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第31話 微妙に厄日だった時の事

細々と続いてます。

相変わらず不定期です。


どうでも良い特に話が進まない回です。


20150615 本編に影響が無い程度に修正しました。

うん、帰路は平和だった。

ただ門の所で、顔見知りの門番が俺の顔を見て。

「オラオラ! 金持ってんだろ! さっさと出せよ!」

そんな感じで即興で、笑いながら一芝居を打って来た、人が少なく暇だったんだろう。

前世で、ノリが良かった俺だ、乗ってやろうじゃねぇか!

「ひっひぃぃぃ! これだけしか持ってないです、本当なんです、許して下さいー」

きっかり通行料を財布から取り出すと。

「ッチ! まぁ良い、今日はこれ位で勘弁してやる」と言いながら笑顔で肩を叩きながら門を通らせてくれる。

「おい、まて」

「やっべ!上官だ・・・(なんで居るんだよ・・・)」

「そこの一緒にふざけてた奴もだ」

「デスヨネー」


「親しき仲にも礼儀有りと言うだろう? ましてや今は職務中だ、解っているのか」

「はい、申し訳ありません」

書類を見ながら、俺も注意される。

「お前もお前だ、カームとか言ったか。門の外で防壁工事の日雇いで門をよく通って、コイツとは親しいかもしれんが、こいつが職務中だと解っててふざけただろう」

「はい、仰る通りです」

「今回は注意と言う事で済ますが、今度見かけたら奉仕活動を命ずる、お前は減俸だ」

「「・・・はい」」

体感で10分ほど詰所内で注意された。


「悪いな、今度からは時間を選ぶよ・・・」

「いや、もうやるなよ・・・」

中身40近いのに高校生男子みたいなノリで、少しふざけたのが悪かったな、今度酒でも奢らせよう。


部屋に戻り、荷物を下ろし、夕飯の買い物に出かけるが部屋を出るとトレーネさんがいた。

「あの、何か用でしょうか?」

「お前がいなくて、2日ほど気分がかなり寂しい思いをした。金は出すから菓子を作ってくれ!」

そう言いながら、必死な顔で訴えて来る。

何を言っているんだコイツは。

「あのーどういう事でしょうか?」

「甘味は、お前が気まぐれで作る物を期待していたという事だ、なぁこの通りだ、頼むよ」

そんなすがるような目で見られてもな・・・


「作らないならお前の部屋で泣くぞ! 死ぬんだぞ!」

可愛い声で急に何を言い出すかねこの見た目幼女は、たしか隣の馬が「バンシーだね」とか言ってたな。前世だと家で泣かれると誰かが死ぬらしいけど。集合住宅の一室で泣かれても俺が死ぬ確率は低いんじゃないか?

