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第39話 修行と言う名の遊びをした時の事

細々と続けてます。

相変わらず不定期です。


今回悪ふざけが大半だと思っています。

20160414修正

 朝、いつも通りに目を覚まし、朝食を食べ。村長が来るかもしれないと身構えていたのに、一向に来る気配がないので、村を見て回ろうと思う。

 まぁ一ヶ月で、変わる物じゃないけどね。


 んー?今日直そうと思ってた血の跡を消した場所が、踏み固められてるな。父さんか?まぁ良いか、俺も少し踏んでおこう。さて、スズランの所にでも行きますか。

 うん。スズランは起きてないのか、池にいないし、俺に餌をねだりに来る家禽達、わかってたよ、起きて無い事くらい。起すのも悪いし、鶏や鴨には悪いが蒸留所の方に行きますか。

「おはようございます」

「「「おはようございます」」」

 んーこういう挨拶は好きなんだよな、職人達って感じで。

「よーカーム、どうしたんだ」

「んー、この間言った石炭に代わる炭で運用出来てるかなーって思って、それに炭の生産具合も気になってさ」

「あー、最初は炭作りに手間取ったが、職人がなんとかコツを掴んだみたいで、だんだん出来るようになってきたぜ。最初は全部灰にしちゃってな、かなりへこんでたぜ」

 だろうな、俺だって「やれ」って言われたら、最初からは出来ないと思うし。

「まぁ、出来るようになったなら良いじゃないか、蒸留酒の方は?」

「どんどん作ってるぜ、保存場所が無くてな。蔵を増築してる所だ。最悪別な場所にも建てるかって話も出てるぜ」

「軌道にのったなら良いじゃないか。町でもベリル酒を見たぜ?飲まなかったけどな」

「そこは飲んどけよ」

「帰ってくればいつでも飲めるし、別に良いかって思ったんだよ。あと時間が有ったら炭焼き小屋の方に案内してくれよ」

「構わねぇぜ、今日は朝の内は暇だしな。もう少し日が昇ったら火を入れて蒸留して樽に詰めるから、今なら平気だ」

「んじゃ頼む、結局どこに作ったんだ?」

「あー、お前の使ってた修行場って言うのか?訓練所って言うのか?あの近くを切り開いて作ったんだぜ」

「マジかよ……」

「なんだ、ばれたらまずい物でも隠してたのか?」

「いや、そんな事は無いけどさ、近いと色々と気を使いそうで」

「近いって言っても、見える位置にはないぜ? まぁ煙は見えるかもしれれないが」

 会話をしながら移動し、変わった事とかがなかったか聞いたが、特になかったみたいだ。


「ここだぜ」

「んーいいんじゃないかな? 雨にも濡れないようになってるし、見た感じ空気が漏れてそうな場所もないからね、一応言われた通りには作ったんだろう?」

「まぁな、排煙口が一番下って言うのには周りが驚いてたが、作ってみて納得したみたいだぜ? 上に付けたら煙が皆逃げて蒸し焼きに出来ないってな。実は最初は二個作ったんだ『なんで煙突が上じゃないんだ!』ってな。それで煙突を上に付けた方は使い物にならなくて結局壊しちまった」

「ふーん、間違えればそれだけ学ぶからな。最初は納得の行く様にやらせてみて、やっぱ駄目だったってなれば納得するしな」

「あと、言われた通り煙を集めて出た汁をお湯に入れて手とか足を洗ったらひび割れが減ったりしたみたいで、さりげなく人気が出てるぜ。獣人系の人達は、鼻が曲がるとか言って使えないみたいだけど」

「まぁ、酷い臭いだからな。あーそうそう、木切ったら苗木植えてる?」

「なんで植えるんだ?」

「あー、この前教えてなかったな、森は広いかもしれないけど切ってたらどんどん木が無く成るだろ?木が育つのには季節が二十回とか廻らないと育たないんだぜ? だから、切ったら植えてを繰り返さないと森が消えるよ」

