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第37話 7人目の住人を知った時の事

細々と続けてます。

相変わらず不定期です。


サブタイトル ~クリノクロワだよ!?全員集合!~

20160409 修正

 スズランが帰り十日後。仕事が終わり共同住宅に戻ると、キッチンに見知らぬ人がいた、どう見ても人族だ。

 話しかけた方が良いのだろうか?

 まぁ、町の中の共同住宅のキッチンでくつろいでるのならほぼ敵意は無いと思っておこう。

「あ、こんにちは」

「ん? あー君がカーム君か、さっきトレーネさんから聞いたよ。空いてた二号室に春くらいに入ったんだって?」

 トレーネさん……ねぇ。この人より年上説も浮上っと。

「えぇ、あ。挨拶が遅れました。すでにご存知かと思いますが、二号室のカームと言います、以後お見知り置きを」

「これはこれはご丁寧にどうも、僕はジョンソン、なんとなくわかると思うけど、六号室に住んでいる、よろしく。あー見てわかると思うが人族だ。いままで国に帰っててね。しばらく留守にしてたんだ」

 そう言って、金髪碧眼の男は手を出してくる、こっちに来て握手の習慣は無かったからな、とりあえず手を取っておこう。

「よろしくお願いします」

「あぁ、こちらこそ」

 前々から聞きたい事があったから丁度良い。聞くだけ聞いて見るか。

「聞きたい事が有るので少しここで待っててもらえますか?」

「あぁ」と、短い返事を聞いてから部屋に戻り、弁当を包んでた布を置き

、水魔法で湿らせた布で軽く体を拭き、キッチンに行く。

「お待たせしました」

「いやいや、そこまで待ってないさ。さて、何が聞きたいんだい?」

「失礼だと思いますが、人族に会った事が無いので、色々と興味があるんですよ。俺は、この町と故郷の村しか知らないんで」

「んー、別にかまわないけど、僕に答えられる事なら」

 そう言って、俺も自分でお茶を飲もうかな?と思いつつティーポットに魔法で熱湯を入れて話を進める事にする。

「まずは、人族が魔族に対してどういう目で見てるかですね」

 こういう時じゃないと、当たり前の事だって聞けやしない

「あーやっぱり気になるよね、こっちにも教会って有るよね、神を祀っている」

「ありますね、行った事ありませんが」

 自称神なら会った時あるけどな。

「はは、まぁ魔族で信仰深い人は、あまりいないのか、けど人族は王様と神様は絶対でね、教会のすごーく偉い人が「われわれ、人族の神が言っていた。魔族は野蛮で人族より劣っている、魔物と同等だ。知能があるだけ魔物より厄介だ、この世にいてはいけない存在だ」とか言っていてね。しかも人族はとても信仰深い。何かあったらすぐに教会に行く、相談があったら神父様に相談するっていうくらいね。まぁ、村などにある教会の神父様は下っ端だから、ただの相談役くらいだね。あと神は絶対だって教えを説く程度かな? だから、そのすごく偉い神父様がそう言ったから、皆言う事を聞く、だから魔族と争う。簡単だろ?」

 ジョンソンさんが、頬杖を付いていた手を、肘をついたまま手の平を天井に向け、苦笑いをしている。

 王様とか、神様とか、神父様とか、全然尊敬していないように言っている。本当にどうでも良さそうだ。茶葉が開いた頃なのでお茶を注ぐ。

「飲みますか?」と、ポットを掲げると「頂くよ」と言って来たのでジョンソンさんのカップにもお茶を注ぐ。

「そうだったんですね、それが争ってる理由なんですね」

「あぁ。俺みたいに信仰深く無い人族は、こうして偏見とかなしに君達魔族と接して、野蛮ではないって判ってるけどね」

「ですよね、じゃなきゃここに住んでませんよね」

「だよねー」

「争ってる理由はなんとなくわかったので、人族社会の事とかも」

「あんまり変わらないよ、王がいて、貴族がいて、平民がいる。まぁ人族にも貧富の差とかはあるけどね。この辺も魔族とあまり変わらない。特別な存在として人族には勇者、魔族には魔王、この辺も同じだ」

