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第80話 コーヒーショップを始めた時の事

適度に続けてます。

相変わらず不定期です。


コーヒーの淹れ方は簡略してあります。本当の淹れ方はもう少し細かいです。

前回の感想で、豆乳を入れると、コーヒーの酸味で豆乳が固まるとご指摘をいただきましたが、ご都合主義ですので、成分未調整豆乳でも固まらないと思って下さい。


 世界が白い……またここかよ。

 今は、もう慣れた浮遊感の中で体を起こすと神がいた。

「お久しぶりです、いや、このトルココーヒーって言うのは中々美味しいですね、少し豆が口に入りますが。煮出しているのに、想像していた物より濃くなくさっぱりとしていますね」

「そうですか、今回はなんでしょうか?」

「特にありません、しいて言うならコーヒーに興味が沸いてたので、飲んでいたのですが、寂しかったので……」

「そうですか」

「どうぞ」

 そう言って執事みたいに椅子を引いてくれ、コーヒーも注いでくれた。

 神様なのに、こういうのが凄く絵になるから不思議だ。

「お待たせしました、ご主人様」

 物凄く落ち着いた雰囲気で、コーヒーを出してきた。

「一応神様なんだからさ、そういうのはやらない方が良いのでは?」

「なんだかんだ言って神も暇ですからね、色々見て学んだりもしますよ。独自に進化をした日本のメイドとか」

 スルーっすか。

「あー、アレは個人的にはないです。どう考えて本場のメイドとは別な物の気がします」

「同感ですね」

 そう言って、向かいに座り、お互いにトルココーヒーを口にする。

「メイドはあんな自己主張しちゃいけないと思うんですよ、ヴィクトリア朝っぽい家具に囲まれた店で、来店したら男女問わず『お帰りなさいませ』とか言われて、椅子に座ると『今日は紅茶でしょうか?コーヒーでしょうか』とか言われ、日替わりスイーツと紅茶かコーヒーか、選べるくらいで良いと思うんです」

「かなりの熱弁ありがとうございます。私もそう思います。ですが地球の神は、スカートが短くてえぇのうとか言ってましたがね、これが画像です」

 そう言って、何も無い空間にプロジェクターで投影した様に画像が出て来た、白髪の髭がもっさもっさの爺さんが、ミニスカメイドに囲まれてオムライスを食っていた。

「地球の神駄目だな、ってか星に降りて平気なんですね」

 そう言ってコーヒーを飲む。

 まぁ、東京の安アパートに休暇に来てた神もいたからな。

「たまにはこういうのも良いでしょう?」

「えぇ」

 そう言って指を鳴らすと目の前にクッキーが出て来た。

 俺はそれを一口食べた。

「バタークッキーですか?」

「えぇ。苦味が強いので、まろやかな甘さのある物を用意しました。本当はキャラメルやティラミス、アイスクリームでも良いのですが、そちらでは作るのに苦労しますからね」

「そうですね」

「なのでお店でどうです?」

「それが俺を呼んだ本当の目的ですか?」

「えぇ」

「良いかもしれませんね?」

「ミルクや豆乳を沢山入れて、甘くしたコーヒーにはスコーンの様なシンプルな物も良いですね」

「コーヒーにはまりました?」

「えぇ、意外に奥が深いですね、今度ダッチコーヒーに挑戦しようかと思ってます」

「あー水出しコーヒーですか。程々にしないと、何もない空間の一角に喫茶店風なのができちゃいますよ」

「良いですね、各星々の神でも招きますか」

「そっちの付き合いはどうなってるのか知りませんけどね」

 そう言ってクッキーを頬張り、残りのコーヒーを飲み干してカップを置く。

 この白磁のカップは当たり前だけど、向こうでは極小の樽みたいなんだよな。練って、薬塗って焼くってのはわかってるけど。粘土練ったり、上薬をどうするのかさっぱりだ。チャイナボーンも詳しくないしな。