「確かにそうだな……村長には言っておくぜ」

 はげ山とか、消えた森とか見たくないしな。ましてや故郷の森だし。

「頼むよ。そう言えば今日家に村長が来なかったけど、どうしたんだ? いつもなら朝に速攻来るのに、子離れじゃないけど俺離れできたのか?」

「校長と、炭作りしてる人と、一緒に竜族の村に行ってるよ。石炭も掘り尽したらなくなるって言ってたからな」

「確かになくなるな、だから炭焼きを教えに行ったと」

「そうだ、だけど木の苗を植えるのは知らないと思うから帰ってきたらまた行くんじゃないか?」

「俺のせいだけど、大変だな」

「いいんじゃないか?良く『里帰りじゃ』とか言って竜族の村に帰ってるし」

「苦じゃ無いなら良いんじゃないか?」

「だな、俺はそろそろ戻るけどカームはどうするんだ?」

「昼まで、しばらく行って無い訓練所にでも行って見るよ。多分荒れてると思けどその時は更地にしてくるよ。多分使う機会も少なくなるし」

「そうか。んじゃ俺は戻るわ」

「おう、仕事頑張れ」


 さて、どうするかねこの惨状。辛うじて残ってるのは訓練用に作った盛り上げて締め固めた土台だけかよ・・・椅子も朽ちてるし毒草を磨り潰してた石も風化してどす黒い色も無くなっている。まぁ椅子と石はそのままでいいとして土台を戻して終わりって言うのも寂しいな、投擲と新技の練習でもするかね。


 この位かなー、そう思いいつも的にしていた木から三十mのところまで下がり、黒曜石の苦無、ナイフ、手斧の順で全力で投擲する。

コッ!トスッ!ドッ!という音と共に、全力で投げても大体狙った所に飛ぶ、腕は鈍って無いらしい。

 今度は【水球】を浮かすイメージの応用をしてみようと思う。

『イメージ・柄の付いて無い黒曜石の苦無・頭上に生成・保持・任意のタイミングで視線の先に時速百五十キロメートルで射出』

 頭の上に一ヶ所が極端に長い、菱形状の物が現れそのまま浮遊し、『射出』と念じ苦無を目の前の木に飛ばす。そしてコッ!という音と共に木に刺さる。これも狙った所にある程度飛ぶ、まさか一発で成功するとは思わなかったけど。

 格闘ゲームの技を発動させて、ボタン押しっぱなしで保持、離して発動って奴もやってみる物だね。

 その後十秒後に苦無は自然消滅してしまった。何度も試すが大体十秒で消えてしまう。込められる魔力の量と、刺さった時の衝撃の強さで早めに消えるのだろうと推測。まぁ、刺されば問題無い。

 今度は数を増やしてみるか、頭上に三本の苦無を保持、射出。

 コココッ!んー半径五センチメートル以内か、十分かな。今度は縦のラインで。

 コココッ!ブレも少しあるけど視線の中心に一ヶ所刺さりその上下五センチメートル刻みで縦に並んでるな、もう少し慣れれば綺麗に行けるな。

 その後も、歩きながら走りながらを試すが、意外に視線の先に飛んで行く事が判明。

 あー、こりゃアレだな……軽度のFPS症候群みたいな物か、集中すれば普段からでも視線の中央にレティクルやドットが見えちゃう奴。アレに近い。

 やってみる価値はあるな。

『イメージ・視線の中央に小さい赤い光の点・発動』

「おぉ出た! すげぇ、ドットサイト覗いてるみたいだ」

 そう思ったら、もう一度試したくなるのが、前世でゲームやってた奴の性ってもんだな。

 俺は擬似ドットサイトを常時発動させ、同時に頭上に浮遊させた苦無を保持し、全力で走りながら印を付けた一本の木を見続け、射出する。

 コッ!という音が聞こえたので確認しに行く、思った通り見続けた場所に苦無が刺さっており、一人で大声を出して喜ぶ。

「っしゃぁ!」

 そして俺は調子に乗り、十本ほど苦無を発動させ。

「行け! ファ○ネル!」

 ひきこもりで、近所の幼馴染にサンドイッチを貰ってた少年の様に言いながら、発動。ビーム出ないけどな!

すべての苦無が半径十センチメートル以内に収まっている。これってかなり使えるんじゃね?そう思いつつ悪ふざけを続ける。

 前にも『か○は○波』出そうとしたり、頭から『メン○ビーム』出そうとしたけど、霧の中でライト付けたみたいに可視可能な光の線だったしな。

『イメージ・黒曜石の苦無・浮遊後可視可能な光を射出・発動』

 頭上に苦無が浮遊し、先端から光が伸びるがやっぱり焼けたり、穴が開いたりはしない。むしろ苦無の先から光が出たのには驚いたわ。


 その後、修業と言う名の遊びに変わり、黒曜石で剣の握りを作り先から赤い光をだして「ブゥン!ブゥン!」と口で音を再現しつつ、左手を前に出してフォースっぽい事をしていた。俺は暗黒面に落ちてしまったようだ。