「変わらないんですねー、俺も授業で聞いてただけですが」

「ほうほう、少し興味あるね」

「まぁ、王も貴族も会った事ないですし、授業で聞いただけですが、その国を治める王と貴族がいて、ある一定の地域にいる強い者が、王様とは別に魔王になって、その国を守ると」

「こっちで言う、勇者みたいなもんか」

「みたいですね、強ければ誰でも魔王になれるらしいですよ」

「各地にいるんだね。こっち人族のは選ばれた者が勇者に成るなー」

「それも聞きたかったんですが、勇者は異世界から呼び出されてるって話も聞きましたよ」

「あーそれね、確かに呼び出されてるっぽいね」

「ぽいね……と言うのは?」

「あまり見た事の無い、黒髪黒目の少年とか、僕達より少し背の低い大人とかがいるからね。その人達が持ち込んだ情報や技術で便利な物や、お菓子が出回ったって話だ。ま、僕のお爺ちゃんから聞いた話だけどね、最近じゃ新しい道具とか全然出回らないし」

「そうですか、ジョンソンさんみたいな、金色の髪で目が青い勇者は?」

「んー少しはいたって話だね、今は黒髪黒目を召喚してるよ。あと笑い話なんだけどさ、その勇者が沢山物が入る袋を作ろうとしたり、魔石て言うのを作って魔力を込めただけで魔法が出る武器が作れないか? とか言い出してね、ことごとく失敗してるよ。中には成功した例もあるけど」

「んー、沢山あったら便利そうですね」

 アジア系が多いのか……日本人も居るかもしれないな。

「まぁ、あるにはあるらしいけど、国宝として、いろんな国の王様が、珍しい武器を少し持ってるって噂だけかな」

「んー、珍しい武器ですか」

「なんでも神が作った鋼材、オリハルコン製だとか」

「聞いた事無いですね」

 オリハルコンとか、あるんかよ!

「まぁ、我々が手に入れられる最高級品は、ミスリルが一番かな。物凄く高いけど」

「へぇ、それも聞いた事無いですね」

「まぁ、僕が知ってる限り王都の有名な武器屋に少し並ぶ程度だから」

「なら俺は絶対知りませんね」

「僕は魔族側にもあると思うけどね」

 ミスリルもかよ……マジかよ。一気にこの世界が胡散臭くなったな、まぁ地球の神からゲーム借りたって言ってたしな。たしかにあるかもしれない。

「魔法関係も良いですか?」

「もちろん、魔法は魔法使いが使えるね、君達魔族は大抵の人は少なからず使えるって話だけど」

「そうですね……俺も知り合いに、ゴブリン族や不死族が居ますが、簡単な奴なら使えますよ、小さい火を出すとか、水を出すとか」

「へぇ、君もやってたよね? 無詠唱で」

「え? 詠唱って?」

「僕は魔法が使えないから無理だけど「炎の槍よ、敵を貫け!『ファイアランス!』」とか」

 両手を上げて、呪文らしき物を唱えて、発動する魔法名を言っているが、魔法名は人族語なのか聞き取れなかった。

「いえ……俺等は、イメージで発動しろって、教わりましたが」

「んー、この辺も少し違うのか。なんか出してみて?」

「あ……はい」

 そう言って指先にいつも通り【水球】を出して維持する。

「おー、すごいね魔力とかどうなの?」

「魔法を使いすぎると、気怠くなります」

「んーその辺は同じか、いやー、この共同住宅で魔法使う人いなくて、ってか家の中で使うような魔法ってあったんだ」

「まぁ、攻撃以外に魔法を使うって発想が無かったと、話を村で聞きましたね」

「だよね、僕もさっきまでなかったわ」

 そう言って水球を流し台に飛ばし、今度は光球を出して薄暗くなったキッチンを照らす。

「カーム君すごいねー、二属性も使えるなんて」

「そうですか?」

「うんうん、魔法学校に通った人くらいしか二属性持てないよ、王宮魔術師とかでも四とか五だね。全部とか言ったらもう大変さ」

「へぇー、すごいんですね」

 俺全部使えるんだけど。コレってどうなの?

