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魔王になったら領地が無人島だった  作者: 昼寝する亡霊
無人島開拓五年目

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第314話 ヤベー物が世界に出回りそうな時の事

 故郷の収穫祭が終わって自宅にも戻り、やっぱり二人に襲われたが問題はなかった。

 いつも通りだと言えばいつも通りで助かった。筋肉ムキムキでとかだったら三日くらい筋肉痛で動けなかった可能性が高い。



「いったん上流でため池作ってから……。あの辺りですね。その方が楽な気もします」

「急に水を曲げると、そこの土が削れるしね」

 そしてその三日後、第二村の神父様兼村長と榎本さんの三人で灌漑(かんがい)の為に疎水を増やす話し合いを畑の真ん中でしていたら、なんか気が付いたら魔王部下さんがシレっと話し合いに参加してたので慌てて席を外した。

「どうしました? 人がいる前で話に混ざってくるなんて初めてじゃないですか?」

「農業の話し合いは、いつどこで誰としても新たな知見が得られるかもしれないからね」

「……そうっすね」

「あー、そうそう。魔王様と勇者の話し合いが現在進行中でね。今すぐに連れてきてくれって事で呼び出しなんだ」

「は? 榎本さん! 俺、ちょっと急用で外し――」

 俺は二人に聞こえる様に叫んだが、全部言えなかった。

「ます!」

 そして会議をしている地下に大きな声が響いた。

「うるさいぞカーム。いきなり叫びながら現れるな」

 そして大魔王様ににらまれる。理不尽じゃね?

「はい、すみませんでした」

 勇者達に苦笑いされながら一応謝っておく。

「で、何の用なんです?」

 俺は空いている椅子に座り、何となくテーブルに置いてある二十ページくらいありそうな資料と札の様な物を見る。

「あぁ、対魔法生物用の使い捨ての札ができあがったから、一応関係者として呼んでもらったんだ。フルールさんでも良かったけど、国王様を待たせるのもなんだし……ね? 有無を言わせずさっさと連れてきてくれるらしいし」

 会田さんは苦笑で言い、資料を俺の方に押し出してきたので持ち上げてペラペラとめくる。

「んー? 対魔法生物はわかります。この鋼材用ってのは?」

「一応魔法生物用から話すけど、そいつから直接魔力を吸って発動するタイプ。そして工業用かな。そっちは使用者の魔力をそそぎ込むタイプ。詳しい説明は国王様にもまだだから、ここからは剣崎に」

 そう言って隣に座っていた剣崎さんを手の平でさした。

「どうも剣崎です。資料の四ページ目の下の方を見てくれ」

 そう言われたので紙をめくって四ページ目を開く。一ページ目は目次になっているし、二ページ目は白紙だ。

「この様に魔封じの腕輪や魔石の原理を応用し、吸った魔力がそのまま札に書いてある陣に流れる仕組みだ。魔法には詳しくはないが、助手の力を借りて十二分に実用に耐えられる物ができあがったのでこの場を設けてもらった」

 剣崎さんかぁ。未だに苦手意識が先に来るけど、鉄を溶かす様な魔法を人族側でも再現できたって事だろうか?


「質問良いか?」

 大魔王様が丁寧に手を挙げ、剣崎さんの説明が一度止まってからなんか大人しく聞いていたが気になった部分があるみたいだ。こういう姿勢は国王なんだな。

「この魔力増幅についての原理に説明がないが? 秘匿しているならかまわんが、一応どういう仕組みで動いていて安全なのか説明できるか?」

「あぁ、それな。過去に作られた遺物の仕組みをそのまま流用しただけだ。原理はわからんが、なんか動くからよし! って状態で使用中だ。だから載せていない。そこの会田君や、その手の知識に詳しい奴の了承は得ている。もし良かったらそちらの技術者を派遣してもらうか、現物を渡すから解析して欲しい。職業がら再現性や原理がわからない物を使うのは大変気に入らないが、千回ほど試してみてまだ不都合は出ていないのは確かだ。個人的には最低一万回は試したかったんだが、なにぶん時間がな……」

「そうか。試作品でも、千回試せるくらい生産費用は安いって事はわかった。技術者については意味もなく長生きしている生き字引と、かなり魔法に詳しい者を派遣する。多少性格に難はあるが、研究者としては気は合うだろう。それとその様な技術を惜しみなく提供する姿勢に感謝する。続けてくれ」