「私がお前の父親だ」

 何をやっているんだ俺は。

 そのあと、偶然発見した兎を三羽ほど仕留め、昼になりそうだから村に戻った。ちなみに擬似ドットサイトはオンオフを可能にしておいた。常時出てたら目障りだし。

 家に帰る前にスズランにもおすそ分けしようかなと家に寄ったら丁度鶏を絞めていた。今日の夕飯だと思うが偶然「グケーーッ!」という断末魔みたいな鳴き声と共に、頭が飛ぶ所を見てしまい、返り血の付いた笑顔で「兎ありがとう」と言われた時は、違う意味でドキドキした。

「お昼ご飯どうする? 使ってない借家で二人で食べる? どうせ夜も使うんだし」

 と首を少し傾げながら言われたので可愛いし、断る理由もないので返り血を拭いてやりながら承諾した。

「じゃぁ、家に兎置いて来るからそうしたら向かおう」

「解った。それまで今日食べる分絞めてる」「コケーーッ!」ダンッ!

 暴れ、鳴き声を上げる鶏を抑えつけ、鉈みたいな包丁で作業的に首を刎ねている。

 俺は微妙な笑顔で、飛んでいった頭を見ながら兎を置きに家に帰り、スズランの家から食器と、血の滴る鶏を持ちながら二人で借家に向かった。


「カーム。羽を毟るのが下手」

「ごめん」

「皮は破かないように」

「はい」

「毛穴に羽の根元を残さない」

「はい」

 ただ単に、毟れば良いというわけでは無いようだ。羽が生えている方向に上手く抜かないと皮の中に付け根が折れて残ったりする。それが残ると抜くのが面倒だし丁寧に毟ると時間がかかるし慣れないと大変だ。それをスズランは慣れた手つきで毟っていく。

 それが終わると、表面を火で少し炙り、残った毛を処理して腹を開いて内臓も処理していく。

 それから、バラした肉をボウルにいれ、下処理や下味をして小麦粉をまぶしてから揚げにしていく。

 本当肉料理だけは上手いんだよな。これで野菜を食べれば完璧なんだが……。


「「いただきます」」

 スズランは相変わらずから揚げしか食べない。せっかく野菜も買ってきて、盛り付けたのに盛大に残している。

 もう野菜を食べさせるの諦めようかね?

「ねぇ?」

「うん? なんだい?」

「私が帰った後何かあった?」

「あー、今まで見た時の無い住人が帰って来てね、それが人族だったんだよ」

「ふーん」

 あまり興味が無さそうだ。ってか会話終わったよ。

「昨日は、あのあと父さんに本気で戦えとか言われたし」

「そんな事があったみたいだね。昨日家でお父さんと飲んでたからわかる。カームってかなり強かったんだね」

「んー、何を基準に強いって言うかわからないけど一応勝ったよ『二人も嫁にしようとしてるんだからそれなりの力は有るんだろ?』とか言われてね家の前で戦う事に成ったよ。危うく左腕がなくなるところだったよ」

「でも勝ったんでしょ?」

「まあね、本当は話し合いで解決したかったんだけど、あの様子じゃ説得も無理そうだったからね」

「私のお父さんも驚いてたよ『ヘイルに勝つなんてなぁ』って」

「イチイさんがそう言ってくれるなら、なんかうれしいな。あの人はもう俺の中で恐怖と力の象徴だし」

 あの顔と腕の太さは、マジで怖いから。

「一応私のお父さんだから。そんな悲しい事言わないで」

「ごめんごめん」

 まぁ、このままだと確実に義父さんになるしな。

 から揚げの山が無くなり、昼食終了。

「ご馳走様でした」

「おそまつさまでした」

「さて、これからどうしようか。ダラダラしようか?」

「ベッドの上で軽い運動?」

 少しだけ、頬を染めて言ってくる。卑怯でしょう。コレ。

「魅力的な提案だけど、ソレは夜にお願いします」

 別に昼でも良いんだけど、流石に誰かが来たりしたら気まずいし。ってかスズラン、明るい所で体見られたくないって言ってたのに、いきなりどうした。

「じゃあ簡単な鶏を使った料理教えて」

「んーそれならいいかな」


 俺は、村で必要な材料を買い揃えている間に、スズランは洗い物をしてくれていたので、直ぐに料理に取り掛かれる。

「はーい皆さんこんにちわー」

「……え!?」

「今日は、誰でも作れる簡単ローストチキンを作ろうと思います、材料はこちら」

「ん?」

「下処理した鶏丸々1匹、バター、玉ねぎ、人参、ジャガイモ、これは自分が食べたい野菜ですね、それに香り付けにお好みの調味料、塩胡椒です」

「ねぇ……カーム?」

「まずはフォークで鶏を軽く刺していきます、そうしたら表面やお腹の中に塩胡椒を擦り込み、ボウルの中に、果実酒と臭い消しの香草を入れて、そこにしばらく浸します。ここに自分が食べたい野菜もいれます」

「ねぇ……」

「味が均一になるように、時々ひっくり返しましょう。そしてしばらく漬け込んだ物がこちら」

 ドンッ!