「んじゃご馳走様でした。これだけなんですよね?」

「えぇ」

 物凄い笑顔で言い返され、本当に執事喫茶とかで働いたら、女性が入れ食いな気がする。

 そう思いながら俺は覚醒した。



「何か有ると夢の中で呼ぶの止めて欲しいよな。あー、なんかだるい。神が夢に出てくると必ずだるい」

 そう愚痴り、顔を洗い、ヴォルフを撫で回してから皆と朝食を食べる為に外に向かう。

 今日は、仲の良い男女を選んで、最低でも菓子作りが出来る組を選びたいな、ってか店って二人で回るか?エジリンやコランダムの定食屋とか夫婦経営が多かったし、なんとかなるか。


 朝食を食べ終わったら、仲の良い男女か夫婦を呼び、町に行きたい方を残し、その中から菓子が作れる4組だけ残し、詳しい説明をする。

「島の太陽の沈む側。つまり山の向こう側に、この赤い実が成っているのは知っていると思います。これを島の主な収入源としようと思い、まずはコランダムで、このコーヒーと茶菓子を出す店を経営する事にしました。今から一連の流れをやって見せます。それを真似して上手く出来た方に町に行って、店を経営してもらいます。難しく考えないで良いです、噂が広がり、有名になって、どこで買えるかが広まれば良いのです。では始めます」

 石臼でコーヒー豆を挽き、木の容器に入れて置き、トルココーヒー専用の容器に、挽いた豆と砂糖をスプーンで一杯入れ、水を入れ火にかける。

 煮たって、泡がモコモコしてきたら、少し泡を捨て、即カップに注ぎお盆に置き、砂糖の入った容器も一緒のお盆に乗せた。

「お待たせしました」

 そう言ってテーブルに静かに置く。


「これが一連の流れです。店が開店する前に有る程度、菓子を作っておけば開店後も忙しくならないと思います。コーヒー豆も少し多めに作っておけば、挽く手間が少なくなります、これは手の空いた時にすれば良いでしょう。石臼の使い方はわかるとは思うので、コーヒーを淹れてみましょう」

 そう言って、作ったコーヒーを飲ませてから、集まった男女に作らせる。


「カームさん、お湯から煮出しては駄目なんですか?」

 最近は魔王さんを禁止している。色々と面倒だが、危険は少ない方が良いからだ。

「お湯を注いで煮ても問題はないんですが、その分煮出す時間が少なくなります。なので好みにもよりますが、少し薄くなるかもしれません。ですので水から煮出す事にしましょう」

 ドリップコーヒーは、上からお湯を注ぐだけだからな。問題はないと思うけど、そういう事にしておこう。

「俺、お茶には砂糖入れないんですけど、砂糖入れないで作っちゃ駄目なんですか?」

「風味を出す為です、料理に少し砂糖を入れると風味が変わるのと同じです。なので要望がない限り砂糖を入れて淹れましょう。じゃぁ貴方は砂糖を入れないで、淹れて飲み比べしてみましょう」

 そして全員がコーヒーを淹れ終わり、全員分を回し飲みさせる。

「誰のが一番美味しかったか、正直に言ってください」

 確かドリップコーヒーを淹れる時に出る泡が、雑味って聞いた事がある。なので泡の取り方で、美味しさが変わるかもしれない。

 そして、八人中五人が一組の男女を指差し、町に行く組が決まった。

 見た感じ二十代前半の若い組だ。十五歳から大人と認められ、結婚もして良いと言われてるこの世界で、二十代前半で店を経営するのは早いのか遅いのかは解らないが、取りあえず決まった。

「では多数決で決まったので、コランダムへ行っていただきます」

 そう言うと二人は喜んでいる、そんなに町に行きたかったのだろうか?

 何も無い島に比べたら魅力は多い気もするが、もしかしたら流行らないで潰れる可能性もある。まぁ喜んでるから良しとしようか。

「では二人にはお菓子作りと接客も、覚えてもらいます」

「頑張ります」「はい」

 二人は物凄く良い返事をした。


 それからしばらくは、お菓子作りや、コーヒーを淹れる練習をさせ、時々島民を客に見立て、練習もさせた。

「形にはなってると思います。なので、後は現地で細かい調整と話し合いだけですね」

「「はい」」

「では、後日出発しますのでよろしくお願いします」



 そして数日後、俺はコランダムで出店すべく様々な登録や許可を取り、店の内装や看板を決め、料金設定もある程度決めた。

 店は、出店が並ぶメイン通りから一本外れた、町のメインの十字路の港側の店だ。人通りは悪くはないが、賑わいは少ない。三十日の家賃もそこそこ、すべてが普通と言っても良い。

