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第75話 勇者が来島した時の事 後編

適度に続けてます。

相変わらず不定期です。


調子に乗りストーリー上ステータスを数値化してみました。色々高いのは神の加護持ちと言う事で納得してください。


句読点や、文章を意識しすぎて、色々変になっている可能性もあります。その場合はご指摘下さい。


誰の台詞か解らないと有ったので。

少し荒い、メイソン

少し丁寧、ジャクソン

なんか女っぽいの、ソフィア

特に特徴が無い説明風、勇者

です


「逃げたぞ! 追え! 解析!」

 そう叫び、走りながら俺は【解析】の魔法を発動させ、奴のステータスを見る。


カーム 14歳 混血 ■■■■者

Lv12

職業 島のお菓子作り職人・魔王・開拓者・冒険者・畜産家・養魚者・養蜂家・保育士・林業家・石材加工者


HP 429+(VIT/2)

MP 873+(INT×2)


STR 237

VIT 262

INT 751

AGI 351

DEX 513

LUK 284


武器 不衛生なスコップ 使い込んだナタ バール 紐

防具 麻の服 麻のズボン 皮の靴

■■■■の神の加護

スキル

気絶耐性:1

毒耐性:4

混乱耐性:2

投擲:2

時間把握:1

恐怖耐性:1

魅了耐性:4

打撃耐性:3

緊急回避:1

肉体強化:2

隠遁:3


属性攻撃系

火:3

水:4

風:4

土:5

光:2

闇:1


その他

回復魔法:2

魔力上昇:2

細工:3


「おいロック、解析の結果はどうなんだよ、あいつは魔王で良いんだろ?」

「あ、ああ。確かに魔王だ、ただレベルも低いし。色々と馬鹿みたいな職業してやがる、真っ先に『島のお菓子作り職人』が来て、『魔王』、『開拓者』ってなってやがる!」

「なんだそりゃ、魔王が菓子だと? 笑わせんなよ」

「本当だ! 真っ先に菓子作り職人が来てる」

「そんなのどうでも良い! 必死に追え!」

「糞! 左右に動きながら走ってるから狙いが付けられないよ!」

「装備は武器だけだから軽いんだ、森に入られるぞ!」

「Lvが低いのに魔力が高い! それと水と風と土に特化している。しかも器用で回復魔法持ちだ。長期戦になると厄介だぞ!」


 ■■■■者だって?、初めて見る。しかも解析できない、まぁ良い。MPや魔力や器用に特化されている、何気に運も良いな。毒や気絶や魅了耐性、しかも打撃耐性も持ってるじゃないか。

 他に呼ばれた先輩勇者を見た時も『召喚されし者』だったし、耐性があんなに高い数字を見た事がない、普段から魅了されて、毒でも飲まされてんのかよ。

 俺だってせいぜい痛覚耐性を持っていて、ある程度の痛みなら無視できる程度だぞ。

 しかも、魔法の熟練度だって、水と風と土に特化されているし、魔力上昇も持っている。

 何をしてくるかまったくわからない。今までに一回この無人島で、魔王と呼ばれている奴を倒したが、自分より弱かった。仲間と力を合わせなくても、どうにか成る程度だった。

 ステータスを見てもわかるが、魔法特化っぽいのに、投擲や肉体強化や打撃耐性ってなんだよ、どんな鍛え方したらあんな数字になるんだ? しかも何の神か解らない加護まで付いてやがる。

 しかも職業が菓子職人、魔王、開拓者って何の冗談だよ。


ふざけた奴だ。



やっべ! 四人なんかまともに相手に出来るかよ、ひゃー矢が飛んできてる。怖い怖い怖い、森までもう少しだ、頑張れ俺!