「!?」

「そうしたら、野菜をお腹の中に入れますが、バターを先に表面やお腹の中に塗って焼くと、綺麗に仕上がり野菜も美味しくなります。焼き始めたら時々取り出してバットにこぼれ出た汁をスプーンなどで掬って、上からかけてあげましょう、そうしてそろそろ焼き上がったかな? と思ったら完成です」

 スズランが変な目で見ているが無視しよう。

「とまぁこんな感じだ」

「所々時間が飛んだ気がするけど。何?」

「俺にもわからん」

「魔法?」

「んー、かぎりなく魔法に近いけど魔法じゃない何か? 多分」

 編集とかかな?

「……わかった」

「うん、夕飯には少し早いけど、冷めると美味しくないからさっさと食べちゃおう。ほら、もう太陽が山に隠れそうだよ」

「……うん」

スズランは、納得できないと言うような顔でこちらを見ている。


 俺は鳥を半分に切り、野菜も均等に分け皿に盛りつける。

「「いただきます」」

 そういうと真っ先にスズランが、フォークとナイフと野菜を無視し、素手で肉を掴みかぶりつく。お前は海賊か山賊か?豪快過ぎて逆に男らしいわ……

 あぁもう……、手と口の周りがベタベタじゃないか、もう少し丁寧に持って少しづつ齧る様にすれば、口周りもそんなに汚れないのにな。

「ねぇスズラン、もう少し上品に食べない?」

「手の方が取りやすいし、直接齧った方が食べやすい」

「確かにそうだけどさ、もう少し上品に食べないと嫌われちゃうよ?」

「カームに嫌われなければ良い」

「はいはい、んじゃ上品に食べないと俺が嫌っちゃうよ?」

 そう言ったら『カシャン!』と皿の上に肉を落とし、この世の終わりみたいな顔をして泣きそうになってる。

 コレはコレで可愛いけどね。

「はいはい、嫌いにはならないけど、他の人が居る時や、みんなと外で食べる時は辞めようね、はい」

 そう言ってタオルを渡し、口と手を拭かせる。

「ナイフとフォークを使えとは言わないけど、せめてこんな感じで食べられない?」

 そう言いながら、フォークとナイフを使わないで、あまり手や口元を汚さないように、サンダースさんの肉を食べる様な感じで食べてる所を見せる。

「こんな感じで。それに誰も取らないんだから、食事の時は落ち着こうよ」

「……ごめんなさい」

「はいはい、怒ってもないし、嫌っても無いからね。ゆっくり食べようね」

「うん」

 俺は母親かよ。

「なぁ、ジャガイモくらいなら食べられるだろ? 鳥の肉汁とバター吸ってるし、塩胡椒も付いてるから、まずは挑戦してみようぜ?」

 フォークでジャガイモを取り、少しだけ齧るスズラン。

「美味しい?」

なんで疑問系なんだ?

「まぁあんまり個性的な味はし無いし、水分とか油分とかも吸うから周りの味に変化しやすいからね、塩で茹でてバター乗せただけでもすごく美味しいよ」

モグモグモグ、無言で咀嚼してるとリスやハムスターみたいで可愛いな。

「じゃぁ次は人参に挑戦してみようか」

露骨に嫌な顔にならないで下さい。

「それもジャガイモと同じで味を吸ってるから食べやすいと思うよ?」

ムグムグ、少しだけ人参を齧り直ぐに舌を出しながら皿に吐き出す。汚いな。あとなんか表情がエロいので止めてください、ってか嫌いで食べられないなら、もうしないか。

「これ無理」

「はいはい、玉ねぎも残して良いよ、俺が食べるから」

 人参のグラッセなら食えるかな?