「本来ならば、仕入れとかがありますが、コーヒーは島から直接宣伝用に持ってきますのでタダですね。砂糖も島の物を使っても良いんですが、島で使う分がなくなるので、仕入れる物は、牛の乳と砂糖と。お菓子用の小麦やバターですね。これは、俺の知り合いの商人に、既に話を付けてあるので、後で顔を見せに行きましょう。店で買うより問屋から直接買った方が安いですので。在庫がなくなってきたら、売り上げから買いに行ってください。あとは制服ですね、医者のアントニオさんの服を選んでくれた店は聞いてるので、そこに行きましょう」

 そう言って店に二人を連れて向かった。


「いらっしゃいませー」

 店に入ると、お姉さんが出迎えてくれた。

「後ろの二人に合う、なるべく同じ黒いズボンと、清潔感の有る白いシャツを。洗い替えも含めそれぞれ四組下さい」

「はーい」

そう言って店内を回り、数種類のズボンとシャツを持って来た。

「んー、コレとコレか、コレにコレかしら」

 そう言いながら、組み合わせて行く。

 それから全員で相談して、動きやすい物を選んだ。

 その後、黒のベストをそれぞれの好みで選ばせ、黒いネクタイを着用させた。

「あら、意外にお洒落ね」

「まぁ、そういう風に見えるようにしましたので」

 どうもコーヒーショップのマスターとかのイメージが強い。

「なにするの?」

「この辺にはない、お茶を出すお店です」

「へー、ゆっくり飲むのが普通なのにお茶を出す店ねぇ。売れるの?」

「わかりません、これが売れなきゃ計画が頓挫します。この辺には無いお茶なので、まずは皆に知って貰い、家でも飲みたい人は店で買って帰り需要が産まれます」

「まぁ、難しい話は結構よ、どこで、いつ、店を開くかよ」

 そう言われたので、3日後にメインから1本外れた場所の「コーヒー」って、名前の店と伝えた。

 店の名前が商品名。覚えやすいと思うし、変にこだわるよりは良い。パワーショベルの事を『ユ○ボ』と言うのと同じだ、某国ではバイクと言ったら『カ○』車と言ったら『ス○ル』、こんな感じだ。

「コーヒー……ねぇ……。わかったわ、一回だけは顔を出して上げる」

 そう言われ、お礼を言ってから店を出た。


 その後に、ニルスさんの所に顔を出し、挨拶を済ませ、店の宣伝もしておいた。

「メイン通りから外れてて平気なんですか?」

「落ち着いた雰囲気を出したいので。あと、メイン通りは料金が高くて」

「そっちの方が本音でしょう」

「えぇ」

 俺は笑顔で答えた。

「では、後で顔を出します」

「よろしくお願いします」

「「よろしくお願いします」」

 そう言って倉庫を出た。


 俺達は店に帰り、今後の事を話し合っている。

「これからの事を話しましょう。ギルドの掲示板に広告用の紙を張り付けておきました。これは三十日で剥がす様に言ってありますが、あまりにも客足が少ない場合は、また三十日追加でお願いします」

「はい」

「様子見で数日は俺も店にでますが、俺が帰った後は、定期的に様子を見に来るので、その時にでも声をかけてくれれば島民を連れて来ます。後は近くの共同住宅でも借りてそちらに住んで下さい。休憩室兼倉庫は、俺が転移魔法の転移場所に指定するので一角だけは紐を張って、物を置かないようにして下さい」

「わかりました」

「明日は少し早く起きて人の様子を見て、開店時間や閉店時間を決めましょう」

 そう言って、店内のテーブルや椅子をどかして、寝具を敷き寝転がった。

「あー、借家を借りるのが面倒とか、お金を溜めたいって言うなら、こうして物をどかして床で寝ても良いですよ」

「いえ、色々住むには不便ですので借りますよ」

「そうですね。前にも言いましたが、お金はある程度自由にして結構です。ですが持って直ぐに逃げないで下さいね。探し出すのに苦労するので」

「え、あ。はい」

「まぁ、ある程度流れに乗って、生活できる程度にまでなったら、独立しても良いですし、二号店とか出す場合は、そちらの裁量ですので本当に自由にして良いですよ。ただコーヒーのイメージが下がる様な事はしないで下さいね。そうすると島にいる皆に迷惑がかかるので。では寝ますか」