 森に入った瞬間に後ろを少しだけ振り向き、大体の距離を測り、【フラッシュバン】を発動させ。後ろを見たら全員目を押さえていたので、そのまま森の奥に入り、適当に粘液を作り出し全身に浴び、適当に背の高い草をウインドカッターで薙ぎ払い、適当に寝転がり、即席ギリースーツを作り、スコップをその場に刺し、俺はそのまま森の奥へ入って行った。


 そろそろか。

「おーい、島民を傷つけたら怒るからなー。もちろん魔族も含めてなー。目的は俺なんだろー。仲間に手を出すなら俺を倒してからにしろー。できれば話し合いがしたいなー、話し合いしてくれるなら大声でそう言ってくれー」

 よし。、隠れよう。大人の隠れんぼ開催だ! 刺したスコップは気を引いてくれれば御の字だ。



「ぐあ! 目と耳が! 皆大丈夫か!」

「目が! 耳も聞こえない! みんな平気か!」

「ぐっ、こんな魔法が、気をつけろ」

「目が! 光属性が得意とか聞いてないわよロック!」


 全員耳が聞こえ辛くなっているので、全員が似たような事を騒ぐ。そして気が付いた時には魔王はいなくなっていた。

「いったいどんな魔法なんだかさっぱりだぜ」

「同感だ、けど逃げられたぞ」

「あの時攻撃されてたらやばかったよね」

「あぁそうだな。皆無事なら良い。それよりも森に逃げ込まれたのが厄介だ」

「おーい、島民を傷つけたら怒るからなー。もちろん魔族も含めてなー。目的は俺なんだろー。仲間に手を出すなら俺を倒してからにしろー。できれば話し合いがしたいなー、話し合いしてくれるなら大声でそう言ってくれー」


「……聞こえたか?」

「ばっちりだぜ」

「私達を馬鹿にしてるよね」

「脳筋じゃないし、挑発までしてくる、本当に厄介だな。しかも森が深い、全員固まって周囲を警戒した方が良い」

「そうだな」「解った」

「さっき解析した時に隠遁三があった、気をつけるぞ」


 しばらく進むと一ヵ所だけ草が切り取られた変な場所に出た。

「何だありゃ?」

「知らん、それより警戒しろ」

「あ、アレ! アイツの持ってたスコップじゃないの?」

 そこから少しだけ離れた場所にスコップが刺さっていた。

「武器を捨てたのか?」

「大きいからな、この森の中では取り回しが利かないんだろう、そんなの気にする必要ない、探すぞ。ぐぁ!」

 小さく叫び声を上げ、倒れるジャクソン。

「どうした!」

「太腿が! 今回復魔法をかける、周りを警戒してくれ」

 そう言うと足に手を当て、手を当てた周りは青白く光りだし太腿の傷を癒していくのが見えた。


「ぐぁ!」

その叫び声に振り向くと、今度は左肩から血が流れ出ており、回復しようとするも、痛みで集中できないのか、手を当てても発動している様子がない。

「ぎゃぁ!」

そう叫ぶと今度は右肩から血が流れ出ている。


「ポーション、ポーションがあったはず!」

 そう言ってソフィアが腰についているポーチから、液体の入った瓶を取り出すとカシャンと言う音と共に瓶が割れ落ちた。

「何? 何が起こってるの!?」

「落ち着け! まず魔王を探せ!」

「どこにいやがる! 卑怯だぞ! 出て来い!」

そうすると何所からか声が聞こえ始めた。


『ごめんねー、四人全員を相手にするのは怖いからさ、コソコソ隠れながら攻撃する事しか出来ないんだ。取りあえず面倒臭そうな魔法使いを狙ったけど正解だったね。回復魔法も使えるとか流石勇者の仲間だ。それと、コソコソ隠れて攻撃するのと、一対多数で戦うの……。どっちが卑怯だと思う? 俺はどっちも卑怯だと思うんだよね』

「糞が! 正々堂々と勝負しやがれ!」

『正々堂々って気持ちは、家の棚の中に乾燥させないように濡れタオルをかけて大切に置いてあるから無理かな。とりあえず目標は勇者との対話、だから怖い人には退場してほしんだよ。とりあえず俺は、お前たちを(・・・・・)視界から(・・・)外さないように(・・・・・・・)してるから(・・・・・)