「あーはいはい解りました、ってか買えばよかったじゃないですか」

「この辺の菓子は食べ飽きたから少し違う物が食べたかったんだよ」

「はぁ・・・そうっすか・・・」

「じゃぁ頼むよ」

決定事項っすか・・・


あーもう面倒くさい、菓子作りと同時進行出来る夕飯でいいや。そう思いつつ言う事を聞いちゃう当たりお人好しなんだろうか。


夕飯と菓子の材料を買ってきて先に菓子から手掛けるか。

脳内に有名な3分間を謳ってるクッキングの音楽を流しつつ作り始めようとするが。

てけてってって、てけてってって、てけてってってって~

目の前には2人の視線、1人増えてるね・・・

「なんでフレーシュさんがいるんですか?」

「ん?トレーネの声が聞こえたからな。菓子を作るのだろう、なら私もご相伴にあずかろうと思ってな」

普段は綺麗で凛々しいのに、ドヤ顔で言われても困る。

「はいはい、1人分も5人分も変わりませんからねー良いですよ、もう諦めてますから」


目の前に材料を用意してる時に。

「私が金は出すから作ってくれと頼んだんだ、一緒に食べるなら半分出してよね」

「解った解った、払うから睨まないでくれ」

俺の労力は、作ったお菓子で相殺されます。

「で、何を作るんだ?」

「簡単なケーキを」

「ケーキだと!」「ケーキ作れるの!?」

「簡単な、ですよ?」

「自分で料理するし、余り物でクッキー作ったり、オレンジのドライフルーツ作るし、なんで貴方が日雇いで働いてるか不思議だわ」

「趣味と仕事は別けた方が良いんですよ。そうしないと趣味が嫌いになりますからね」

ってかこっちの世界じゃ出来る趣味が少ないから、必然的に料理に手が伸びただけだ。ゲームも無いしな。いや、勇者が持ち込んだリバーシとかチェスとかがあるし。


「んーもっともな意見だ、理に適ってる」

さて、俺の知識に有るのはホットケーキかパウンドケーキかシフォンケーキだ。この中で材料費の少ないのはホットケーキだけどケーキぽくないのでシフォンケーキにした。てかスポンジさえ焼けばホールケーキも出来るんだけど生クリームはかなり生成が面倒だし。

シフォンケーキは型が無かったので冒険者用の鉄のカップで代用するとして・・・

けど、目の前で見られてたら少しやり辛いな。


まぁ、やるしかないけどね。卵を卵黄と卵白に別けて、卵黄の方に砂糖を数回に分けて入れて混ぜてー、小麦粉を数回に分けて入れて混ぜてー、卵白はメレンゲにして砂糖混ぜてー、メレンゲを3回に分けて卵黄の方に入れて混ぜるだけだからね。

あとはバター塗った型に入れて、空気抜いてオーブンで焼くだけ、膨らんで来たら串を刺してべた付かなかったら、はい出来上がり。


香りに誘われて大家さんと馬が増えて、なんか見た事の無い方が一人。


第一印象は超こえぇ・・・


焼けたか確認をするために、オーブンの方を向いて少し作業してたら、椅子に座っていて、すごくびっくりして飛び上がりそうになったが、ここにいると言う事は住人なんだろうと思い、叫び声だけはなんとか堪えた。ありがとう・・・ゲーム好きだった俺、叫ばないで済んだよ。夜中廊下で会ったら多分叫んで粗相してたわ。


身長2m前後で目が赤く全身が黒に近い灰色でしっとりしていて体毛が一切無く耳の付け根まで割けた口に鋭い牙が有るって言えば解るかな。

それに仕事帰りなのかハードレザーアーマーを着ていて剣は腰に下げたまま。せめて返り血は拭いて下さい。

「あ、初めまして」

「ああ、お前がカームか。フォリだ、度々の菓子の差し入れ感謝する、美味かったぞ」

あれぇ、見た目が怖いだけで礼儀正しい。すごくいい良い人なのかな?

ってか何族よ、両生類系かな、まぁ気にしないでおこう。

「あー、はい」見た目とは全然想像できない対応だからこちらも拍子抜けだ、こんな返事しかできねぇ。

出来立ての暖かいシフォンケーキを6人で食べるのには少し狭いな。


「んーーー甘ーい、柔らかーい」足をパタパタしていて可愛いなおい。

「んー、これ程とは・・・」真剣な顔をして物凄い勢いでモグモグしないで下さい。

「うーん美味しいですねー」終始笑顔で食べ続ける馬、食に関してはコメントが普通すぎて特に何も無いわ。

「・・・・・・」黙々と食べ続けてないで何かコメント下さい。

「うむ・・・ふかふかと柔らかく雛鳥の羽毛のようだ、甘さも丁度良く卵の味も損なわれて無い、本当に日雇いで働いてるのが不思議な位だ」丁寧なコメントをありがとうございます、ってか話聞こえてたんですね。

うん、普通。前世で食ってた生菓子に比べれば可もなく不可も無く、本当に普通だ。

「「「「「ごちそうさまでした」」」」」

「お粗末様でした」

前世でも今世でも胃袋を掴んだ者が一番偉い法則は健在だな。


おやつ後は、雑談になり『なんで俺が壁の蠅をナイフ刺せたのか』、『どうやってナイフを出したのか』の話題になったので、村で投擲の練習をして。石、ナイフ、斧、を投げる練習をしていたと話し、ナイフは魔法で生成したと。

フレーシュさんが「そんな事もしていたのか」と言っていたがいきなり真剣な顔をして。

「私にも教えてくれないか、人に独自の魔法を教えると言う事は、財を分け与えるのと同じだと重々承知だが、ソコをどうにか曲げて教えてくれ」

いきなり頭を下げて言って来たが。

「まぁ無理だろうな、魔法とはそんな「あ、良いですよ」」

「ぬ!?」「軽いな、すごく軽いな!私がどんな気持ちでさっきの一言を絞り出したと思っている!」

「あー、すみません、村で学校に通っていた時も、クラスの皆にコツを教えたし、生活が便利になる魔法を、村の皆にも教えていたので、考え方が普通の魔法使いと少し違うのかもしれませんね」