 うん、大魔王様も中々の器だと思うよ。国王なのに素直に礼が言えるんだし、原理がわからないものに疑問を持つのも安心して使えるか? って姿勢っぽいし。

 一応勇者相手ってのもあるのか? 一応全員で国を動かしてるっぽい集団だしな。



「カーム君。何かあるかい?」

 俺は特に疑問はなかったので剣崎さんの説明を大人しく聞いていたが、説明が終わっていきなり振られた。なんで俺に聞くんだよ。魔族で魔法なんかイメージだぞ?

「この魔力増幅の奴って、電気や電子回路? 電気設備? のブースターみたいな役割ですよね? そっちに詳しい人はいないんですか?」

 俺もあまり詳しくないが、一応専門家がいると思われる勇者達が議論はしたであろう事も一応聞いてみる。専門用語っぽい、こっちの世界にない単語を出したが何か大魔王様に聞かれたらごまかそう。

「それな。一応聞いたんだが、なんでこんな場所に配置されてるのか意味がわからない。が答えだそうだ」

 ふむ。良くわからないがそう言う物ではないらしい。あとやっぱり聞くよな。

「人族側の肉体強化とかのバフ系……そっちのスジは? 生徒に国所属の魔法使いがいましたよね?」

「全く違うらしい。本当になんだコレ状態だったな。今は外交関係をしている勇者に、他国の文献や図書館、教会の所有している国宝級で閲覧制限されているような書物も読める様に交渉してもらっている途中だ」

「ならわかりませんね。お手上げです」

 俺は軽く両手をあげながら首を振り、ジェスチャーも追加しておく。

「そうか。なら試験を頼むよ。国王に頼む訳にも行かないし、その部下もそれなりの地位のある人だ。なぁに、俺とカーム君の仲じゃないか」

 すげーニコニコしながら剣崎さんが魔法生物用の札を渡してきた。ご丁寧にナンバー1001って番号も書いてある。

 あと敬称を付けてないのも凄い。マジで上下関係とかに興味ないタイプだ。

「……仲といわれましてもねぇ。一度授業を聞いただけですし?」

「なら教師と生徒だろう。ほら」

 剣崎さんはそう言いながら、良い笑顔で顎で用意されていた鉄塊を指す。

「えーっと、安全の為に札の九割以上が接地していないと駄目。発光してから十秒で発動。使用されたら登録された文字と対になってる番号が消える。でしたね?」

 俺は嫌な顔で受け取り、説明された物の安全装置を確認の為に口に出す。

「そうだ。もちろん鋼材用もな! 雑にポケットに突っ込んでも平気かどうかも兼ねてるから、そっちはコレを使ってくれ」

 そう言って白衣のポケットからクシャクシャになった札を出してきた。

「こっちは一定の魔力を流して発光して、札の九割以上を張り付けて手を離してから十秒でしたね。過剰供給による安全装置は?」

 秒とか言っちゃってるけど、勇者っていうか、地球人っていうか日本人として話しちゃってるなぁ。気を付けないと。

「ない。かといって威力が上がるわけでもなし。こちらの試験では生徒二人でぶっ倒れるくらい魔力を流したが発動した。そっちは実験のために壊して良いぞ。二枚目もあるしな」

 めっちゃ良い笑顔で言わないでくれ。ってか俺はあの生徒二人より魔力量が多いと思われているんだな。

 俺は皆に見られながら、元魔法生物であったであろう鉄塊に札を貼り付け、魔力を吸ったのか少ししてから発光し、頭で十秒数えたら凄い炎が上がり、白い煙みたいな物を出している。

「で、この時点で登録したであろう番号が消えまして……。炎が消えましたね。熱いので見る場合はお気をつけください」

 会田さんは番号が書かれている紙の1001の所が消えているのを大魔王様に見せ、鉄塊の方へ手を伸ばしている。

「管理の為に対になる数字が消えるのは良いな。ドレが誰が持っているのか大体わかる。紛失したら与える罰の程度は後で話し合うとしよう……。ほう。地面まで抜けているな……。魔力増幅も凄いが、カームから聞いていたカガクと言う物は恐ろしいな、あんな小さな炎でこの厚さを抜くとは。おい、今度は横に張り付けろ。攻撃を避けて胸、後ろに回り込んで背中の想定だ」