「クソ、どうすれば良んだよ」

「全員でばらければ、全員視界に入らないんじゃない?」

「ソレだと奴の思うツボだ、孤立すると一人ずつやられる。それにさっきの光の魔法と今の魔法。なんとなくだけど、俺の世界の武器にそっくりなんだよ」

「あん?」

「奴も召喚されたの?」

「解析を使ったが、召喚ではない事は確かだ。読み取れなかった」

『そんな事はどうでも良いからさ、その魔法使いさんが出血が多くてショック死しちゃうよ、殺しは好きじゃないんだよね」

「畜生ぉ!」

「まて! メイソン!」

 そう言ってメイソンはさらに森の奥に走って行った。

 足元を見るが、ジャクソンがグッタリしている。こっちも早くしないとな。

「ど、どうするの?」

「相手が見えないんじゃ話にならない、とりあえずジャクソンには悪いがメイソンを追いかけよう。その方が生き残る確率の方が高い」

「う、うん」

(ポーションはまだ有るか?)

(有るよ)

(隙を見つけてぶっ掛けろ)

(解った)

「移動しよう」

「うん」


 そして少し歩き出した瞬間に、ソフィアが蓋をしていなかったポーチから素早くポーションを抜き取り、振りかけた。

「コレで死なないよね?」

『死なれても困るからね、今のはサービスね。さっきポーション瓶を割ったのは、焦って欲しかっただけ。その結果一人がどこかに行ってくれた』

 そんな声と共にソフィアが持っている空の瓶が割れる音がした。

『たまには見えない恐怖と戦ってよ、んじゃメイソンさんを処理(・・)してくるから、そっちはそっちで慎重に進んでよ』

「おい、待て!」

 返事は帰って来なかった。



 危なかったな、二十メートルくらいでも結構気が付かれないもんだな。まぁ、ああ言ったけど、とりあえずあの勇者と女でも見張るか。

 んー、勇者達はメイソンって奴を追いかけるのか。んじゃ俺は取り合えずスコップを回収だな。

 このジャクソンって言ったっけ? 傷は塞がってるね、取りあえず両手足を背中側で縛って逆エビぞりで放置だな。

 そして俺はスコップを回収し、泥で光るところを全部消し、葉っぱや蔦も巻き付け。足音を立てずに追いかける事にした。


 付かず離れずを心がけ、常に木の陰に入り、移動は背の高い草むらを意識して中腰で追いかける。幸い向こうも警戒してゆっくり歩いている。


「メイソーン、ジャクソンはとりあえず無事だー、合流だー」

 勇者がそう叫ぶがメイソンからの返事はない。

 さて、どうやってあの女を切り離すかだな。


 しばらくして、後ろも気にし始めるようになる女性。取りあえず俺は、石を近くの茂みに投げ、気を引いた。

 その瞬間に女が弓を射り、

「あの茂みが動いた!」

 と叫び、勇者がゆっくりと茂みに近づいて行き。茂みの方を確認している間は、女が別な方向を警戒をしていたので、後ろからチョークスリーパーをかけ、意識を刈り取った。

 その後、即座に別の茂みにゆっくりと隠れて様子を伺った。

「おいソフィア、何も無いぞ……ソフィア!」

 そう言って勇者が、ソフィアと呼ばれた女に近づき、気絶しているだけだとわかると、安心している。

「メイソンのところに行ったんじゃないのかよ! 出て来い! もう一対一だ!」

『まだメイソンさんが残ってますよ、そのソフィアさんは気絶しているだけですので、いつ気が付くかわかりません、とりあえず失礼しますね』


 取りあえずまだ監視を続ける、勇者はソフィアと呼ばれた女の頬を叩くが中々覚醒しない。

 しばらくして目を醒ましたのか、勇者が声をかけている。

「奴を見たか?」

「魔王は? あれ? 私はいったい……あ、いきなり後ろから首を絞められて」

「気絶してた、直接首を絞めに来るなんて。かなり近くに潜んで居たのに気が付かないとか、隠遁3ってそんなにすげぇのかよ」