「お金の話も良いですか?」

「いいよ、人族や魔族の港町で、一応両替可能だね。レートは特に無いなー、金貨は金貨銀貨は銀貨で変えられるよ、手数料は取られるけどね。あと国境付近だと、どっちのお金も使えたりするし、最悪潰してお互いの種族の貨幣作っちゃえばいいんだし」

 大陸って言ったか……ほかにも有りそうだな。

「ぶっちゃけますね、たしかに、同じ重さなら潰しても作れる量は同じですからね」

「そうだね、混ぜものとかしなければ、だけどね。その辺は上の方がやってるから良くわからないね。僕は商人でもないし」

「言語の話も良いですか、お互い違和感無く話せてますけど」

「大陸共通語って言うのがあってねどの大陸、どの種族でも通じるのが有るんだよ」

「じゃぁ魔族語とか人族語も?」

「そうそう、カーム君結構頭が回るね。君が話してるのは大陸共通語、この辺も大陸の真ん中あたりで、港まで馬車で十五日くらいだから、大陸共通語で通じると思う。大陸の真ん中に行けば行く程、お互いの言語になっちゃうね」

「じゃぁ俺、共通語しか知りません」

「知らなくてもいいと思うよ、その国その地域に浸透してる言葉を話せばいいんだからわからなければその時に覚える、どう? 悩む必要なんかないさ」

 その後どうでも良い魔族側、人族側の話しをしたり聞いたり、お茶を飲みながら夕食の準備を始める。

「あーそうそう」

「なんですか?」

「君……すごく料理が上手らしいね。お菓子作りも」

「えぇ、それなりに」

「なら、今の話の情報代って事で僕にご馳走してよ」

「あ゛? あー良いですよ」

「今、すごい声が出たね」

「想像してなかった台詞が来たので」

「なら仕方ない。僕さ、お腹減ってるんだよね。かなり……」

 グギューーと、お腹の音がタイミングよく鳴り響きし、ばらく沈黙が訪れる。

「大盛りですね」

「ありがたい」

大盛りですぐ作れるといったら、パスタしかねぇよ!芸が無いが、カルボナーラでいいや、使う材料の種類も少ないし手間もあんまりない。

 パスタを作り終わり、大盛りパスタの皿をジョンソンさんの前に置く。

「いやー、長旅で手持ちが殆ど無くてね、本当に困ってたんだよ」

「そうですか、辛い旅だったんですね」

 そう言いながら、俺も食べ始める事にする。

「「いただきます」」

「いやーあの時我慢できずに、色町に行かなければ少しはお金があったんだけどね」

「食べ始めてからそれ言います?」

「食べる前に言ったら、作ってくれたかい?」

「少し考えます」

「だろー? なら作り終わって食べてる時に言わないと」

「はぁ……そうですか」

 キッチンでくつろいで、お茶飲んでたんじゃなくて、お金が無くて何も食えずに、どうしようかって途方に暮れてただけじゃねぇかよ。この馬鹿は、色町に寄んなよな。

「いやー、帰って来てから、数日分の食事代とか足りると思ったんだよね、色町で何日分の食費飛んだかな……」

 指折り数えているが、もうどうでも良くなった。

「……もういいです。食った物を返せって言うのもアレですし。このフライパンに残ってる物も全部どうぞ」

「ありがとう、本当助かるよ!」

「さいでっか……」

 関西言葉を使いたくなるくらい呆れるわ……。

 一応やっておくか『あなたは地球人ですか?』と、英語で話して掛けてみる。

「ん? なんかの呪文かい?」

「いえ、なんでもないです」

 外れか……勇者と名乗る者以外には、やらないようにしよう。


「はぁ。ご馳走様でした」ゲフッ。

 ゲップかよ、少しは隠せ。

「お粗末様でした」

「で、お菓子は?」

「まだ食べるんですか?」

「甘い物は別腹さ」

 なに女性みたいな事を。まぁその別腹理論は良くわかる。

「分かりました、ここまで来たら同じですからね、少し恩を売っておきますか」

「さっきの情報料でチャラだろう?」

「そんなの、大盛りパスタで消えましたよ」

 そう言いながらシフォンケーキを作り出すが、甘い香りに釣られセレッソさん、フレーシュさん、トレーネさんといった、女性陣が集まって来る。なんだかんだ言って、女性って甘い物が好きなんですね。

