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第40話 臨時パーティーに誘われた時の事

細々と続けてます

相変わらず不定期です。


会話にスライムが出てきます。

20160416修正

 朝に、スズランとダラダラしていたから、町に着いたのは夕方近かった。俺は部屋の鍵を挿し込んで回すが『カチャリ』という音がしない。鍵をかけ忘れたかと思いドアを開けると、そこにはラッテがいた。

「カームくーんおかえりー」

 いきなりラッテに飛びつかれ、胸元に額を擦り付けて来る。

「ただいま、あと俺の部屋のカギを、どうやって開けたんだ?」

 頭を撫でながら、聞いてみた。

「へ? キースカさんに頼んで開けてもらったんだよー」

 はぁ、頭が痛いわ。まさかこんな強硬手段に出るとは。

 大家さんも大家さんだな、確かにラッテは一応関係者だと思うけど。そう言えばスズランの時もそうだったなぁ。もう前世の常識捨てちまうかな。

「はいはい、荷物が下ろせないからちょっと離れてね、それにお土産もあるから」

「本当! うれしー。なになにー」

「手造りで悪いんだけど、スズランと似たような髪留め、形は違うけどね」

 そう言って、割れないように丁寧に包んで有る秋桜の髪飾りを取り出し見せてやる。

「かわいいー。何の花?」

「コスモスだよ」

 この世界にあるかわからないけど。

「ふーん、ピンクとか赤とか白でかわいーね、ねーねー付けてー」

「良いの?じゃぁ」

 そう言って、俺は前髪を二対八くらいに分けて、こめかみの辺りで留めてあげた。

「うん、白っぽい髪によく似合うよ」

「どれどれー」

 小さなバッグみたいな物から、本当に小さな手鏡を取り出した。化粧ポーチみたいな物か?

「ありがとー、えへへぇー」

 少しニヤ付きながら、髪留めを触ったり、色々な角度から見ている。スズランとは違った可愛さがあるな。

 そんなやり取りをしていると、ドアがノックされる。

「はーい」

 お前が対応するんかい!

「お楽しみ中のところ悪いけど、カームに手紙が来てるわ」

「え、あー、ありがとうございます」

「相手は男だったわ、早めに振っておいた方が身の為よ」

「はぁ? コレそう言う手紙なんですか?」

「中身はもちろん見てないわ、なんとなくそういう手紙なら面白いと思って」

「面白そうって理由だけで、変な事言わないで下さいよ」

「まぁ、行動は早めにした方がいいわよ」

 そう言って部屋から出て行った。


「んーなになに。臨時パーティーの誘いか」

 熟読はしてないけど大体は解った。

「んー? なんて書いてあるのー?」

「んー要約すると、スライムの核を無傷で手に入れる為に力を貸してください、だそうだ」

「へー、無傷ねぇー。むずかしーと思うよー」

「俺、スライムと戦ったこと無いからわからないんだけど……」

「核を傷つければすぐ弱るんだけど、核を狙って攻撃すると、核に届く前に体の真ん中から核を動かして、自分を守ろーとするの。しかも切ったり突いたりしても、プニプニしてる部分は直ぐに再生しちゃうの、だから二人で相手にするのが一番いーらしいんだけど、そー考えると無傷で手に入れるって結構無茶なお願いだよねー」