 エルフのお墨付きですから。

 確実に女を引き剥がしたいな。そのまま放って置いて、単独行動になれば良かったんだけど。

 それからゆっくりと二人は歩き出すが、女の方は首を絞められた恐怖か、少しでも茂みが動くとそこに矢を射り始めた、疑心暗鬼になってる、それか軽いパニック。

 音もなく裏から首を絞められるって事は、それまで近くにいたって事だもんな。そら疑いたくなるよな。

 けど、危険は少ない方が良い。

 俺は小さめの【ウインドカッター】で、弓を引き絞った瞬間を狙い、弦を斬り、武器を破壊した。

 替の弦を持ってれば別だが、腰にある、あんな小さなサイドポーチには多分ないだろうな。

 しばらく様子を見ていたらソフィアがパニックを起こし。叫び暴れ始めた。よく見ると頬に浅い傷があり、ウインドカッターで少し頬を傷つけたのだろう。

 それから少しして、女は勇者がなだめるのも聞かず、ナイフだかダガーを抜いてメイソンが走って行った方角とは別な方に走って行った。

 いつもと違う環境と極度のストレス。意外に使えるな。

『あ、今話せるかな?』

「うるせぇ! さっさと出て来い! 俺はもう一人だぞ」

『もう少し落ち着いたらね、落ち着いたら声をかけてよ』

「畜生ぉ!」

 勇者は木を背中にして、剣を構え周りを気にし始める。


 そろそろ十分か。息も荒くなってるし、汗もあり得ないくらい出ている。これ以上緊張させても不味いかな? こっちが折れよう。

『おまえ、召喚されたんだろ』

「は? いきなり何を」

『日本人か?』

 俺は言葉を日本語に切り替え話しかける。

 勇者は驚いた表情に成り、

「そうだ」

 日本語で返してきた。

『武器を収め、手の届かないところに投げろ、そうすれば姿を見せる、納めないなら武器を吹き飛ばす』

「良いだろう」

 そう言って勇者は剣を鞘に納め、前に投げる。

「ありがとう」

 そう言って俺は立ち上がり、すぐ近くの茂みから勇者に歩み寄る。

「なんだよその格好は」

「知らないのか? なら知らないままの方が良い、草を洗い流すから魔法を使っても良いかな?」

「……いいぜ」

 許可を貰ったので【水球】を作り出し、その中に入り全身の草を落とした。

「ずぶ濡れのままですまない、自己紹介をしようか、前世(・・)では凪と言う名前だった。何か聞きたい事があれば答えられる範囲で答えよう」

 一応相手を信用させるなら、本当の事も少しは言わないとな。

「武だ、ステータスを視たら十四歳と書いてあったが、こっちでの年齢か?」

「あぁ、確かに十四だ」

「日本の首都は?」

「俺が死んだ時は東京だったけど、福岡にでもなったのか?」

「ん? なんで福岡なんだ?」

「何でもない、忘れてくれ」

 ちょっと通じなかったか。残念だ。

「聞いちゃ悪いが何歳で死んだんだ?」

「享年三十だ、死因は聞くな」

「年上でしたか、申し訳ありません」

「気にしないでくれ」

 目上とわかった途端に口調が変わったな、多分真面目な性格なんだろう。

「転生って事で良いんですよね?」

「そうだな、最初に気が付いたのは、授乳されていたって事かな。前世の記憶もあった」

「そうですか、だからあんな銃みたいな魔法や非殺傷兵器みたいな物を」

「そうだね、極力殺したくないからね。怖がらせて申し訳なかった」

 そう言って俺は頭を下げた。こっちの文化ではあまり見ない謝罪方法だ。

「いえ、殺しに来たのはこちらですし、あのまま殺されてても文句は言えませんでした」

「魔王と聞いたら、普通は殺しに来るよな。まぁ何の因果かはわからないが、人族ではなく、産まれたのは魔族だった。色々と大変だった。小さな寒村に産まれ、内政に少し手を出して、暮らしを豊かにさせ、アナログな知識も色々身に着けた。レンガ焼いたり、井戸掘って、中が崩れないように石を組む方法とかな」