そう言って、手の平を上に向けて黒曜石のナイフを作り出し軽く握り、教鞭の様に振るいながら、黒曜石の塊を出す。

「実はこの黒いナイフは石で出来ています、そしてこの石はガラスで出来ています、ガラスって実は石なんですよ。で、本来は自然に出来る物で多分溶岩とかが冷えて固まってこうなったと思います。で、この石は割ると、刃物みたいによく切れるようになります」

「ふむ」「ふーん」「なんだと」

「割れたガラスって、良く切れる時が有るじゃないですか。それと同じで、これも同じです、『割れた堅いガラスがナイフになった』とイメージして下さい」

「「「おー」」」

すげぇな全員一発かよ、フレーシュさんやフォリさんは解るけどトレーネさんも出来るとは思わなかった。

「イメージしやすかったな」

「うんうん、あと私の事少し馬鹿にしてない?」

「確かに解り易かった、本当に教鞭でも振るったらどうだ?」

「いやー、そういうのは本当に勉強が好きな人にやらせておけばいいんですよ、それに、教え方一つでその生徒の人生を変えちゃうかと思うと怖くてできませんね。あーあとコイツの弱点ですが、込めた魔力が無くなると消えます、衝撃が強ければ強いほど早いです。なのでコイツを使って剣を受けたりするといきなり消えて、最悪死にますかね。あとガラスなんで脆いです、なので投げる事を強く勧めます」

「解った」「はーい」「忘れない様にする」

「投げて刺さる様にするには、コツは無いです、ひたすら練習ですので投げ方は聞かないで下さいね、俺も感覚で覚えました」

スキル補正もあるけどね。


そういうと早速トレーネさんが壁に投げるが刺さるどころか持ち手側が当たり床に落ちて半分に割れて消えて行った。

「あー」とか言っているが、1発で作り出して1回目で刺さったら俺が泣くわ・・・、常にナイフを投げてる人なら解るけど

「ふむ・・・」『タンッ!』

「これくらいかな?」『トッ!』

「うむ」「イエーイ」と2人はハイタッチをして喜んでいる。

フォリさん、俺にはアナタがそんな事するような人には見えないんだから止めてくれ、イメージが狂う、ってか笑顔が超怖い、ソレ絶対首元に噛みつく寸前の顔だよ。


夕食の時間になったので、雑談を切り上げ料理を開始、ケーキの材料で俺は手抜きをしてフレンチトーストを作り始めるが。

「え?パンを砂糖入りの卵に入れちゃうの?」

「それを焼くの? あ・・・良い香りー」

「美味しそーーー」と見事な段階を踏んで話してくるが、あえて黙って作る事にした。


「あーい出来上がりー」多分フレンチと言っても通じないだろうから「偽パンケーキだ」と少し誤魔化す。

「おぉー、少しちょーだい」可愛く言ってくる。

この人は見た目通りにしてれば、可愛いと思うんだけどな、たまに威圧的になるからな、初めて会った時みたいに。

「あーはいはい、どうぞどうぞ、最初からそう言われると思って諦めてたんで、それは皆でどうぞ」

そう言い第二陣を食べる事にする。

甘い物が好きなのか、ただ単に興味が有るのか解らないがフォリさんが「どれ・・・」とか言いつつ手を伸ばしたのには少しびっくりした。


「あーなんか今日は微妙にツイて無かったなー、帰って来たばかりなのに怒られるし、菓子をせがまれるし、夕飯1食分取られるし」

フォリさん超怖かったし、まぁいいや。明日の為にもう寝るかー。

長時間歩いたせいか寝付くのは意外に早かった。

なんか最近料理かお菓子しか作ってない気がします。

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作者が書いている別作品です。


おっさんがゲーム中に異世界に行く話です。
強化外骨格を体に纏い、ライオットシールドを装備し、銃で色々倒していく話です。


FPSで盾使いのおっさんが異世界に迷い込んだら(案)

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