「わかりました」



 俺は少し早目に目を醒まし、全員で市場の方に向かうと、薄暗いのに既に人が動き出し、露店の準備を始めている。

 市場の朝は早いな。

 そして朝日が昇り、少しでも明るくなったら直ぐに商売を始めだした。

「日の出と共に商売開始か、んじゃ適当に飯でも食いますか」


 そして昼時になり、港の人が少なくなって一斉に出店や飲食店が混み始める。

「お茶とお菓子しか出さないから、この時間に休憩するのもありですね」

「そうですね」

 ついでに宣伝活動もしておく。体の前後に板をひもで縛り、超笑顔で声を掛ける。サンドイッチマンだ。

 皆から笑われたが知った事ではない。むしろ目立って注目を集め、良い宣伝効果になる。

「そこのお兄さん、今までにない新しいお茶だよ。少し苦いけど、疲れた体にもいいし、眠気にも効くよー。そこのお姉さん……」

「恥ずかしい」「恥ずかしいです」

 そう言って二人は中々動かないでいる。動かないでも見られる事は見られるので、ただ立っているだけでも、宣伝になる。

 こっちの世界では、こんな宣伝方法はないのか? 俺はノリノリなんだけどな。性格の違いか?


 そして夕方になり、早い所では酒場が開き、既に酒を飲んでいる人達がいる。

「この頃には店を閉めても良いかもしれないね、丁度海に太陽が隠れたくらいですね」

 そして俺達は店に戻った。

「さて、今日一日ずっと人の流れを見ていた訳ですが、開店時間は日の出より少し早く、閉店は日の入りと共にで良いと思いますね」

「そうですね、昼時は一時的に閉めて、食事を食べに行くのも良いかもしれません」

「けど、食後に飲みたいって人も出てきたらどうするんですか?」

「交代で良いんじゃないかしら?」

「その辺は任せますよ」



 そして開店当日、俺は男性の方から制服を借り店に立つ事にした。俺がやるのは主に雑用主体だが。二人では対応しきれない場合に、俺が口を出す。

 けど最初は流れを見せないと話にならないので、流れを見せる為に、カウンターに立つ事にした。

 メニューは簡単『コーヒー』か『コーヒーセット』だ。

 セットのメニューも日替わりお菓子なので面倒な事は極力避けさせた。

 人件費を払い、軽食メニューを増やしても良いが、まずは軌道に乗せないと始まらないからな。

 そして、店のドアに付いているベルが店内に響きドアが開く。

「いらっしゃいませ、空いているお好きな席へどうぞ」

「はーい、朝食の前に来ちゃった」

 そう言うとカウンター席に座った。

 最初のお客様は服屋のお姉さんだった。

「ふーん、メニューは少ないのね」

「はい。人数が少ないですし、まだまだ未熟なので後々増やしたいと思っております」

「店の前にあった看板に、今日のセットはスコーンって有ったけど、朝食前だから、コーヒーだけにしておくわ」

「かしこまりました、コーヒーを1つですね、少々お待ち下さい」

 そう言って俺は手早く準備を始める。

「壁に飲み方が書いてあるのね、ふーん」

 そう言いながら、壁の挿絵入りの注意書きを読んでいる。


・静かに飲まないと、細かく砕かれた豆の粉が口に入るので注意しましょう。

・苦いので、お好みで砂糖を入れてお飲みください。

・砂糖を足して混ぜた場合は、粉が沈むまで少し待ちましょう。

・まろやかにしたい場合は、牛の乳を入れましょう。

・家でも飲みたい場合は、店で挽いた粉を痛まない様に、少量をお売りします。淹れ方もお教えます。湿気に弱いので早めにお飲みください。


「出された砂糖は使い切っても良いのね」

「はい、ですが全部入れるとかなり甘いですよ? 少しずつ足す事をお勧めします」

「はーい」


「お待たせしました」

 そう言って目の前にゆっくりとカップを置く。

「そうやって作るのね、取りあえず砂糖無しで」

 そう言って少し口に含む。

「んー苦いわね」

 そう言って砂糖を足して、ゆっくりかき混ぜ豆が沈むのを待ってから、また口に含む。

「これくらいかしら」