「んーそうか。まぁ、待ち合わせ場所はギルドで聞いてくれって書いてあるし、話だけは聞いて来るよ」

「えーもう行っちゃうのー、もう少しイチャイチャしよーよー」

「はいはい、帰って来てからね。相手も早めに連絡取りたがってるみたいだから行ってくるよ」

「はーい、ベッドでゴロゴロしてるよー」

「汚すなよ」

「汚さないよ! 枕の香りを嗅ぐだけだよ!」

「あーはいはい、程々にな」

 そう言って、俺はギルド支部に向かう事にした。

「あーカーム君の香りー」

 ドアを出た瞬間にこれだ、もう少し声を落としてくれるとありがたいんだが……。割と本気で。


 俺は、相変わらずあまり人がいないギルドに入り、受付のウサ耳のお姉さんの所に行き、

「すみません、カームって言いますがフェーダーって方から臨時パーティーの誘いの手紙を頂いたんですが何か伺ってませんか?」

 と、聞いてみる。

「はい、カードを提示して少々お待ちください」

 そう言うと、引き出しから荒い紙の書類をペラペラと捲り、一枚の紙を取り出した。

「ありました。確かにフェーダー様から臨時パーティー願いが届いております。カーム様の連絡待ちと言う事で、ここ数日は門前酒場で待つという事も書いてあります。お受けになるなら、お手数ですがこの書類を持って門前酒場まで足をお運び下さい」

「わかりました、話を聞かない事には何も解らないので行くだけ行って見ますよ」

「ではこの書類は確実にお渡ししたと言う事でサインを頂きたいのですが」

「はい」

 俺はサインを書き、書類を受け取り門前酒場に向かう事にする。


 俺は酒場に入って、依頼主の名前を言おうとしたら、先に凛々しい猫耳の青年に「カームさんですね?」と話しかけられ「あ、はい」と答えたら青年が座っていたテーブルに案内された。

 そうしたら前置きもなく「受けて下さるんですか?」と言われ、そうとう焦ってると思える。

「受け取った手紙と、受付のお姉さんからはある程度聞きましたが、それでも詳しい話を聞かないと返事が出来ませんので、詳しくお願いします」

「あ、はい。簡潔に言うなら知り合いの錬金術士が、急遽無傷のスライムの核が必要になったみたいで、自分に話が来ました」

「えぇ、わかりました。で、なんで自分なんですか?」

「それはですね……この町でかなり有名な、フリーの魔法使いだからです」

「は? 俺が?」

 驚いて、素で言っちゃったよ。

「えぇ。かなり有名ですよ? レンガ材練るのに魔法使って、調子に乗って町の中からでも見える巨大なドロ玉作ったり。魔物の大発生の時に、血糊を洗い流すのに水球を何個も作ったり。さらに前衛でも活躍できると」

「あー、心当たりしかないです」

「早速ですが報酬の事とか話したいんですが」

「えぇ構いませんよ」

「失礼ですが、一日どの程度の賃金で手伝って頂けますか?」

「んーランク1の防壁修理やレンガ作りの日雇いの仕事が、一日大銅貨八枚なので、大銅八枚、スライムと戦う場合、危険手当として倍の銀一枚の大銅六枚、討伐部位は公平にわける、こんな所ですかね」

「え? それだけなんですか?」

「え? 何か変ですか?」

 高かったか?なんかかなり動揺しているが。

「いえ……その……正直安すぎるんですよ、カームさんくらい魔力が高くて、平然とあんな魔法をどんどん出せる人が、そんな安い値段で雇える方がおかしいんですよ」

「そんな事言われても、まだ一回も雇われた事ないですし、大量発生の時はギルドから出された依頼でしたし。本当相場とかわからないんですよね。どうすればいいんですかね?」

 わからない事は聞くに限る。

「そうですね。判断材料として自分のランクと、職種と過去の討伐依頼で倒した事のある、一番強い魔物とかで判断ですね」

「んーそうなんですか。ランクが4で、前衛後衛可能でハイゴブリンを一人で討伐ですかね? 良くわからないし、面倒なので先ほど言った金額で良いですよ」

「ですが……」

「今働いてる分の給金がもらえれば問題無いです。あと他の人に言わないで下さいね? 安く雇えるらしいぞ! とかなったら嫌なので。こう見えて実は弱虫で危ない事が大嫌いで、出来るなら平和に暮らしたいんですよ」