 大魔王様と視線が合い、工業用の鉄塊を顎で指される。

「うっす……」

 身内っぽい側にはこんなもんだよなぁ。

 俺はもう一つの鉄塊に近寄り、側面に張り付けてから札に魔力を込める。そうすると先ほどと同じ様に発動し、なぜか(・・・)反対側から炎が突き抜けた。

「……指向性? マジで兵器転用が怖いんだけど? ってか工業用は無理ですって。鉄は出荷の為に持ち運びしやすい、一定の大きさのインゴットですよ?」

 俺はジト目で会田さんの方を見て、なんで工業用なのか疑問をぶつける。

「あぁ、それは名目上だから。鉄の扉で鉄の(かんぬき)とか破壊する用。石や木には発動できるけど、ナマモノには発動できないよう安全対策してある。まずいですか?」

 会田さんはニヤニヤしながら言い、大魔王様に確認をとっている。

「ここ最近魔族と人族の戦争がないから良いが、人族同士で内陸の大陸では土地を巡って争っているんだったか? 一般に流通させなければ……。いや、待て。ダンジョンで長年開けられていない扉や、謎の金属製の壁が存在していたな?」

「えぇ、未だ多くあるらしいですね」

 大魔王様はニヤつきながら言い、会田さんもニヤついている。

 ってかそんな物あるんかよ。何か不味いから封印してあるかもしれないだろ? 開けたら不味い事になるんじゃないのか? 神話とか物語とかになってるバケモノとかさ。

 俺しーらね……。

「はぁ。んじゃ次は過剰に魔力を流し込んでみますね。もう慌ててとにかく魔力って感じで」

 俺は二枚目の工業用の札を、魔法を発動させる様に手の延長とイメージして、なんか堰を切った水がドバドバ出る感じで流す。

「あ……。これって?」

 札に描いてある模様が眩しいくらいに光り、これやべぇんじゃね? って思って剣崎さんの方を見ると、良い笑顔で首を縦に振った。

 行けと? マジで? まぁいいか。

 そう思って札を側面に張り付けたら、十秒後に凄い勢いで鉄塊から炎の槍みたいなのが突き抜け、地下の岩の壁に少し穴が開いた。

「過剰に魔力を込めても問題なく発動するな!」

 うん。良い笑顔で言うの止めてもらって良いですかね? 凄く不安なんですけど?

「威力上がってんじゃん……。威力上がらないとか言いましたよね?」

「ふむ。生徒の魔力が少なかったのが問題だな。次は国内最強の魔法使いに試験を依頼するとしよう。ま、カーム君みたいにクソみたいな魔力を持ってる奴なんかあまりいないだろうし、このままで良いだろ。そもそもこっちは戦闘中に使用を想定してないし、普通に使うなら加減もできるだろ。壊すつもりで魔力を込めろって言ったけど、想定外だった」

 剣崎さんは良い笑顔で親指を立て、大魔王様は口元を軽く押さえてクククと笑っていた。


「さて、会議はこんな物かな? ではこちらをお持ちください」

 あの後は軽い雑談になり、三十分くらい情勢や麦の収穫量とか話し合っていたが、時間になったのか会田さんが先ほどの札を束で大魔王様に渡していた。

「うむ。とても有意義な会議だった。こちらの札に関しては専門家と会議をしつつ、報告書を書かせた物を後ほど届けさせる。カーム、帰るぞ」

「は? なんで俺も?」

 そこまで言ったら、視界はこの間の闘技場に。せめて俺にも挨拶させてくれ……。

「おい、決めてあった魔法使いと技術者を連れてこい」

「かしこまりました」

 大魔王様がそう言うと、魔王部下さんが返事をして消えたので連れて来るんだろう。部下さんも大変だな。

「さて……。俺も試してみよう」

 そう言うと大魔王様が札を一枚取り、なぜか闘技場中央に用意してあった元アイアンゴーレムだった鉄塊に歩き出した。

 呼び出した部下を待たないのだろうか? それとも試したくてウズウズしてる?