 神が面白半分で魔族にしたのは内緒だけどな。嘘をつくなら少しだけ真実を混ぜろって言うし。

「大変だったんですね」

「なんだかんだ言って今まで楽しませてもらってたからいいさ、嫁も子供もいるしな」

「え? だって……十四歳……」

「おいおい、驚かないでくれよ。魔族は早熟なんだ、仕方ないだろう?」

「そうでしたね。ところで、なんで俺を1人にさせたんですか?」

「魔王と勇者がわからない言葉で話し合うのを仲間が見て、襲って来ない保証は?」

「……ないですね、特にメイソンは」

「だからかな、あとで落ち着いたら仲間に謝罪しよう。少し場所を移さないか? フルールさーん近くにいます?」

「はーい」

「この勇者の仲間が、今どこにいるか教えてあげて下さい」

「わかったわ」

「ってな訳で、この赤い花がアルラウネのフルールさん。見かけたら声を掛ければ、どこかの赤い花の近くにいれば情報をくれますので、湾の近くにあった天幕で待ってます。魔法使いの……ジャクソンさん? でしたっけ? とりあえずは俺が運んでおきますので、残りの二人は任せます」

「わかりました」

 俺はジャクソンを回収して戻ろうと、スコップを刺した場所に向かうが、メイソンがジャクソンの紐を、斬ろうとしているところに遭遇してしまった。

「「あ」」

 そういった瞬間にお互いが戦闘態勢になり、メイソンが襲い掛かって来る。なんでコイツがここにいるんだよ!

 スコップを構えたが、相手の方が早く動いたので、こちらの方が間に合わず後手に回った。

 スコップを左手側に寄せて縦に持ち、横薙ぎの斬撃を受け止めるが、スコップに半分くらい剣がめり込んだ。

 安い剣じゃないぞこれ……。やべぇな。

 剣が食い込んで次の動作が遅れたのか、戸惑っていたを前蹴りで距離を離し、使えなくなったスコップを投擲で脛の辺りに投げつけ、当たれば御の字、避けられても少しだけ時間が稼げればと思った。

 勢いよく横回転するスコップは避けられてしまったが、バールとマチェットを即座に取り出す事は出来た。

「勇者とは話が付いた、こんな状況に成ってしまったが武器を収められないか?」

「散々あんな事しておいて、今更信じるとか無理だろ?」

「言ってて俺でもそう思う。すまなかった、忘れてくれ」

 俺は勢い良く地面の土を蹴り上げ目潰しをし、板金鎧のつなぎ目を狙い、マチェットを振るうが、簡単に剣で受け流させれてしまった。目に土が入っているはずなんだが……。やっぱり勇者と組んでいるだけはあるな。

 相手より軽く、リーチの短い武器で、なるべくインファイトに持ち込み、離れられたら魔法で牽制をするつもりだが、相手も離れようとせず、なんとかロングソードだけで持ちこたえている。離れたら魔法を使われると思っているのだろう。

 俺は早く決着を付けるために、肉体強化を十パーセントまで引き上げ、攻撃回数を増やし、斬撃を重くしつつ、重い蹴りを斬り合いの合間に隙を見つつ膝に加え、バランスを崩したら体当たりを当て転ばせた。

 相手の両手を膝の下にして馬乗りになり、マチェットの柄頭でこめかみ付近を殴打し続け、最後に鼻を狙い柄頭を思い切り叩き付け意識を奪った。

 馬乗りになり、柄頭での攻撃の時に相手の表情が絶望した感じになったが、やると覚悟を決めなければ、戦意喪失してても続けないとこっちが危ない。

 攻撃魔法なしでどこまで行けるか、相手の土俵で勝負してみたが、慣れない事はするもんじゃないな。正直怖かった。

 相棒のスコップの『モーラ』が使い物にならなくなったのが、今度港町で『モーラ二号』でも買って来るか。

「あーあ、二人も運ぶのかよ」

 そう漏らし。その辺に有る赤い花に、

「男2人回収、女を頼む」

 と言ってメイソンを少しきつめに縛り、重いメイソンを担ぎ、軽いジャクソンを引きずって天幕まで歩いて行った。



 ソフィアを探していたら、近くの赤い花が、上半身裸の小さい女性に変化した。

「カームから連絡。『男2回収、女を頼む』、だって」

「わかった。捕まえたらこの赤い花に向かって話せばいいんだな」

「そうね。カームの近くにいる個体をこの花みたいに変化させて伝言を伝えるわ。あと女は今向いている方向から左手側の方にいるわよ。距離は三百歩以上かしら? 四百まではないわね。かなり衰弱気味で恐慌状態だから優しくね、またねー」

