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第30.5話 スズランの一日

細々と続けてます。

相変わらず不定期です。


今回はおまけみたいな物なので少し短めです。

私はいつも通り起きてる積りなのだが目が醒めると太陽が昇ってから結構時間が経っている、こればかりは昔からなので仕方が無い。

学校に通っていた時はカームがお父さんに睨まれながらも私を起こしに来てくれてたけど、町に出稼ぎに行きつつ勉強して来ると言って村を出て行ってから起してくれる人が居ない。

学校に通い始めた頃はお父さんやお母さんが起こしてくれたけど寝起きの悪さに諦めたのか、カームが来るようになってからは学校を卒業してからも起してくれない。


「んー」

まだ少し眠い、それでも起きないと働いてる人達に悪いので起きる様にはしている。決まった時間に集まって決まった時間に仕事が終わる所が町には有るみたいだけどたぶん私には勤まらないと思う。


寝間着として愛用しているダボダボの麻のシャツやユルユルのズボンを簡単に脱ぎ捨て代わり映えのしない何時もの服に着替える。お父さんやお母さんの住んで居たここからずっと遠い故郷の服で『僧侶』っていう神父様と同じような職業の人が作業をするために着ていたと言われている動きやすい服だ。

色も派手じゃないし、ゆったり着れるから意外に気に入っている。

暑い時は袖や裾を短くしたり頭にタオルを撒いたりして過ごすがお母さんからは不評だ、「女の子なんだから少しはオシャレに気を使いなさい」と何時も言われている。

楽だし動きやすいから好きなのに「女の子は少し不便でも我慢してお洒落をするのよ」とこれも良く言われる、確かにミールは少し着飾ったりしているしいつも良い香りがする、クチナシだって偶に着飾ったり良い香りがする。そこまでお洒落が重要なのかと思う。

「お洒落をしないとカーム君が他の子に取られちゃうわよ」とまで言ってくる、あまり派手なのは好きじゃないし、カームが他の子に色目を使ったりいやらしい目をしているのを見た時が無いから取られる心配はしていないが近くに居ないと少し不安だ。

皆でお酒を飲んでる時にミールとクチナシがカームに抱き付いた時は少し驚いていたが、ソコまで鼻の下を伸ばしていた訳じゃ無いけど心がチクチクしてムッっとしたのは覚えている。酔っていたせいも有って勢いで口付けをしてしまったがその時は心のチクチクは取れたけどそれ以降はずっとドキドキしていた。大人達に交じって同衾しようとしたけど「酔った勢いでこういう事したくないからまた今度」みたいな事を言われた時は少し胸が痛かったけどそれも杞憂に終わった。

ミールもクチナシも応援してくれて初めて町に行った時は色町の連れ込み宿の手配もしてくれた、おかげで私はカームと性交できた、逃げ場を無くして追い込むようにしたのは悪かったと思うが当時の私は必死だったんだと思う。それからちょくちょくと交合う事はしているが子供はカームがまだ望んでいないので我慢している。

子供が出来る方法は学校の女子だけで先生から教えてもらった秘密の話し合いで解っている。要は『当たらなければ良いだけ』だ。カームにも逐一伝えるようにしているが『絶対では無い』と言う事も教わった。なので子供が出来てしまったら仕方が無いので伝えるようにしようとは思っている。


何故今日に限ってこんな事を思い出すのか解らないがそう考えながらも鳥達に少し遅めのご飯をあげてから卵の回収して、私も遅めのご飯を食べる。鴨の水場の水が少し少なくなってるので後で水を足さないと。


今日も卵を売ってくれと言う人が来るはずだ、卵を売ったお金は全部溜めている。カームも働きながら勉強をしているので私もお金を溜めてカームと話し合って一緒に村はずれの借家を買い取るか借りるかしようと思っている。

食器を洗い終えたら鴨達の水場にカームが作った水路の水を引き入れ鳥小屋の掃除をして『糞は肥料になる』って言っていたので一か所に集めて置いて麦を刈ったら撒くみたいだ。


カームは「水路じゃ無く疎水だ、コレのどこが川だ!」とやたら拘っていたが正直良く解らないし水が引けるならどちらでも良いと思う。

鳥小屋の掃除をした後は弱ったり卵を産まなくなった鳥を潰して肉屋に売ったり食べたりする為に後から作った別の籠に別けて置く。

 解体(バラ)すのは最初お父さんがやってくれたけど必要な事なので覚えた。

最初は手間取ったが慣れれば簡単だ、今は返り血だけ浴びない様に気を付けるだけで特に問題は無い。

数が少ないから別ける数は少ないし頻繁に出る訳じゃ無いので手伝う事は少ないが池のお姉さんの手伝いに行くのが日課だ。

「こんにちはアールさん」本名はメーアアールと言うが本人が「アールと呼んで」と言っているのでそう呼んでいる。

「こんにちは、今日も鴨達の様子を見て頂戴」「解りました」

こんな作業はすぐ終わるのでそのまま出来る雑務が無いかを掲示板で確認して有ったらそれをこなし無いなら家に戻り昼食にする。

有る物で適当に済ませお茶を飲みながらのんびりして卵が欲しい人が来たら売り、別けておいた鳥が居たら「今日は鳥も買おうかしら」とか言って買っていく。そんなやり取りをして夕方少し前に成ったら洗濯物を取り込みもう一度鳥たちにご飯をあげる。


ご飯をあげていたら後ろから聞きなれた声で「ただいま」と聞こえたので「おかえり」と返して上げた。

心臓が全力で動いた時みたいに速く鳴っている、毎日会ってた時はそうでも無かったがしばらく会わないとこんなにも胸が高鳴る物なのか、それが自分でも信じられなかった。

町で買ったという小物をプレゼントされた時は心臓の音が更に大きくなりカームにまで聞こえるのではないか?と言う位大きくなった。

了解を得てから袋を開けたら穴を開けなくて良い耳飾りだった、片方だけ付けて髪をかき上げて着いている所を見せたら一瞬だけ驚いた様な仕草をして「似合うよ」と平然を装って返してくれたが私からしたら丸解りだ。だって少しだけ目を逸らして左の口角が少し上がっているんだから。

とりあえずお茶を出して他愛も無い話をしながらのんびりとした時間を過ごした。お母さんに「あまり欲張るのも良く無いわよ」とも言われているので部屋に行く事だけは避けておいた。 

そうしたらそのうちお父さんやお母さんも帰って来て『目潰しは卑怯か卑怯じゃ無いか』と言う話題になったがカームが無事ならそれでいい。

カームが帰り夕食を食べている時に「今日の夜に会いに行くのだけは止めなさい、色々疲れてるだろうから」「あの三馬鹿と飲んでるだろうしな」とお父さんはカームの事を散々睨んだり威圧するような態度を取っているがなんだかんだ言って好き合う事に反対だけはしない。ヴルスト達とも会いたいだろうから今日は行く気は無かった。私にだってそれ位は解る。

だから明日の為に今日は色々準備をしておこうと思う。明日がすごく楽しみだ、最悪ミールやクチナシにも声をかけて探してもらおう。



少し重くなった小物入れを見ながら。少し口角が上がっているのが自分でも解って、恥ずかしくなったので今日はもう寝る事にした。


主人公が「勘が鋭い」と言ってますが大なり小なり癖が有ったみたいです、その微細な変化がなんとなくスズランには解る見たいです。

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作者が書いている別作品です。


おっさんがゲーム中に異世界に行く話です。
強化外骨格を体に纏い、ライオットシールドを装備し、銃で色々倒していく話です。


FPSで盾使いのおっさんが異世界に迷い込んだら(案)

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