「え? えぇ、わかりました」

「えぇっと、自分とフェーダーさんの二人ですか?」

「いえ、あと一人、スティロと言う相方がいますので全部で三人ですね」

「わかりました、場所は何所ですか?」

「門を出て、反対側まで行きそのまま真っ直ぐ、馬で半日の森の中に有る沼ですね」

「う、馬ですか」

「えぇ、けどスライムの核はとても脆い物なので、馬車で水を入れた樽の中に入れて運びますので」

「あぁ、なら助かりました。恥ずかしい話、自分馬に乗れないんですよ。故郷の村も歩きで半日ですし、馬車にも一回しか乗った事が無いんですよ」

「珍しいですねー、馬に乗れないなんて」

「今まで移動は自分の足で済んでましたからね」

「遠出するのに乗れた方が便利ですよ、機会があれば覚えて置いた方が良いですよ」

「まぁ、考えて置きます。いつ出発ですか?」

「なるべく早い方が良いので、早ければ明日、遅くても明後日には」

「んー、何日くらいを予定してます? それによっては食料や日用品の準備もあるので、明日にはきびしいかもしれません」

「先ほども言った通り馬で半日です、朝一番に出て、昼過ぎに到着。上手く行けば直ぐにでも核を集め、夜には帰って来れます。けど夜には門が閉まってるので門の外で野営ですね。森の近くや、森までの道中での野営は危険ですので無理してでも夜中には門の前まで来て野営にしたいです」

「上手く行けばの話ですよね? 最悪の場合は?」

「森から少し離れた所で野営です。その時は三人で交代で見張りになりますね」

「じゃぁ、一応用意は一泊って事で良いんですね?」

「はい、二日目の夕方まで狩れば、どうにかなると思います」

「無傷の核は、最低どのくらい必要なんですか?」

「知り合いが言っていたのは、最低で二個、それ以上は需要が多いから、多ければ多いほど助かる。だそうです」

「わかりました、この依頼受けさせて下さい」

「本当ですか! ありがとうございます!」

 席を立ち上がり、手を握ってブンブンと振って来る。

「明日の朝に出ましょう、準備は直ぐに終わると思いますし、俺は自分の物だけ用意すれば良いんですよね?」

「えぇ、他に必要な物はこちらで準備しますので、自分の装備だけで結構です」

その後もう一度全ての事を聞き直し間違いが無いか確認してから別れた。


 とりあえず俺は、おやかたに訳を話しに行き、もうしばらく休ませてもらう旨を伝えて準備を始める。

 とりあえず携帯食料多めに六食分で良いか。ついでに夕飯の買い物して、まだ俺の布団でナニかしているだろうラッテと、夕飯でも食べますかね。


「ただいまー」

「ハッ! お、おかえりー」

「あー。その……夕飯作ってるからごゆっくり……」

 えぇ。全裸で俺の洗濯物を抱きしめ、布団の上で寝転がりながらフィーバー中でした。

 俺は見なかった事にしてあげた。いやー一人暮らしだから、うっかりしてたわ。

 中学生男子の母親になった気分だわ。本当セレッソさんに相談したいよ。


 夕飯を作って部屋に戻ると、気まずそうな空気は特に無く「おいしそー」と言って一緒に食べ始める。むしろ何事もなかったみたいお互い振る舞う。

「ねーねー、そう言えばスズランちゃんのお父さんどうだったの? やっぱり怒られたー?」

「俺の父さんに殺されかけたよ」

「なんで!?」

「スズランの父さんは、娘の決めた事だからとやかく言わないけどよ、って言ってくれたけど、俺の父さんが、好きな女二人を守れるくらいの力はあるんだろうな? って、夕食前にお互い武器持って喧嘩だよ」