 そう言って小さい女性は赤い花に戻っていった。

「凪さんからは、こちらの動きは丸わかりって事か。森に逃げ込んだ意味がなんとなくわかったよ、畜生……」



 俺は天幕にメイソンとジャクソンを転がし、濡れタオルを額に乗せ、天幕で温かい麦茶を飲んでいた。

メイソンには一応顔面に回復魔法をかけ、鼻を元に戻しておいた。

「ぐぅ……ここは?」

「湾の所にある天幕。暴れないならお茶を出すけど?」

「くっ……、殺せ!」

 ブフゥ! と俺は麦茶を勢いよく吹き出した。まさかここで、しかも男からくっころを聞くとは思わなかった。

 俺は咳き込んだ後に、

「殺すならさっさと殺してるよ」

 と言って麦茶のお代わりを頼んだ。


「あ、カームさん。そちらの方、目を醒ましたんですね」

「みたいだね。抵抗しないならお茶でも出そうと思ったんだけど。殺せとか言うから、まだ放置中。勇者が来たら説得してもらうさ」

「なんで人族が魔王にさん付けで呼んでんだよ!?」

「カームさんは、奴隷だった私達を解放して、暖かい食事と寝床を用意してくれたんですよ。しかも優しいし。そして奴隷になる前よりも良い生活もさせてくれてます、ですから討伐とか殺すとか、悲しい事言わないで下さい」

「だって」

 そう言って麦茶を飲みつつ、勇者を待つ。


 天幕のテーブルに置いてある、鉢植えの赤い花が小さい女性に変化して、

「今こっちに向かってるよーそろそろ森から出るかな」

「情報ありがとうございます」

 フルールさんは、また花に戻った。

「そろそろ勇者が来るって、あ、悪いんだけどさ、あと四つお茶持って来てくれないかな」

「はーい」

 そう言うと女性は手近な家に入って行った。

「女性の保護お疲れ様、今温かい麦茶が来るから座ってよ」

そう言って適当に席を進める。

「そこのメイソンさんは未だに疑ってるから、説得お願いします。お茶は冷たい方が良いって言うなら氷出しますからね」

 そう言うが、ソフィアさんがこちらを睨み続けるが、無視して麦茶を飲んだ。


「おまたせしました」

 麦茶が薬缶で運ばれてきて、カップに注ぎ戻っていった。

「あ、冷めない内にどうぞ」

「いただくよ」

「ロック! 毒とか入ってたらどうするのよ!」

「この魔王はそんなことしないよ、だから俺が先に飲んだ。俺はメイソンの説得に戻るから」

「ロックか、苗字に岩って入るのかな?」

「何を言っているのよ?」「そうだね、岩が入ります」

「どうでも良いじゃないか。お茶が冷めちゃいますよ、ソフィアさん」

 俺がお茶を進めると、ソフィアさんがお茶を啜る。

「この島は魔族側と、人族側の大陸と両方と離れるからね、島にない物は輸入に頼るしかない、ならある物で代用品を作るしかない、それがこの麦の茶です。ロック君には馴染み深い物だと思うけど、君達はどうかな? 口に合えばいいんだけど」

「夏に飲む先入観があるので、温かいのはあまり飲んだ事がないですよ。氷お願いします」

 説得中のロックは口を挟んできた。俺は程良い大きさの【真四角の氷】を数個、ロックが口を付けたカップに落としてやった。


 しばらくして、

「説得終わりました、縄を切っても良いですか」

 と言って来たので、

「どうぞ」

 と、短く返しておいた。

「あ゛ー、後はジャクソンが起きたらもう一度説得ですよ」

 ロックは愚痴りながら、冷たい麦茶を一気に飲み干した。

「申し訳ないですがお願いします、攻撃されたらやり返すしかなくなるんで」

「怖い魔王ですね」

「はは、こんな世の中(・・・)ですからね、しかたないですよ。それとジャクソンさん、結構血が出ちゃったでしょう? こっちでは見た事ないんだけど、造血剤ってあるんですかね?」

