

「そうだね、取りあえず商人の護衛をしつつ、魔物の討伐部位とか、賞金首とか出れば良いね」

「思ったように事が進めば苦労はしない、取りあえず商人の護衛の仕事を探すか、町までの道中で、魔物を狩るかだな、幸いな事に、まだ金はあるが、減らさない努力をしよう」

「だな、んじゃ俺はこの次の酒で止めて置くか」

「コレで止めるって言うのが普通じゃない?」

「メイソン、少しは節約しろ」

「へいへい」

「じゃぁ、準備をしつつ、商人の護衛任務が有ればそれを、なければ歩きながら次の町に向かう。でいいね」

「おう」「問題無い」「はーい」

累計ランキングで300位以内に入りました。

これも皆様のおかげです、ありがとうございます。

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作者が書いている別作品です。


おっさんがゲーム中に異世界に行く話です。
強化外骨格を体に纏い、ライオットシールドを装備し、銃で色々倒していく話です。


FPSで盾使いのおっさんが異世界に迷い込んだら(案)

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