「それって私のせい?」

「多分」

「……ごめんなさい」

「平気だよ、勝って納得させてきたから」

「あのー。やっぱり血とか出た?」

「あーうん、俺は左腕落とされそうになって、最悪そのままアバラもやらそうになったね、なんとか防いだけど」

 父さんに、どうやって勝ったかは言わないでおこう。

「あの。私のせいでこんな事になってごめんなさい」

「ごめんごめん、こっちこそ食事中に詳しく話す事じゃなかったね、そうそう明日から臨時パーティーに参加してくるから。予定では二日後の夜には戻って来てると思うんだけど、俺の事気にしないで部屋にいても良いからね」

「う、うん。ありがとう、本当にいーの?」

 申し訳なかったのか、少しおどおどしていたが、語尾が伸びているのでもう平気だろう。

「良いよ、あとで大家さんに合鍵作ってもらうから、それも出来次第渡すよ」

「えへへーありがとー」

「あ、もちろんスズランにも渡すからね」

「当たり前だよー、私に渡してスズランちゃんに渡さないのは絶対駄目!」

 だよな、それこそ殺される。


 俺達は夕食を食べ終わらせ、明日の準備をするが、ラッテが興味深そうに背中に張り付いて見ている。胸をムニムニ当てて来るのは多分ワザとだと思うけど、気にしないでおこう。

「カーム君ってさー、武器とか防具って独特だよねー」

「そうか? スコップなんか便利過ぎるの一言で済むんだけど」

「けどさー、防具が厚手の長袖の服ってどうなの? 剣だって槍だって矢だって防げないよー?」

 指で背中を突いて「ザクザクー」とか言っている。

「どうせ鎧がない所に当たったら、最悪死ぬんだから、動きやすい方が良いに決まってる」

 前世でも、防弾チョッキとかあるが、腕とか足の太い血管や頭に当たったら死ぬし、とある番組の実験で、中世の鎧の中に豚肉を入れてクロスボウを撃ったら、鎧を抜いて肉に深々と刺さってたし、剣や斧だって切れはしないが、衝撃が伝わり骨を折っていたのを見た事がある。だったら最初から鎧に頼らないで、動き易い恰好の方が良いと俺は思っているからだ。

 持って行く物もいつも通り、簡単な医療品と、携帯食料の他に、塩と砂糖と果物くらいだ、保険に回復系ポーションも持っているが、最悪の場合ばれても良いから回復魔法も使うつもりだ。

「んー、確かに軽装とかで戦ってる人もいるし、魔法使いなんかも鎧とか着てるの見た事無いねー、それと一緒かー」

 そう言ってまた背中に張り付き、今度は頬も擦り付けて来る。準備はある程度終わっているが、立ち上がらずそのまま好きにさせていたら、頬の動きや言葉がだんだん少なくなってきた。

 昂ってきたのか密着度が増え、首筋に舌を這わせたり耳を甘噛みをするようになってきた、さらに胸や太腿の方に手を回してくる。

 参ったな、明日朝一で出るのに、この雰囲気になって「今日は駄目ね」とも言えないし、まぁ言おうと思えば言えるけどね。後風呂にも行きたいんだけどなー。

 そう考えていたら、ラッテは俺の前に回って、向かい合わせの膝抱っこの態勢になり、首に手を回しキスをせがんで来る。



 はい……俺もまだ若かったみたいです、中身はおっさんだけど肉体年齢は十歳だからね。

 スズランとはかなり違う雰囲気に呑まれ、結局風呂には間に合ったが、予定より三時間遅れ。

 なんとか日付が変わる前には寝られたので助かった、迷惑かけるから明日寝不足で討伐に行きたくないからね。

次回はスライムが出てきます。

スライムと言えば大まかに2種類に別けられますよね


超笑顔でプルプルしてるのか

もしくは物理耐性持ってる厄介なのか

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作者が書いている別作品です。


おっさんがゲーム中に異世界に行く話です。
強化外骨格を体に纏い、ライオットシールドを装備し、銃で色々倒していく話です。


FPSで盾使いのおっさんが異世界に迷い込んだら(案)

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