「ないですねー。あればもしもの時の為に持ってますよ」

「起きたらワカメとレバー食わせとけば直るかー」

「それしかないですかね」

「海藻って消化悪いんだよなぁ、多分海苔はロックしか消化できないだろうし……。まぁ、レバー多めで」

 お互い特に会話もなく、お互いに麦茶を啜る。

 メイソンは麦茶に手を付ける事なく、俺の方をずっと睨んでいる。三人揃ったら謝罪するから、そんな目で見ないで欲しいんだけどな。

 少しだけ気まずくなったので、ロックとしばらく雑談しつつ情報交換をして、そろそろ昼食の時間になる頃に、ジャクソンさんが目を醒ました。


「う゛ぅぁ、俺は……、生きてるのか」

「生きてるぞ。皆も無事だ、安心しろ」

「ここは? 魔王を殺したのか?」

「……俺達の負けだ、俺は魔王と和解した」

「……そうか、テーブルの下から足が見えるが、そこに居るんだろう?」

「居ますよー」

「生かされてるって事か。まだ縛られてる状況を考えれば、負けてるって安易に考えられたな、出血が酷くて、頭が回ってない」

「魔王に攻撃しないなら縄を外しても良いって言われてるが、どうなんだ?」

 説得がだんだん雑になってるな。

「しないさ、外してくれ手首が痛い」

 ロックが俺の方を見たので、俺は首を縦に小さく一回振った。

 他の二人と違って、合理的に考えられるだけだっただけましかもしれない。

「さて、全員そろいましたね。まずは謝罪させてもらいます。自分の身を守るために危害を加え申し訳ありませんでした」

「お。おう」「え?」「……」

「商人と船がいつの間にか消えていたので。コランダムにはとある理由で数日後に送り届けますので、それまでは客として扱います、それまで良識の範囲内でご自由にお過ごしください。んじゃ、そろそろ昼なので、まずは食事でも食ってくださいよ」