「セ、セレッソさん。きょ、今日は休みなんですか!?」

「えぇ、そうよ」

「なら僕と、逢引宿に行きませんか!」

 他の女性二人は、ため息を吐きながら首を振っている。

「良いけどお金はあるの? 時間外だから少しは安くできるけど、宿代はそっち持ちよ?」

「なら僕の部屋で!」

「駄目だ」「やめてよね」

 二人の女性から拒絶、あぁ、この人の両隣はフレーシュさんとトレーネさんだったな。

「ならセレッソさんの部屋で」

「隣が俺なんで、勘弁して下さい」

「声出さないからさ、良いだろ?」

 チラッとセレッソさんの方を見るけど、軽く首を振っている。この人声が出るみたいだ。

「駄目です」

別に、ベッドが軋む音だけなら多少は我慢したけどな、声が出るんじゃ駄目だ。

「それにジョンソン君、お金はどうするの? ツケはなしよ」

「カーム君、お金貸してくれ!」

 セレッソさんを見ると、また首を横に振っている。他にも借りてる人がいるんかよ。

「駄目です、大人しくこのケーキでも食って寝ててください」

「あぁ……最悪だ……」

 そんな悲壮感のある声で言われてもな。

「フレーシュさん!」

「なんでお前に貸さなければいけないんだ、そう言う事情の金くらい自分で稼げ」

 もっともだ。

「トレーネさん!」

 パンァンッ!と破裂音が辺りに響き、明確な拒絶をしている。それにしてもすげぇ音のビンタだな。

「あぁ、畜生……フォリさんは?」

「二日前から、討伐で遠征中ですよ」

「ヘングスト君は?」

「今日はまだ帰って来てません」

「クソッ!……クソッ!」

 ソコまでしたいのか。あーあー、騒いでるから大家さんが来ちゃったよ。

「あ、キースカさん、国に戻るから、家賃一応百二十日分払っておきましたよね? 三十日分返して下さい」

「……構わないけど、そう言う理由で払えなかったら直ぐに追い出すわよ? それでも良いなら」

 多分話は聞こえていたのだろう。

「どうすればいいんだ……」

 諦めれば良いと思うよ。

 床で膝を突き、項垂れているジョンソンさんを放って置き、まだ温かいケーキを、女性四人に囲まれながら食べて、部屋に戻ろうとした時にトレーネさんが「今日は私だったな」そう言いながら、もう一つのケーキに手を伸ばしていた。多分フォリさんの分だろう。今までのジョンソンさんの菓子を食べていたのはトレーネさんだったか。ん?今日は?

「ヘングストには黙ってればばれないだろう。私もお代わりを貰うか」

「まって、フレーシュはこの間食べたじゃない! 私よ」

「けど、私が討伐に行っていた時に、私のも食べていたらしいじゃないか」

「クッキーとかよりも、ケーキのほうが良いに決まってるわ!」

「私だって、ケーキの方が良いに決まってる!」

 処理していたのはトレーネさんじゃなくて、共同住宅の女性陣で、変な協定が結ばれていたからみたいです。

 大家さんは黙々と、自分の分を食べ終わらせ、さっさと部屋に戻って行った。

 あ、注意しないんですか……。


 その日の夜に、懐かしい感覚で目が醒めた。何も無い白い空間に紳士っぽい男が一人。一柱か?