「ごちそうさまでした」

「はい、お粗末様でした」

 そうして二人で洗い物をしながら聞いて見る。

「甘い人参なら食べられる?」

「飴みたいに?」

「砂糖で煮るだけだよ」

「味が想像できない」

「人参の味と香りのまま甘くなっただけ、かな?」

「今度挑戦してみるから作って」

「はいはい残さないでね、残したらしばらくエッチな事は、しばらくなしね」

ゴフッ!

 そう言ったら皿を拭いていたのに、突っ込みと言う名の鋭い肘が、左脇腹に飛んで来た、もう二度とその手の冗談は言わないと心に誓った。あとスズランの右にはなるべく立たないようにしよう。いや、左手でやられても同じか?


夕飯後二人でダラダラしていたら、

「カーム。お風呂沸かして」

 と言われたので「あいよー」と軽く返事をして風呂場に向かう。

「熱いのと温いのどっちが良い?」

「熱ければ水入れれば良いでしょ」

 確かにな。俺は少し熱いけど触れ無い事は無いという温度のお湯で浴槽を満たし「後は入る時に調整すれば良いよね、はい終わり」と呟き。

「お風呂入れるよー」

「早い」

「いやー魔法って便利ですわー」

「それ出来るのカームだけだから。やっぱりカームってすごい」

「はいはい、じゃぁ一緒に入ろうか」

「……うん」

 たまに暴走するけど、俺から誘うと少し恥ずかしがるんだよな、なんでだろう。

 まぁ、俺が積極的になるのは、あんまりないからな。


 はい、手足の指先がしわくちゃです、かなりふやけてます。

 体を洗い合った後に、お湯を温めにして、あんなに長々と浸かるとは思わなかったよ。前回は色々有って湯船にあまり入らなかったし。

「あ゛ー、長湯しすぎてだるい」

「はい。果実水」

「あ゛ー、ありがどー」

「だらしない」

(シャツ着てるけどだぼだぼだから胸元とか鎖骨が見えてる。このままベッドに連れ込みたいな)

 なんかスズランがじろじろ胸元を見てるな。ここはちょっとからかう所だよな?

 両手でバツを作る様に胸を隠して、両膝をくっつけ。

「いやーんスズランちゃんのえっちー」

 ゴフッ!

「いてぇ……」

 顔を真っ赤にして、腹を殴られました。照れ隠しはもう少し優しくお願いします。

 そのあと顔を真っ赤にしたまま手を引っ張られ、力任せにベッドに連れ込まれた。寝たのは日付が変わってからでした。


 良い雰囲気になって、ベッドに入るのも良いけど、スズランに強引にベッドに連れ込まれるのも悪くないな。




閑話


カームがシンケンに弓を射られ茂みに転がっている頃

中肉中背のこれと言って特徴の無い猫耳の獣人族の男がカームの職場を訪ねて来た。

「すみませーんここでカームって人が働いてると聞いて来たんですが」

「おう、確かに働いてるけど3日4日は休むって今日から休んでるぜ」

「そうですか。どうにかして早めに連絡は取れませんか?」

「そーだな、住んでる場所なら知ってるぜ、教えるか?」

「是非!」

「クリノクロワって所だ」

「げ!・・・本当ですか?」

「あぁ本当だ。少し無口な猫耳の女が大家だと思ったな、だから大家に言っておけば帰ってきたら伝えてくれると思うぜ」

「わ・・・解りました、ありがとうございます」


「クリノクロワか・・・あの変人の溜まり場って言われてる所だよな・・・最悪だ、手紙で良いか」


(あの猫耳黒髪の人が大家さんかな?綺麗な人だなー、ドキドキするな。)

「あのーすみません、クリノクロワの大家さんでしょうか?」

「えぇ今は満室よ、他を当たって頂戴」

「いえ、これをカームと言う人に渡してほしくて」

そう言って手紙を渡してから帰ろうとしたら大家さんが手紙をジロジロ見て

「男同士は非生産的よ、もちろん女同士もだけど」

「はぁ!?いえ、違います。ギルドの指名依頼の手紙です、留守だと聞いたので」

何を勘違いしているんだこの女性は!?

「・・・そう、確かに渡しておくわ」

「お願いします」

「えぇ」

(まったく大家さんでアレなら他の人はどうなんだよ・・・まったく。けど綺麗だったなー)

こうして猫耳男は、カームから連絡が来るまで待つのであった。

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作者が書いている別作品です。


おっさんがゲーム中に異世界に行く話です。
強化外骨格を体に纏い、ライオットシールドを装備し、銃で色々倒していく話です。


FPSで盾使いのおっさんが異世界に迷い込んだら(案)

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