 とりあえず、昼食の時間が近いので、昼食を振舞う事にした。既に準備をしていたのか皆がワラワラ集まり、パンや肉や魚を思い思いに食べ始める。

「ジャクソンさんは結構血を流しちゃったから、レバーと海草のワカメ多めねー」

 俺は目の前の皿に、無理やり盛ってやった。

「他は出血とかないでしょ? 皆みたいに好きに色々取ってよ」

 そう言ってもロック以外誰も取らないので。

「あー勇者さん達に何か適当に盛ってあげて、なんか手出さないから」

「はーい、今日取れたてのジャガイモも付けますねー」

「そうだった、ジャガイモあるんだったな。俺にも下さいよ」

「はいはい、まずはお客様が先ですよ、カームさんから教わったマヨネーズもあるんでジャガイモに付けて下さい」

「……はい」「お、おう」

「悪いね、バターと醤油がなくて」

「俺は構わないですよ」

「問題ない」

「魔王は何を言ってるんだ?」

「わからないわよ」

「随分ロックと親しげだよな」

 丸聞こえなんだよなぁ……。聞こえないふりしておこう。



 昼食が終わり、皆が各自の仕事に戻り始め、俺達は村を見て回る事にした。


「畑に色々な作物があるな、切り開いて作ったんだな、前にはなかった」

「この魚は内陸の魚か、なんでいるんだ?」

「蜂も育ててるの!?蜂蜜も有るのかな?」

「早速柵の中で運んで来た家畜が餌食ってるぞ」

「この水浴び場も常に水の流れがあって衛生的だし、外からは見えないようになっているな。鶏や鴨も育ててるし、兎も繁殖させているのか」


「あの道を進んでみようぜ、前の魔王が城を作ろうとしてた場所だろ?」

「そうだな」


「なんだよコレ」

「細かく杭が打ってあるな、多分家を建てる場所と道になる場所を決めたんだろう、丁度真ん中に井戸があるからな」

「教会? あれ教会だよね!?」

「あの白い壁の家は何だ?」

「奥には作業場みたいな物もあるな」


「おい、これどう報告するんだよ」

「ありのまま?」

「信じると思うか?」

「お偉いさん次第だろうな」


「今回の魔王は何を考えてるかわからんな」




閑話


魔王と勇者の夜の会話


「なぁ武君」

「なんですか凪さん」

「君は……何年にこっちに来たんだ?」

「二〇××年です」

「俺が死んでから十三年後くらいか」

「こっちに来て半年くらいですかね」

「そうか……ここ十年で地球は何か変わったかい? 大きな事で良いからさ、教えてよ」

「何にもないですよ。戦争も大災害も、細かいところを言うなら、某所で紛争があったり内戦があったり、有名ゲームの新作が出たり」

「そうか、特にないならいいさ、コーヒーは好きかい? 偶然見つけてね、島の交易品にしようかと思っているところなんだ」

「しばらく飲んでませんね。こっちに来て探したんですけど、なかったんですよ。嬉しいです」

「砂糖はお好みで、ミルクはないけどね」

 そう言って俺はカップを渡して、砂糖を入れて飲み始める。

「フィルターがないから布で濾してるけど、いちいち変えてたら洗濯も大変だし不衛生になるかもしれない、けど知名度を上げるために、コランダムにとりあえず店を出して、様子を見ようと思ってるんだ。……行き成りさ、無人島で奴隷を五十人も与えられてさ、色々大変なんだよ。ほら、俺元日本人だろ? そう言う所色々気にする訳さ。どっかの貴族みたいに農民は地面から生えて来るって考えも出来なくてね、結局最初は皆の衣食住の問題だよ。まずは生活環境を整えないとって必死でね。中身四十超えたおっさんが何言ってたんだって思うけど。魔族に腐れ縁って呼べる奴がいるけどさ、今まで誰にも本音で相談できなかったんだ。少し愚痴に付き合ってよ」

「……えぇ」

「君が優しくて助かったよ」


「あー、愚痴ったら少し楽になった。ありがとう武君」

「いえ」

「それとさ、少し疑問があってさ、かなり酷かもしれない質問だけどいいかな?」

「どうぞ」

「召喚されたって言うけどさ、元の世界に戻れるのかい? 誰かが帰れたとか、そんな噂とか聞いた?」

「……いえ。全然」

 そう言うと武の顔色が一瞬で悪くなった。

「もしかしたら片道通行かもしれない。俺は死んでからの転生だから今更帰りたいとか思わないけどさ、君は召喚されたんだろ? あっちじゃどうなってるのかって考えた事……ない?」

「……少しだけあります」

「常に最悪な状況を想定しておいた方が良いかもしれないよ」

「……」

「嫌な事を思い考えせてすまない。君にも家族や友人、恋人がいたかもしれないって思ったらさ、つい口に出しちゃったんだ」

「……」

「俺は悪いおっさんだな。本当にすまなかった」

「いえ……」

 最後になんとか絞り出した、岩本君の声はとても小さかった。




閑話2


スコップに名前を付けて愛着が沸くように可愛がってたんだぞ!


「うおー! 俺の愛用しているモーラ(スコップ)がぁ!」

そう言って俺は床を転がり回る。

「うおー子供の頃に手に入れて、散々磨いたりして愛着がわいてたのにぃー」

 部屋の中にいるヴォルフが変な物を見る目で俺を見ている気がする。

 転がるのを止めて、仰向けでボーっとしていたら顎を乗せて来た。

 仕方がないので頭を撫でて少し心を落ち着かせてから外に出たら、島民全員から変な目で見られた。

 物に名前を付けて、愛着が沸くようにするのってそんなに変な事か?

 え?俺って少数派?


20170119に考えた没案


HP スズランに殴られると瀕死

MP メド〇ーアが何回か撃てる


STR 両手武器を使うとマイナス補正

VIT 段ボール

INT かなり賢い

AGI 100mを12秒

DEX かなり器用

LUK 道で小銭が拾える


「ステータスが数字で出ない! スズランって誰!?」

書きなれない物は書くものじゃ有りませんね。

戦闘描写とか上手い人を見習いたいものです。


作者は物に良く名前を付けます。

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作者が書いている別作品です。


おっさんがゲーム中に異世界に行く話です。
強化外骨格を体に纏い、ライオットシールドを装備し、銃で色々倒していく話です。


FPSで盾使いのおっさんが異世界に迷い込んだら(案)

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