「む? カームが使った時より光が弱いな」

 そんな事を言い、大魔王様が札を正面に張り付けると火の付いた槍みたいなのが後ろ側から少し見えるかな? って程度の物が出た。

「ふむ。こんな物か。ま、俺はこいつを切れるがな」

 お願いします。ドヤ顔で鉄塊をコンコン叩きながらこっちを見ないでください。反応に困ります。

「お連れしました」

 苦笑いしつつ、言葉を選んで口を開こうと思ったら魔王部下さんが人を連れて転移してきた。

 助かった!

「国王! さっさと勇者の技術が詰まった物を見せんかい!」

「見ねぇ面がいるが、お前が話に出た勇者との顔役か? まぁ良い。さっさと問題がないか調べるぞ」

 おいおいおい、マジで癖が強すぎだろ。マフィアみたいなのと、身なりに一切気を使ってない浮浪者みたいな奴が来たぞ。

「コレが説明書きか。ふむ……。マジで張り付けるだけかよ!」

「おいおいおい、なんで人族で秘術指定されてた増幅の陣が刻んであんだよ。微量の魔力でも起動か。単純なほど不発が少ないって考えか。嫌いじゃない……」

「ほほー、微量の魔力を流しても発光か」

「紙が切れないように特殊な技術が使われてる訳じゃなく、紙自体が強固なのか。あ、防水になってるな。コレも魔法処理されてないのか。勇者の技術はすげぇな」

 呼ばれた二人は子供みたいに説明書を奪い合うように読み、それぞれの札を持ってワイワイやりはじめた。

「おい、まずは威力だろう。そんなのは後から分析なり解析しろ」

 見かねた大魔王様が突っ込みを入れた。

 ってか挨拶もろくにしないで、大魔王様にあんな態度で札や説明書を見てるってすげぇなぁ。俺の前では普段通りでいいぞ。的な感じで言っているんだろうか?

 そう言われた二人は、なんかシブシブ鉄塊に札を貼り付けて成り行きを見守り、腕を組んで首を縦に振ったり、顎に手を当てて頷いている。

「確かに魔法が苦手な奴でも、一定の威力を出して核を破壊できそうだ。前衛なら攻撃を避けながら張り付けるだけだし便利だな」

「そうだな。なんか今開けた奴より大きい穴は国王がやったとして、張り付けただけでもコレか。生き物に対して発動しない作りで助かった」

「そうか。そういえば技術者を派遣してくれ。もしくは技術を提供するから解析してくれとの事だ」

「沢山の勇者と話がしてぇからこっちから行くぞ」

「俺もだ。砂に水を撒く様に技術を吸い尽くしてきてやる。今行くぞ」

 うん。この人達根っからの知識欲の固まりだ。技研的な部署とかあるんかな? そう思ってたらまた王国の地下に一緒に飛ばされた。

 大魔王様? なんで俺も一緒に飛ばしたん? 帰ってから十分もかからずにとんぼ返りだし、勇者達が後かたづけしてる最中にまた来ちゃったよ……。

「紹介しよう。先ほど話したが、この見た目が怖いのが無駄に長生きしてる生き字引。見た目が難民の様なのが魔法使いだ」

「……はい。よろしくお願いします」

 勇者達が固まってるよ。まさか即日、しかも十分くらいで戻ってくるとは思わないだろうなぁ。

「よっしゃ。名前には興味ねぇから、さっさと研究所に案内しろ」

「あぁ、そうだな。聞きたいことが山ほどある」

 うーん。癖が強くないと、あの城じゃ埋もれるのか? それともそういう奴しか集めてないのか? まぁ、今日の俺は空気みたいなもんだったし、これ以上巻き込まれないで助かったわ。

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作者が書いている別作品です。


おっさんがゲーム中に異世界に行く話です。
強化外骨格を体に纏い、ライオットシールドを装備し、銃で色々倒していく話です。


FPSで盾使いのおっさんが異世界に迷い込んだら(案)

― 新着の感想 ―
研究者ふたりの大魔王様への口の利き方で研究バカって判っちゃうw
勇者との会話ではところどころ専門用語的なものが出てきているし大魔王様はするどいから口に出さないだけでバレてるんじゃないの?
好きな作品の更新続くの本当に嬉しい 大魔王様の子供っぽいとこ含めて、カリスマ有るなぁ
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