「何ですか、神様」

「私は、人族より劣っているとか滅ぼせ! とか言ってませんからね」

「わかってますよ。宗教とかクソめんどくさいですからね、関りたくないんですよ。どうせ人族の都合の良い様に、教会が国民を操ってるだけだってわかってますから」

「それなら良いんです。あと話は変わりますが……精力増強はいります?」

「いりません」

「即答ですね。けどもう一人増えたらどうします?」

「増やさない努力をします、させます」

「増えたらまた来ますよ?」

「来ない事を祈ります。あ、オリハルコンってあるんですね」

「えぇ、面白そうなので作らせていただきました。牛を飼っている柵の中の草を探しても出てきませんよ」

「そんな事はわかってますよ」

「将来的に、手元に来るようにしますか?」

「任せます。俺が面白い方に転べば満足なんでしょう?」

「ええ」

 笑顔で言われると、すげぇムカつくな。

「将来的にオリハルコンを手にして狙われるカーム君……どうでしょう?」

「どうでしょう? って言われても、最悪っすね」

「まぁ、楽しみにしていてください」

「期待しないで待ってます」

「あとですね、空間収納の魔石も有りますよ」

「……もう何でもありですね」

「最悪この星を滅ぼせ(リセットすれ)ば良いんですよ」

「本当にゲーム感覚ですね」

「……ちなみに、人族の教会の私の像は、全然違うので見ても噴き出さないように」

「露骨に誤魔化さないで、俺の目を見て話してください」

「では、失礼します」

 逃げたか。そうして俺は目を覚ます。

「寝起き最悪だな」



後日談


 俺は、どうも町に来た時に言われた『変人の巣窟』と言われていた訳が気になり、親しい門番と酒場へ。もちろんふざけてた時に一緒に注意された時の件で門番の奢りで。

「なぁ、クリノクロワのどこが変人の巣窟なんだ? 気になってたんだよ」

「あー、お前何とも思ってないのか?」

「まぁ」

「お前も十分変人だしな」

「あ?」

「まぁいい、聞け。経験の無い女ならほぼ誰にでも声を掛ける馬」

「うむ」

「なんか見た目が怖い黒い奴」

「あの人は超礼儀正しい良い人だぜ?」

「まぁ、問題は一回も起してないみたいだけどな。夢魔族のいざこざに、必ずと言っていいほど関って来る、妙にナイスバディなお姉さん。毎回なんかあって色町に事情聞きに行く時は絶対いる」

「うむ、なんとなくわかる」

 ラッテの時もいたし。

「どう見ても、子供にしか見えない、少し高圧的な妖精族」

「いるね」

「希少種のダークエルフ、いるだけで奇跡だ」

「いるね」

 その奇跡が、この間ケーキの取り合いしてたけどな。

「人族。なんでここにいるかわからない、それだけでおかしい」

「いる理由は、なんとなくわかるけどね」

「その辺は後で聞こう。そしてお前だ、魔法でレンガの素材を、巨大な球体にして練れるほどの魔法使いなのに、力仕事している。町中で噂だぞ?」

「マジかよ・・・俺も仲間入りしてたのかよ」

「それを束ねる妙に寡黙で不愛想な大家さん、良く皆を纏めてるよ」

「あー纏めてないよ、放置が多いよ。夜中五月蠅い時だけ注意しに来るけど。馬が言い寄って殴られたか、叩かれたかしてたぜ」

「ほう……、それとな、お前。町中で噂だぞ? ハイゴブリンを倒した奴って」

「アレはだな……」

「わかってるって。けどな、噂ってそういうもんだ。受け入れろ。俺もなんでお前が防壁修理の日雇いしてるかわからねぇよ」

「魔物が怖いから、死にたくないから。安全に、魔法使ってそれなりに楽して稼ぎたい」

「お前、もう討伐の依頼受けろよ」

「嫌だよ、怖いもん」

「怖いって……そんな魔法使えるのにか?」

「もちろん。それに死なないに越した事は無い」

「かぁー。ひでぇ話だ」

「本当ひでぇ話だ、したくもない討伐の話を持ち掛けて来るとか。それに俺にはパーティーはいない、組めるほど仲の良い奴が居ない」

「異常発生の時は何だったんだよ」

「黒くて怖い人に誘われて、希少種さんも一緒にいたよ」

「なら声かければいいだろ」

「だから、俺は討伐に出る気はないってば」

そんな不毛なやり取りをしつつ酒を飲み交わした。

なんか説明らしい説明が今更出てきました。

一気に良く見かける単語が出てきますが今後どうにかします。


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作者が書いている別作品です。


おっさんがゲーム中に異世界に行く話です。
強化外骨格を体に纏い、ライオットシールドを装備し、銃で色々倒していく話です。


FPSで盾使いのおっさんが異世界に迷い込んだら(案)

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