 そう言って少しずつ飲んでいる。

 半分位飲んでから、この白い物も入れてみようかしらと言って、少しずつ足してから飲んでいる。

「あら、飲み口が柔らかくなったわ、こっちの方が好みね」

 そう言って、コーヒーを飲み干し帰って行った。

 午前中の人の入りはまぁまぁで、昼過ぎにはニルスさんが来た。

「顔を出しに来ました」

 そう言ってカウンター席に座る。

「さっき昼食を食べたばかりなので、コーヒーを一つ」

「かしこまりました、コーヒーを一つですね、少々お待ちください」

 そして俺は、コーヒーを淹れる準備をする。

「港での呼び込みを見ましたよ。斬新な宣伝方法ですね、早速真似して呼び込み宣伝している店が多いですよ」

「そうですか、先駆けになって良かったと思います」

「職員が、藍色の肌の魔族が胸と背中に板切れを付けて宣伝してた、あれカームさんじゃね? ってね」

「多分そうでしょうね、自分もノリノリでしたし」

 そう言って目の前にコーヒーを出した。

「この間頂いた物よりこちらの方が良いですね」

 そう言って砂糖を足しては飲み、足しては飲みを繰り返し、丁度良くなったら、牛乳を入れ、残りを楽しんでいた。

「丁度良い砂糖の量がわかったので、今度は最初から砂糖を入れ、牛の乳を入れたのを多く楽しめます。どうです? 客の入りは」

「そうですね。まだ初日ですし、見慣れない単語と飲み物ですからね。口コミで広がっていただければ嬉しいんですけどね」

 そう言ってカップを下げて洗う。

「しばらくは様子見で、じわじわ客足が伸びたり。休憩時間の一杯って感じで飲んでもらえれば良いんですけどね」

 そう言ってテーブル席の他のお客様の所にコーヒーを運ぶ。

「まぁ、話に上がったり、取り扱って無いか? って話が来たらこちらから伺いますよ」

「ありがとうございます」

「持ち帰り用の豆ちょうだい!」

「かしこまりました、少々お待ち下さい」

 カップで粉を掬い、袋に入れてお客様に持たせる。

「ありがとうございました」

「接客になると、普段とはやっぱり違いますね」

「えぇ、そういう物です」

「では私も失礼しますね、ついでに私にも一袋下さい」

「かしこまりました、少々お待ちください……ありがとうございました」

 そう言って袋を渡し、お金を受け取りニルスさんを送り出す。

 初日はまぁまぁだったな。



閑話


サンドイッチマン


「おいなんだよアレ」

「あの魔族、体の前後に板ぶら下げて、看板持ってなんか宣伝してるぞ」

「恥ずかしくねぇのかよ」

「後ろの男女は恥ずかしそうにしてるぞ、可哀想に、見世物じゃねぇかよ」

「なんの宣伝だ?」

「コーヒー? 新しいお茶? だってよ」

「ほー、行ってみるか」



「おい、なんか板をぶら下げてるの多くないか?」

「あぁ、新しいお茶の宣伝じゃなくて、色々な店や色町の宣伝だぞ」

「確かにアレは奇抜で目を引くからな、宣伝としては良いんじゃないか? だって目が行くし」

「アレはアレで効果は高いみたいだな。あ、アレ俺の知ってる店だ」

「皆必死だな、この間見た三人組は随分効果的な宣伝をしてたみたいだな」



「さっきのコーヒーって言うやつ? どうだったよ」

「俺は有りだな、砂糖少なければ、目が覚めるし。店内の良い香りが好きだな」

「俺は砂糖多めで、牛の乳を結構入れて飲むのが良いな、菓子も意外に美味くてコーヒーに合ってたな。値段もそこそこだし、簡単な休憩で入るのもありだな」

「そうだな」

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作者が書いている別作品です。


おっさんがゲーム中に異世界に行く話です。
強化外骨格を体に纏い、ライオットシールドを装備し、銃で色々倒していく話です。


FPSで盾使いのおっさんが異世界に迷い込んだら(案)

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